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取引基本契約書の受取側の保管期限は? 知っておくべき重要事項

取引基本契約書の受取側の保管期限は? 知っておくべき重要事項
この記事を読んでわかること
    • 保管期限に関しては、受取側も送付側も同じ
    • 受取側でも取引基本契約書は10年保管が基本だが例外もある
    • 適切な契約書管理は法的リスク回避に不可欠
    • 電子契約導入で保管効率化とリスク軽減が可能


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契約書は、法律で定められた期間、適切に保管することが義務付けられています。これは、契約書の受取側でも送付側でも同じ条件です。契約書は、一方が作成して他方に一方的に送付するものではなく、両当事者がそれぞれに記名押印して1通ずつ保管するものなので、相手方から送られたものであっても保管に関する定めは変わりありません。

取引基本契約書の保管期間は7年間とも10年間とも言われますが、この期間の違いは、法人税法と会社法の規定の違いに起因します。保管期間は法人税法、会社法の規定でそれぞれ異なりますが例外もあり、管理コストと法的リスク対策の観点から、より保管期間が長い会社法の10年にそろえるのが一般的です。契約書を適切に管理することで、法的リスクを回避し、企業の利益を守ることができます。

契約書の保管は単なる法的義務の履行だけでなく、企業経営においても重要な意味を持ちます。過去の取引内容を確認したり、紛争が発生した際の証拠として活用したりすることができるからです。本記事では、取引基本契約書の保管期間に関する注意点を網羅的に解説しつつ、契約書の重要性や受取側の企業にとっての意義、注意すべきポイントやリスクなどについて詳しく紹介します。

契約書の保管は重要である一方で、その期限も含めて適切に管理することは非常に煩雑です。実務上、困っている方も少なくないのではないでしょうか。LegalForceキャビネは締結済みの契約書をアップロードするだけでAIが自動で項目を抜き出して管理台帳を作成し、簡単に契約書の一元管理を実現します。ぜひチェックしてください。

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目次

取引基本契約書の重要性

取引基本契約書とは

取引基本契約書は、企業間で継続的な取引を行う際に締結されます。この契約書は、個別の取引ごとに共通する基本的な取引条件を定めることで、取引の効率化と安定性を図る役割を果たします。具体的には、取引の範囲、価格、納期、支払条件、損害賠償責任などの事項が記載されます。

取引基本契約書の特徴

取引基本契約書には以下のような特徴があります。

  • 継続的な取引関係を規定:長期的な取引関係を前提とし、基本的な取引条件を一度に定めます。
  • 個別取引の基礎となる条件を設定:各取引に共通する条件を明確にすることで、個別の取引ごとに詳細な契約を結ぶ手間を省きます。
  • 長期的な取引の安定性を確保:取引条件が明確になることで、長期的に取引関係の安定性が向上します。

取引基本契約書の意義

取引基本契約書には以下のような意義があります。

リスク管理の観点

  • 取引条件の明確化:曖昧な条件による不利益を防ぐため、取引条件を明確に定めます。
  • 責任範囲の明確化:過度な責任負担を避けるため、損害賠償責任などの範囲を明確にします。
  • 紛争予防:将来的なトラブルの可能性を低減するため、紛争解決方法を事前に定めます。

業務効率化の観点

  • 取引の迅速化:個別取引ごとの詳細な交渉を省略し、迅速に取引を進めることができます。
  • 事務負担の軽減:個別取引に共通する条件の確認作業を省略することで、事務作業の負担を軽減します。
  • 取引管理の一元化:多数の取引を統一的に管理することで、効率的な取引管理が可能となります。

契約書作成時の注意点

取引基本契約書を作成する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 自社の立場に不利な条項がないか十分に確認する:特に重要な条項については、専門家の意見を参考にすることが推奨されます。
  • 業界の慣行や法令の変更に応じて定期的に見直す:慣習的に同じ内容の契約書を流用するケースがありますが、契約書の内容が現状に適合しているかを定期的に確認することが重要です。
  • 個別契約との整合性を保つ:基本契約と個別契約の内容が矛盾しないように注意します。

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取引基本契約書の法定保存期間

会社法に基づく保存期間

会社法では、契約書を含む、事業に関する重要な文書は契約終了後10年間の保管が義務付けられています。この規定は、企業間の取引の透明性と信頼性を確保するために設けられています。契約書が適切に保管されていれば、将来的なトラブルや紛争が発生した際に、証拠として利用することができます。

法人税法に基づく保存期間

法人税法では、税務関係の帳簿や書類(契約書も含む)は7年間の保管が義務付けられています。この規定は、税務調査が行われた際に、適正な申告を行っていることを証明するために必要です。特に、欠損金がある場合は10年間の保管が求められることもあります。

保管期間の遵守の重要性

契約書は、紛争発生に備えた証拠保全や税務調査への対応など、法的な義務を果たすために必要なだけでなく、契約内容に基づく権利行使や義務履行においても重要な役割を担います。しかし、保管期間を過ぎた契約書を保管し続けることは、管理コストを不必要に増加させます。個人情報や企業秘密を含む契約書が適切に管理されなければ、漏洩事故につながる恐れもあります。定期的な棚卸しを実施し、不要な契約書は適切な方法で破棄することが重要です。

契約書の種類別の法定保存期間

契約書の種類によっても保存期間は異なります。以下に代表的な契約書の保存期間を示します。

法定保存期間が定められている契約書の例

法定保存期間が定められている契約書の例の図表

法定保存期間が定められていない契約書の例

法定保存期間が定められていない契約書の例の図表

取引基本契約書の特殊性と保管期間の例外

継続的取引の性質

取引基本契約書は長期間にわたる取引関係を前提としています。そのため、特有の性質があり、保管期間についても特別な考慮が必要です。

自動更新条項の影響

取引基本契約書には、自動更新条項が含まれていることがあります。この条項により、契約期間が終了しても特段の手続きがない限り、契約が自動的に更新され続けます。この場合、契約書の有効期間が実質的に無期限となり、保管義務も継続する場合があります。

自動更新のメリット

  • 手続きの簡素化:契約更新のための手続きを省略できるため、業務効率が向上します。
  • 継続的な取引の安定性:取引関係が途切れることなく継続するため、ビジネスの安定性が高まります。

自動更新のデメリット

  • 契約内容の陳腐化:契約条件が長期間見直されない場合、現状にそぐわない内容が含まれるリスクがあります。
  • 法的リスクの増大:契約が自動的に更新されることで、法的リスクが増大する可能性があります。

長期保管が必要なケース

取引基本契約書の保管期間については、法律で定められた期間以上に保管が必要なケースも存在します。以下にその例を挙げます。

重要な取引関係

特に重要な取引関係においては、契約書を長期間保管することが推奨されます。これは、将来的なトラブルや紛争が発生した際に、契約書が証拠として重要な役割を果たすためです。

企業の内部規定

企業内部の規定により、法定保存期間以上の保管が求められる場合もあります。例えば、内部監査やコンプライアンスの観点から、契約書を長期間保管することが義務付けられているケースがあります。

契約書保管のベストプラクティス

契約書は長期保管が必要なので、適切な保管方法を考えることも大切です。以下に、効果的な保管方法と注意点をご紹介します。

適切な保管方法

物理的な保管

  1. 専用の保管場所の確保
    契約書専用のキャビネットや金庫を用意し、アクセス制限を設けましょう。
  2. 適切な環境管理
    湿気や直射日光を避け、温度と湿度が一定に保たれた場所で保管します。
  3. 分類システムの構築
    契約の種類、締結日、相手先企業名などで分類し、検索しやすいシステムを作ります。

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電子的な保管

  1. スキャンと電子化
    紙の契約書をスキャンし、PDFなどのデジタル形式で保存します。
  2. セキュアなクラウドストレージの利用
    暗号化されたクラウドストレージを使用し、アクセス権限を適切に設定します。
  3. バックアップの作成
    定期的にバックアップを取り、複数の場所に保存します。

定期的な棚卸しの重要性

棚卸しの目的

  1. 有効期限の確認
    契約の更新や終了が近づいているものを特定します。
  2. 不要な契約書の廃棄
    法定保存期間を過ぎた契約書を適切に処分します。
  3. 契約内容の見直し
    現状に合わなくなった契約条件を洗い出し、改定の必要性を検討します。

棚卸しの頻度

年に1回以上、定期的に棚卸しを行うことをおすすめします。特に、契約更新の多い時期の前に実施すると効果的です。

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契約書保管におけるリスクと対策

契約書の保管にはさまざまなリスクが伴います。ここでは、主なリスクとその対策について解説します。

情報漏洩のリスク

リスクの内容

契約書には機密情報が含まれていることが多く、情報漏洩は企業の信用を大きく損なう可能性があります。

対策

  • アクセス権限の厳格な管理
  • セキュリティ対策の強化(暗号化、パスワード保護など)
  • 従業員教育の徹底

紛失・破損のリスク

リスクの内容

契約書の紛失や破損は、重要な証拠を失うことにつながり、法的トラブルの原因となる可能性があります。

対策

  • 電子化による保管(スキャンしてPDF化)
  • バックアップの作成
  • 適切な保管場所の確保(耐火金庫など)

改ざんのリスク

リスクの内容

契約書の不正な改ざんは、契約内容の変更や法的効力の喪失につながる可能性があります。

対策

  • 電子署名の導入
  • アクセスログの管理
  • 定期的な監査の実施

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電子契約導入による保管の効率化

電子契約の導入は、企業の契約書管理に大きな変革をもたらします。以下に、電子契約の主なメリットを紹介します。

コスト削減

電子契約を導入することで、紙の印刷費用や郵送費用、さらには収入印紙代などのコストを大幅に削減できます。これにより、企業の経費削減に寄与します。

業務効率化

電子契約は、契約書の作成から締結、保管までを一貫してデジタルで行うことができるため、業務の効率化が図れます。契約書の検索や管理も容易になり、必要な情報を迅速に取得できます。

環境への配慮

紙の使用量を減らすことで、環境負荷の軽減にも貢献します。持続可能な経営を目指す企業にとって、電子契約の導入は重要なステップとなります。

電子契約の導入方法

ステップ1:電子契約システムの選定

まず、企業のニーズに合った電子契約システムを選定します。システム選定の際には、セキュリティ機能や操作性、コストなどを考慮します。

ステップ2:社内フローの見直し

電子契約を導入する際には、既存の契約フローを見直し、デジタル化に適した形に再構築します。これにより、スムーズな移行が可能となります。

ステップ3:従業員教育

新しいシステムの導入に伴い、従業員への教育も欠かせません。システムの操作方法やセキュリティ対策について、十分なトレーニングを実施します。

導入時の注意点

セキュリティ対策

電子契約の導入に際しては、セキュリティ対策が非常に重要です。不正アクセスや情報漏洩を防ぐため、強固なセキュリティシステムを構築しましょう。

法的適合性の確認

電子契約が法的に有効であるためには、関連する法律を遵守する必要があります。電子署名法や電子帳簿保存法の要件を満たしているサービスであるかを確認しましょう。

相手方の同意

電子契約を利用する際には、取引先や顧客の同意が必要です。事前に電子契約の利用について説明し、同意を得ることが重要です。

適切な契約書管理の重要性

この記事では、取引基本契約書には受取側でも送付側と変わらない保管期限の定めがあることがわかりました。取引基本契約書は。企業間の取引において重要な役割を果たします。契約書を適切に保管することで、紛争発生時のリスクを低減し、円滑な取引を継続できます。保管期間は、法律で定められた期間に加え、自動更新条項や企業の重要度、法改正などを考慮し、10年間以上の長期保管が必要な場合もあります。適切な保管方法として、物理的な保管と電子的な保管があり、それぞれ注意点があります。定期的な棚卸しを行い、不要な契約書は適切に破棄することも重要です。近年、電子契約の導入が進み、コスト削減や業務効率化に貢献していますが、セキュリティ対策や法的要件の遵守が必要です。適切な契約書保管は、企業の安定的な経営に不可欠です。

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