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内部統制システム構築の完全ガイド! 4つの目的と6つの要素・注意点を徹底解説

内部統制システム構築の完全ガイド! 4つの目的と6つの要素・注意点を徹底解説

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内部統制システムは、法令に沿った形で業務を進めるための仕組みで、企業によっては設定すべき項目が定められている場合があります。本記事では、内部統制システムの概要から基本方針について、システム構築時の注意点までを解説します。内部統制システムに関する基本方針を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

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内部統制システムとは

内部統制システムは、法令に沿った形で業務を進めるための仕組みです。法令に沿った内部統制システムを構築することで、健全な経営活動の実施や企業を取り巻くリスクの軽減を図れます。

内部統制システムの構築は、不正の防止や業務ミスの抑止にも効果的です。業務を可視化できるため、従業員間での監視・統制がしやすくなり、違法行為や情報漏えいなどが発生しにくい環境をつくれます。

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構築が義務付けられている企業

内部統制システムは、会社法と金融商品取引法に規定されており、一部の会社に対して構築を義務付けています。

会社法では、大会社が内部統制システムにおける構築義務の対象です(会社法第362条第5校)。大会社には、「資本金5億円以上、または負債200億円以上」の株式会社が該当します(会社法第2条第6号)。

一方で金融商品取引法では、有価証券報告の義務を負う有価証券の発行企業に対して、内部統制報告書の提出を義務付けています(金融商品取引法第24条)。つまり、上場企業は原則として内部統制システムの構築が必要ということです。

なお、会社法では業務の適性の確保、金融商品取引法では財務に関する書類の適正性の確保が重視されています。また、構築が義務付けられていない非上場企業・中小企業などにおいても、経営活動の透明化などを目的として内部統制システムを構築することが可能です。

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コーポレートガバナンスとの関係性

内部統制は、社内向けの仕組みづくりで、経営者が従業員などを管理することが目的です。一方、コーポレートガバナンスは、企業の経営を監視するための仕組みで、株主などの利益を守ることに重きを置いています。コーポレートガバナンスの整備に法的な定めはありませんが、金融庁と東京証券取引所によるガイドライン、コーポレートガバナンス・コードに明記されており、上場企業が遵守しない場合はペナルティが課せられます

それぞれ監視対象や目的は異なりますが、双方ともに健全な経営活動の実現、企業の信頼性向上などに必要な取り組みです。内部統制を適切に構築することで、コーポレートガバナンスの強化にもつながります。

会社法における内部統制システムの基本方針について

会社法では、内部統制システムの構築・運用にあたり、取締役会にて基本方針の決議をおこなうように定めています。主には企業の経営方針や行動指針、法令遵守に関する基準の策定・充実したコンプライアンス体制づくりなどです。

また、会社法施行規則では、内部統制システムの構築で整備しておくべき基本項目を定めており、企業の状況によって内容が異なります。

共通して定めなければならない項目

まずは内部統制システムの構築が義務とされている企業が、共通して定めなければならない項目についてです。該当企業は、以下にある5つの項目の整備が求められます。

  • 取締役の職務執行に関する情報の保全・管理体制
  • 企業の損失の危機を管理するための体制
  • 取締役の職務が効率的におこなわれることを確保するための体制
  • 使用人(従業員)の職務の執行が、法令・定款に適合した内容であることを確保する体制
  • グループ企業における業務の適正を確保するための体制
    (参照:会社法 施行規則第100条)

監査役を設置している企業

監査役を設置している企業の場合には共通項目に加えて、追加で以下の項目の整備が必要です。

  • 監査役の職務を補助すべき取締役や使用人に関する事項
  • 前号における取締役および使用人の独立性に関する事項
  • 取締役や使用人に対する監査役の指示の実行性を確保するための事項
  • 監査役への報告に関する体制
    (参照:会社法 施行規則第100条3項)

会社法施行規則第100条3項は、主に監査役の独立性や実行性を確保するための規定です。また、監査役への報告体制の整備も含まれます。

監査役を設置していない企業

監査役を設置していない企業の場合、「取締役が必要事項を株主に報告するための体制」の整備が必要です(会社法施行規則第100条2項)。取締役が執行する業務に関して、株主が実効的な監視ができるような体制づくりが求められます。

金融商品取引法における内部統制システムの基本的な方針 について

金融商品取引法では、会社法よりもさらに詳細まで規定がされています。金融商品取引法における内部統制の構築義務は、上場企業が対象です。

金融庁では、内部統制の評価や監査に関する基準を定めており、上場企業は基準に沿った内部統制システムを構築しなければなりません。「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」(金融庁)に定められた4つの目的と、6つの基本的要素を加味したシステムを構築する必要があります。

加えて提出する内部統制報告書は、原則として企業と利害関係のない監査法人、または公認会計士の監査証明を受けることが必要です(金融商品取引法第193条2項2)。監査では、定められた基準を満たしているかをチェックされます。

内部統制の4つの目的

内部統制は、以下の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスです。

  • 業務の有効性及び効率性
  • 財務報告の信頼性
  • 事業活動に関わる法令等の遵守
  • 資産の保全

出典:金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準

以下、4つの目的を詳しく解説します。

業務の有効性および効率性

事業活動の目的の達成のために業務の有効性と効率性を高めることをいいます。必要に応じて事業活動を個々の業務に細分化し、細分化した業務ごとに合理的な目的を設定することが必要です。

財務報告の信頼性

財務諸表および財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保することをいいます。財務報告の重要な事項に虚偽記載が生じることのないよう、必要な体制を整備し、運用することにより、組織の財務報告に係る信頼性が保たれます。

事業活動に関わる法令等の遵守

事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進することをいいます。組織が存続し発展していくためには、事業活動に関し、適切な法令遵守体制を整備することが重要です。

資産の保全

資産の取得、使用および処分が正当な手続および承認の下に行われるよう、資産の保全を図ることをいいます。仮に正当な手続及び承認の下に取得、使用及び処分が行われていない場合には、すみやかに発見して対応を図る体制を整備し、運用することが求められます。


実際に内部統制システムを整備する際には、システムの中に上記4つの目的が体現されているかについて、具体的なオペレーションを検証することが必要です。

内部統制の6つの基本的要素

内部統制は、その目的を達成するための6つの基本的要素から成っています。これらが適切に整備されているかが、内部統制システムの有効性の判断基準となります。

  • 統制環境
  • リスクの評価と対応
  • 統制活動
  • 情報と伝達
  • モニタリング
  • IT(情報技術)への対応

出典:金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準

統制環境

統制環境とは、組織の気風を決定し、他の基本的要素の基礎をなし、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応に影響を及ぼす基盤をいいます。

 統制環境に含まれる一般的な事項は以下の通りです。

  • 誠実性及び倫理観
  • 経営者の意向及び姿勢
  • 経営方針及び経営戦略
  • 取締役会や監査役等の有する権能
  • 取締役会及び監査役、監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)の有する機能
  • 権限及び職責
  • 人的資源に対する方針及び管理

出典:金融庁 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準

リスクの評価と対応

リスクの評価とは、組織目標の達成に影響を与える事象のうち、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価するプロセスをいいます。

具体的には、天災、盗難、市場競争の激化、為替や資源相場の変動といった組織を取り巻く外部的要因と、情報システムの故障・不具合、会計処理の誤謬・不正行為の発生、個人情報及び高度な経営判断に関わる情報の流失又は漏洩といった組織の中で生ずる内部的要因など、様々なものが挙げられます。

統制活動

統制活動とは、経営者の命令や指示が適切に実行されることを確保するために定められる方針及び手続きをいいます。 権限や職責の付与、職務の分掌等が含まれます。

経営者は、不正又は誤謬等の行為が発生するリスクを減らすために、各担当者の権限及び職責を明確にし、権限及び職責の範囲において適切に業務を遂行していく体制を整備していくことと、職務を複数間で分担又は分離させることも重要です。

情報と伝達

必要な情報が識別・把握・処理され、組織内外や関係者相互に正しく伝えられる仕組みを確保することをいいます。組織内のすべての者が職務の遂行に必要とする情報は、適切に、識別、把握、処理及び伝達され、正しく理解され、組織内で共有されることが必要です。

モニタリング

モニタリングとは、内部統制システムが有効に機能していることを、継続的に評価するプロセスをいいます。日々の業務の中で常にモニタリングを行うとともに、取締役・監査役・社内の監査部門などは、それぞれの視点から定期的にモニタリングを実施する必要があります。

ITへの対応

 ITへの対応は、会社組織の目標を達成するための方針や手続きを定め、それを踏まえて、組織の内外のIT要素について適切に対応することをいいます。


これらの要素を適切に整備することで、企業は様々なリスクに対応し、目標達成を促進することができます。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?次の章では、内部統制システムを導入することで得られるメリットについて詳しく解説していきます。

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内部統制システムのメリット

内部統制システムを構築することには、さまざまなメリットがあります。

法令遵守とリスク管理の強化

内部統制システムは、企業が法令や規制を遵守し、ビジネスリスクを効果的に管理することにつながります。不正行為の予防、業務プロセスの効率化、そして情報の精度と信頼を得ることができ、企業は法的な問題や、リスクによる損失を防ぐことができるのです。

企業の信頼性とブランド価値の向上

内部統制が適切に行われている企業は、顧客やビジネスパートナーからの信頼を勝ち取ることができます。これは、企業のブランド価値の向上に寄与し、さらには新しいビジネスの機会を引き寄せる可能性もあります。

ステークホルダーとの関係強化

内部統制システムは、企業とそのステークホルダーとの間の関係を深める役割も果たします。適切な内部統制が施されている企業は、透明性があり、信頼性のある情報をステークホルダーに提供することができ、これが長期的な信頼関係の構築につながります。これは、企業が持続可能な成長を遂げる上で非常に重要な要素となります。

内部統制システムを構築する際の注意点

内部統制システムを構築する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 法律に則った内容で構築する
  • 運用体制を整える
  • 問題点を見つけた場合の対処法を定めておく

法律に則った内容で構築する

内部統制システムは、法律に沿った内容で構築することが大切です。法律に沿ったシステムを適切に運用することで、リスク管理がしやすくなります。

法律では大まかな方針は定められていますが、具体的な内容までは規定されていません。業務や事業に応じて、法律と照らし合わせながら、自社に適した内容で構築することが求められます。

運用体制を整える

内部統制システムの構築にあたっては、運用体制の整備も重要です。どれだけ充実したシステムを構築しても、適切な運用ができなければ、リスクの回避・軽減にはつながりません。
運用体制とチェック体制をしっかりと構築することで、適切な運用が図れます。

なお、業務やトレンドの変化によっては、内部統制の見直しが必要な場合も出てきます。効果的なシステムを維持するには、定期的なチェックを実施し、必要に応じて改善を図りましょう。


問題点を見つけた場合の対処法を定めておく

内部統制システムの構築・運用では、問題点を見つけた場合の対処法を定めておくこともポイントです。問題点を発見した場合、迅速な対応が望ましいですが、改善することで新たなリスクが生じる場合があります。

たとえばチェック体制が甘いという問題が発見されたときは、チェック体制の見直しが必要です。しかし、ただ担当者のチェック業務を増やすだけでは、メイン業務に注力できなかったり、担当者の負担が増えすぎたりするなど、新たな弊害が生じる場合があります。

問題点が発見されたときは、社内で想定されるリスクや改善で生じる影響を十分に検討し、改善策について総合的に判断しましょう。

内部統制システムの適切な運用を

内部統制システムに関する基本方針は、法律に則った形で定めるのが大切です。企業の状況によっては、追加で設定しなければならない項目もあります。適切な基本方針を定めることで、リスク管理や業務効率アップにも期待できるでしょう。

また、基本方針を定めたあとは、方針に沿って適切な体制をつくることが重要です。基本方針は、定めるだけでなく、きちんと体制を構築し、適切に運用してこそ効果が期待できます。ITサービスなどもうまく活用しながら、自社に合った体制づくりに取り組みましょう。

なお、LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。AIによる支援で社内の法務体制の確立に寄与し、内部統制システムの整備に貢献します。必要な機能だけを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

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NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

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