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三菱鉛筆がたどった法務改革の道のり LegalForceで変わった役割

三菱鉛筆がたどった法務改革の道のり LegalForceで変わった役割

ボールペン「ジェットストリーム」など筆記具販売を手掛ける三菱鉛筆株式会社。新規事業の展開で法務の業務量が増えるなか、法務としての役割の変化を見据え、LegalForceを導入しました。導入の後押しになったのは、上司をある催しに参加させたことでした。導入に向け部内ではどんな議論があったのか。「効率化」だけではないリーガルテック導入の意義とは。担当者に聞きました。

リーガルテックを使わないやり方では変えられない

―――LegalForce導入時の法務室の課題感について、改めて教えてください。

寺杣氏 二つありました。一つは新しく入ったメンバーの教育についてです。当社の法務室は数名体制で数年に一度、新しい社員を他部署から迎えています。

新メンバーは法律の知識に明るい人ばかりではないため、その都度「契約書とは」の段階から教えていますが、かなり時間を取られていたため、改善できないかと考えていました。

寺杣 緑 氏

もう一つは、審査品質を保ちながら効率化を図ることです。当社は新規事業への取り組みを進めているといったこともあって契約件数は以前より大幅に増えており、体感では私が法務室に配属になった10年前と比較すると4~5倍ほどになっています。契約件数は今後も増える一方、人員は増えないことが予測できていました。

―――LegalForceの導入に至るまでの経緯について教えてください。

寺杣氏 上記のような課題感を持っていたころ、「LegalForceというサービスがあるらしい」と法務の友人などから耳にしました。当時はリーガルテックのサービスはほとんどなく、「とりあえず使ってみよう」という思いで、LegalForceのベータ版を使い始めたという経緯です。

また、法務室として案件相談を待っている「受け身」の姿勢から脱したい、という思いを持っている中でLegalForceが出てきたことも契機でした。
従来のやり方を変えるために、リーガルテックを活用してみようという思いがありました。

―――最終的にLegalForceを導入いただいた理由を教えてください。

寺杣氏 複数サービスを比較し、カスタマイズなしで使い始められることと、開発スピードがはやく、機能がどんどん増えていくことを評価しました。

藤本氏 私は2020年4月の緊急事態宣言下、法務未経験で法務室に配属になり、すぐに在宅勤務になりました。在宅勤務下では、メンバーとコミュニケーションできる時間も、手元にある参考書籍も限られた状態でした。そんな状況下において、LegalForceの自動レビュー機能と解説機能には随分と助けられ、スムーズに仕事を始められたのを覚えています。

藤本 圭 氏

費用対効果を算出して効果を説明

―――導入時、上司の方への説明はどのように行いましたか。

寺杣氏 検討当初の反応は良好だったのですが、検討が進んで導入局面になると、やはり費用対効果の説明を求められました。

その際は、「このままの体制でかかる時間」と「LegalForceを入れることで省ける時間」を算出する資料を作成しました。

例えば「新しく異動してきたメンバーに契約書作成依頼が来た」というケースで、
①事業部門へのヒアリング、②契約書ドラフトの方向性決め、③契約書の作成、④他のメンバーのチェック、⑤事業部門への戻し、という工程について時間を算出しました。

LegalForceがあれば、契約類型によってチェックするべき項目をすぐに確認できますし、従来はフォルダに入っている類似の契約書を探すところから始めていたドラフト作成の時間もなくなる。教える側のチェック時間も削減できます。

LegalForceを導入した場合、従来かかっていた半分程度の時間が省けると試算し、「導入費用分程度の効果がある」ということが想定できました。ただ実際使ってみたら、想定以上の効果が出ましたね。

> 三菱鉛筆株式会社様の導入事例インタビュー

これからさらに機能が増えることも開発スケジュールを聞いて理解しており、導入に向けた議論が進みました。

―――ちなみに予算についてはどのように確保しましたか。

寺杣氏 LegalForceを導入を検討する時点で部門としての予算は使い切っており、足が出てしまう状態でした。しかし将来の体制も念頭に、「導入費用は(予算枠と)別で考えてください」とお願いしました。そこは上司に思い切っていただきました。

他社との交流が導入への後押しに

―――導入にあたっての壁はありましたか。

寺杣氏 そもそも「リーガルテックとは」というところから理解してもらい、効果を認識してもらう必要がありました。結局、上司は法務スキルがあるため契約審査をすることに苦労がなくて、かつ現在の立場では審査することも多くない。導入効果をイメージするのが難しいと思います。

―――どのように解決しましたか。

寺杣氏 LegalForceが主催したユーザーが集まるイベントに、上司に参加してもらい、意見交換してもらいました。社内で部下から導入意義を説明されるより、立場や役職が同じくらいの方との意見交換は効果があったようで、導入への機運が一気に高まりました。

「効率化のための予算」より…

―――課題感でおっしゃっていた「法務室の役割の変化」について、上司の方に認識してもらうにはどのような説明が良いでしょうか。

寺杣氏 コロナ下で市場環境が変化しているなか、「今までと同じ法務の役割で良いのか」という議論をするべきではないでしょうか。

ただ、抽象的な話をするのではなく、例えば中期経営計画などをもとに「3年後までに法務としてこういう体制を作ろう」というビジョンを描き、そこに向かうためのツールとして「リーガルテックの活用」という選択肢を検討するのが良いと思います。

「リーガルチェック効率化のため」という議論も必要だと思いますが、より長期的な視野でリーガルテックの有効性を議論することも有効ではないでしょうか。

事業部門と二人三脚の法務室へ

―――LegalForceを導入後、貴社として法務の役割はどのように変化していますか。

藤本氏 契約にかかわる業務効率化が進んだことで、時間の使い方が変わりました。これまでは、メンバーが日々の業務に追われ、相談が来たらはじめて対応する、いわゆる受け身の状態になりがちだったところが、今では事業立ち上げの段階から積極的に関与できるようになりました。

例えば、三菱鉛筆として初のオンラインレッスン配信サービス「Lakit」を始める際は、立ち上げ当初から毎週のように事業部門とミーティングを組み、Webサービス関連の法令、販売促進策に関することや利用規約などについてアドバイスをしました。

「やりたいことを思いついたら全部箇条書きにして一度法務に見せてください」という様子で情報を提供してもらって、担当者では気付けないリスクをサービス開始前に排除するなど、二人三脚で事業化を進めることができました。

こうした取り組みのほか、これからは法務から会社全体への情報発信にもっと取り組めたらと思っています。

寺杣氏 法務には成長のステップがあり、当社では①「法務って何をしているの?」と社内から思われている状態、②法務の存在が認識され、相談が来るようになる状態、③立ち上げ段階から事業に関わることでリスクを早期に取り除く・法務側から情報発信するようになる状態、とステップアップしてきました。
まだ道半ばで、事業会社の法務としてさらに積極的に事業に関わっていきたいです。


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