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士業など開業を検討中の方向け 開業届の役割や提出後の手続きを解説

士業など開業を検討中の方向け 開業届の役割や提出後の手続きを解説
この記事を読んでわかること
    • 開業届の基本的な知識と必要性
    • 開業届の具体的な手続き方法
    • 開業届提出後に必要となる手続き

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独立開業を目指す方が最初に税務署へ提出する書類が「開業届」です。開業届は、独立開業を正式に始めるための重要な手続きであり、これを怠ると後々のトラブルの原因となりかねません。この記事では、開業届の基本的な知識から具体的な手続き方法まで、分かりやすく解説します。これを読めば、開業届に関する疑問がすべて解消され、スムーズに独立開業を進めることができるでしょう。

開業届をはじめ、独立開業直後は多くの法的手続きが待っています。事業が始まれば、契約締結の機会も増えてくるでしょう。なるべく初期の段階で法務実務体制を整えておくことが、事業をスムーズに軌道に乗せるコツです。LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。起業はもちろん、独立開業直後の方にとってもおすすめできるので、ぜひ以下より詳細を確認してください。

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開業届とは?

開業届の定義と役割

開業届とは、個人事業を開始する際に税務署に提出する書類で、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれます。開業届は、税務署が個人事業者を特定することが大きな目的と言われています。また事業者としては、開業届を提出することで事業が開始されたことが証明され、税務上のメリットが得られるようになります。

開業届の重要性

開業届は、実は提出しなくても特に罰則はなく、確定申告をすればそれが開業届の代わりになります。しかし罰則がないとはいえ、開業届の提出は所得税法で定められた義務(所得税法第229条)であり、特に士業は法律に基づいた専門資格を有する職業です。法律に基づいて業務を遂行する以上は、法に則って事業を開始することが望ましいでしょう。

お開業届提出にはメリットもあります。
とえば、開業届に屋号を記載することで、事業専用の銀行口座を開設することが可能になります。プライベートとビジネスの資金を明確に分けることができますし、取引口座が個人名義の場合よりも顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。

らに、開業届を提出することで確定申告において青色申告ができ、税制上の優遇措置を受けられます。また、開業届は融資を受ける際や、各種助成金の申請時に写しの提出を求められる場合もあるため、開業届の提出は欠かせない手続きとなります。

開業届の提出方法

提出先と方法(持参、郵送、e-Tax)

開業届の提出先は、事業所の所在地を管轄する税務署です。提出方法は下記の3つがあります。

  1. 窓口に持参する
    直接税務署の窓口に持参する方法です。持参をする利点は、提出時に窓口担当者から直接確認を受けられるため、不備があった場合にその場で修正できる点です。また、提出後に控えをその場で受け取ることができます。
  2. 郵送する
    税務署に郵送で提出する方法です。控用の届出書と返信用封筒を一緒に送ることで、後日控えが返送されます。郵送の利点は、税務署に出向く手間を省ける点ですが、控えが返送されるまでに時間がかかることがあります。
  3. e-Tax(国税電子申告・納税システム)
    インターネットを利用して電子申告する方法です。e-Taxを利用するには、事前に利用者識別番号と暗証番号を取得する必要があります。e-Taxの利点は、24時間いつでも提出できる点と、迅速かつペーパーレスで手続きが完了する点です。また、提出後すぐに控えをダウンロードすることもできます。

令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わなくなります。そのため、申告書等の正本(提出用)のみ提出となります。
 参考:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて

提出期限について

開業届は、事業を開始した日から1か月以内に提出することが求められています。しかし、期限を過ぎてから提出しても、罰則はありません。税務署では、過去の日付で作成された開業届であっても、受け付けてくれます。ただし、初年度から青色申告を希望する場合は、青色申告に必要な青色申告承認申請書を開業日から概ね2か月以内に提出する必要があり、開業届と一緒に提出することが望ましいため、遅れないように届け出るほうが無難でしょう。

業届の必要書類

開業の届け出必要な書類の一覧

開業の届け出に必要な書類は主に以下の通りです。

  1. 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
  2. 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードのコピー)
  3. 所得税の青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合)
  4. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用する場合)
  5. 消費税課税事業者選択届出書・適格請求書発行事業者の登録申請書(適格証明書(インボイス)登録をしたい場合)

各書類の取得方法

  • 本人確認書類
    転免許証やマイナンバーカードのコピーを用意します。
  • 業届
    国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。
  • 青色申告承認申請書
    
    国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。
  • 給与支払事務所等の開設届出書
    税庁のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。
  • 消費税課税事業者選択届出書
    国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。
  • 適格請求書発行事業者の登録申請書
    税庁のウェブサイトからダウンロードするか、最寄りの税務署で入手できます。

類の記入方法や提出に関して不明な点がある場合は、最寄りの税務署に相談することをおすすめします。適切な手続きを行うことで、スムーズな開業と税務処理が可能となります。

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開業届の記入方法

開業届の記入例と注意点

開業届の記入例と注意点を、実際の届出書を見ながら解説していきます。

個人事業の開業・廃業等届出書の見本

出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf


業届の記入は、正確かつ詳細に行うことが重要です。以下に主要な項目とその記入方法、注意点を説明します。

  1. 提出先(管轄税務署)/提出日
    開業届を提出する管轄の「税務署名」と「提出日」を記入します。
    所轄の税務署がわからない場合はこちらから確認できます。
  2. 納税地
    住所地・居所地・事業所のなかで、納税地に該当する項目を選択し「住所」と「電話番号」を記入します。
    住所地・居所地・事業所の違い
    住所地:実際に住んでいて住民票がある場所
    居所地:住民票はなく一時的に住んでいる場所
    事業所:事業を行っている場所
    一般的には「住所地」で届出をします。
  3. 氏名/生年月日/個人番号
    事業者の「氏名」「生年月日」、マイナンバー(通知)カードに記載されている12桁のマイナンバー「個人番号」を記入します。
  4. 職業 / 屋号
    「職業」は具体的な職業名を記入します。「屋号」がない場合は空欄でもかまいません。
  5. 届出の区分
    「開業」を選択します。
  6. 所得の種類
    所得の種類は「事業所得」を選択します。 
  7. 開業・廃業等日
    「開業日」を記入します。
  8. 事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
    新規開業の場合は記入不要です。
  9. 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
    開業届に伴って、青色申告承認申請書や消費税の課税事業者選択届出書を提出する場合は「有」にチェックを入れます。
  10. 事業の概要
    事業の概要を、具体的かつ簡潔に記入します。
  11. 給与等の支払いの状況
    青色事業専従者がいる場合は「専従者」欄に、それ以外の従業員がいる場合は「使用人」欄に人数を記入します。「税額の有無」は、給与から源泉所得税を天引きする必要があるかどうかということです。従業員が一人もいない場合はすべて空欄となります。
  12. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
    源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期ですが、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、申請をすれば年2回にまとめて納めることができます。申請書を提出する場合は、「有」にチェックします。
  13. 給与支払を開始する年月日
    従業員に対して、給与を支払う場合にのみ記入します。すでに支払っている場合はその日付を記入し、予定の場合は支払いを開始する予定日を記入します。

出した開業届の控えは大切に保管しましょう。今後の手続きで必要になることがあります。

色申告承認申請書の記入方法

青色申告承認申請書を提出することで、青色申告の特典を受けることができます。以下に主要な項目とその記入方法を説明します。

所得税の青色申告承認申請書の見本

出典:国税庁「所得税の青色申告承認申請書」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf


  • 提出先(所轄の税務署名)/提出日
    開業届を提出する管轄の「税務署名」と「提出日」を記入します。
  • 納税地/氏名/生年月日など
    これから開業する事業と事業主の情報を記入します。
    住所地・居所地・事業所のなかで、納税地に該当する項目を選択し「住所」、「電話番号」、「氏名」、「印鑑」、「生年月日」、「職種」、「屋号」を記入します。
  • 令和_年分以降の所得税の申告は……
    青色申告を開始したい年度を記入します。
    提出時期は申告する年の3月15日まで(その年の1月16日以後に事業を開始した場合は、その事業開始等の日から2か月以内です。詳しくは、所得税の青色申告承認申請手続[提出時期]を確認しましょう。
  • 1 事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地
    事業所や資産の名称と所在地や電話番号を記入します。
    :「本店」「◯◯支店」「◯◯営業所」「山林」「◯◯マンション」など
    書ききれないときは適宜用紙にて添付してください。 事業形態によって複数店舗がある場合は、それぞれをすべて記入します。
  • 2 所得の種類
    事業所得、不動産所得、山林所得の中で該当するものを選択します。所得が複数ある場合には該当する所得を全て選択します。個人事業は事業所得です。
  • 3 いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無
    過去に青色申告承認の取消しを受けたり、取りやめをしたことの有無と、有る場合は、年月日を記入します。過去に承認の取消しを受けたことがあるときは、その通知を受けた日から1年以内は申請が却下されます。
  • 4 本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
    青色申告の届出を提出する年の1月16日以降に新規開業する場合は、開業日を記入します。その場合、開業日から2か月以内に青色申告承認の申請を行う必要があります。
  • 5 相続による事業承継の有無
    続などで事業を継承した場合は、相続開始年月日と被相続人の名前を記入します。
  • 6 その他参考事項
  • 簿記方式
    該当する簿記式を選択します。複式簿記と簡易簿記では、控除額が下記のように異なります。
  • 簡易簿記:青色申告控除が最大10万円
  • 複式簿記:青色申告控除が最大65万円
  • 備付帳簿名
    最大65万円の控除を受ける場合、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳を選択します。10万円控除の場合は、現金出納帳を選択します。
  • その他
    特記事項がある場合は記入します。
  • 関与税理士
    確定申告の代行を依頼する税理士がいる場合は、名前・連絡先を記入します。

記入方法や提出に関して不明な点がある場合は、所轄の税務署に相談することをおすすめします。

業届提出前後に必要なその他の手続き

開業届提出後、事業の種類や規模によっては以下のような手続きが必要になる場合があります。

  1. 健康保険・年金の手続き
    会社員は、勤務先の社会保険に加入していますが、個人事業主となった場合は、国民健康保険国民年金に加入する手続きが必要となります。前職が会社員だった場合、退職日から14日以内に手続きを行います。
    また、退職の翌日から2年間を限度に会社員時代の健康保険に継続して加入できる健康保険任意継続制度を利用することも可能です。扶養家族がいる場合、世帯全体での健康保険料を国民健康保険よりも抑えられる可能性がありますので、念の為、健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について確認してみましょう。
  2. 労働保険の加入
    従業員を雇用する場合、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が必要です。
  3. 許認可の取得
    業種によっては、特定の許認可が必要な場合があります。例えば、飲食業は保健所の許可、中古品を取り扱う通信販売業は警察署など、事前に確認しておきましょう。
  4. 屋号の登記
    個人事業主の場合、必須ではありませんが、屋号を登記することで法的保護を受けられます。

れらの手続きを適切に行うことで、スムーズな事業運営が可能になります。不明点がある場合は、税理士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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開業届の提出が必要になる場合がある

開業届は、提出しなくても罰則はないため、開業届を出さずに事業を営んでいる個人事業主はいます。しかし、事業所得が発生する事業を始めたら、開業届の提出が所得税法で義務として定められています。個人で事業を始めた場合や、不動産での所得・山林所得が発生する事業を始めた場合にも、本業か副業かに関わらずその活動に事業性があれば、提出が必要です。

では、事業性があるとはどういうことでしょうか。税務署において、明確な基準の定めはなく、一般的には、営利目的で、継続して収入があれば事業とみなされるということになります。なお、2022年10月から「所得税基本通達の制定について」の一部改正により、副業でも、帳簿書類の保存があれば300万円以下でも事業所得に区分されることになりました。これにより、一般的にみて営利目的で継続して収入が発生し、帳簿書類を保存している場合は事業とみなされて、開業届の提出が必要となりました。ただし、副業の収入が本業の10%未満であったり、毎年赤字の状態など、営利が得られていない状況では事業とは判断しにくく、雑所得とみなされます。その場合は開業届は不要と判断できます。

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業届に関連するサイト

開業届について詳しく知りたい方や、手続きの際に参考にしたい方のために、信頼できる公式サイトや参考文献をまとめました。

国税庁公式サイト

開業届に関する最も信頼性の高い情報源です。書類のダウンロードや記入例、提出方法などが詳しく解説されています。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

e-Tax(国税電子申告・納税システム)

オンラインでの開業届提出に関する情報が掲載されています。利用方法や必要な準備についても詳しく説明されています。

https://www.e-tax.nta.go.jp/

開業届の提出で円滑な事業スタートを

開業届は、個人事業主として事業を開始する際に税務署に提出する書類です。事業開始日から1か月以内に税務署へ提出することが原則ですが、遅れても罰則はありません。ただし、青色申告を希望する場合は期限内の提出が必要です。

開業届の提出には、税務上の優遇措置や各種控除の適用、事業用口座の開設など、多くのメリットがあります。一方で、事業実態の把握による税務調査の可能性も増えるため、適切な記帳と申告が求められます。

提出方法は、税務署への直接持参、郵送、e-Taxによるオンライン提出があり、自身の状況に合わせて選択できます。提出後は、控えの保管や追加手続きの確認、適切な記帳の開始が重要です。士業を開業する方にとっても、開業届の正確な記入と適切な提出は、円滑な事業運営の第一歩となります。不明点がある場合は、税理士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

開業後は各種業務の体制整備が急務です。LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、一つのプラットフォーム上でさまざまな法務体制を構築できる、次世代のリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

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NobishiroHômu編集部

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