AIエージェントとは
AIエージェント(AI Agent) とは、目標達成のために自律的に思考し、計画を立て、タスクを実行するAIシステムです。人間が細かく指示を出さなくても、外部環境の情報を収集・分析し、適切な行動を決定して実行するという特徴があります。主要な特徴は以下の3点です。
自律性
ユーザーの入力に基づいて、目標に向けて自律して行動します。そのため細かい指示は不要で、自己判断で行動を決定します。
学習と適応
実行したタスクから学習し、その経験を基にパフォーマンスを向上させます。ユーザーからのフィードバックも取り入れながら、より効果的な行動方法を学習していきます。
環境認識センサーやAPIを通じて環境情報を取得し、その都度状況を理解します。例えば物流では、交通状況や天候状況を認識し、答えを変えることができます。
AIエージェントと生成AIの違い
生成AIとAIエージェントとの違いは、一言でいうと「自律性」です。生成AIはユーザーの指示に対して応答するのに対して、AIエージェントはユーザーが作業内容を細かく指示しなくても、目標に向かって自律的にタスクを実行します。
そのほか、AIエージェントと生成AIの違いは以下の通りです。
AIエージェントのリーガルテックでの活用
AIエージェントは法務分野にも活用が期待されています。AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」での活用例を紹介します。
LegalOn CloudのAIエージェント
LegalOn Cloudでは、契約書のレビュー内容や法務相談への回答といったあらゆる作業で入力された情報(ナレッジ)をAIが体系的に整理しています(リーガルドキュメントグラフ)。
リーガルドキュメントグラフのイメージ
リーガルドキュメントグラフを使い、ユーザーから与えられた目標をこなすのが、「LegalOn AI Agents」と呼ばれるAIエージェントです。
例えば、契約書レビューの際は、担当者が契約書をLegalOn Cloud上にアップロードし、あらかじめ登録していた自社基準を選択すると、AIエージェントがアップロードされた契約書と突合。差異に対して修正文案を提案します。
契約書レビューの際のAIエージェントの動きのイメージ
また、新たに契約書を作成したい時にも力を発揮します。以下の流れでAIエージェントが自律的に動き、担当者に契約書ドラフト(草案)を提供します。※機能開発中
- AIエージェントが、担当者に質問をしながら契約情報を収集
- 情報を基に適切な契約書ひな形を選択
- ひな形をもとに自社基準に合っているかを確認し、ドラフト作成
- 依頼者に契約書ドラフトを提供
契約書の新規作成時のAIエージェントの動きのイメージ
LegalOn Cloudは、使えば使うほどナレッジが蓄積されていくため、それを使うAIエージェントも成長します。つまり、法務担当者だけでなくLegalOn Cloudを使うすべての人にとって「自社だけのアシスタントを育てる」ことにつながります。
<関連記事>法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策
LegalOn CloudのAIエージェントについて、詳しくはこちらの資料をご覧ください。
AIエージェントで変わる法務担当者の役割
「守りの法務」によって企業をリスクから守ることは、法務担当者の重要な役割です。
ただ、業務範囲の拡大や、社会的なコンプライアンス意識の高まりによって、契約書レビューや法律相談への対応に日々追われ、新たな事業価値の創造といった「攻めの法務」まで手が回らない法務担当者は少なくありません。
そんな中、AIエージェントは、法務担当者を定型業務から解放し、より創造的な業務に取り組める余裕を与えてくれるでしょう。定型業務が各段に効率化する一方で、新たな役割や働き方が求められることが予想されます。この章では、AIエージェントによって法務担当者の働き方がどのように変わるのかを解説します。
事業・経営の戦略的アドバイザーに
AIエージェントには、これまで発生してきたリスクを指摘することはできますが、リスクテイクするかどうかを判断することはできません。そのため、法務担当者はリスクを認識しつつ、事業・経営を前に進めようとする際に、戦略的アドバイザーとして重要な判断を求められることが増えるでしょう。
たとえば、ビジネスにおける契約締結時にこれまでにないリスクが存在していた際、そのリスクによる企業への影響がどのようなものか評価を求められることが予想されます。
法を使い、新しい価値を作る
やりたいことに対しての可否を問うのではなく、新しい価値やビジネスを創造する業務の支援にも取り組むことが期待できます。
例えば会社が新規ビジネスに乗り出す際に、どのようなビジネスモデルであればビジネスを行えるのかアドバイスをすることや、法的な障壁があれば、法改正を官公庁に提案する「ルールメイキング」のような業務が求められるケースも増えるでしょう。
これからの法務担当者は、AIエージェントをアシスタントとして使うことを前提に、事業成長に貢献する法務として、自分の役割を再定義する必要があります。