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内部統制システムに関する基本方針とは?定めるべき項目を企業の現状ごとに解説

内部統制システムに関する基本方針とは?定めるべき項目を企業の現状ごとに解説

内部統制システムを構築する際に作成が必要な基本方針。企業の状況によって設定すべき項目が定められており、適切な内容にする必要があります。

本記事では、内部統制システムの概要から基本方針について、システム構築時の注意点までを解説します。内部統制システムに関する基本方針を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。


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内部統制システムとは

内部統制システムは、法令に沿った形で業務を進めるための仕組みです。法令に沿った内部統制システムを構築することで、健全な経営活動の実施や企業を取り巻くリスクの軽減を図れます。

内部統制システムの構築は、不正の防止や業務ミスの抑止にも効果的です。業務を可視化できるため、従業員間での監視・統制がしやすくなり、違法行為や情報漏えいなどが発生しにくい環境をつくれます。

関連記事:内部統制システムとは?定義やメリットを解説

構築が義務付けられている企業がある

内部統制システムは、会社法と金融商品取引法に規定されており、一部の会社に対して構築を義務付けています。

会社法では、大会社が内部統制システムにおける構築義務の対象です(会社法362条)。大会社とは、「資本金5億円以上、または負債200億円以上」の株式会社が該当します(会社法2条6号)。


一方で金融商品取引法では、有価証券報告の義務を負う有価証券の発行企業に対して、内部統制報告書の提出を義務付けています(金融商品取引法24条)。つまり、上場企業は原則として内部統制システムの構築が必要ということです。


なお、会社法では業務の適性の確保、金融商品取引法では財務に関する書類の適正性の確保が重視されています。

関連記事:内部統制システムの構築が義務付けられている会社は?定義や構築するメリットについて解説

コーポレートガバナンスとの関係性

コーポレートガバナンスは、企業の経営を監視するための仕組みです。内部統制は社内向けの仕組みづくりであるのに対し、コーポレートガバナンスは株主などの利益を守ることに重きを置いています。

重視されるものは異なりますが、双方ともに健全な経営活動の実現、企業の信頼性向上などに必要な取り組みです。内部統制を適切に構築することで、コーポレートガバナンスの強化にもつながります。


会社法における内部統制システムの基本方針について

会社法では、内部統制システムの構築・運用にあたり、取締役会にて基本方針の決議をおこなうように定めています。主には企業の経営方針や行動指針、法令遵守に関する基準の策定・充実したコンプライアンス体制づくりなどです。

また、会社法施行規則では、内部統制システムの構築で整備しておくべき基本項目を定めており、企業の状況によって内容が異なります。


共通して定めなければならない項目

まずは内部統制システムの構築が義務とされている企業が、共通して定めなければならない項目についてです。該当企業は、以下にある5つの項目の整備が求められます。

  • 取締役の職務執行に関する情報の保全・管理体制
  • 企業の損失の危機を管理するための体制
  • 取締役の職務が効率的におこなわれることを確保するための体制
  • 使用人(従業員)の職務の執行が、法令・定款に適合した内容であることを確保する体制
  • グループ企業における業務の適正を確保するための体制
    (参照:会社法 施行規則第100条)

監査役を設置している企業

監査役を設置している企業の場合には共通項目に加えて、追加で以下の項目の整備が必要です。

  • 監査役の職務を補助すべき取締役や使用人に関する事項
  • 前号における取締役および使用人の独立性に関する事項
  • 取締役や使用人に対する監査役の指示の実行性を確保するための事項
  • 監査役への報告に関する体制
    (参照:会社法 施行規則第100条3項)

会社法施行規則第100条3項は、主に監査役の独立性や実行性を確保するための規定です。また、監査役への報告体制の整備も含まれます。


監査役を設置していない企業

監査役を設置していない企業の場合、「取締役が必要事項を株主に報告するための体制」の整備が必要です(会社法施行規則第100条2項)。取締役が執行する業務に関して、株主が実効的な監視ができるような体制づくりが求められます。

金融商品取引法における内部統制システムの基本的な方針 について

金融商品取引法では、会社法よりもさらに詳細まで規定がされています。金融商品取引法における内部統制の構築義務は、上場企業が対象です。

金融庁では、内部統制の評価や監査に関する基準を定めており、上場企業は基準に沿った内部統制システムを構築しなければなりません。金融庁

「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」に定められた4つの目的と、6つの基本的要素を加味したシステムを構築する必要があります。

加えて提出する内部統制報告書は、原則として企業と利害関係のない監査法人、または公認会計士の監査証明を受けることが必要です(金融商品取引法第193条2項2)。監査では、定められた基準を満たしているかをチェックされます。


内部統制システムを構築する際の注意点

内部統制システムを構築する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 法律に則った内容で構築する
  • 運用体制を整える
  • 問題点を見つけた場合の対処法を定めておく

法律に則った内容で構築する

内部統制システムは、法律に沿った内容で構築することが大切です。法律に沿ったシステムを適切に運用することで、リスク管理がしやすくなります。

法律では大まかな方針は定められていますが、具体的な内容までは規定されていません。業務や事業に応じて、法律と照らし合わせながら、自社に適した内容で構築することが求められます。

運用体制を整える

内部統制システムの構築にあたっては、運用体制の整備も重要です。どれだけ充実したシステムを構築しても、適切な運用ができなければ、リスクの回避・軽減にはつながりません。
運用体制とチェック体制をしっかりと構築することで、適切な運用が図れます。

なお、業務やトレンドの変化によっては、内部統制の見直しが必要な場合も出てきます。効果的なシステムを維持するには、定期的なチェックを実施し、必要に応じて改善を図りましょう。


問題点を見つけた場合の対処法を定めておく

内部統制システムの構築・運用では、問題点を見つけた場合の対処法を定めておくこともポイントです。問題点を発見した場合、迅速な対応が望ましいですが、改善することで新たなリスクが生じる場合があります。

たとえばチェック体制が甘いという問題が発見されたときは、チェック体制の見直しが必要です。しかし、ただ担当者のチェック業務を増やすだけでは、メイン業務に注力できなかったり、担当者の負担が増えすぎたりするなど、新たな弊害が生じる場合があります。

問題点が発見されたときは、社内で想定されるリスクや改善で生じる影響を十分に検討し、改善策について総合的に判断しましょう。

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LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

<関連記事> 法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策

まとめ

内部統制システムに関する基本方針は、法律に則った形で定めるのが大切です。企業の状況によっては、追加で設定しなければならない項目もあります。適切な基本方針を定めることで、リスク管理や業務効率アップにも期待できるでしょう。

また、基本方針を定めたあとは、方針に沿って適切な体制をつくることが重要です。基本方針は、定めるだけでなく、きちんと体制を構築し、適切に運用してこそ効果が期待できます。

ITサービスなどもうまく活用しながら、自社に合った体制づくりに取り組みましょう。

NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

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