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【テンプレート有】誓約書の書き方は?法的拘束力や作成時の注意点も解説

【テンプレート有】誓約書の書き方は?法的拘束力や作成時の注意点も解説
この記事を読んでわかること
    • 誓約書の意味と法的効力について
    • 誓約書と契約書・念書・覚書の違い
    • 誓約書の作成方法とポイント
    • 誓約書が無効となるケース

「入れるべき条項について解説!契約書管理規程の目的・作成のポイント」

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誓約書は一方が特定の行為を約束する、法的効力のある文書です。ビジネスシーンでは秘密保持や競業避止などで活用されます。

一方で誓約書には、法律上の定義も決まった書式もありません。書き方や内容がわからず、困ることもあるかもしれません。

当記事では誓約書の基本から作成方法、注意点を解説します。経済産業省が公開している用途別の誓約書のテンプレートも紹介するので、作成時の参考にしてください。

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誓約書とは

誓約書は特定の行為を行う・行わないなどの約束を、文書化した書類として扱われることが多いです。法的な義務を果たす意思を示すもので、ビジネスシーンから個人間の約束事まで、用途に合わせた書面が活用されています。

まずは誓約書の効力や、必要な場面を確認していきましょう。

誓約書の法的効力と拘束力

誓約書は法的な拘束力を持つ書類です。誓約書に署名・押印した当事者は、誓約内容に従う義務を負います。従って違反した場合には、損害賠償などの責任が生じる可能性があります。

特に企業内での秘密保持や競業避止に関する誓約は、多くの裁判例でも有効性が認められています。ただし個人の権利を過度に制限するような場合は、無効となります。

誓約書の効力は、内容の合理性や社会的妥当性も考慮されるのが一般的です。

誓約書が必要な場面

誓約書はさまざまな場面で活用されますが、ビジネスシーンでは主に、以下のような状況で必要とされます。

  • 入社時
  • 退職時
  • 秘密保持が必要な場合
  • 競業避止を求める場合

また私的なシーンでは、金銭消費貸借の返済誓約や離婚時の養育費支払いに関する誓約など、重要な約束事を明文化するのに使われます。

相手に何かを約束させたい場合、誓約書の作成は有効な手段となるのです。

類似書類との違い

誓約書と似た書類には、契約書や念書、覚書があります。制約の方向性や使用場面に違いがあります。

契約書・念書・覚書といった書類のタイトルで効力が決まるものではなく、その書類に規定されている内容が重要ではありますが、それぞれの書類の一般的な用途をまとめました。

契約書

  • 契約書:双方が権利義務を負う
  • 誓約書:一方だけが義務を負う

当事者間の双方の合意に基づいて、権利義務関係を定める文書です。誓約書では一方的な約束を記載するのに対し、契約書では互いの条件や義務が提示されています。

また契約書は通常、当事者間で内容を協議・交渉した上で作成されますが、誓約書は相手方の要請に応じて、一方的に作成されるものです。

念書

  • 念書:過去の事実確認や責任所在の明確化が中心
  • 誓約書:将来の行動に対する約束を記載する

念書は誓約書とよく似ていますが、主な違いは責任の所在にあります。念書は過去の事実確認や責任の所在を明確にするために作成されることが多く、何らかの問題が生じた後に「念のため」作成されるケースが多いです。

誓約書が将来の行動に対する約束であるのに対し、念書は過去の事実を認め、将来の対応を約束するという場面で用いられるのが一般的です。

覚書

  • 覚書:合意事項の要点を簡潔に記録する
  • 誓約書:一方が明確な義務を負う

主に合意事項の要点を簡潔に記録するために作成されるケースが多いです。契約書のような詳細な条項はなく、当事者間で合意した重要事項を覚えておくために作成されます。

誓約書が一方的な約束であるのに対し、覚書は双方の合意内容を記録するものです。正式な契約の前段階として作成されたり、過去に締結した契約を変更した場合に変更箇所と内容を明確にしておくために作成されたりします。後日正式な契約書を作成する、あるいは再締結する際の基礎資料にもなります。

【経済産業省】誓約書のテンプレート

誓約書にはさまざまな種類がありますが、基本的な構造は同じです。一般的な誓約書は、以下のように作成します。

ここからは経済産業省が公表している「秘密保持誓約書」の例(参考:経済産業省 各種契約書等の参考例(令和6年2月改訂版))から、用途別の誓約書のテンプレートを確認していきましょう。

入社時

参考:経済産業省 各種契約書等の参考例(令和6年2月改訂版)

このほか入社時には、一般的に以下の誓約書を作成します。

  • 社内規則を守ること
  • 競業避止の義務に従うこと など

退職時

参考:経済産業省 各種契約書等の参考例(令和6年2月改訂版)

退職時も入社時と同様、秘密保持や競業避止の誓約書を作成します。

特に顧客情報や社内業務に関わる情報は、競合他社に持ち出されると大きな損害を被ります。万一のトラブル防止のため、誓約書として書面化しておくと安心です。

競業避止義務を記載する場合

競業避止義務を記載する場合、誓約書内に以下のような規定を設けることもあります。

第▲条(競業避止義務の確認)
貴社を退職するにあたり、退職後【六ヶ月間/一年間】、貴社からの許諾がない限り、次の行為をしないことを誓約いたします。
① 貴社で従事した○○の開発に係る職務を通じて得た経験や知見が貴社にとって重要な企業秘密及びノウハウであることに鑑み、当該開発及びこれに類する開発に係る職務を、貴社の競合他社(競業する新会社を設立した場合にはこれを含む。以下同じ。)において行うこと
② 貴社で従事した○○に係る開発及びこれに類する開発に係る職務を、貴社の競合他社から契約の形態を問わず、受注又は請け負うこと

引用:経済産業省 各種契約書等の参考例(令和6年2月改訂版)

なお競業避止義務を課す際には、必要に応じて、以下のような補償手当の支給・記載も検討してください。あまりに広範かつ強力な競業避止事務を課してしまうと、社会通念上妥当な範囲を超えるとして無効となるおそれがあります。手当だけでなく、業種・地域・期間の点である程度の限定を設けることも検討しましょう。

第■条(補償手当)
私は、本誓約書の遵守のため、貴社給与及び退職金のほか、補償手当○○○円の交付を受けたことを確認いたします。

引用:経済産業省 各種契約書等の参考例(令和6年2月改訂版)

誓約書作成時の3つのポイントと注意点

誓約書の書式には、法的な定義はありません。手書きでも、パソコンでの作成も大丈夫です。

しかしきちんと法的効力を持った書類にするためには、いくつか必要な項目があります。ここでは基本的な誓約書作成手順と注意点を見ていきましょう。

① 表題・提出先・日付を記載する

誓約書を作成する際には、表題・提出先・日付の3点を忘れずに記載してください。

表題では、誓約書の内容や目的がわかるよう、必要に応じて副題をつけることも有効です。「秘密保持誓約書」や「競業避止に関する誓約書」と、具体的に記載します。

提出先には会社宛ての場合は会社名と代表者名を、個人宛ての場合は個人名を記載します。

また誓約書の作成日は、誓約の効力が発生する時期を明確にするものです。日付は誓約書の冒頭または末尾に「令和○年○月○日」と記載してください。

② 誓約内容を条文化する

本文では誓約する内容を明確に、具体的に記載します。「私は、以下の事項を誓約します」などの文言から始め、誓約内容を条文形式で記載するのが一般的です。

条文には第1条、第2条というように番号を振り、各条文には見出しをつけると、内容が分かりやすくなります。

誓約内容は誰が読んでも誤解がなく、解釈に幅が生じないようにすることが重要です。抽象的な表現は避け、誰が読んでも同じ間違いなく理解できるよう記載します。

③ 署名・押印を確認する

誓約書の最後には、誓約者の署名と押印・捺印が必要です。署名は自筆で行い、印鑑は実印または認印を使用するのが一般的です。実印を使用した場合は、印鑑登録証明書も添付できるとベストです。会社で使用する場合は、社内規定に従った印鑑を使用します。

署名欄には「住所」「氏名」「印」の項目を設け、住所は都道府県から番地まで正確に記載します。なお近年では、電子署名の使用も一般的です。印鑑を使わないことも増えていますので、必要に応じて使い分けましょう。

注意点

誓約書を作成する際には、以下の点に注意してください。

  • 相互の合意を得る
  • 事前に関連する法規制を確認する
  • 電子署名を利用する場合「はセキュリティにも留意を

誓約書は一方的な約束を記載する文書ですが、内容については相互の合意が前提です。過度な義務を課すような内容の誓約書は、後に無効と判断される可能性があります。

特に競業避止義務などの個人の権利を制限するような内容を含む場合は、社会通念上妥当な範囲内での制限を設定してください。

また事前に、誓約書の内容が法律に違反していないかを確認することも重要です。法律に抵触する内容は、たとえ誓約書を取り交わしても無効となります。不安な場合は専門家に相談してください。

さらに電子署名を活用した電子誓約書では、信頼性の高い電子認証サービスを利用し、データの非改ざん性を証明できるシステムを選択するなど、セキュリティ面も考慮する必要があります。

誓約書が無効になるケースとは

誓約書は通常、法的な効力を持ちますが、無効になったり取り消されたりする場合もあります。合理性や法的な観点から、妥当でないのみなされることがあるのです。

ここでは誓約書が無効または取消となる、主な3つのケースを解説します。

強行規定・公序良俗に反する場合

強行規定とは当事者間が合意しても変更できない法律の規定のことです。

労働基準法で定められた最低賃金を下回る賃金での就労を約束させる誓約書や、基本的人権を侵害するような内容の誓約書は、たとえ当事者が合意していても無効です。民法第90条では「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と定められています。

特に競業避止義務を課す誓約書については、その制限が合理的な範囲内であることが重要です。

詐欺・脅迫による合意の場合

誓約書の作成が詐欺や脅迫によって行われた場合、その誓約書は取り消すことができます。民法第96条では、詐欺または脅迫による意思表示は取り消すことができると定められています。

虚偽の事実を告げて誓約書への署名を誘導したり、「署名しなければ不利益を与える」などと脅して署名させたりした場合、誓約書は取り消しの対象となるのです。

未成年者が作成した場合

未成年者が法定代理人の同意なく作成した誓約書は、原則として取り消すことができます。民法第5条において、未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができると定められているためです。

ただし日常生活に関する行為や、未成年者が詐術を用いて成年者であると相手を誤信させた場合などは例外です。

まとめ

誓約書は当事者が特定の行為を約束する、法的効力を持った文書です。契約書や念書、覚書とは異なる特徴を持ち、それぞれの用途に応じて使い分けることが重要です。

誓約書を作成する際は誰にでも理解できる明確な表現を使用し、相互の合意を得た上で、関連する法規制を確認してください。

ただし強行規定・公序良俗に反する誓約内容や、詐欺・脅迫による合意、未成年者が法定代理人の同意なく作成した誓約書は無効になったり取り消されたりするおそれがあります。

適切に作成された誓約書はビジネス上の重要な約束を明確化し、トラブル発生時には有効な証拠となります。しかし実務では、誓約書の作成・管理を含む契約業務全般において、専門知識だけでなく効率的なオペレーションが求められます。

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NobishiroHômu編集部
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NobishiroHômu編集部

 

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