
作業時間を月間160時間削減 民法改正に合わせて自社ひな形も全面刷新
株式会社ニラク
株式会社ニラク・ジー・シー・ホールディングス グループ総務部 マネジャー 武田裕明 様 株式会社ニラク・ジー・シー・ホールディングス グループ総務部 アソシエイトマネジャー 溝口和秀 様

- 2名体制(時期によっては1名)で年間700件の契約対応が必要になり、業務効率化が急務に
- 民法改正を機に古い契約書ひな形を刷新する必要に迫られた
- レビュー精度の高さ・豊富なひな形・法改正への迅速な対応力・使いやすさで信頼できたためLegalOnを導入
- 月160時間相当の作業削減を実現。法務ナレッジの未経験者でも安心して業務を遂行できるように
法務キャリア“ゼロ”の2人で年間700件を処理
株式会社ニラク・ジー・シー・ホールディングス グループ総務部 マネジャー 武田裕明 様
御社の事業内容について教えてください。
溝口様 当社は福島県に本社を置き、パチンコホールの運営を中心に事業を展開する企業(https://www.niraku.co.jp/)です。近年は飲食事業にも力を入れており、スペインバル『LIZARRAN』のマスターフランチャイズをはじめ、『コメダ珈琲店』や『ゴンチャ』のFC店舗を運営しています。また、ホテル・旅館の運営も手がけ、地域に根差した多角的な事業に取り組んでいます。
法務業務を担当する部署の体制や業務内容について教えてください。
武田様 私たちはグループ総務部に所属し、2名体制でグループ全体の法務を担っています。主な業務は契約書レビューと法務相談への対応で、月に50~60件、年間では700件近い案件に対応しています。取り扱う契約類型はNDA(秘密保持契約)が多くを占めますが、近年はM&Aに伴う吸収分割契約や、地権者との覚書確認も増えています。一方で、遊技機の売買など定型化された契約は各事業部が直接行う場合もあります。
溝口様 私は他部署から異動してきて日が浅く、現在は武田の補佐が中心です。契約書レビューでは解説文を読み込みながら知識を蓄積し、業界団体の勉強会で関連法令や法改正の影響などについて学んでいます。また、当社が運営するパチンコ店が風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に抵触していないか確認し、必要に応じて是正を促すなど、コンプライアンス関連の業務も担当しています。
おふたりの法務経験はどのくらいなのでしょうか。
武田様 私も溝口もパチンコ店舗で長く店長を務めていました。実は二人とも法務の専門的なバックグラウンドはなく、法学部出身でもありません。私が法務に携わるようになったのは7年ほど前からで、当時の法務部長から「現場を理解する人材が必要だ」と声をかけられたのがきっかけです。溝口は法務を担当して3年目で、ふたりともまさにゼロからのスタートでした。
レビュー精度の高さとひな形の充実度を実感
株式会社ニラク・ジー・シー・ホールディングス グループ総務部 アソシエイトマネジャー 溝口和秀 様
当社のAI契約書レビューサービスを導入した背景を教えてください。
武田様 2020年に「LegalForce」を導入しました。当時、法務の担当部長が定年退職し、私ひとりで業務を回していました。ちょうどコロナ禍で出店計画が一時中断していたため何とか対応できていましたが、コロナ明けには新規出店や事業拡大を進める計画があり、この先ひとりで対応するのは難しいと感じていました。そんな折、同業者の紹介でLegalForceの存在を知りました。複数サービスを比較した結果、LegalForceはレビュー精度の高さやひな形の充実度、法改正への対応速度が極めて優れており、操作のしやすさやサポート体制も信頼できたため導入を決めました。
2020年は民法が約120年ぶりに大幅改正された年でもありますね。
武田様 そうですね。当社ではそれまで、各部署が独自に契約書を作成して取引先と契約を結んでいました。しかし、20年以上前のひな形をベースにすることもあったため、古い条項がそのまま残ったり、曖昧な表現がトラブルにつながったりすることもありました。そこで、民法改正を機に自社ひな形を全面刷新したいと考え、弁護士監修の網羅的なひな形を備えたLegalForceを導入しました。最新の法令に準拠しながら、契約リスクを確実に抑えられる点に大きな魅力を感じました。
通常業務と並行しながら50以上のひな形を作成
2024年12月にはサービスを「LegalOn」に切り替えられました。どのように活用されていますか。
武田様 LegalOnでは『レビュー』『LegalOnテンプレート』『MORI HAMADAライブラリー』『ユニバーサルアシスト』の各モジュールを契約しています。自社ひな形の刷新が課題だったため、特にテンプレートを積極的に活用しています。さらに高度で多様なひな形を揃える目的で、MORI HAMADAライブラリーも導入しました。
グループ内に東南アジア向けにアミューズメント事業を展開している企業があり、海外出店が継続しています。今は国際弁護士に対応してもらっていますが相談が来る可能性は常にあるので、翻訳支援機能であるユニバーサルアシストも契約しています。今は限定的な利用にとどまっていますが、将来の業務拡大を見据えた先行投資と位置づけています。
溝口様 LegalForce時代からレビュー機能を使い続けています。初めて使う契約書はまずLegalOnにアップロードし、解説文や修正案を参考に理解を深めています。リスク箇所が明示され、チェックポイントが整理されるので安心して対応できます。また、取締役会の規定改定に伴う比較表作成では、変更点が一目で分かるバージョン比較機能が役立っています。
武田様 吸収分割契約を結ぶ際もLegalOnでレビューし、リスクの有無を確認します。指摘内容は依頼者に共有しますが、交渉経緯やパワーバランスを踏まえ、最終的な判断は依頼者に委ねるようにしています。
具体的な成果・効果について教えてください。
溝口様 以前は最大5名で法務を担っていた時期もありましたが、今は2名、さらに1名の時期もありました。法務担当者が1〜2名になってもほとんど残業なく業務を回せているのは、LegalOnによる業務効率化の結果だと思います。時間にして160時間ほどの作業時間が削減できていると思います。さらに、特にトラブルも起きていません。
通常業務と並行しながら50以上のひな形を刷新できたのも大きな成果です。さらに、契約書の抜け漏れ確認は機械の方が正確なため、レビューに伴うプレッシャーやストレスが軽減された点も実感しています。
武田様 時間に余裕ができたことで、店舗からの相談にも丁寧に対応できるようになりました。依頼者を直接訪ね、契約の主旨や意図を確認し、それを契約書作成やレビューに活かすこともあります。店舗出身の私たちは店舗側の狙いや意図を理解しやすいため、リスクを理由に一方的に止めるのではなく、どう実現できるかを共に考える姿勢を大切にしています。
実務と知識習得の両面を支援するツール
LegalOnをどのような企業、法務部にすすめたいですか。
武田様 LegalOnは、知識の習得やナレッジ共有に非常に有効です。私自身、法務知識が乏しい状態からレビューの解説文や修正案を読み込むことで実務を学びました。オンラインの学習支援サービス「Legal Learning」を活用すれば、知識の学習度合いはさらに高まるはずです。新規に法務人材を育てたい企業や、現場社員を法務担当者として育成したい企業には大いに役立つでしょう。地方や中小企業では、経験豊富な法務人材を採用するのは容易ではありません。こうした背景を踏まえると、LegalOnは解説文やeラーニングを通じて実務と知識習得の両面を支援できるため、現場経験のある社員を自社で法務に育成する手段として非常に有効だと思います。
将来の展望についてお聞かせください。
武田様 将来の法務組織は、誰もが気軽に相談できる存在でありたいと考えています。難しい案件では弁護士と連携しながら、現場やバックオフィスを問わず最前線で働く人たちの力になれればと思います。大きな構想を掲げるというより、“縁の下の力持ち”として事業を支えるのが理想です。現在はパチンコ事業が中心ですが、今後飲食やホテル事業が拡大すれば、そこでも法務の力が必要になるはずです。その際は既存組織と連携し、幅広い事業を支えられる体制を築いていきたいと考えています。
(取材日:2025年9月)※掲載内容は取材当時のものです。