
AI活用で契約業務を効率化 案件管理体制を強化してナレッジ共有が可能に
興和江守株式会社
法務部 部長 久保文孝 様 法務部 課長 藤原泰介 様 法務部 竹内陽子 様

- 導入背景:少人数体制で年間400件超の契約書をレビューし、人手不足や案件管理の煩雑さが課題だった。
- 導入理由:レビュー精度と機能の使いやすさを評価し、従来製品から信頼性をもってスムーズにLegalOnへ移行。
- 導入効果:案件管理の一元化で進捗共有が容易になり、レビューの効率化と品質向上を実現。
3名体制で年間400件超の契約書をレビュー
法務部 部長 久保文孝 様
御社の事業内容について教えてください。
久保様 当社は福井県に本社を置く商社で、化学品・電子部品・繊維製品などを幅広く取り扱っています。事業の柱は「ケミカル」「グリーンテック」「エレクトロニクス」の3分野です。国内外のネットワークを活かし、産業資材や社会インフラなどの分野で高付加価値なソリューションを提供し、社会の多様なニーズに応えています。
法務部門の組織体制や業務内容について教えてください。
藤原様 法務部は3名体制です。部長の久保が全体を統括し、私は契約法務や機関法務を中心に担当しています。契約書レビューやドラフト作成も主に私が行います。竹内は締結済みの契約管理やサポート業務を担いながら、実務にも関わっています。
どのような契約類型が多いのでしょうか。
藤原様 仕入れ・販売を中心とする商社のため、売買基本契約や秘密保持契約(NDA)が全体の約7割を占めます。取引先との製造委託契約や物流会社との業務委託契約が多いのも特徴です。
久保様 法務部全体では年間400件近いレビューを行っています。海外企業との直接取引や、法務部門がない海外子会社のサポートも行うため、英文契約が全体の3割ほどあります。
Excelでの台帳管理や案件受付に課題感
法務部 課長 藤原泰介 様
LegalOn導入以前から弊社のAI契約書レビューサービスをご利用いただいていましたが、導入の経緯や使用感について教えてください。
藤原様 当時は私がひとりでレビュー業務をこなしており、人手不足が深刻でした。業務改善のためリーガルテックの導入を検討し、複数のサービスを比較検討した結果、レビュー精度が最も高かった「LegalForce」を導入することになりました。導入後は一次レビューでリスクや抜け漏れを洗い出せるようになり、業務効率が大きく向上しました。
久保様 条文検索や過去契約書のリサーチ機能が使いやすく、契約書のドラフト作成も効率的に行えるようになりました。アップロードの処理速度も速く、サポートも充実していました。2025年4月に新製品である「LegalOn」に切り替えましたが、旧製品の利用実績があり、またリーガルテックのトップランナーという信頼や安心感があり、スムーズに移行できたと思います。
案件管理ではどのような課題があったのでしょうか。
藤原様 以前はメールで依頼を受け付け、案件ごとにフォルダを作り、Excelで台帳をつけていましたが、情報が抜けたりフォーマットがばらばらだったりして、整理に時間がかかっていました。また、長文の情報はそのままフォルダに格納していたため、検索性もよくありませんでした。使いたいときに必要な契約書や資料が見つからず、差分確認の際などに大きな負担がありました。LegalOn導入後はクラウド上でまとめて管理できるようになり、作業は一気に楽になりました。
チーム全員で同じ情報を見て進捗を共有
法務部 竹内陽子 様
LegalOnでは「レビュー」「マターマネジメント」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」「LegalOnアシスタント」の各モジュールをご利用いただいています。導入の効果はありましたか。
藤原様 マターマネジメントで契約類型ごとに受付フォーマットを設定し、案件の交通整理ができるようになりました。関係各所とのやり取りが一つのプラットフォーム上で完結するのは大きな進歩です。資料との紐付けもスムーズで、これまでメール、Excel、共有フォルダなどに分散していた作業をLegalOn上で完結できるようになりました。
また、レビューの比較や翻訳精度も向上し、スピードと品質が両立できています。LegalOnアシスタントは、相手方の条項を修正するときに参考になります。売主・買主それぞれの立場でのサンプル条文が出てくるので、交渉の方向性を定めるうえで大きな助けになっています。
竹内様 導入前は案件管理が不十分で、業務の全体像が見えにくい状況でした。添付資料の形式が統一されず、チーム内の認識にズレが生じることもありましたが、LegalOn導入後は案件ごとに契約書や資料をまとめて管理できるようになりました。チーム全員が同じ情報を見ながら進捗を把握できるようになり、大きな効果を実感しています。
働き方の面でポジティブな変化はありましたか。
久保様 以前は進捗確認のために定期的なミーティングを行っていましたが、現在はLegalOnで案件の進捗や業務の割り振り、情報共有がリアルタイムで行えるようになりました。これまで資料作成や会議準備にかかっていた時間が減り、効率が格段に上がりました。
竹内様 契約書のドラフト作成時にはLegalOnアシスタントを活用し、条項の意図や背景を確認するようにしています。保証期間や責任範囲など、依頼者が疑問に思いやすい部分も、理由を添えて説明できるようになりました。単に条項を修正するだけでなく、依頼者に納得してもらえる形で回答できるのが大きなポイントです。おかげで自分の知識も深まり、自信を持って業務に取り組めるようになりました。
新人教育や業務理解の促進にも効果的
今後のリーガルテック活用について展望をお聞かせください。
藤原様 リーガルテックは、新人メンバーのキャッチアップや業務理解に非常に有効だと感じています。レビュー結果やAIアシスタントの回答を通じて、過去の案件やレビューのナレッジを短時間で効率的に共有できるためです。
今後、法務チームのメンバーが増えたとしても、これらを活用することでスキルの習得や振り返りが早くなるので、契約業務の円滑な進行に貢献できると考えています。当社としては、今後もリーガルテックを積極的に取り入れていきたいです。
久保様 ご存じの通り、多くの法務部では十分な人材を確保できず、業務負荷が集中しています。今後、企業が省力化・効率化を進めるためには、DXやAI機能の活用は避けて通れません。事業拡大で契約件数が増えれば、新しいジャンルの契約書を作らなければならない場面も増えるでしょう。そうしたとき、任せられる部分はシステムに任せ、人間は判断や交渉といった仕事に集中する。そういう環境を整えることが大切だと思います。また、過去案件やナレッジ・ノウハウを蓄積することで、新人教育や知識の引き継ぎにもつなげていきたいです。
最後に、LegalOnをどのような企業、法務部にすすめたいですか。
藤原様 あらゆる企業においてコンプライアンス重視、ガバナンス強化の潮流があり、法務への要求水準は年々高まってきています。そのような中では、LegalOnのようなリーガルテックの導入は企業規模に関わらず必須だと思っています。例えば地方企業や中小企業で法務専任の担当者がいないようなケースでは、専門スキルが十分でない方でも一定のレビュー品質を確保できる利点があります。一方大企業でも、ガバナンス強化などへ担当者が注力するためにも、業務効率化や品質担保の観点から導入する価値は十分にあると思います。
(取材日:2025年9月)※掲載内容は取材当時のものです。