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法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策

法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策

電子契約サービス以降さまざなリーガルテックサービスが登場し、一部の負担は軽減されましたが、個別業務の課題解決に向けたサービスが多く、効率化に向けた課題は未だ多く残っています。

LegalOn Technologiesは、このほど、法務全体を支援するAI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を発表。これまでの課題に対する解決策を示しました。

リーガルテックサービスを多くの企業が導入するなか浮かび上がった課題と、AI法務プラットフォームによって変わる法務業務について、LegalOn Technologiesの執行役員・プロダクト責任者である谷口 昌仁が解説します。

この記事を読んでわかること
    • リーガルテックの導入が進むなか、法務組織が抱える課題と原因
    • AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」とは

谷口 昌仁 執行役員・CPO(Cheief Product Officer)プロフィール

京都大学大学院を修了後、事業会社での営業経験を経て、12年にわたり経済産業省(旧 通商産業省)で法令の制定・改正の審査等の行政業務に従事した後、小泉純一郎総理大臣(当時)秘書官付として官邸へ。米国ハーバード大学(MPA)、南カリフォルニア大学(MBA)での留学を経て、帰国後は楽天株式会社にて楽天市場パッケージメディア事業の事業長、執行役員を担う。その後、頓智ドット、tabなど複数の企業で、CEOとしてWebサービスやスマホアプリの立ち上げからグロースまでを経験。2022年10月からLegalOn TechnologiesにリードPdMとして参画し、2024年4月より現職。

法務組織における課題

現在の法務組織が抱える課題や、その原因について解説します。

リーガルテックサービスを導入しても課題は残っている

現在、さまざまな企業がリーガルテックテックサービスを提供しています。報道によると、最も多い導入は「電子契約」で約8割が導入しており、すでに多くの企業にリーガルテックサービスが普及していることがうかがえます。

しかし、サービスを導入していても、課題は依然として残っている、というデータもあります。業務の効率化ができていない、人手不足が解消できていない、業務の属人化が解消できていない、という課題は解決できていません。

業務が効率化しない理由

では、なぜ法務が抱える課題は残っているのでしょうか。私たちが考える原因は三つです。一つ目は「法務組織が対応する業務領域の広さ」、二つ目は「ナレッジが分散していること」、三つ目は「知っていることしか気づけないこと」です。一つひとつ、詳しく見ていけたらと思います。

法務組織が対応する業務領域の広さ

一つ目は、「法務組織が対応する業務領域の広さ」です。法務担当者は、契約書レビューや、契約の締結、契約管理といった契約書のマネジメント業務だけでなく、コンプライアンスや法務相談、コーポレートガバナンス、これらに付随したリサーチなど、さまざまな業務を担当しています。

そしてどの業務も難易度がとても高く、対応するには時間、知識、経験が必要です。

これら法務担当者が抱える業務のそれぞれに、各社がサービスを提供しています。

しかし、サービスは提供者が別々なので業務ごとに分断されています。担当者は、複数のサービスを契約してその間を行き来し、手作業で情報をサービス間で連携する必要があります。

せっかくサービスを契約しているのに、根本的な業務効率は上がりません。

ナレッジが分散

また、法務業務に関わるナレッジが分散していることも課題です。ナレッジを活用するためには、単に締結した契約書を保管しているだけでは意味がありません。

関係部署や法務組織内のやりとり、顧問弁護士とのやりとりや修正履歴、参考にした過去の契約書やリサーチしたさまざまな資料、これらすべての関連情報は、紐づけて管理する必要があります。


しかし、例えばメールはメールサーバー、契約書のドラフトはファイルのサーバー、締結済みの契約書は場合によっては紙の状態で書棚にある、など複数の場所に保存してあるケースが多いと思います。仮にこれらが一つの場所に集約されていても、物理的に一か所にあるだけで関連情報がうまく紐づいていない場合がほとんどです。


そのため、情報は断片化してナレッジ化できておらず、必要だと思ったときにかんたんに探し出せません。「どこだろう」と探すのに多くの時間を費やしたり、そもそも活用できる情報があること自体に気付けないという事態になってしまいます。

知っていることにしか気づけない

3つ目として、法務担当者が案件の論点を洗い出すためには、各所への確認や調査をしないといけませんが、その前提として案件についての周辺知識を持っていることが必要です。つまり、「調べるためにも知識が必要だ」ということです。

先ほど述べたように、法務担当者の業務は多岐にわたっていますが、いままでの経験で分かっている範囲内でしか、確認・調査をすることができません。

検索技術の発展、大規模言語モデル(LLM)の登場によって、必要な情報を探しやすくなりました。しかし適切な回答を得るためには、質問の意図を正確に伝えたり、回答に必要な情報を与えたり、といった「聞く力」が求められます。このため、必要な情報を調べようとしても、すべて収集するということは困難です。

以上のようにリーガルテックサービスを導入したにもかかわらず、法務組織はいまだ課題を抱えたままです。

法務全般を支援する次世代リーガルテック「AI法務プラットフォーム『LegalOn Cloud』」とは

これまで説明してきた法務組織が抱える課題を解決するため、私たちは新しいプロダクトを開発しました。それが「LegalOn Cloud」です。

「法務組織が対応する業務領域が広い」「ナレッジが分散している」「知っていることしか気づけない」。これら三つの課題を解決するというコンセプトで開発してきました。

契約業務を含む法務業務全体をサポート

特長の一つ目は、法務業務すべてをサポートすることです。さまざまなリーガルテックサービスが業務ごとに分断されているという課題を解消するために、LegalOn Cloudは一つのプロダクトで法務業務全般を支援します。

具体的には、法務担当者が担うさまざまな業務に対応するサービスを一つのプロダクトに搭載します。

対応する領域は、契約のマネジメント(CLM)にとどまらず、法務業務領域全体に拡大する予定です。これにより、法務担当者は一つのプロダクトで業務をすべて完了できるようになります。

まず、2024年4月に案件管理と法務相談に対応するワークマネジメントサービスと、契約書作成と審査に対応するレビューサービスをリリースしました。2024年夏には、契約書管理に対応するコントラクトマネジメントサービスをリリース予定です。2024年内には電子契約、リサーチ領域にも対応する予定です。

その後も対応領域を拡大していきますが、お客さまともコミュニケーションを取りながら、課題の大きい領域から順次対応していく予定です。また、LegalOn Cloudは国内だけではなく、多言語に対応するグローバルプロダクトとして開発しています。グローバルに事業展開している企業が増加していますが、こうした企業がグループ全体で法務業務の効率化を行える環境を提供したいと考えています。

ナレッジ整理、紐づけが簡単に

特長の二つ目は、ナレッジの整理、紐付けを簡単にできることです。

LegalOn Cloudは、契約書や法務相談への回答といったリーガルドキュメントを中心に、あらゆる関連情報を体系的に関係性を整理します。私たちは、これを「リーガルドキュメントグラフ」と呼んでいます。

関連情報とは、法務組織内でのやりとり、依頼者や顧問弁護士とのやりとり、契約書レビューで参考にした過去の類似案件や、相手方とのやり取りで入ったさまざまな修正の経緯、関連法令や書籍、ガイドラインといった社外リソースをさします。、

LegalOn Cloudは、ユーザーが作業を行うすべてのタッチポイントで情報を集め、AIによってその情報の整理と紐づけを行い、リーガルドキュメントグラフを形成していきます。

これによって、締結済みの契約書を保管するだけでなく、契約書のドキュメントを中心としてさまざまな関連情報を紐づけて関連性を整理します。LegalOn Cloudがあるからこそ、情報を探すのがとてもかんたんになります。関連情報のきっかけを一つ見つけると、それに付随する情報を次々と連鎖的に調べることができるようになります。

レコメンド・パーソナライズ機能が充実

特長の三つめは、レコメンド・パーソナライズ機能の強化です。「自分が思いつかないものは調べられない」という課題は先ほど説明しましたが、LegalOn Cloudは「システムが情報をレコメンドするため、ユーザー自身は検索する必要がない」という世界を実現していきます。

LegalOn Cloudは、ユーザーが置かれている状況や作業内容をセンシングして自ら理解し、ユーザーにとって必要な情報は何かを判断、レコメンドしますので、ユーザーが能動的に検索しなくても、必要な情報に気づくことができます。

そして、LegalOn Cloudを使えば使うほど「リーガルドキュメントグラフ」は成長します。

契約書や案件の内容、各種やりとりといったナレッジはセンシングされていて、ユーザーの作業内容に対する理解はどんどん深まっていきます。これにより、ユーザーが今求めている情報をレコメンドできるようになっていきます。

つまり、LegalOn Cloudは、使えば使うほど「自分だけのアシスタントを育てることができる」ということです。

このアシスタントが、作業に必要な情報をレコメンドしてくれるので、ユーザーは自分から情報を探す必要がなくなります。その結果、ユーザーは論点の整理や意思決定に集中できるようになります。

法務がこれまで以上に企業経営に影響を与えることができる

私たちはLegalOn Cloudを提供することで、法務業務全般を革新的にサポートしていきます。

その結果、法務がこれまで以上に企業経営に影響を与えることができるようになると確信しています。

法務の課題は会社によって異なります。 ベンチャー企業、中小企業、大企業、グローバル企業の方々と、さまざまです。

LegalOn Cloudは、幅広い企業規模の課題を解決する、さまざなサービスを提供します。これらを組み合わせて利用することができますので、ぜひ当社にご相談していただければと思っています。


※この記事は、LegalOn Cloudサービス発表会の内容を基に構成しています。

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

エディター

NobishiroHômu編集部

法務の可能性を広げるメディア「NobishiroHômu」を編集しています。若手からベテランまで、幅広い読者の関心にこたえる記事を配信します。

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