LegalOnでレビュー時間を約50%削減 チーム力強化が導く法務組織の成長軌道
株式会社ロッテ
法務部 法務課 課長 高野勇樹 様
- 導入背景: 属人的でアナログなレビュー体制により確認作業が非効率化し、若手育成やナレッジ共有も進まず、業務負荷が増大していた。
- 導入理由: レビューの効率化・標準化が急務となり、それに対しAIによる抜け漏れ検知と品質均一化に大きな期待が持てたため。
- 導入効果: レビュー時間を約50%削減し、作業工数が大幅に減少。抜け漏れ指摘の自動化で安心感が高まり、品質向上とチームの対応力強化に寄与した。
少数精鋭の法務チームで多数の案件に対応
法務部 法務課 課長 高野勇樹 様
御社の事業内容について教えてください。
株式会社ロッテは、ガムやチョコレート、アイスクリームなどさまざまな菓子類の製造・販売を手がけています。代表的な製品には「チョコパイ」「コアラのマーチ」「クーリッシュ」「爽」などがあります。親会社である株式会社ロッテホールディングスは、グループ全体の経営管理に加え、従来の菓子事業とは異なる新規事業への取り組みも進めています。そのため、法務部が扱う案件も多様化しており、これまでにないタイプの法律相談も増えています。
法務部門の組織体制や業務内容について教えてください。
法務部には現在10数名の部員が在籍しており、私の所属する法務課と知財を専門に扱うチームに分かれています。昨年4月以降、法務部のメンバーはロッテとロッテホールディングスの業務を兼務しており、食品事業だけでなく不動産やファイナンスなど幅広い事業領域を横断的に担当しています。
法務課には新卒入社の若手からキャリア採用者、グループ会社からの出向者まで、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが在籍しています。業務は主に「契約関連」「法律相談」「コンプライアンス」の3分野で、契約審査・相談業務が6割、コンプライアンス関連業務が4割を占めます。非定型かつ難易度が高い案件も増加傾向にあります。
食品業界ならではの契約の傾向や、特に多い契約類型はありますか。
ロッテの菓子製造販売に関する契約は、研究開発から購買、製造、販売までサプライチェーン全体に及びます。大学や専門企業との共同研究契約、製造委託契約、原材料の仕入れ契約、卸売業者や小売店との販売契約などが定型契約の代表例です。また、卸売業者や小売店と交わすリベート条件に関する契約は、食品業界特有のものかもしれません。
一方、ホールディングス側では、新規事業やコンテンツ系ビジネスの拡大に伴い、著作権やキャラクター利用など知的財産に関する契約が増加しています。近年は新規事業の検討段階で締結するNDA(秘密保持契約)が特に多く、そこから発展する特殊性の高い非定型契約も増えています。
多様化する業務に対応するためAIを導入

御社は2020年からAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」をご利用いただいていますが、導入の背景を教えてください。
導入前はレビュー依頼をメールで受け付け、担当者が目視で審査するという完全にアナログな体制で、担当者の業務レベルにもばらつきがありました。若手が一次レビューを行い、私がダブルチェックして修正点を戻すという手作業のやり取りを繰り返していたため、確認作業に多くの時間を要し、自身の業務に手が回らないことも少なくありませんでした。
また、ナレッジ共有の仕組みがなく、属人的な体制であったため、人材育成にも時間がかかっていました。少人数で多数の案件を抱える中、レビュー業務の効率化と標準化の必要性を強く感じたことがLegalForce導入の大きな理由です。
トライアルを含め、LegalForceを使ってみていかがでしたか。
まず驚いたのはAIによるレビュー精度の高さです。当時は自分なりに丁寧にチェックしているつもりでしたが、実際にLegalForceにかけてみると思わぬ抜け漏れを指摘されることがありました。目視確認では明らかな誤りには気づけても、条項の抜けには気付きにくいものです。その点をAIが一律で拾い上げてくれる安心感は大きかったです。
導入後は、レビュー依頼があった場合には必ずAIチェックを行うルールを定めました。その後、機能が拡充されたLegalOnに2025年に切り替え、「レビュー」「LegalOnテンプレート」「LegalOnアシスタント」の各モジュールを活用しています。
AI Reviseとエディター機能でレビューが効率化

LegalOnの使い勝手はいかがでしょうか。特に気に入っている機能はありますか。
主にレビュー機能を利用していますが、「AI Revise」が特に便利です。従来は指摘箇所をもとに自分たちで契約書に合う文言を調整する必要がありましたが、AI Reviseでは契約書の文脈に合わせた修正文を提案してくれます。これにより修正文作成の時間が短縮され、効率的なレビューができるようになりました。
また、LegalOn上で契約書の編集ができる「オンラインエディター」も実務で非常に助かっています。以前はWordとLegalOnを行き来しながら修正していましたが、現在は画面を切り替えることなくLegalOn上で編集作業が完結します。変更履歴を付けた状態で出力できるため、作業の手戻りがなく効率的です。Wordに近い操作感でストレスなく使えるため、レビュー後の編集作業は基本的にLegalOn上で行っています。
テンプレート活用で初見の契約もスムーズに作成
「LegalOnテンプレート」や「LegalOnアシスタント」はどのように活用されていますか。
LegalOnテンプレートは、ファーストドラフトの作成に積極的に活用しています。これまで経験のある契約類型であれば、過去案件の締結済み契約書をベースにカスタマイズして対応できますが、近年は新規事業など初めて扱う契約も増えています。そうした場合でも、LegalOnテンプレートには2200件を超える豊富なひな形がそろっているため、ゼロから作成するよりも格段にスムーズに進められます。
一方、LegalOnアシスタントは試行段階ですが、AIエージェント機能により、従来のリーガルテックとは異なる次元での業務改革が期待できます。単なる効率化にとどまらず、判断や作業の一部をAIに任せられる点に可能性を感じています。全社的にもAI活用が推奨されており、業務省力化と高度化の両面で重要な役割を果たすと考えています。
具体的な成果・効果はありましたか。
AI契約書レビューツールを導入する以前と以後を比較すると、体感としてかかる時間を5割程度短縮できています。作業工数も大幅に減り、効率化という側面で効果が大ですが、それだけでなく抜け漏れを自動で指摘してもらえる安心感も大きいです。LegalForce導入当初の2020年頃はまだAIによる契約書レビューが一般的でなく、弊社としても試行錯誤していましたが、5年間利用してきて精度や機能の着実な進化を実感しています。現在では業務効率化だけでなく、レビュー品質の向上にも欠かせないツールです。
チーム全体で成果を出せる組織を目指して

組織として今後のビジョンについて教えてください。
法務の役割は広がり、高度化しています。経営の期待に応える組織であり続けるには、定型案件を効率化し、非定型かつ難易度の高い案件に注力するメリハリが重要です。そのためには個々の努力だけでなく、AIなどテクノロジーの力を取り入れて、チーム全体の対応力を底上げする必要があります。AIは強力なツールなので、自らの判断で使いこなせる人材を育て、チーム全体で成果を出せる組織を目指しています。
ナレッジマネジメントの取り組みについてはいかがでしょうか。
契約書業務では、せっかくの修正内容も記録しなければ忘れてしまいます。LegalOnを使えば、レビューするだけでナレッジが自動的に蓄積され、条文検索で過去事例をすぐ参照できます。案件名を思い出せなくても、キーワード検索で探し出せる点も便利です。ナレッジ管理のための別作業が不要で、組織の資産として蓄積される点に大きな価値を感じています。一方で、個人のベストプラクティスをチーム全体に広げる仕組みづくりは今後の課題です。
若手育成からベテラン支援までツールが幅広く貢献
LegalOnをどのような企業、法務部にすすめたいですか。
どの企業でも法務業務の範囲は年々広がり、新たな領域への対応が求められています。限られたリソースでその変化に対応するには、企業規模を問わずツールの導入が不可欠です。人材採用や育成には時間とコストがかかりますが、リーガルテックは相対的に低コストで導入でき、業務効率を大きく高められます。
LegalOnは、若手には抜け漏れへの気づきや修正意図の理解を通じた実践的な学びを、マネジメント業務で多忙なベテランには見落とし防止とリソース確保をもたらすなど、あらゆる層の法務担当者に価値をもたらします。結果として、法務組織全体の生産性と付加価値を高めるツールだと感じています。
(取材日:2025年10月)※掲載内容は取材当時のものです。