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契約書作成の必要事項6項目や注意点を解説

契約書作成の必要事項6項目や注意点を解説
この記事を読んでわかること
    • なぜ契約書を作成するのか
    • 契約書に盛り込むべき項目
    • 契約書を作成する時の注意点

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契約書は、企業を法的なリスクから守り、企業活動を円滑に進めるために重要な文書です。代表的な契約書に、売買契約や業務委託契約、秘密保持契約などがあります。

本記事では、契約書を作成する際に必要な基礎知識から具体的な作成方法、ミスやリスクを最小限に抑えるためのポイントを解説するほか、リーガルテックを活用した作成支援についても紹介します。

正しい知識を身につけることで、より確実な契約書の作成・締結が可能になります。ぜひ参考にしてください。

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契約書業務を担当している方は、こちらの記事も参考にしてください。

契約書のリーガルチェックとは?意味やメリット、実施する手順を徹底解説【2024年最新版】

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目次

契約書とは

契約書は、取引当事者の合意内容を整理し、書面にまとめた書類です。取引の当事者は内容を確認し、署名や捺印にて承認したことを示します契約は口頭でも成立するものの、書面で合意内容を示していないと「言った・言わない」といった、トラブルに発展する可能性もあります。

企業同士が取引を行うのに避けては通れない契約書は、ポイントを押さえて作成すると、取引で避けておきたいトラブルやリスクを効果的に回避できます。

ビジネスでは合意内容に基づいて、契約書を作成し、互いの署名・捺印などで契約締結してはじめて、契約成立とするのが一般的です。

また、契約成立には法律によって、契約書の作成が義務付けられているものもあります。作成が義務付けられている場合は、法律の規定に沿った内容で契約書の作成が必要です。

契約書で特に注意が必要な項目については、以下の資料にまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

3つのステップで学ぶ!契約審査の基本

なぜ契約書を作成するのか?

契約というと、詳細な書面を作成し、印鑑を押して初めて成立するというイメージをお持ちの方が多いかもしれません。

実は、契約は口頭での合意だけでも成立します。法律上、特別な様式が定められているわけではなく、必ずしも契約書を作成する必要はありません。

ただし、契約書を作成しないと、後々様々な問題が起こる可能性があります。

例えば、取引数量や金額、商品の引き渡し場所などの確認が難しくなることがあります。さらに、契約条件について認識の違いが生じた場合、深刻なトラブルに発展する恐れもあります。

そのため、契約書は将来的なトラブルやリスクを防ぎ、万が一の際の証拠として機能する大切な役割を果たしています。

証拠機能

契約書は、取引の証明としての役割を果たします。特に、法的義務が伴う取引では、契約書がなければ、その取引が存在したことを証明することが難しくなります。契約書には、署名や押印が施されることが一般的で、これにより文書の真正性が保証されます。

民事訴訟では、契約書が重要な証拠となり得るため、契約の内容を明確にし、後々のトラブルを防ぐためにも、契約書の作成が推奨されます。

確認機能

契約書を作成する過程では、取引の内容や条件を明確にすることが求められます。これにより、双方の当事者は取引の詳細を改めて確認し、誤解や不明点を解消する機会を持つことができます。

また、契約書には、取引に関わるリスクや責任の所在も明記されるため、事前に考えうるリスクも把握でき、適切な対策を講じることが可能になります。

書面の作成や交付、保存などの義務があるケースもある

通常、契約は口頭でも成立しますが、保証契約などの特定の契約では、書面がないと無効となります。これは保証人の権利を守るための措置です(民法446条2項)。

また、下請取引のように力関係に差がある取引では、下請事業者を保護する目的で、親事業者に書面交付が義務付けられています。この義務に違反すると、50万円以下の罰金が科されます(下請法10条1号)。

同様の理由から、割賦販売契約や建設工事請負契約なども書面交付が必要です。これらは契約の有効性には影響しませんが、違反した場合は事業者にペナルティが課されます。

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法人契約と個人契約に違いはある?

契約は、「法人契約」や「個人契約」と認識されるものがありますが、基本的な内容に違いはありません。ただし、法人契約の場合、法律によって特定の規定が設けられていることがあります。規定に沿って作成しないと、契約書として認められない可能性があるため、必要な内容は必ず盛り込みましょう。

なお、契約書を作成するにあたって、「個人契約書」と「法人契約書」を特別に意識する必要はありません。重要なのは、取引内容を明確にし、当事者双方が納得する形で契約をまとめることです。

覚書は契約書とみなされる場合がある

契約では、「覚書」や「誓約書」という文書を用いる場合があります。 覚書は契約書を作成する前に合意事項をまとめたり、既存の契約書を補完したりする目的で、使用されるものです。契約書に近い性質をもつことから、タイトルが「覚書」であっても、内容によっては法的に契約書とみなされることがあります

なお、誓約書は当事者の片方が相手に対して、一方的に提示する文書です。

合意を示すものではなく、片方が作成した書類に署名や押印をし、相手方に提出します。誓約書は法人同士の取引契約で用いられることは少なく、企業が従業員に秘密保持の義務を課す場合などに使用されます。

契約方法の種類について

企業間で契約を締結する方法は、大きく分けて以下の3つの種類があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、契約の内容や状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

契約書の種類

代表的な契約書の種類

以下が、企業活動における代表的な契約書です。最低限押さえておきましょう。

売買契約書

商品や不動産などさまざまな目的物を売却・購入する際に締結される契約書です。売主が買主に対して物を売り渡し、買主がこれを買い受ける旨を定めた契約書です。売主は買主に対して目的物を引き渡して所有権を移転し、買主はその対価として売主に代金を支払います。

<関連記事>売買契約書に記載するべき事項・締結時の注意点|ひな形も紹介

業務委託契約書

業務委託契約は、コンテンツの制作・システムの保守管理・商品製造の外注など、幅広い取引に関して締結される契約です。委託者が受託者に対して、何らかの業務を委託する内容の契約です。委託者と受託者が、互いに対等な立場で締結します。

<関連記事>業務委託契約とは? 締結で定めるべき主な事項などをやさしく解説

秘密保持契約書

「秘密保持契約(NDA)」とは、当事者間でやり取りした秘密情報につき、相手方の承諾がない開示・漏えい・目的外利用などを禁止する契約です。業務提携・業務委託やM&Aなどの取引を検討する場合、契約を締結する前に、あらかじめ当事者間で情報のやり取りが行われます。

<関連記事>秘密保持契約(NDA)とは? 目的・定めるべき事項などを解説

契約書はひな形を使うことでミスを削減し効率的に作成できる

契約書を作成するにあたってはひな形の利用がおすすめです。昨今ではウェブサイトからひな形を入手できますので、一から内容を考えなくても、効率的に作成できます。特に弁護士事務所や、監督官庁から発表されているひな形は、最初から質が高いものも多く、ひな形としての利用価値は高いと考えられます。

一方で、信頼できるひな形を使わないと、下記のようなリスクがあります

  • 逆にトラブルのもとになる
  • 法令違反のリスクに対する対応が十分ではない場合がある

また、信頼できる先からひな形を入手しても、これらのひな形が自社の取引やビジネスの形に合っているものとは限りません。自社の取引・ビジネスに合わせるには、ひな形からさらにカスタマイズをすることが必要です。

LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。契約書レビューをAIがサポートするだけでなく、弁護士監修の契約書ひな形を多数収録。幅広い契約類型に対応できますリーガルオンクラウドの製品資料ダウンロード用のバナー

また、当メディアでは、幅広い類型の契約書についてひな形を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

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契約書に盛り込むべき6項目

契約書に盛り込むべき項目は、契約内容によって異なります。ただし、どの契約書にも下記の項目は盛り込んでおくべきです。

  • タイトル
  • 前文
  • 契約条項
  • 後文
  • 日付欄と署名/記名押印欄
  • 契約書の頻出条項

ここではこれらの項目について詳しく解説していきます。

盛り込むべき項目①タイトル

契約書には冒頭にタイトルを記載します。売買契約書・業務委託契約書・秘密保持契約書など、抽象的にどんな契約書であるかを示します。

タイトルがないと、契約書の特定・分類・管理にも不便です。一方、何日付の売買契約書、などというと、契約書が大体特定できます。加えて、大量の取引がある会社などではタイトルに契約書番号などをつけて管理するようなこともあります。

盛り込むべき項目②前文

前文とは、契約書の一番最初の段落に書かれるものです。前文には契約書の当事者・日付・契約書名と、契約締結の目的を書きます。

契約締結の目的は、秘密保持契約書なら、例えば「甲乙間の業務提携の検討のため」、売買契約書であればどんなものを売買するのか、など取引の内容が簡単にわかる内容を記載します。

前文は、誰と誰の間に、何のために作成され、いつからいつまで有効な契約書か分かるようにすることが目的であり、契約書の前文を見てわかるのは事務手続き上においても便利です。契約書の事務手続きの便宜からも契約書に必要な記述とされています。

盛り込むべき項目③契約条項

契約条項は、契約の条件を記載したもので、次の2つに分かれている、と考えるとわかりやすいです。

  • ビジネス条件
  • 法律上の条件

ビジネス条件としては、例えば、売買契約なら数量・値段・引き渡し場所・支払い条件などの条件を記載します。ソフトウェア・ライセンス契約書なら、ユーザーがいくら払って、何をするとどういう風にソフトウェアを使うことができるのか、などを記載します。

こうしたビジネスにおけるいわゆる「5W2H」は、必ず契約条項の中に記載する、と思っていると、作成の時に抜けもれがなくなります。

これに対して、法律上の条件、例えば知的財産権の定め、損害賠償、契約の終了原因などの条件は、法律上根拠があって契約書に書かれるものです。

法律上の条件の中にも、ほとんどの契約書に共通の「一般条項」とそれ以外の条項があるので、一般条項については後程個別にご説明します。

盛り込むべき項目④後文

後文とは、契約書の保管や締結の方法を示します。

「本契約の成立を証するため、この業務委託契約書の原本2通を作成し、委託者甲及び受託者乙は、それぞれ署名又は記名押印のうえ、各自その1通を保有する。」

後文には、契約書が証拠となることが端的に「証するため」と示されています。また、原本の保管の場合の他に、写しを作成して保管する、とされる場合もあります(のちほど印紙税との関係でこの点について詳しくご説明します)。

記名押印は、あらかじめ印字されている氏名に押印する方式をいい、署名捺印は、手書きの署名を行ったうえで捺印する方式をいいます。記名押印・署名捺印双方、真正に契約書が作成されたことを推定させる働きをします

盛り込むべき項目⑤日付欄と署名・記名押印欄

契約書には、日付欄と署名・記名押印欄があります。

日付欄は、年、月、日の順に、後文のすぐあとに、右寄せで記載します。「年」については、西暦・元号表示どちらでも構いませんが、契約書で年月日を記載する際にどちらにするか統一しておき、ばらばらにしないようにしましょう。

当事者が2者の場合、署名・記名押印欄は以下のように書くのが一般的です。

甲 所在地 肩書 氏名 印乙 所在地 肩書 氏名 印

3社契約や、連帯保証人がいる場合は、以下のような書き方になります。

甲 名称 所在地 肩書 氏名 印乙 名称 所在地 肩書 氏名 印丙 名称 所在地 肩書 氏名 印または丙(乙の連帯保証人) 名称 所在地 肩書 氏名 印

各当事者とも、個人の場合は、名称のところが氏名、所在地のところが住所、となります。

代表取締役には契約を締結する権限があることが法律上定められているので「~株式会社 代表取締役 氏名 印」と記載することが多いです。その他にも、契約締結権限を代表取締役から委任された方の肩書・氏名が入ることがあります。

盛り込むべき項目⑥契約書の頻出条項

以下の条項は、契約書の一般条項としてほとんどの契約書に必要とされる契約条項です。条項の簡単な内容と、なぜ必要とされるのかをあわせて説明します。

守秘義務

守秘義務条項では、「秘密情報」を定義したうえで、第三者への開示や漏えいなどが禁止されます。守秘義務条項には、技術や顧客リストなどの営業秘密や、自社で保管する個人情報などの流出を防止する重要な意味があります

守秘義務条項には、目的外の利用の禁止・契約が終わった後も効力を有すること・損害賠償などのペナルティも規定しておきましょう。

契約解除・解約

契約を途中で終了する手続きである契約解除・解約については、もしも契約が途中で必要なくなってしまった場合や、契約を続けることが難しくなってしまった場合に必要ですので、条項を定めておきます。解除・解約には以下の3種類があり、取引の内容に応じて、それぞれの要件を規定しておきましょう。

  • 合意解約:当事者間の合意により契約を終了すること
  • 催告付きの解除:契約違反があった場合に、一定の期間に是正するよう通知、是正がない場合に解除して契約を終了すること
  • 無催告解除:重大な契約違反があった場合に、是正するよう通知をせずに解除できる。相手が反社条項に違反した場合など、是正が最初から期待できない重大な契約違反の時に、通知をせず即時に解除できるよう定めておく

期限の利益喪失

期限の利益の喪失とは、一定の事項が発生した場合に、金銭支払い義務を期限まで待ってもらえる利益を失うことです。金銭消費貸借契約などでは必ず規定されます。

契約当事者の破産・民事再生・会社更生・特別清算の申し立てや決定、公租公課の滞納や滞納処分、手形不渡・銀行取引停止処分など、資力の悪化が明らかになった場合に、期限の利益を喪失する旨が定められるケースが多いです。

反社会的勢力の排除

反社会的勢力の排除は、各都道府県の条例により契約書に記載することが努力義務とされています。しかしながら、実務上はほとんどの会社でほぼ必須の条項として取り扱っているようです。

契約の当事者・その役員などが反社会的勢力か、それに類する勢力であることが分かったときに、すぐにすべての取引を停止し、契約を解除できるようにしておきます。

こうした条項がないと、反社会的勢力から不当要求などの被害にあってしまうおそれがあり、また、取引の相手方も「共生者」といって、同じ勢力であると考えられるおそれがあるので、これも避ける必要があります。

損害賠償

損害賠償条項は、契約違反をした場合、相手方当事者に対して金銭的な回復を得させるための条項です。契約違反の場合のペナルティの性質があります。

損害賠償は、契約違反で生じた損害や費用を補填するものですが、どの範囲で損害賠償義務が発生する必要があるかをあらかじめ定めておきましょう。

不可効力免責

不可抗力免責とは、大災害などの場合や、テロ・大規模な争議など、双方の当事者には責任がなく、通常の想定を超えて契約の履行が難しくなってしまった場合に、契約上の義務から双方の当事者を免責することを意味します。

ただし、あいまいに条項を定めてしまい、適用される範囲を広げてしまうと、せっかく契約をした意味がなくなってしまう可能性があります。そこで、不可抗力として取り扱う場合は天災地変等の具体的なケースを列挙するなど、事前にしっかり文言を検討して定めることが必要です。

権利義務の譲渡禁止

契約上の権利義務は他の人に譲渡・移転することができない旨を定めておきます。相手を信頼して業務を委託したのに、勝手に権利義務を移転されてしまうと委託者は困ります。また、取引の審査などがある場合も、相手方をせっかく選んだ意味もなくなることでしょう。

これらの理由のため、ほとんどの契約書で権利義務の譲渡禁止が規定されています。

準拠法と合意管轄

準拠法と合意管轄は、現在企業間の契約書では一般的に見られ、必須とされる条項です。

ボーダーレスエコノミーにより、当事者が外国人であること、また取引の実行場所が日本以外の場所であることも多くみられるようになりました。

こうした場合、取引の相手方から突然「この契約書は、海外の法令で解釈され、紛争は海外の法廷で解決されるべきである」との主張をされて、認められてしまうことがトラブルとして考えられます。

そこで「本契約書は日本法を準拠法として解釈・適用される。本契約書に関し、万が一法的紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審専属合意管轄裁判所とする。」などとしておきます。裁判所は、双方の当事者にとって、合理的な地域の管轄裁判所を合意しておきましょう。

協議条項

協議条項は、契約書の解釈に不明な点がある場合や契約書に定めがない場合、当事者の協議により解釈したり、契約書に書かれていない事項を決めるとする条項です。

契約書は取引についてのルールを、当事者同士がにできるだけ将来に起こることも予測して書面で網羅的に決めておくことにより、トラブルやリスクを回避する目的で作成されます。しかし、すべて起こりうることを契約書で定めておくこともなかなか難しいので、こうした条項を定めておきます。

契約書作成の大まかな流れ

契約書の作成は、種類や業種によって異なりますが、基本的には以下のような流れで作成していきます。

1. 作成・製本

契約書のフォームは、法律によって定められているわけではないため、フォームや盛り込むべき内容に悩む企業も多いでしょう。ただし、盛り込むべき内容は、契約書の種類や業種によって、法律で定められている場合があります。業種によっては契約にあたり、締結すべき契約書が定められていることがあるため、作成前に必ず確認しましょう。

また、契約書には、1枚にまとめるタイプと複数枚で構成されるタイプがあります。複数枚で構成されるタイプの場合、本のようにまとめる「製本」をおこなうのが一般的です。

  • 一般的な製本方法
  • 契約書を重ねて左側をホッチキスなどでとめる
  • 書類の左側に製本テープを貼って補強する
  • 上下ではみ出た製本テープをカットして体裁を整えたら完成

製本テープと契約書の境目には、割り印を押すため、製本テープはしわにならないように貼りましょう。

<関連記事>契約書を製本する手順を解説!テープの貼り方や効率化の方法を紹介

2. 署名・押印・割印について

契約書の署名や押印は、自筆だけでなく、ゴム印などによる記名や実印などの押印で代用できます。

なお、契約書は複製(控え)を作成するケースがほとんどです。複製を作成する場合は、同じ契約書であることを示すため、それぞれ契約書の一部を重ねて割印を押します。製本した契約書であれば、製本テープと契約書の境目にも割印を押すのが一般的です。割印により、関係する書類の一致が確認されます。

<関連記事>電子署名法とは|電子契約導入のために知っておくべき法律を分かりやすく解説契約書の訂正方法は?訂正印の押し方などを例とともに徹底解説

3. 課税文書には収入印紙を貼り付ける

契約書には「課税文書」に分類される種類があり、対象となるものは収入印紙の貼付が必要です。課税文書に該当する書類は、国税庁「印紙税法 別表第一 課税物件表」で確認できます。また、印紙税額は「印紙税額一覧表」で確認できるので、契約書作成時はぜひ参考にしましょう。

<関連記事>契約書の収入印紙について解説!不要な場合や印紙代の節約法も紹介電子契約では収入印紙がいらないって本当?その理由・根拠や注意点を徹底解説

契約書の形式で注意すべきポイント

契約書は、法律上または商慣習上、決まった形式に従って作られています。ここでは形式上の契約書のポイントを4つご紹介します。

注意点①印紙を貼り忘れない

契約書の中でも、印紙税法上課税文書とされる契約書には、収入印紙を貼付する必要があります。課税文書であるかどうかは「印紙税法別表第一」に従って判断します。また、印紙税額は、印紙税額一覧表で確認します。

印紙を忘れてしまった契約書は、税務調査の対象になった際に発覚することがあります。その際は、ペナルティとして貼るべきであった印紙額の3倍を過怠税として徴収されることとなります。

注意点②代表取締役のサインにする

会社法349条4項により、会社の契約は代表取締役が締結することが定められています。そのため、契約書には通常、代表取締役の署名や「代表取締役社長 氏名 印」という形式での記名捺印が必要です。

ただし、代表取締役から権限を委任された執行役員や部長なども、契約を締結することができます。この場合、取引の安全性を確保するために、相手方に委任状の提示を求めるなど、しっかりと権限の確認を行うことが推奨されます。

注意点③原本と写しの取り扱いを確認する

基本的に契約書は、2社間の契約なら2通、3社以上の場合は当事者の数だけ原本を作成します。しかし、契約内容の証拠として写しで十分な場合は、原本を1通だけ作成し、他は写しを使用することで、収入印紙代を節約できます。

ただし、以下の場合は写しであっても新たな課税文書とみなされ、収入印紙が必要となります。

  • 契約当事者双方または文書所持者以外の一方が署名・押印した場合
  • 正本との一致を証明する記載や、写し・副本・謄本などの証明(ゴム印や割印など)がある場合

注意点④契約書の体裁を整える

契約書は、現在は大半が横書きで書かれ、1枚で完結する契約書は少なく、複数枚となることが多数と思われます。

複数枚になった場合は、途中のページを差し替え、片方の当事者に有利な内容にしてしまうなどの改ざんを防止するため、ホチキス止めをし、ページとページの間に契印(割り印)を押して変更があった場合にわかりやすくしておきます。

さらに製本テープなどを使って製本を行うと、テープと紙の境目だけに契印すれば済むので、押印個所を少なくできます。

<関連記事>契約書をめぐるトラブルを防止するには?必要な対策・管理方法を解説

契約書を作成する際の作成者の心構え

契約書を作成する際は、ここまでにご紹介した契約書の構成・内容・形式を踏まえておくほか、次のような点に注意して作成しましょう。

目的を明確にする

契約書作成の基本は、想定されるリスクを事前に把握し、それに対する対策を盛り込むことです。例えば、売買契約では商品の種類、数量、価格などの基本的な取引条件を明確にする必要があります。

また、業務委託や請負契約では、委託内容や成果物の詳細を具体的に定める必要があります。

これらが不明確だと、業務が完了しない、代金回収ができないなどの問題が発生する可能性があります。そのため、契約書では各関係者の役割や責任、トラブル発生時の対応方法まで、具体的かつ網羅的に記載することが望ましいです。

権利と義務の関係性を明確にする

契約書を作成する際は、自社と相手方それぞれの権利と義務を対にして考える必要があります。例えば、商品提供の義務がある側には代金を受け取る権利があり、代金支払いの義務がある側には商品を受け取る権利があるといった具合です。

このような権利と義務のバランスが取れていることで、ビジネスとしての合理性が保たれ、両者が合意に至ることができます。

また、契約内容について解釈の違いが生じた場合でも、権利と義務の関係が明確であれば、両者がリスクを適切に予測し、対応することが可能になります。

法律で決まっている記載事項を必ず盛り込む

契約書によっては、法律で決まっている記載事項を盛り込まなければいけない場合があります。

代表例は雇用契約で、労働基準法15条1項により、労働条件の明示が義務付けられています。主な必須記載事項(絶対的明示事項)は以下の通りです:

  • 労働期間、就業場所、業務内容
  • 勤務時間(始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間)
  • 給与(計算方法、支払方法、支払日)
  • 休日・休暇
  • 退職に関する事項
  • 交代制勤務の場合は、その順序や交代期日

これらは別途書面で明示することも可能ですが、通常は雇用契約書に直接記載します。

他の契約でも、法定の記載事項が定められているケースがあります。例えば、産業廃棄物処理契約や特定商取引法の連鎖販売契約がこれに該当します。

また、民法で定める典型契約(売買、請負、贈与、委任、和解など)には、それぞれ「契約の要素」として必要な記載事項が定められています。これらの要素は、契約の種類に応じて適切に盛り込む必要があります。

裁判を想定した文書を記載する

契約書は、トラブルが発生した際に裁判所で争われる可能性があるため、専門家だけでなく裁判官にも理解できる表現を使う必要があります。そのため、契約書の冒頭(通常は第1条か第2条)に「定義条項」を設けます。

定義条項は、以下のような場合に使用されます。

  • 専門的な用語の説明
  • 契約書内で頻繁に使用される用語の定義
  • 解釈に誤解が生じやすい用語の明確化

例えば、機械の売買契約、エンジニアの業務委託契約、医薬品開発契約など、専門性の高い契約でも、定義条項を活用することで、誰もが正確に内容を理解できるようになります。

関連する法律と判例はリサーチしておく

契約書作成にあたっては、関連する法律と判例のリサーチが必要です。これらの作業は法務部のある会社では主に法務部員が行う仕事となりますが、作った契約書のリスクがどんなところにあるか・過去には実際にどういうトラブルがあったのか、条文や判例で見極めます。

法律・判例のリサーチ結果を踏まえて、契約書に足りない条項を補ったり、あるいは避けた方がよい記載・言い回しなどをチェックするのが契約書のレビューの仕事です。

契約内容は当事者間で納得いくまで確認し合う

契約書は法的な拘束力を持つ重要な文書ですが、良好なビジネス関係を維持するためには、契約締結時の丁寧なコミュニケーションと相互理解が重要です。

【詳細説明】 契約書は、当事者の署名・押印により法的な効力が生じ、万が一の裁判でも有力な証拠となります。しかし、ビジネスの発展や継続的な取引を考えると、法的な争いは可能な限り避けることが賢明です。

そのためには、形式的な契約締結に留まらず、以下の点に注意を払うことが大切です。

  • 契約内容について、双方が十分に理解し納得するまで確認する
  • 誠実なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築する
  • トラブルの予防を重視し、円滑な事業運営を心がける

このような姿勢で契約を結ぶことで、長期的で安定したビジネス関係を築くことができます。

<関連記事>契約書レビュー業務の流れを細かく解説!

インターネット上の雛形をそのまま使用しない

契約書は業種や現状によって、盛り込むべき内容が変わります。近年では、インターネット上でさまざまな契約書の雛形が提供されていますが、必ずしも雛形が自社に合っているとは限りません。

トラブルの原因にもなるため、インターネットの雛形をそのまま使用するのは避けましょう。

インターネットの雛形を参考にする場合、必ず条項を見直し、必要に応じてアレンジする必要があります。

改ざん防止には割印を忘れずに押すことが大切

契約書は証拠ともいえるものですが、書き換えられると意味がありません。基本的に、書き換え防止には押印や割印が有効です。しかし、製本タイプの場合、表紙のみに押印・割印するだけだと、ほかのページの書き換えが容易にできてしまいます。

複数のページが存在するときは、ページごとに割印を押しましょう。ページごとに割印する場合は、ページをまたぐように押すのが基本です。控えを作成する場合も同様に、割印によって偽造や改ざんのリスクを抑えられます。

契約書作成におけるマナー

契約書は、単なる文書ではなく、取引の本質を明確にし、将来のトラブルを防ぐための重要なツールです。そのため、専門用語の正確な使用や曖昧な表現を避けることが求められます。また、第三者にも理解できる明瞭な記述が必要です。

これらのマナーを守ることで、契約書は本来の目的を果たし、取引の安全性と当事者間の信頼関係を強化することができます。

1. 表現の明確性

  • 曖昧な表現(「適宜」「必要に応じて」「など」「その他」)は避け、具体的な条件を明記する
  • 専門用語や業界用語は省略せずに正確に記載し、必要に応じて定義条項で説明を加える
  • 数字は具体的に記載し、「約」「およそ」などの曖昧な表現は使わない
  • 日付や期限は、年月日まで明確に記載する

2. 内容の確認と理解

  • 契約当事者間で内容を十分に確認し、特に重要な項目は口頭でも確認する
  • 金額、納期、サービス内容、責任範囲などの重要事項は具体的に記載する
  • 第三者(裁判官など)にもわかりやすい表現を心がけ、必要に応じて補足説明を加える
  • 契約期間、更新条件、解約条件なども明確に定める

3. テンプレートの扱い

  • 一般的なテンプレートをそのまま使用せず、取引の特性に合わせて必要な修正を加える
  • 自社のビジネスモデルや業界特性を考慮した独自の条項を設ける
  • 法的保護の観点から必要な条項(守秘義務、知的財産権、損害賠償など)を適切に盛り込む
  • 定期的に契約書の内容を見直し、法改正や事業環境の変化に対応する

4. その他の重要事項

  • 契約書の形式面(日付、署名欄、割印など)も適切に整える
  • 重要な変更がある場合は、覚書や変更契約書を作成する
  • 契約書は複数部作成し、各当事者が原本を保管する
  • 必要に応じて、法務部門や専門家のチェックを受ける

このようなマナーと注意点を守ることで、契約書は効果的な法的文書となり、取引の安全性を確保し、後々のトラブル防止にも役立ちます。また、これらの実践は、ビジネスパートナーとの信頼関係構築にも寄与します。

郵送時にも相手への配慮を忘れない

契約書は重要な法的文書であり、その送付方法も企業の姿勢を反映します。適切な送付には以下の点に注意が必要です:

契約書は折り曲げずに送付できる大きさの封筒を使用し、汚れやしわを防ぐため新品のクリアファイルに入れて保護します。また、送付状を添えることで、ビジネスマナーとしての配慮を示すことができます。

このような丁寧な対応は、取引先からの信頼を得る機会となり、長期的な関係構築にもつながります。逆に、しわや汚れのある契約書の送付は、企業としての信用性を損なう可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。

重要な契約書は自社で作成することが望ましい

自社で契約書を作成することが望ましい主なケースは以下の2つです。

  1. 自社の製品・サービスに関する契約 製品やサービスを提供する側が最もリスクを理解しており、適切な保護条項を盛り込むことができます。また、業界特有の規制やコンプライアンス要件にも対応しやすいという利点があります。
  2. 重要な戦略的契約 業務提携や合併など、重要な事業戦略に関わる契約は、主導する側が作成するのが一般的です。これにより、自社の意向を迅速に反映させ、戦略的な観点から有利な条件を提案することができます。

このように、契約書の作成者を適切に選択することで、より効果的な契約内容の実現と、スムーズな交渉進行が可能になります。

契約書を作成・審査するならAIによる契約書レビューがおすすめ

自社で契約書を作成する場合、実際の製品・サービスあるいは取引に即したものにするには、ひな形を探して、その後カスタマイズすることが必要です。

ところが、何となくひな形を選んで契約書を作成すると、下記のような作成上のトラブルが起こる場合があります。

  • 規定の内容に抜け・漏れが生じる
  • 法令違反のリスクに対する対応が十分ではなくなる
  • 規定内容が不明確になる

相手方のある契約書ですから、問題のある契約書ではそもそも合意ができず、ビジネスが進まない恐れがありますし、合意できたとしても取引上のトラブルが発生したときに、思わぬ損害を被ることもあります。

上記の問題をカバーするには契約書のリーガルチェックがおすすめです。リーガルチェックを行うと、客観的に契約書を評価し、問題点を見つけられるので、トラブルを未然に防止できます

リーガルチェックは弁護士や法務部員による人的なチェックのほか、AIによるチェックも可能です。

契約書作成のポイントを押さえてミスをなくそう!

本記事で解説したように、契約書作成には多岐にわたる重要なポイントがあります。基本的な形式要件から詳細な契約条項まで、それぞれの要素が契約の有効性と実効性に大きく影響します。

契約書の作成では、法的要件の遵守はもちろんのこと、専門用語の適切な使用、曖昧な表現の回避、マナーの遵守など、様々な観点からの配慮が必要です。

特に重要なのは、契約の目的を明確にし、双方の権利義務関係を具体的に定めることです。

また、契約書の作成から締結、送付に至るまでの各段階で、適切な対応と注意が必要です。これらのプロセスを丁寧に進めることで、将来的なトラブルを防ぎ、取引先との良好な関係を構築することができます。

契約書作成のポイントを押さえることは、単なる形式的な作業ではなく、ビジネスの円滑な遂行と法的リスクの管理において極めて重要な意味を持ちます。本記事の内容を参考に、確実で効果的な契約書作成を心がけていただければと思います。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

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