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法務DXの失敗はなぜ起こる?現場に根付く導入の3ステップを解説

法務DXの失敗はなぜ起こる?現場に根付く導入の3ステップを解説

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多くの企業がDXを推進する中、なぜ法務DXは失敗しやすいのでしょうか。法務DXは、業務プロセスや組織を変革し、効率化や品質向上を図ることを指します。しかし、専門性や属人化といった特有の課題から、単にツールを導入するだけでは期待した効果が得られず、失敗に終わるケースが後を絶ちません。

この記事では、法務DXの概要やよく見られる失敗例、成功のための3ステップについて解説し、導入を検討する際のヒントをお届けします。

なぜ、多くの法務DXは「失敗」に終わるのか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業の競争力強化に不可欠な経営課題となっています。しかし、法務部門におけるDXは、他の分野に比べて進捗が遅れているのが現状です。その背景には、法務業務の専門性や属人化、紙媒体での管理といった特有の課題が存在します。そして、いざDXを導入しても、期待した効果が得られず、失敗に終わってしまうケースが後を絶ちません。

そもそも法務DXとは?

法務DXとは、契約書の作成・レビュー、管理、コンプライアンス遵守といった法務業務全体に、デジタル技術やツールを導入し、業務プロセスや組織の法務体制にデジタルテクノロジーを組み込むプロセス全般を指します。単に電子契約システムやAIレビューツールを導入するだけでなく、これらのツールを使いこなして業務の効率化、情報の可視化、ミスの削減、属人化の解消などを目指すものです。法務部門のDXは、経営リスクの低減や企業のガバナンス強化にも寄与するため、その重要性は近年ますます高まっています。

法務DXの現状と導入の課題

法務部門のDXは、営業や経理部門と比較して遅れが出ている企業が少なくありません。この遅れには、いくつかの要因が存在すると考えられます。

1. 業務の属人化

法務業務は高度な専門知識を要するため、担当者個人のスキルや経験に依存する部分が大きく、業務プロセスが標準化されにくい傾向があります。

2. 紙媒体・Excelでの管理

現行の契約書や規程といった重要書類が、紙やExcelファイルで管理されている企業は依然として多く、情報の検索や共有を効率的にするツールへの移行の心理的障害となっている場合があります。

3. 法務部門内の抵抗感 

実際にDXの影響を受ける法務部門内部に、長年の慣行や現行の業務フローを変えることへの抵抗感が存在する場合があります。新しいツールの操作習得や、それに伴う業務プロセスの見直しに難色を示す担当者がいると、DXの導入は進みにくくなります。

4. 経営層への説明の難しさ

法務DXの投資対効果が定量的に見えにくいため、経営層からの理解や予算獲得が困難となる場合があります。これらの課題を乗り越え、法務DXを成功に導くには、単なるツールの導入ではなく、綿密な計画に基づいた進め方が不可欠です。

あなたの会社は大丈夫?法務DXにありがちな5つの失敗パターン

法務DXの失敗には、共通するいくつかのパターンがあります。これらは、特定のツールや技術に起因するものではなく、多くの場合、導入プロセスや推進体制の不備に根ざしています。自社の状況と照らし合わせながら、ありがちな失敗パターンを確認してみましょう。

失敗パターン1:ツールありきで目的が曖昧な「見切り発車型」

多くの企業が陥りやすいのが、この「見切り発車型」の失敗です。「他社がAI契約レビューツールを導入したから」「とりあえず最新のツールを入れてみよう」といった曖昧な動機で法務DXの導入を始めると、このような失敗パターンに陥ることがあります。具体的な導入の目的や解決したい法務上の課題を明確にしないままツールを導入しても、現場のニーズに合致せず、誰も使わない「無駄な投資」に終わる可能性が否定できません。

この失敗を避けるためには、「何のためにDXを行うのか」「どのような課題を解決したいのか」という目的を、導入前に徹底的に言語化することが極めて重要となります。

失敗パターン2:現場がついていけない「トップダウン独走型」

経営層や法務部門の責任者が独断でDXプロジェクトを推進し、現場の意見を十分に汲み取らないままツールを導入すると、現場のニーズや課題に合わない結果に繋がる可能性があります。

法務DXは業務プロセスの変化に直結する場合も多くあるため、現場にとってのメリットが感じられなければ「業務が増えるだけ」「使い方が複雑で面倒」といった不満につながりかねません。その結果、新しいツールが形骸化し、従来の非効率なやり方に戻ってしまうケースも想定されます。法務DXの導入を成功させるには、現場のニーズをヒアリングしつつ当事者意識を醸成し、全員でプロジェクトを推進していく体制を構築することが不可欠です。

失敗パターン3:導入して満足してしまう「放置・運用停止型」

せっかく高額な費用と時間をかけてツールを導入したにもかかわらず、その後のフォローアップや運用状況のチェックを怠るケースです。導入直後は利用されても、徐々に利用率が低下し、最終的には使われなくなるという状況は珍しくありません。

ツールは導入して終わりではなく、継続的な運用改善が最終的な成功の鍵を握ります。現場からのフィードバックを定期的に収集し、利用状況に応じて運用ルールや変化するニーズを柔軟に見直すことで、ツールの定着を図ることが重要です。

失敗パターン4:全社的な連携を欠いた「法務部門単独完結型」

法務業務は、営業、人事、経理といった他部門と密接に関わっています。例えば、契約書は営業部門が作成し、法務部門がレビュー、そして経理部門が請求書を管理するといった、部門を跨いだワークフローが存在するためです。

法務部門だけでDXを進めても、このワークフローの分断は解消されず、部門間の非効率が残ったままになります。法務DXを成功させるには、他部門を巻き込み、全社的な視点から業務プロセス全体を最適化する視点が求められます。

失敗パターン5:ベンダー選定を誤る「情報不足の丸投げ型」

DXツールの選定において、機能や価格といった表面的な情報だけでベンダーを決めてしまうと、後に大きな問題が生じる可能性があります。例えば、自社の業務フローに合わないツールを導入してしまい、かえって業務が煩雑になる、あるいは導入後のサポート体制が不十分で運用が停滞するといった事態が想定されます。

ツールを導入する際は、社内のニーズや課題を正確に把握し、ベンダーのサポート体制やセキュリティ、将来的な拡張性などを総合的に評価することが不可欠です。

失敗を回避する法務DXの進め方:現場に根付く3ステップ

法務DXの失敗パターンを踏まえた上で、ここからは現場に根付く法務DXを実現するための具体的な進め方を3つのステップで解説します。この3ステップを参考にすることで、リスクを最小限に抑え、法務DXの導入を成功に導く助けとなるはずです。

ステップ1:導入前の「課題特定」フェーズ

このステップは、法務DXの成否を分ける最も重要なフェーズです。ここをおろそかにすると、先に示したいくつかの失敗事例につながります。

1. 現行業務の棚卸しと課題のリストアップ

契約書作成、レビュー、保管、管理にどれくらいの時間がかかっているか、どのような業務でミスが起きやすいかなど、法務部内で議論し、現状のボトルネックを洗い出します。他部門のキーパーソンにもヒアリングを行い、部門間の連携における課題も把握することが有効です。

2. 目的とゴールの明確化

「業務効率化」といった漠然とした目標ではなく「契約書のレビュー時間を週20時間削減する」「書類の印刷・郵送コストを年間〇万円削減する」といった具体的なゴールを設定します。これにより、プロジェクトの方向性が定まり、DXの効果を可視化できます。

ステップ2:導入に際する「選定・検証」フェーズ

このステップでは、いきなり導入するツールを決定するのではなく、トライアルなどを用いて、スモールスタートで検証を重ねることが重要です。これにより十分考慮を重ねた選定を行い、本当に役立つツールかを見極められます。

1. 目的と課題に合ったツールの選定

ステップ1で洗い出した課題を解決できるツールを選定します。高機能すぎず、自社の業務フローに合ったツールを選ぶことで、その後の運用を安定的に進めることができるようになります。この段階で複数のベンダーに相談を行って、サポート体制やツールの実用性も事前に確認していきましょう。

2. ツールのトライアル利用、PoC(概念実証)の実施

可能であれば、一部の担当者や特定の契約タイプに絞ってツールを試用し、使い勝手や効果を検証します。段階的に範囲を広げて、現場からのフィードバックを積極的に収集し、導入後の本格運用に向けた課題を抽出します。この慣らしの期間を含めることで、同時に現場の抵抗感を取り除くことも可能です。

3. 運用ルールの策定とマニュアル作成

ツールをどのように使うか、誰が責任を持つかといった運用ルールを明確にします。また、誰でも迷わず使えるように、詳細なマニュアルを作成し、事前に研修を実施することで、導入後のスムーズな運用を促します。

ステップ3:導入後の「運用・評価」フェーズ

先述の通り、ツールは導入して終わりではありません。継続的な改善と評価が、成功に不可欠です。導入したツールが現場に定着し、最大の効果を発揮するようにPDCAサイクルを回し続けましょう。

1. 定期的な利用状況のモニタリング

ツールがどれくらい使われているか、当初設定した目標が達成されているかを定期的にチェックします。利用率が低い場合は、その原因(操作性の問題、メリットの不明瞭さなど)を分析し、改善策を検討します。

2. 現場からのフィードバック収集と改善

定期的なミーティングやアンケートを実施し、現場の「生の声」を拾い上げます。ツールの使い方や運用ルールを柔軟に見直し、現場にとって使いやすい環境を構築します。これにより、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

3. 経営層への効果報告と次のステップの検討

コスト削減効果やリスク低減効果といったDXの成果を具体的な数字で経営層に報告します。これにより継続的な予算獲得や、DXの次のステップ(他部門への横展開など)へとつなげることが可能になります。

今日から始める法務DX成功の第一歩

法務DXの失敗は、単なるツールの問題ではなく、進め方や推進部署の情報収集不足に起因することが多いです。しかし、失敗の本質的な原因を理解し、正しいステップを踏めば、そのリスクは大幅に減らすことができます。

重要なのは、完璧なDXを目指すのではなく、まずは自社の法務業務の課題を洗い出すことから始めることです。そして、法務業務のDXを段階的に進め、現場レベルのニーズをくみ取りながら巻きとっていくことが、DXを定着させる最も確実な方法となるでしょう。

この記事では、法務DXの概要やよく見られる失敗例、成功のための3ステップについて解説してきました。貴社の法務DXを成功に導く一助となれば幸いです。

NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

世界水準の法務AI「LegalOn」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの、「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

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