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AIエージェントは法務実務を変えるか?|生成AIとの違いなど基礎知識と共に解説

AIエージェントは法務実務を変えるか?|生成AIとの違いなど基礎知識と共に解説
この記事を読んでわかること
    • AIエージェントとは
    • 生成AIとの違い
    • AIエージェントが法務実務に与える影響
    • AIエージェントを法務実務で活用する場合に押さえておきたいポイント
    • 利用する場合の注意点

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AIエージェントとは、自律的な意思決定のもとでタスクを実行するAIシステムです。自律的に意思決定を行う点が特徴で、チャットボットや音声アシスタントなどさまざまな場で活用されており、法務実務も例外ではありません。

本記事では、AIエージェントとは何か、基本から解説するとともに、AIエージェントが法務実務に与える影響、法務実務で活用する際のポイントや注意点まで紹介します。

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AIエージェントとは何か

はじめに、AIエージェントの定義や生成AIとの違いについて解説します。

AIエージェントの定義と特徴

AIエージェントとは、特定の目標を達成するために必要なデータを収集し、自律的な意思決定のもとでタスクを実行するAIシステムです。

A次の特徴を併せ持つことから、生成AIのさらなる進化形として注目されています。

  • 人間が継続して介入する必要なく動作する自律性
  • 主体的に行動する積極性
  • 環境の変化にも柔軟に対応する相互性
  • 段階を踏んで目的を達成する論理推論能力

すでにチャットボットやロボット、スマートフォンの音声アシスタントなど、さまざまな場面で活用されはじめています。

生成AIとの違い

AIエージェントと生成AIとは、次のポイントで異なります。

自律性の有無

先に説明している通り、AIエージェントは自律的に行動するAIシステムです。目標達成のために必要なタスクを自ら判断して実行できます。

一方で生成AIは、文章や画像などのコンテンツを、人間が入力するプロンプト(指示文)に応じて生成します。AIエージェントのように、自ら判断してコンテンツを生成するわけではありません

AIシステムとしての目的

AIエージェントが目的としているのは、目標達成とそれに向けたタスクの実行です。一方で生成AIは、新たなコンテンツの生成を目的としています。

AIエージェントは目的達成のために複数のタスクを自動化・継続実行しますが、生成AIは単発的な応答に強みがあります。

具体的な活用例

AIエージェントと生成AIでは、活用すべきシーンが異なります。AIエージェントの活用例は以下の通りです。

  • スケジュール管理(例:夏に開催されるイベントについて、準備時期を自動で提案する)
  • 自動運転(例:周囲の環境を把握し、目的地まで安全に到達する)
  • カスタマーサポート(例:24時間体制での顧客対応を行う)

一方、生成AIの場合は次のような活用例があげられます。

  • 文章作成(例:メールの文章やSNS投稿文を作成する)
  • 画像生成(例:建築のデザイン案として画像を作成する)
  • プログラムコードの生成(例:コードを自動生成しWebサイトを構築する)

AIエージェントで法務は何が変わるか

生成AIを活用することによって、契約書のドラフト作成や文章校正といった部分的サポートはカバーされています。しかし、プロンプトに基づいたコンテンツ生成を得意とする生成AIでは、複数のタスクの自動化や継続実行が難しく、法務業務全体の効率化は現実的ではありません

一方、自律的に行動しタスクをこなすAIエージェントを活用すれば、対応できる業務の幅が広がり、これまでは自動化・効率化が難しかった業務も変革できると期待できます。

AIエージェントが法務実務に与える影響

AIエージェントの導入によって、法務実務にどのような影響が及ぼされるか解説します。

法務業務においてAIエージェントが求められる背景

法務業務においてAIエージェントが求められる理由は、主にリソース不足と業務効率化の必要性の2点です。

法務部門の業務は、契約書のレビューや判例調査など多岐にわたります。そのどれもが正確性と専門性を求められることから、業務が属人的となることも多く、慢性的なリソース不足に悩まされがちです。

契約数が増加する一方で、十分な人員を確保できていない場合、レビューの遅延やミス、リスク管理の不徹底といった問題に直結してしまいます。

そこで自律的に判断し実行まで移すことのできるAIエージェントを活用すれば、これまでは効率化が難しかったフローも自動化でき、リソース不足の解消や業務効率化を実現可能です。

AIエージェント導入による法務組織への影響

AIエージェントが法務部門に導入されることで、次のような影響があると想定されます。

  • 法令データベースを検索し、必要とされる判例や法令を迅速に抽出できる
  • リスク予測や修正点の特定、ならびに修正の草案化までAIに任せることができる
  • レビューサイクルが短縮されることによって、意思決定の迅速化が可能となる
  • AIが自ら補足調査まで行うことで、大量のドキュメントの処理も品質を損なわずに行える

上記の通り、AIエージェントを導入することで、品質を損なわずに法務業務全体の迅速化を実現できると期待できます。

法務業務へのAIエージェント導入の具体的なメリット

AIエージェントの法務業務における導入メリットは、業務効率化による付加価値の創出です。

例えば、法律データベースから判例や法令を素早く検索できることで、調査時間を短縮し戦略的業務へより多くのリソースを割くことができます。

デューデリジェンスにおいては、財務や法務、契約関連のデータまで迅速に調査し、レッドフラッグの発見、M&Aの適切な判断に貢献することもできるでしょう。

AIエージェント導入におけるポイント

ここからは、AIエージェントを導入する際に押さえておきたい、いくつかのポイントを解説します。

個人情報の取り扱い

AIエージェントを導入する際は、個人情報を適切に取り扱うよう注意する必要があります。個人情報を含むような内容を取り扱う場合、個人情報保護法を遵守しながら活用しなければなりません。海外との取引がある場合は、GDPR(General Data Protection Regulation: 一般データ保護規則)やCCPA(California Consumer Privacy Act: カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの関連法令への対応も必要になる場合があります。

また、学習データとしての再利用可否について契約時に明確化し、取り扱った個人情報が目的外で使用されることを防止する必要があるでしょう。

さらに、データの暗号化や匿名化、厳格なアクセス制限、セキュリティ監査なども徹底することも必要です。

知的財産権

AIエージェントを使用することによって、気付かぬうちに他者の知的財産権を侵害し、法的責任を問われるリスクがあります。学習データを使用するにあたっては、オープンソースのもの、二次利用や再配布に制限がないものを選ぶか、利用できる範囲について慎重に確認してください。

また、社内で保有する文書であっても、秘密保持契約(NDA)を締結している機密情報などは利用が制限される場合があるため注意が必要です。

社内教育・ガイドラインの整備

AIエージェントを使用する際は、社内における利用者研修、ルールをまとめたガイドラインの整備が欠かせません。導入時のみならず継続的に研修を行うことで、AIを活用するにあたって必要なリテラシーを高める必要があります。

ガイドラインを整備する際には、AIエージェントを利用する範囲、データ入力に関する注意事項などを記載し、リスクを顕在化させないように対策をとる必要があります。

ベンダー・ツール選定

AIエージェントを導入する際は、ベンダー/ツールの選定が重要なポイントとなります。機能面や使いやすさなどはもちろん、利用可能範囲をはじめ、機能保証(SLA)、データ所有権などの契約条件を確認した上でベンダーを選定してください。

また、情報漏洩などのリスクを抑えるために、セキュリティ水準は十分か確認することも重要です。情報セキュリティに関する国際規格であるISO/IEC 27001の認証やプライバシーマークを取得しているかなど、第三者からの評価を確認してください。

AIエージェント導入における注意点

最後に、AIエージェントを導入する際に注意しておきたいポイントを紹介します。

誤情報(ハルシネーション)による法的リスク

AIエージェントは常に正しい情報を出力できるわけではありません。誤情報を回答として示すこと(ハルシネーション)もあります。

法務関連業務で誤情報を採用してしまうと、コンプライアンス違反や契約トラブルへつながりかねません。

利用する際にはアウトプットの検証を欠かさず行うほか、AIベンダーとの契約、ならびに社内規定において、AIの回答や推論に関する免責事項を設定することをおすすめします。

また、誤情報を出力させないためには学習プロセスも重要です。学習データの誤りやバイアスなどがないように、データ品質を監視してください。また、データセットの定期的な更新も必須です。

機密情報漏洩リスク

AIエージェントを使用する際には、セキュリティ面への対策が欠かせません。機密情報の漏洩リスクを最小限に抑えられるように、前もって対策を講じる必要があります。

SaaS型のAIエージェントを利用する場合は、入力したデータの保存期間、学習への再利用、第三者への情報提供などについて契約時に確認しておくことが重要です。

また、より機密性の高いデータも扱いたい場合、SaaSではなくオンプレミス型やプライベートクラウド型のサービスを利用することもおすすめします。

社員へのセキュリティ研修を定期的に実施し、リテラシーを高めることも効果的です。

コンプライアンス・監査体制

AIエージェントを活用するためには、ガバナンスの構築が必須です。AIエージェントの学習に利用するデータはどれか、誰が利用できるかといった指針を明確にし、トラブルが起こらぬよう厳密に管理する必要があります。

また、AIエージェントの利用にあたって問題が発生した際には、早急に原因を追求できるかが重要です。入力内容や出力内容についての操作ログを記録・管理し、すぐに参照できるよう体制を整えます。

AIの性能と限界

AIエージェントは、最新の法改正や判例情報について常に把握しているわけではありません。最新情報を取り入れて反映するには、定期的なアップデートやチューニングを必要とします。そのため、法務向けAIエージェントであったとしても、専門性には限界がある点に注意が必要です。

また、AIエージェントが回答・推論する際の仕組みがブラックボックス化しています。どのような意思決定のもとで推論されているか、その回答に至ったのかが利用者にはわかりません。今後は、AIエージェントの回答の仕組みがより透明化されることが求められます。

AIエージェントの将来展望

今後は、法務業務のみならず幅広い業種でAIエージェントが浸透すると考えられます。AIに関する規制、ガイドラインの策定も加速すると予想されるため、法務部門の関与はより重要なものとなるでしょう。

また、法務部門におけるAIエージェントの活用は、業務効率化に止まりません。AIエージェントと協働することにより、法務担当者は、経営戦略の立案、新規ビジネスの法的課題解決といった戦略的業務にシフトすることが求められます。

より有効にAIエージェントを活用するためにも、AIリテラシーやテクノロジーリテラシーを有する人材が必要とされるでしょう。

LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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