英文契約も多い自動車業界 自社基準レビューでベテラン法務部員の知見を共有
株式会社ニフコ
管理本部 法務室 室長 上村 太一 様 管理本部 法務室 法務アドバイザー 山﨑 恭正 様 管理本部 法務室 瀬野 莉奈子 様
- 法務歴40年のベテラン社員のノウハウ共有を目的に導入
- 条文を読む・探す時間を削減してクリエイティブな業務にかける時間を創出
- 法務思考の判断スピードや精度を高めるために必須のツール
「錆びない・軽い・扱いやすい」というプラスチックの特長を最大限に生かした工業用ファスナーを製造する株式会社ニフコ。自動車などのものづくりを支える技術力は世界から高く評価され、ユニークで存在感のあるグローバル企業として成長を続けています。海外企業と契約書を交わす機会も多い法務室の上村様、山﨑様、瀬野様にLegalForceの活用方法やその効果について聞きました。
法務室が国内外の契約審査をカバー
法務部門の組織体制や業務内容について教えてください。
管理本部 法務室 室長 上村 太一 様
上村様 当社にはもともと法務専門の部署がありませんでした。それまでは事業部門ごとに契約書を見ていたのですが、海外企業との取引が多かったため、5年ほど前に「海外法務室」を立ち上げました。昨年の組織改革で国内外の法務業務を一本化することになり、海外法務室を「法務室」に改組し、現在はこの法務室で国内外の法務業務を行っています。
主な業務内容は、契約書の作成・審査をする契約法務です。ニフコの製品は世界中の自動車メーカーで使われていますので、英文契約書も多く扱っています。その他、訴訟対応や機関法務(ガバナンス)、法令遵守のためのルール作り、法律相談への対応なども行います。
法務室は全部で5人体制です。私が室長(マネージャー)で、法務アドバイザーを山﨑さんが務めています。瀬野さんは主に海外法務を担当し、他2人が国内法務やコンプライアンス対応、海外とのライセンス契約の管理などを行っています。
法務キャリア40年の知見を引き継ぐ
LegalForceを導入された理由や、導入以前の課題感についてお聞かせください。
上村様 LegalForceを導入した一番の理由は社内にあるナレッジの共有を行うためです。法務アドバイザーである山﨑さんが定年退職を迎えるにあたり、彼の持つ法務に関する知見やノウハウをなんとか共有したいというのが当社の抱える課題でした。
瀬野様 海外法務に関しては、これまで山﨑さんが主に北米を、上村さんがそれ以外の地域を担当していましたが、これを私が引き継ぐことになりました。私はまだ入社2年目で、2人にくらべると法務歴が短いです。山﨑さんの知識や経験に学びながら、どのような観点で契約書に向き合えばよいのかというノウハウを引き継ぐことが課題だと感じていました。
管理本部 法務室 瀬野 莉奈子 様
山﨑様 私は新卒当時からずっと法務畑を歩んできました。40年以上のキャリアがある人間から、法務経験が少ない人間が契約業務を引き継ぐことは、普通に考えればかなり根気のいる仕事です。ですからそれを少しでもサポートしてくれるITツールを以前から探していましたし、もしあるのであれば絶対に使わなければならないと考えていました。「知見を引き継ぐ」という意味で、LegalForceに大きな期待を寄せ、導入しました。
「自社基準レビュー」で自社のポリシーに沿っているかを確認
実際にLegalForceを使うときの流れを簡単に教えてください。
上村様 契約書の作成や審査依頼は稟議の仕組みで受け付けています。最近「案件管理」を使いはじめましたが、導入過渡期のため既存のシステムと併用しており、これから本格運用を始めようとしています。この機能を使ってLegalForce上で案件の受付や依頼者とのコミュニケーション、進捗状況の確認などを一元管理していくことが、われわれの目指す所です。
瀬野様 私の場合、取り扱う契約書の9割が英文契約書です。受け取った契約書に関しては、自動車業界ならではの特殊な条項や自社の観点もあるので、まずは自分の目で確かめてから「自動レビュー」にかけ、一般的なリスクや必要条項の抜け漏れがないか確認します。その後は「自社基準レビュー」で自社のポリシーに沿った契約書であるかどうかを判断しています。
自社基準レビューイメージ 自社のポリシーに沿ったレビューを支援する
この「自社基準レビュー」には特に期待しており、山﨑さんと相談しながら今あるナレッジを詰め込んでいるところです。最初の設定は少し大変ですが、法務パーソンとして持ち合せておくべき重要な観点を先輩に教わっているような使い方ができるようになればと考えています。
山﨑様 私もまずは英文契約書を読み込み、それから自動レビューでLegalForceが何をどう指摘しているのかを確認します。基本的に、取引先へ修正依頼をするのは重要度の高い項目、そして会社にとって大きな影響があるポイントだけです。
修正や指摘のレベルは状況を見ながら判断します。例えば初めてのお客様の場合には積極的に修正を入れますが、そうでない場合は重要項目だけを指摘するようにしています。取引先との関係性や契約の進捗状況によって一概には言えませんが、総合的に判断することを心がけています。
「条文検索」で読む・探す時間を削減
LegalForce導入によって感じている効果を教えてください。
上村様 特に国内の契約審査については非常に安定感のあるレビューができており、業務効率も上がっていると感じます。英文契約書の自社基準レビューは言語認識のところで和文よりは課題を感じますが、致命的な問題や不満はありません。新人が入った時にも自社のポリシーがわかりやすく、参考になるのではと期待しています。
LegalForceを使いこなせるようになれば、クリエイティブな業務にリソースを割けるようになるので、より戦略的な法務を実践できると考えています。
山﨑様 法改正に合わせて機能が順次アップデートされる点も効果を実感しています。例えば普段あまり触れることのない「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」が改正された際も、その変更点をふまえた自動レビューができました。改正ポイントについての理解を深めることもできますし、非常に助かっています。
管理本部 法務室 法務アドバイザー 山﨑 恭正 様
瀬野様 自社のひな形や過去の契約書から必要な条文を瞬時に探せる「条文検索」は積極的に活用しています。自動車業界では過去にどのような条件で契約を締結したのかということが重視されるので、条文を読んだり探したりする手間や時間が大幅に削減できました。弁護士が監修した「LegalForceひな形」や「サンプル条文」があることも大きな安心材料です。
条文検索イメージ
審査受付から契約書管理までを一元管理できる環境へ
今後どのようにLegalForceを活用していきたいですか。
上村様 まずは案件管理を使いこなしたいです。契約審査にまつわる一連の業務を網羅的に見ることで、進捗状況の一元管理や担当者ごとの業務状況の把握を進めたいと考えています。
また、今後はLegalForceキャビネの導入も検討しています。いまは紙やデータで3,000件ほどの契約書が眠った状態で保管されているので、現在の取引先や覚え書きと紐付けてリスクを一元管理できるのではと期待しています。これを実現して、契約審査の依頼受付から締結後の契約書管理まで、すべてLegalForceで完結できるような環境をつくっていきたいです。
法務思考の判断スピードと精度を高める
LegalForceをどのような企業、法務部に勧めたいですか。
瀬野様 LegalForceは自動レビューをはじめ、表記ゆれの指摘や校正、法改正のキャッチアップなど便利な機能が充実しています。ただ、法務担当者は自分の頭で考えることも大切です。LegalForceに頼り切ってしまうとこうした習慣が損なわれてしまうので、自身で考え判断したうえで、ダブルチェックのために使用するのがおすすめです。
また、ヒューマンエラーはどうしても起きてしまうことなので、一人あたりの契約審査のボリュームが大きい企業にも適していると思います。
上村様 企業の規模や業種・業態にかかわらず利用できると思います。法務担当者は日常的に法改正をチェックし、契約書を隅々まで読み込むという業務を行っていますが、LegalForceを導入すればこうした作業を効率化でき、余ったリソースを法務のプレゼンス向上に活かせます。
経営陣にタイムリーに法的助言を行ったり、リスクヘッジの提案をしたりするために、LegalForceで業務を効率化していくのは非常に有効な手段だと思います。
山﨑様 LegalForceではさまざまな抜け漏れのアラートやサンプル条文案の提示をしてくれますが、最終的に判断するのは人間です。どの条項を採用し、どのような契約書を作成するのか。こうした判断のスピードを早め、精度を高めるためには非常に役立つツールだと思います。
(取材日:2022年7月)※掲載内容は取材当時のものです。