Nobishiro LegalOn Cloud

【セミナーレポート】一人・兼任法務の時間の使い方

【セミナーレポート】一人・兼任法務の時間の使い方
この記事を読んでわかること
    • 一人法務・兼任法務の時間の使い方のヒント
    • 一人法務・兼任法務のタスクマネジメントのヒント
    • 一人法務・兼任法務が増加傾向で、注目を浴びていること
飯田 裕子氏(いいだ・ゆうこ)
登壇

飯田 裕子氏(いいだ・ゆうこ)

LAPRAS株式会社 法務部門責任者

中央大学法学部卒。金融システム営業、司法書士法人での法律事務職、士業総合グループのバックオフィス担当を経て、2020年4月から現職。著書に『情報収集力とコミュニケーション力で確実に進める ひとり法務』(同文舘出版、2024)。

仲條 大輔氏(なかじょう・だいすけ)
登壇

仲條 大輔氏(なかじょう・だいすけ)

株式会社モルフォコーポレート戦略部 副部長 兼 IT推進グループマネージャー 兼 人事総務グループ

中央大学法学部卒。パラリーガル、自動車関連企業の法務担当、老舗化学メーカーの法務担当を経て、2018年1月より現職(法務専任→2021年より兼任)。『営業秘密管理入門テキスト』(商事法務、2018年)編集参加。

岡崎 みや氏(おかざき・みや)
登壇

岡崎 みや氏(おかざき・みや)

上智大学経済学部卒。広告制作事業会社の総務・法務、精密機器メーカーの法務、複数のインターネットサービス企業での広告審査・事業開発・法務など、法務部門・非法務部門での実務経験を積む。「余白」の屋号で士業・事務所向けPRアドバイザリーサービスを提供。

※プロフィールは2024年7月現在のものです。


近年、グローバル化や法務・コンプライアンスニーズの高まりなどから、法務人材の不足が取り沙汰されています。そのような状況下で、いわゆる「ひとり法務」「兼任法務」といった、限られたリソースの中で法務実務を遂行しているビジネスパーソンも増えているようです。

そこでLegalOn Technologiesは2024年5月15日に、『情報収集力とコミュニケーション力で確実に進める ひとり法務』の著者であるLAPRAS株式会社飯田様の出版記念セミナーを企画。株式会社モルフォの仲條様、岡崎様もお招きして、「一人・兼任法務の時間の使い方」をテーマに議論いただきました。

皆様いずれもひとり法務・兼任法務の当事者・経験者であり、実体験に基づく多くのナレッジが飛び出したセミナーの模様を詳しくお届けします。

ワークありの参加型ハイブリッドセミナー

セミナーはオンライン・オフラインのハイブリッドで行われ、合わせて300名超の法務関係者の方にお集まりいただきました。実はご登場いただいた3名はいずれもオンラインの法務コミュニティのお知り合い同士で、岡崎様のモデレートの下、雑談も交えながら和やかに進行しました。

前半は参加者の方々が自身の1週間をワークシートに書き出す「わたしの時間の使い方」のワーク、後半は飯田様、仲條様が実際に書いたワークシートを紹介しながらのパネルディスカッションという二部構成です。

参加された皆様、終業後のお疲れの時間帯にも関わらず、熱心にワークに取り組まれていました。やはりタイムマネジメントに対する課題感はどなたも強く抱かれているということでしょうか。

セミナー風景 登壇者3名のトークシーン

配布されたワークシートは以下のようなものでした。上半分が1週間の業務スケジュールを棚卸するタイムスケジュール、下半分が棚卸した業務ごとの所要時間の集計となっています。

1日の業務のタイムスケジュールを書き出すワークシート画像

作業時間は10分間。その間、登壇者の3名は裏番組的にトークを展開。タスク管理のマイTIPSなどの話題で盛り上がりました。その内容が非常に参考になるものでしたので、一部を以下に再現してご紹介します。

崎様(以下、岡) このワークシートは今回のために作ったのですか?

田様(以下、飯) そうです。普段はGoogleカレンダーの色分け機能で同じことをやっています。ひとり法務なので、上長が法務担当者ではないんですね。それで「普段、何をやっているの?」と聞かれたときに、ワークシートの下半分のような資料を提出できるようにしています。
方で、毎日のタスク管理は今日やることを紙に書き出して、終わったら横棒で消すという、アナログな手書きでやっています

 私も手書き派です。手書きはインプットされやすいとか、重要性が科学的に証明されているらしいと聞いて。

條様(以下、仲) 私は手書きダメなんですよねえ。なのでタスク管理はワークマネジメントツールに頼っています。将来的にはタスクの登録から工数管理ツールへの記録まで、最小限の作業で自然に流れるようにできたらいいなと考えています。まだ着手できていませんが。

 タスク管理やスケジュールの洗い出しなど、忙しいと後回しにしがちですよね。強制的に書く機会をつくらないとダメかもしれません。

業務に役立つTIPが多数飛び出したディスカッション(飯田様の場合)

セミナー風景 飯田さんと岡崎さんが会話している写真

ワークの後に、まず飯田様が事前に記入したタイムスケジュールが紹介されます。これをもとにパネルディスカッションがスタートしました。飯田様のタイムスケジュールがこちら。

1日の業務のタイムスケジュールを書き出すワークシート 飯田さんの例画像

 タスクごとに細かく色分けされていますね。

 兼務している法務以外の業務もあるので識別しやすいように。Googleカレンダーに色分け機能があって、色別に総時間を集計できるんですよ。業務量のコントロールや業務ごとの所要時間の把握のために、毎日色分けするようにしています。

質疑応答)岡 「カレンダーの色分けは業務前ですか? 業務後ですか?」

 色分けは業務後です。朝に必須のタスクとブロックだけカレンダーに入れて、帰る前に今日やったことを全部埋めて色分けして帰る、という感じですね。


 業務ごとの総量を見える化するのは、他部署など他の人に説明をするためでもあるんです。私は兼務なので、法務業務に使える時間が思った以上に少ない。特に忙しい時期は、依頼してくる人に対して「今ピンチです。今後1週間は今受けている案件で手一杯です。何かねじ込みたい方は直接依頼者と交渉して調整してください」と受けている案件を一覧で公開して素直に状況を伝えています。

 時間の使い方もそうですが、ちゃんと他部署に状況を伝えることも大切ですよね。今自分にどれだけのタスクがあるのか、会社の状況はこうだ、というのを示した上で対応方針を伝えること、重要だと思います。

自分を自ら追い込むことでパフォーマンスを最大化(仲條様の場合)

1日の業務のタイムスケジュールを書き出すワークシート 仲條さんの例画像

 ひとり法務4年目当時のスケジュールです。法務相談はSlackで来ることがほとんどで、都度即対応を心がけていたので表に入れていません。工夫した点でいえば、当時は子供の塾のお迎えがあって、その曜日は退社時間が決まっていたんですね。その直前にレビューの予定を入れていました。「絶対にこの時間に上がらなければいけない」というのが後ろにあると、すごい集中できるんです。

 火事場の馬鹿力的な(笑)。

 それとタスク確認は朝、必ずやっていました。やっておかないと夜に「これやらないといけないんだった……」となるので。

(質疑応答)岡 「業務の優先順位はどうやって決めていますか?」

仲 「普段はレビュー中心、取締役会の前はそちら優先」と基準を明確にしていたので、優先順位で悩むことは少なかったですね。レビューも、案件リストを公開して、「受付順に対応します。割り込みたい場合はそちらで調整を」というルールにしていましたし。

セミナー風景 仲條さんが会話している写真

まとめ・時間の使い方でなによりも大切なのは、休むこと!

パネルディスカッションのまとめで、「時間の使い方」に関していちばん大切なことをお聞きできました。

業務を効率化して時間を生む上で、お二人が大切にしたいと考えていることを教えてください。

 書籍にも書いたのですが、「絶対に倒れてはいけない」ということです。とにかくコンディションを崩さない。そのために睡眠時間は削らないようにしています。その日無理をしても翌日体調を崩したら結局はマイナスですし、その日低空飛行でも、穴を開けないことのほうが絶対大切です。メンバーにも「私が潰れてしまうよりはいいですよね」と伝えて、休むときは堂々と休みますね。

 僕はそういうとき無理してしまうほうなので…… 肝に銘じるために、書籍のその箇所に付箋を貼っています(笑)。

岡 ひとり法務・兼任法務は本当に代えがきかないですよね。リソースが足りない中でギリギリでがんばっている。同じ立場に置かれている方々はどなたも、そんな自分を、尊重していただけたらなと思います。


ひとり法務や兼任法務の業務は多岐に渡り、効率的な時間管理と優先順位の設定が求められます。今回のセミナーを通じて、具体的な時間管理の方法や健康管理の重要性について学ぶことができました。参加いただいた方々も、この知識を日々の業務に生かし、より効率的に働くためのヒントを得られたのではないでしょうか。

なお、飯田様の著書『情報収集力とコミュニケーション力で確実に進める ひとり法務』には、より広く、深くひとり法務・兼任法務が知っておきたいヒントが詰まっています。興味のある方は、ぜひ以下よりお買い求めください。


リーガルオンクラウドの製品資料ダウンロード用のバナー