電子契約とは?メリット・デメリット、法律、始め方まで網羅解説
「電子契約ってよく聞くけど、実際どういう仕組み?」「紙の契約書と何が違うの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか。
最近では、テレワークや業務効率化の流れを背景に、電子契約を導入する企業が増えています。印紙代や郵送コストの削減、契約スピードの向上など多くのメリットがある一方、導入に不安を感じる方も少なくありません。
そんなときに役立つのが、契約審査から締結・管理まで一括で対応できる法務支援ツール「LegalOn Cloud」です。法務に関する情報を一元管理でき、契約業務の効率化に大きく貢献します。
この記事では、電子契約の基本的な仕組みから導入のメリット、注意点までを解説します。これから導入を検討する方にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
今さら聞けない「電子契約とは?」
ここでは、電子契約の基本から、社会で急速に普及している背景、そして契約を支える技術の仕組みまでを解説します。
電子契約の明確な定義:紙の契約との本質的な違い
電子契約とは、デジタルデータで完結する法的に有効な契約方法です。
紙の契約書のように印刷や郵送、物理的な保管が不要で、契約業務がパソコンやスマートフォンだけで行えます。
紙と電子契約の比較は以下のとおりです。
<紙の契約>
印刷 → 押印 → 郵送 → 返送待ち → ファイリング
<電子契約>
データ作成 → システムで送信 → 相手が承認
このように、契約プロセスそのものが変わるため、時間やコストを大幅に削減できるのが電子契約の大きな特徴です。
電子契約が急速に普及している理由
電子契約の導入が急速に進んでいる背景には、社会全体の大きなデジタル化の流れがあります。
特にテレワークの普及は、この動きを加速させる大きなきっかけとなりました。コロナ禍でも「ハンコを押すためだけに出社する」といったことが話題になり、場所を選ばずに契約できる電子契約に注目が集まりました。
さらに、国も法改正によって企業のペーパーレス化を後押ししています。こうした社会の変化が一体となり、電子契約はビジネスに欠かせないツールへと変化を遂げています。
<関連記事> 電子帳簿保存法とは?対象書類や2024年の改正内容をわかりやすく解説
電子契約サービスの市場規模と今後の成長予測
電子契約サービスの市場は、急速に成長しています。テレワークの定着や業務効率化への強いニーズを背景に、多くの企業が導入を進めているためです。
矢野経済研究所の調査によると、市場規模は2024年に264億円に達する見込みです。2019年の市場規模(68億円)と比べると、わずか5年で約4倍に拡大する計算になります。
年:市場規模
2019年:68億円
2024年(予測):264億円
参照|矢野経済研究所「電子契約サービス市場に関する調査を実施(2020年)」2020年11月24日発刊参照|JIPDEC「IT-REPORT」2021年5月発刊
この数字を見るだけでも、電子契約が広がっている様子がうかがえます。
電子契約の基本的な仕組みと流れ
電子契約の流れは非常にシンプルで、従来の紙の契約と比べるとその手軽さが際立ちます。紙での郵送やファイリング作業は一切ありません。
電子契約システムを使った契約の流れは大きく分けて以下の3ステップです。
- 契約書データを作成し、システムから相手に送信する。
- 受け取った相手は、内容を確認して画面上で承認する。
- 契約が成立し、データはシステム内に自動で保管される。
この手軽さとスピード感が、ビジネスを加速させる大きな力になることは間違いないでしょう。
電子契約の法的有効性を支える「3つの要件」
電子契約が紙の契約書と同等の法的効力を持つためには、主に「電子署名法」と「電子帳簿保存法」という法律で定められた要件を満たす必要があります。
その中心となるのが「電子署名」「タイムスタンプ」、そして「適切な方法での保存」です。
要件1:本人による作成を示す「電子署名」
電子署名は、紙の契約書における「押印」や「サイン」に相当し、「その文書が本人によって作成されたこと(本人性)」と「内容が改ざんされていないこと(非改ざん性)」を証明する技術です。
電子署名法という法律では、本人だけが行える電子署名がある電子文書は、真正に成立したもの(法的に有効なもの)と推定すると定めています。これにより、オンライン上の契約でも安心してやり取りができるのです。
要件2:存在と非改ざんを証明する「タイムスタンプ」
タイムスタンプは、第三者機関である時刻認証局(TSA)が発行するもので、「その時刻に契約書が存在していたこと」と「その時刻以降、契約書が改ざんされていないこと」を証明します。これにより、契約日の信頼性を担保し、後から内容を書き換えられるリスクを防ぎます。
要件3:法律に準拠した「データの保存」
締結した電子契約書は、電子帳簿保存法の要件に従って保存しなければなりません。具体的には、以下の2点を確保する必要があります。
<真実性の確保>
データの訂正・削除履歴が残る、または改ざん不可能な仕組みで、そのデータが「正しい」と証明できる状態。
<可視性の確保>
ディスプレイ等で速やかに確認でき、日付や取引先で必要なデータをすぐに見つけ出せる状態。
多くの電子契約サービスは、これらの法的要件を標準で満たせるように設計されています。システムを利用することで、法律を深く意識しなくても、法令に準拠した契約業務が可能になります。
<関連記事> 電子署名とは?法的効力や仕組み、やり方を解説
<関連記事> タイムスタンプとは?仕組みや電子帳簿保存法における役割について解説
<関連記事> 電子サインとは?電子署名との違いや利用シーン・使い方を解説
参照 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102_20200901_501AC0000000045
一般的なPDFファイルと電子契約書の違いとは?
電子契約書もPDF形式ですが、自分で作成した単なるPDFとは全くの別物です。決定的な違いは、そのファイルが「法的な証拠になるか」という点にあります。
電子契約書には、「電子署名」と「タイムスタンプ」が施されており、誰が・いつ・何に合意したかを証明できます。もし契約書データが少しでも改ざんされると、ファイルを開いた際に警告が表示されるため、不正を防げます。
見た目は同じPDFでも、法的なお墨付きがあるかないか、という大きな違いがあるのです。
【導入効果を最大化】電子契約がもたらす7つの主要メリットを紹介
電子契約を導入することで、コスト削減や業務効率化など多くのメリットが得られます。ここでは、電子契約が実際にもたらす主な効果を紹介します。
メリット1:劇的なコスト削減
電子契約は、契約時に発生する様々な費用を直接的に削減します。 紙の契約書で発生していた印紙税や郵送費、さらには見えにくい人件費が、電子契約ではどう変わるのか。月に20件の契約を交わす中小企業をモデルケースにして紹介します。
このように、これまでかかっていた年間38万円以上のコストが削減できる可能性があります。
もちろん、電子契約システムの利用料は別途発生しますが、それを上回るコスト削減効果が期待できます。
<関連記事> 電子契約で収入印紙が不要なのはなぜか?その理由・根拠や注意点を解説
メリット2:契約業務のスピードアップと生産性向上
契約締結までにかかる時間が大幅に短縮され、業務全体の生産性を高めます。
契約書の印刷・押印・郵送・返送といった物理的な作業がなくなり、契約プロセスがオンラインで完結します。
これまで1週間以上かかっていた契約も、電子契約なら最短1日で完了することもあります。その結果、取引を停滞させることなく、事業をスピーディーに進められます。
契約業務にかかっていた時間を他のコア業務に充てることで、組織全体の生産性向上が期待できます。
メリット3:コンプライアンス体制の強化と内部統制の向上
電子契約は、企業の法令遵守(コンプライアンス)体制を強化する上で有効です。
電子署名とタイムスタンプ技術によって、「いつ」「誰が」「どの内容に合意したか」が客観的な記録として残るため、契約内容の改ざんやなりすましといった不正リスクを減らせます。
また、システム上でアクセス権限を設定すれば、権限のない従業員による閲覧や持ち出しも防げます。
契約管理の透明性が高まり、企業の信頼性向上につながるでしょう。
メリット4:ペーパーレス化による環境負荷軽減と企業イメージ向上(SDGsへの貢献)
契約業務のペーパーレス化は、環境負荷の軽減に直結するだけでなく、企業の社会的イメージ向上にもつながります。
紙の消費を抑えることは、森林資源の保護やCO2排出量の削減に貢献します。こうした取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に寄与する活動としてアピールできます。
環境問題への関心が高まる現代において、こうした企業姿勢を示すことは、取引先や顧客からの信頼を得る上で重要な要素といえます。
メリット5:テレワーク推進と多様な働き方の実現を強力にサポート
電子契約は、テレワークや在宅勤務といった多様な働き方を実現する基盤となります。
押印や書類発送のために出社する必要がなくなるため、従業員はインターネット環境さえあれば、場所を選ばずに契約業務ができます。
育児や介護と仕事を両立したい社員や、遠隔地に住む人材も活躍しやすくなります。場所にとらわれない柔軟な働き方は、優秀な人材の確保と定着にもつながるでしょう。
メリット6:契約書の検索性向上と効率的な管理体制の構築
過去の契約書をデータとして管理するため、検索性が飛躍的に向上し、効率的な管理体制を築けます。
システム上に保管された契約書は、取引先名、契約日、件名などのキーワードで瞬時に検索できます。「あの契約書はどこだろう」とキャビネットや倉庫を探し回る必要はもうありません。必要な情報に素早くアクセスできるため、業務の迅速化と効率化が図れます。
メリット7:顧客・取引先満足度の向上(CX向上)
契約手続きが簡素化されることは、自社だけでなく、お客様や取引先の満足度向上にも貢献します。 相手方にとっても、契約書を印刷し、押印して返送するという手間と時間が削減されるメリットは大きいからです。
面倒な手続きがなくなることで、取引全体がスムーズに進み、顧客はストレスなくサービスや商品の購入を決定できます。 こうした快適な取引体験は顧客満足度を高め、継続的な信頼関係を築くための基盤となるでしょう。
導入前に必ず確認!電子契約の注意点
電子契約へスムーズに移行するため、導入前に知っておきたい費用やセキュリティなどの注意点と、その対策を解説します。
注意点1:初期費用や月額料金がかかる
電子契約サービスには、初期費用や月額料金がかかります。便利そうだからと安易に導入すると、思ったより使われずにコストだけがかさんでしまうかもしれません。導入前には、印紙代や郵送費といった従来のコストと比べ、本当に費用対効果が見合うのか試算しておくことが大切です。
自社の契約件数に合ったプランを選ぶことが、無駄な出費を抑えるカギになります。多くのサービスには無料プランや少量から試せるプランが用意されているので、まずは小さく始めて効果を見極めてみるのが賢い選択と言えるでしょう。
注意点2:取引先の理解を得る必要がある
電子契約は、取引先の協力があって初めて成り立ちます。紙でのやり取りに慣れた相手からすると、新しい方法に不安を感じるかもしれません。一方的に電子化を求めるのではなく、契約がスピードアップする、コストが減るといった相手のメリットも丁寧に伝え、理解を求めていく姿勢が大切です。
もし相手の了承が得られなければ、その取引先だけは紙で対応するなど、柔軟な運用も必要です。全ての取引を一度に変えようとせず、協力的な相手から少しずつ始めることが、スムーズな移行の秘訣と言えそうです。
注意点3:電子化できない契約書もある
電子契約は万能ではなく、法律で紙の書面作成が義務付けられている契約も一部あります。
その代表例が「事業用定期借地契約」です。この契約は、法律で公正証書(公証役場で作成する公的な書面)で結ぶことが定められているため、電子契約に置き換えることはできず、書面での契約が必須です。
このように、知らずに電子化してしまうと契約が無効になる可能性があるため、導入前には、自社で扱う契約書の種類をしっかり確認しておくことが重要です。
※参照 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000106.html
注意点4:セキュリティリスクに備える
電子契約はインターネットを介すため、不正アクセスや情報漏えいのリスクが伴います。契約書には会社の機密情報が多く、万が一の事態は大きな損害につながる可能性も。だからこそ、信頼できるシステムを選ぶことが何よりも重要になります。
通信の暗号化はもちろん、以下のような機能が充実しているかを確認しましょう。
- アクセス制限:部署や役職で、閲覧・編集できる権限を設定する機能
- 二段階認証:ID・パスワード以外の要素で、本人確認を強化する仕組み
- 監査ログ:「いつ誰が何をしたか」の記録が残り、問題の原因を追跡できる機能
技術によって安全性は日々高まっていますが、システム任せにせず、使う側の意識を高めていくことも、自社を守る上で大切な鍵となります。
注意点5:社内の業務フローが大きく変わる
電子契約を導入すると、契約業務の流れは大きく変わります。新しいやり方に従業員が戸惑い、せっかくのシステムが使われなくなっては元も子もありません。丁寧な教育と準備をすることが、スムーズな移行には不可欠です。
誰にでも分かるマニュアルを用意したり、実際に操作しながら研修会を開いたりするのが効果的でしょう。導入後も気軽に質問できる担当者を決めるなど、現場に寄り添う姿勢が、新しい仕組みを社内に根付かせる近道と言えそうです。
<関連記事> 書類回覧の電子化で業務効率UP! 3ステップで学ぶ実施手順
【法的知識】電子契約は裁判で有効? 判例から学ぶリスク管理
もし電子契約が裁判で争われることになったら、その有効性はどのように判断されるのでしょうか。実際の判例を基に、万が一のトラブルに備えるための本質的なリスク管理を解説します。
実際の裁判例:電子署名の有無と契約の有効性
電子契約の有効性が争われる裁判では、単に電子署名があるかないかだけでなく、「契約が当事者の真の意思に基づいて成立したか」を証明する客観的な証拠が重視されます。
例えば、契約当事者が「その電子署名は自分のものではない」と主張した裁判(東京地裁2019年)では、契約に至るまでのメールのやり取りやシステムのアクセス履歴などが詳細に調査され、結果的に署名の有効性が認められました。
また、明確な電子署名がないケースでも、当事者間のメールの文面などから契約内容への合意が明確に読み取れるとして、契約の成立を認めた裁判例(東京地裁2013年)もあります。
判例から学ぶべき「プロセス記録」の重要性
これらの判例からわかるのは、万が一のトラブルに備えるためには、「誰が、いつ、どの内容に、どのように合意したか」という契約プロセス全体を、客観的な記録として残しておくことが極めて重要だという点です。
口頭での合意や、記録に残らない形でのやり取りは、後から「言った」「言わない」の水掛け論になるリスクを常に抱えています。
信頼できる電子契約システムは、こうした合意形成のプロセスを自動的に記録・管理する機能(監査ログなど)を備えているため、有効なリスク管理手段となります。
【7ステップで解説】電子契約の導入・進め方
電子契約の導入は、思いつきで進めると失敗する可能性があります。スムーズな導入と社内への定着には、計画的な進行が欠かせません。ここでは、導入を成功に導くための7つのステップを順に解説します。
ステップ1:導入の目的と範囲を決める
まず、電子契約を導入する目的と、利用を開始する範囲を明確にします。この最初の設定がプロジェクトの土台となり、後のシステム選定や効果測定で迷う事態を防ぎます。
例えば「コストを年間〇〇円削減する」「契約時間を短縮する」といった目的を定めます。また、いきなり全社で始めるのではなく、「営業部の特定の契約書から」のように範囲を絞ることが、導入を成功させるコツです。このステップで定めた目的と範囲が、プロジェクト全体の指針となるでしょう。
<関連記事>電子契約とは?導入するメリットや注意点、関係する法律を詳しく解説
ステップ2:必要な機能や条件を洗い出す
次に、定めた目的を達成するため、システムに必要な機能や条件をリストアップします。このリストは、自社に合うシステムを選ぶ際の客観的な基準となります。
- 必須機能:「電子署名」「タイムスタンプ」など法的に求められるもの
- 便利機能:「契約書テンプレート」「更新日リマインダー」など業務効率を高めるもの
- その他条件:セキュリティ要件、サポート体制、予算など
このように条件を整理しておくことで、数あるシステムの中から自社に適したものを選びやすくなります。
<関連記事>タイムスタンプとは?電子契約での必要性や仕組み・方法を解説
ステップ3:システムを比較して選ぶ(無料トライアル活用)
作成したリストを基に、複数のシステムを比較検討し、最適な一つを選びます。資料の情報だけでは実際の使用感は分かりにくいため、無料トライアルの活用が有効です。
候補を2~3社に絞り、実際に業務で使う従業員に操作性を試してもらいましょう。「操作は直感的か」「承認フローは自社のルールに合うか」といった点を確認します。現場の担当者が「使いやすい」と感じることが、導入後の定着において重要なポイントとなります。
ステップ4:社内の運用ルールと担当者を決める
システム導入と並行して、運用ルールと社内体制を整備します。ルールがないと、使い方や管理方法が統一されず、業務が混乱する可能性があるからです。
電子化する書類の種類、ファイル命名規則、保管期間などを定めた運用規程を作成します。あわせて、システム管理者や各部署の担当者を任命し、トラブル発生時の問い合わせ窓口を明確にしておくと、導入後の混乱を最小限に抑えられます。
ステップ5:従業員へ使い方を周知・教育する
新しいシステムの使い方を従業員に周知し、スムーズな利用開始をサポートします。導入の目的やメリットを丁寧に説明することは、従業員の協力を得る上で不可欠です。
全社に向けて導入目的と開始時期をアナウンスします。また、実際の画面を使った説明会を開いたり、簡単な操作マニュアルやFAQを共有したりすることも、円滑な移行に効果が期待できます。こうした丁寧なサポートが、従業員の不安を和らげ、新しいシステムへの移行を促すでしょう。
ステップ6:まずは小さく試して効果を測定する
本格的な展開の前に、限定した範囲で試験的に運用し、効果を検証しながら改善点を探します。全社へ一斉に導入するとリスクがあるため、まずは限定した範囲で試すこのステップが重要です。
まず特定の部署や契約書で運用を開始し、そこで見つかった課題を基に業務フローやマニュアルを改善します。導入前に設定した目標の達成度を測定したり、利用者アンケートで評価を集めたりすることも、次の展開を計画する上で有効です。
ステップ7:取引先に案内し、協力を依頼する
契約は相手があって成立するため、取引先への丁寧な案内と協力依頼が欠かせません。事前にメールや案内状で電子契約への移行を知らせます。
その際、「印紙代が不要になる」「郵送の手間が省ける」といった、取引先側のメリットを伝えることが、理解を得るためのポイントです。操作が簡単で費用負担もないことを説明し、取引先の不安を解消します。電子契約が難しい取引先のために、当面は紙の契約も並行して受け付けるなど、柔軟な対応を準備しておくと、よりスムーズな移行が期待できるでしょう。
【FAQ】電子契約に関するあらゆる疑問を解消!Q&A集
電子契約を導入する際に多くの人が感じる疑問に、ひとつずつわかりやすくお答えします。基本から実践まで、初めての方にも役立つ情報をまとめました。
Q1. 電子契約に従来の印鑑(ハンコ)は必要ですか?電子印鑑とは何が違いますか?
電子契約に物理的な印鑑は不要で、その役割は「電子署名」が担います。
なぜなら、電子署名は「本人が作成し、改ざんされていないこと」を法的に証明する技術だからです。一方、印影を画像化した「電子印鑑」には、法的な証明力はありません。
契約の有効性を法的に担保するためには、電子印鑑だけでなく、信頼性の高い電子署名の利用が不可欠となるでしょう。
<関連記事> 電子サインとは?電子署名との違いや利用シーン・使い方を解説
Q2. 取引先が電子契約システムを導入していなくても、電子契約は可能ですか?
はい、取引先がシステムを導入していなくても電子契約は可能です。
多くのサービスが「立会人型」という方式を採用しており、相手方はアカウント登録などが不要なためです。取引先は、受信したメールのリンクを開き、内容を確認して承認するだけで手続きが完了します。
このように、相手方に負担をかけずに電子契約へ移行できるため、スムーズな導入が期待できます。
Q3. スマートフォンやタブレットだけでも電子契約は利用できますか?
はい、スマートフォンやタブレットだけでも利用できます。
ほとんどの電子契約サービスは、パソコン以外のモバイル端末にも対応しているからです。インターネット環境さえあれば、場所を選ばずに契約書の確認や承認ができるため、業務の柔軟性とスピード向上が期待できます。
Q4. 建設業や不動産業(賃貸借契約など)でも電子契約は使えますか?特別な注意点は?
はい、利用できます。ただし、一部の契約では現在も法律で書面が義務付けられているため注意が必要です。
法改正で多くの書類が電子化に対応しましたが、すべての契約が対象ではないからです。例えば、不動産取引の重要事項説明書などは電子化可能ですが、事業用定期借地契約のように、依然として書面での対応が必要なものもあります。
導入前には、自社が扱う契約が電子化の対象かどうかを、関連法規で確認することが重要となるでしょう。
Q5. 電子契約で作成・締結した契約書(PDF等)は、どのように、どのくらいの期間保管すれば法的に問題ないですか?
電子契約書は、「電子帳簿保存法」の要件を満たす形で、原則7年間(法人税法)保管する必要があります。
電子データが法的な証拠として認められるには、法律で定められた方法での保存が必須だからです。具体的には、データが「改ざんされていないこと(真実性)」と「速やかに検索・表示できること(可視性)」を確保しなければなりません。
多くの電子契約システムはこれらの要件に対応しているため、システムを活用することで法令に準拠した適切なデータ保管が期待できます。
<関連記事> 電子契約の原本とは? 求められる要件や保管方法をわかりやすく解説!
<関連記事> 電子帳簿保存法とは?対象書類や2024年の改正内容をわかりやすく解説
※参照 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000025
Q6. 無料の電子契約サービスと有料の電子契約サービス、どちらを選ぶべきでしょうか?メリット・デメリットは?
利用頻度や求める機能に応じて選びます。手軽なのは無料サービスですが、ビジネスでの本格利用には機能やセキュリティが充実した有料サービスが適しています。
無料サービスは費用がかからない反面、送信数や機能に制限があります。有料サービスはコストがかかりますが、内部統制や高度なセキュリティ機能が利用できます。
- 無料サービス向き:利用頻度が低い、まず試してみたい場合
- 有料サービス向き:企業として本格導入し、業務効率やセキュリティを重視する場合
このように、自社の利用目的と規模に合ったサービスを選ぶことで、費用対効果の高い導入が期待できます。
Q7. 電子契約のセキュリティについて、改ざんリスクや情報漏洩を防ぐための具体的な方法を教えてください。
電子契約の安全性は、「電子署名」「タイムスタンプ」といった技術と、システムの「アクセス管理」機能によって確保されています。
これらの技術が、契約が「本人のもの」であり「改ざんされていない」ことを証明し、アクセス管理が権限のない人による情報漏洩を防ぐからです。具体的には、暗号化通信や本人確認、操作履歴の記録などがセキュリティを固めています。
これらの対策が講じられた信頼性の高いシステムを選ぶことで、安全な契約業務の運用が期待できるでしょう。
<関連記事> 電子証明書はどんな仕組み? 公開鍵暗号基盤や電子署名もわかりやすく解説
Q8. 英語で作成された契約書も電子契約で締結できますか?海外取引での注意点は?
はい、英語をはじめ、どの言語の契約書でも電子契約で締結できます。
電子契約システムは契約書の言語を問わず、ファイルそのものに電子署名を行う仕組みだからです。海外取引で注意すべき点は、契約書に「準拠法(どの国の法律に従うか)」と「裁判管轄(どこで裁判をするか)」を明確に定めておくことです。
これらの点を事前に取り決めておくことで、万が一のトラブルにもスムーズに対応することが可能となります。
Q9. 電子契約の導入にあたって、弁護士などの専門家に相談する必要はありますか?
必須ではありませんが、法務部門がない場合や、複雑・高額な契約を扱う場合には相談を推奨します。
法的なリスクを事前に検討し、安心して運用を開始できるからです。例えば、自社の運用に合わせた詳細な利用規定を作成したい場合や、特殊な法律が関わる契約を電子化したい場合に相談すると良いでしょう。
Q10. 収入印紙が不要になるのはなぜですか?その法的な根拠を詳しく教えてください。
電子データでやり取りする電子契約は、印紙税法上の「課税文書の作成」に当たらないため、収入印紙は不要です。
印紙税法が課税対象としているのは、物理的な「紙」の文書の作成・交付だからです。電子データはこの「紙の文書」に該当しない、と国税庁も見解を示しています。
<関連記事> 電子契約で収入印紙が不要なのはなぜか?その理由・根拠や注意点を解説
まとめ
電子契約は、紙の契約書に代わる新しい契約手段として、近年多くの企業で導入が進んでいます。印紙代や郵送の手間が省けるほか、契約締結までのスピードが早まるなど、さまざまなメリットがあります。特に、業務の効率化やコスト削減を考えている方にとっては、有力な選択肢のひとつです。
導入にあたっては、仕組みや注意点をあらかじめ理解しておくことが大切です。法律上すべての契約が電子化できるわけではないため、自社に合った導入方法を検討しましょう。
なお、契約書の作成から管理までをスムーズに行いたい方には、「LegalOn Cloud」の活用もおすすめです。AIを活用したクラウド型サービスで、契約業務や法務対応を一元化できるため、実務の負担をぐっと軽くしてくれます。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。