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AIで法務はどう変わるのか?自律型法務AIエージェントの実例と将来構想

AIで法務はどう変わるのか?自律型法務AIエージェントの実例と将来構想
この記事を読んでわかること
    • 法務業務が抱える新たな課題とその背景
    • 自律型のAIエージェントが可能にする業務変革
    • LegalOnの開発構想と企業法務にもたらすインパクト


角田 望
監修

角田 望

株式会社LegalOn Technologies 執行役員・CEO/弁護士

2010年 京都大学法学部卒業、同年 旧司法試験合格。2012年 弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2013年 森・濱田松本法律事務所入所、M&A・企業間紛争に従事。2017年、法律事務所の同僚・小笠原匡隆(現・共同創業者)と共に独立し、株式会社LegalOn Technologiesと法律事務所ZeLoを創業。現在、LegalOn代表取締役、ZeLo副代表弁護士。

企業法務の在り方が、今大きな転換点を迎えています。契約審査、法令リサーチ、契約書作成など、これまで人手に頼っていた日常業務に、AIが実務レベルで関与しはじめ、業務の効率化と高度化が急速に進行することが想定されています。

その中でも注目されているのが、自律的に業務を遂行する「AIエージェント」の登場です。これは、ユーザーの目的に応じて自ら業務フローを設計・立案し、実行するAIであり、単なるツールを超えて、あたかも“代理人”のように自律的に動く存在です。

こうした技術革新により、法務分野におけるAI活用への関心は一気に高まりを見せています。LegalOn Technologiesも、71億4,000万円のシリーズEラウンドを実施し、企業法務に特化したAIエージェントの開発に本格的に着手しています。本記事では、AIエージェントをめぐる最新動向と、法務の仕事がどのように変わろうとしているのかについて、LegalOn Technologiesの代表取締役兼執行役員CEO(弁護士)角田望が、当社の取り組みを交えて解説します。

法務業務を取り巻く“ツール使いこなしの壁”

企業法務部門は、契約審査、契約作成、法務相談、ガバナンス、リサーチといった多岐にわたる業務を担いながら、慢性的な人手不足や時間的余裕のなさに悩まされてきました。

このような背景を受け、近年では法務業務の種類に応じた特化型リーガルテックが数多く登場しています。契約審査、契約書管理、電子契約、ナレッジ共有など、それぞれの課題に対して的確に対応できるサービスは増えてきました。

一方で、ツールの導入が進むにつれ、新たな課題も浮かび上がっています。それは「ツールがバラバラで、使い分けが大変」「それぞれの操作を覚える必要があり、学習コストが高い」といった声に代表される、現場の“運用疲れ”です。複数のツールを行き来するため、業務フローの分断も避けられません。

さらに、こうした状況を打開するために、すべての機能を統合したプラットフォーム型の製品が登場し始めていますが、ここにも新たな課題が存在します。機能が増えればUIや操作も複雑化し、今度は「使いたい機能がどこにあるかわからない」「多機能な割に、日常的に使うのは一部で持て余す」といった問題です。

また、生成AIの普及により自動化への期待が高まる中、「プロンプト設計が難しい」「期待通りの結果が得られない」といった声もあります。汎用AIでは、法務に必要な専門性や判断基準を十分にカバーできず、使いこなすには試行錯誤が避けられません。

つまり、ツールが進化しても“できること”と“実際に使いこなせること”の間にはギャップがあり、それが現場での新たな課題となっているのです。

自律型AIエージェントという解決策

これらの使いこなしの壁を解決するために構想されたのが、“法務に特化したAIエージェント”です。ユーザーは複雑な操作を覚える必要がなく、自然言語で指示を出すだけで、AIが自律的に業務手順を立案し、ユーザーに確認を求めながら実行していきます。

この構想を実現するため、LegalOn Technologiesでは主力製品の「LegalOn Cloud」を全面的にアップデートし、法務特化型AIエージェントを搭載した「LegalOn:World Leading Legal AI」として進化させていきます。従来の延長線上で機能をただ追加するのではなく、「法務特化のAIエージェント体験」というコンセプトに基づき、直感的な操作性と実務に根ざした機能性を両立させた次世代のLegal AIとして、ユーザー体験を根本からアップデートすることを目指しています。

実務を支える4つの法務エージェント

LegalOnのメイン画面に、ChatGPTのようなチャットベースのUIが搭載されます。これにより、ユーザーは複雑なメニューや操作手順を覚えることなく、自然な対話を通じて業務を進めることが可能になります。以下では、このチャットUIを通じて利用できる、主な4つのエージェントのユースケースをご紹介します。

ドラフティングエージェント(契約書作成)

ユーザーが「○○の契約書を作ってほしい」と依頼すると、エージェントは目的や前提条件を対話形式でヒアリングし、当社弁護士が監修した契約書ひな形の中から最適なものを選択。ユーザーの状況に合わせたドラフトを自動で作成します。

※「LegalOn」メイン画面(開発中の機能のため、仕様・画面イメージ等は予告なく変更される可能性があります)

レビューエージェント(契約審査)

取引先から受け取った契約書をアップロードし「契約書をレビューして」と依頼すると、エージェントがレビューの進め方を提案。ユーザーの指示に基づいて、プレイブックやアラート機能を活用し、契約目的・義務・期間・解除条件・損害賠償などのリスクを網羅的にチェック。必要に応じて修正案を提示し、契約書への反映まで自動で行います。

マターマネジメントエージェント(法務相談)

メール等で受け取った法務案件は、自動でLegalOnに取り込まれ、エージェントが即座にリサーチを開始。社内の過去案件やe-Govなど外部法令DBも活用し、論点の整理や初期回答案の作成を支援します。将来的にはユーザーの確認後に送信することまで自動化することを目指しています。

コントラクトマネジメントエージェント(契約書管理)

締結後の契約書管理においては、ユーザーが「このような条件に合致する契約書を一覧化してほしい」と依頼すると、エージェントが分析の手順を自動で立案します。処理を進めると、該当する契約書がリストで抽出され、各リスクや課題が一挙に可視化されます。リストからは契約書の原本を直接開くことができ、具体的なリスク箇所の確認や対応もスムーズに行えます。

これらはすべて、自然な言葉で指示を出すだけで業務を立ち上げ、正確かつ迅速に処理してくれる“対話型の法務アシスタント”です。契約や相談、管理だけでなく、他領域への拡張も視野に入れた開発が進んでいます。

ツールから“代理人”へ──エージェントへの飛躍的な進化

従来のツールは、ユーザーが一つひとつ操作しないと機能しないものでした。しかし、LegalOnのAIエージェントは目的を伝えれば、自ら最適な手順を判断し、代わりにツールを操作してくれる存在として設計されています。まさに“代理人(エージェント)”の名の通り、ユーザーに代わって行動する新しい存在です。

AIエージェントは、従来のリーガルテックの常識を根底から覆します。ツールは“人が動かして価値を発揮する”ものでしたが、エージェントは“人の代わりに価値を発揮”します。その違いは、法務業務の利便性において圧倒的な差を生み出すでしょう。

もっとも、すべてのAIエージェントが法務の現場で使えるわけではありません。汎用的な生成AIは、公開情報をもとに回答を生成しますが、法務で求められる正確性や信頼性には限界があります。AIエージェントであっても、参照する知識が曖昧であれば、実務で使うには不安が残ります。

LegalOnのエージェントは、創業以来蓄積してきた弁護士監修のナレッジに基づいて動作します。契約レビューや法務相談、管理など各機能と連携しながら、法改正や実務の変化にも継続的に対応。汎用AIでも、ただのAIエージェントでもない、“実務で使える法務特化型エージェント”として、精度と信頼性の両立を実現していきます。

LegalOnの法務特化エージェントで、最強の法務チームを

当社のAIエージェント構想は、従来のリーガルテックが抱えていた使いこなす難しさや業務ごとの分断といった課題を乗り越え、法務の現場での実装可能性を大きく広げる取り組みです。これを技術的に支える基盤として、LegalOn TechnologiesはOpenAIとの技術連携を発表しました。高度な自然言語処理能力を持つLLM(大規模言語モデル)を最適なタスクごとに選定し、法務実務に最適化された形で統合することで、一般的なAIチャットツールを超える精度と応答性を実現しています。

LegalOnが目指すのは、単なる業務効率化ではありません。契約審査や相談対応といった日常業務から、判断や意思決定が求められる高度な業務まで、法務部門全体を一気通貫で支援する体制の実現です。その結果として、法務が経営に対してより深く、戦略的に関与できるようになり、組織全体の意思決定スピードと質を高めることができます。

企業によって法務の課題や役割は異なりますが、LegalOn Technologiesはそれぞれの規模やフェーズに応じた柔軟な支援を提供することで、現場に根ざしたAI活用を実現していきます。法務の未来をともに築くパートナーとして、今後も現場の声に耳を傾けながら、実務に即したプロダクトの開発と支援体制の強化に取り組んでまいります。

NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

世界水準の法務AI「LegalOn」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの、「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

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