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【法律用語解説】定款とは? 作成から認証、記載事項や管理・保管まで徹底解説

【法律用語解説】定款とは? 作成から認証、記載事項や管理・保管まで徹底解説
この記事を読んでわかること
    • 定款の定義
    • 定款に記載すべき事項
    • 作成の基本的な流れ
    • 広告について
    • 定款の管理・保管方法と電子保存の利点

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款は、会社の運営におけるルールを定めた重要な文書です。法人設立時に作成するもので、その内容は会社の未来を左右することもあります。本記事では、株式会社設立の場合を中心に、保管場所や作成方法に関する法的な定め、作成の基本的なプロセスや効率的な管理方法などを詳しく解説します。特に、電子保存による効率化の利点や、行政書士に依頼する際のメリットについても触れ、企業担当者が安心して定款を扱えるようサポートします。

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定款とは?

定款とは、会社などの法人のルールなどを定めた、いわば「会社の憲法」といえる重要な書類です。 会社の名前や事業内容、所在地といった基本情報に加え、会社の運営に関する様々なルール(例:株主総会の運営方法や役員の選任方法など)を記載します。

定款は、会社設立時に発起人全員の同意を得て作成し、法律で定められた事項を記載する必要があります。 また、株式会社、一般社団法人、一般財団法人などの法人を設立する場合は、公証役場で認証を受ける必要もあります

以前は紙での作成が主流でしたが、近年では電子化された「電子定款」も利用されるようになってきています。

定款に記載する内容

絶対的記載事項

法律で必ず記載が義務付けられている項目です。記載し忘れると、定款が無効となります。

  1. 目的(会社法27条1号)
  2. 商号(同条2号)
  3. 本店の所在地(同条3号)
  4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(同条4号)
  5. 発起人の氏名または名称および住所(同条5号)
  6. 発行可能株式総数(会社法37条1項)

相対的記載事項

効力を発生させるためには定款に記載する必要がある事項です。例えば、単元株式数や取締役会の設置に関する事項などが該当します。特に複数人で会社を設立する場合は、後々のトラブルを防ぐためにも、これらの項目についてしっかりと話し合い、合意しておくことが重要です。

相対的記載事項の例

  • 金銭以外の財産を出資(現物出資)する者やその財産に関する事項、その者に対して割り当てる設立時発行株式の数などに係る事項(会社法28条1号)
  • 設立時取締役や取締役選任についての累積投票の排除に関わる事項(会社法342条1項)
  • 株式会社に代わって株主名簿に関する事務を行う株主名簿管理人を置く旨に係る事項(会社法123条)
  • 株主が株主総会や種類株主総会において一個の議決権を行使することができる単元株式数に係る事項(会社法188条1項)
  • 株券の発行に係る事項(会社法214条)
  • 株主総会、取締役会、監査役会の招集通知期間短縮に係る事項(会299条1項、368条1項、376条2項、392条1項)
  • 取締役会設置会社における中間配当の定めに係る事項(会社法454条5項)

任意的記載事項

会社法上、定款に定める必要はないが、明確性などを目的として記載される事項です。実務上定款に定められることが多い事項として

  • 定時株主総会の招集時期
  • 取締役・監査役の員数
  • 役付取締役
  • 事業年度

などがあります。定款に定める以上、変更する際には株主総会の特別決議が必要となり、取締役会の一存で変更することができなくなります。

法人登記に必要な記載事項

会社を法的に設立するために、登記手続きを行う必要がありますが、その際に必要となる情報も、定款に記載しなければなりません。代表者の氏名や発行可能な株式総数などが該当します。これらの情報は、絶対的記載事項と重複するものもありますが、登記手続きをスムーズに進めるためにも、忘れずに記載しておきましょう。

定款作成から会社設立までの流れ

1. 定款作成

定款のフォーマットは下記のサイトから手に入れることができます。

日本公証人連合会の定款ひな形集

2. 定款認証

定款認証とは、公証役場で公証人が会社のルールブックである「定款」が適法であると確認・証明する手続きのことです。株式会社など一部の法人を設立する際には、この定款認証が必須となります。 公証人の認証を受けることで、定款に法的効力が発生し、会社設立の重要なステップとなります。

なお、株式を発行しない「持分会社」を設立する場合、公証人による認証は義務ではありません。持分会社には「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3種類があります。

3. 法人登記

法務局で行う、会社を正式に設立するための手続きです。設立に必要な書類を提出し、登録免許税という費用を支払います。

法人登記に必要なもの

  • 認証された定款
    会社のルールブックのようなもの。公証役場で作成・認証してもらいます。
  • 法人の印鑑届出書
    会社の印鑑を登録するための書類です。
  • 出資金払込証明書
    資本金がちゃんと払い込まれたことを証明する書類です。
  • 登録免許税
    登記の費用です。最低でも15万円かかります。

法人登記のポイント

  • 会社設立日は登記手続きが完了した日になります。希望の設立日がある場合は、逆算して書類の準備を進めましょう。
  • 不備があると手続きが遅れるので注意が必要です。書類は事前にしっかり確認しましょう。

4. 会社設立

設立後の各種行政機関での手続き

  • 税務署
  • 設立の届出:会社設立を税務署に知らせます。
  • 青色申告の届出:税制上の優遇措置を受けるための手続きです。
  • 源泉所得税の納期の特例の申請:源泉徴収をした所得税等を年2回にまとめて納付する給与から所得税などを天引きする特例を利用するための手続きです。
  • 年金事務所
  • 厚生年金、健康保険:従業員を雇う場合、加入手続きが必要です。
  • 公共職業安定所(ハローワーク)
  • 雇用保険:従業員を雇う場合、加入手続きが必要です。
  • 労働基準監督署
  • 労災保険:従業員を雇う場合、加入手続きが必要です。
  • 各省庁
  • (必要に応じて)業種の認可申請の手続き:業種によっては、事業を行うために特別な許可や認可が必要になる場合があります。

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定款の作成費用や変更について

定款の作成にかかる費用

認証手数料

公証役場で定款を認証してもらうための手数料です(株式会社または特定目的会社の場合)。

  • 資本金100万円未満:3万円(手数料令35条1号)
  • 資本金100万円以上300万円未満:4万円(同条2号)
  • 上記以外の場合:5万円(同条3号)

謄本手数料

定款の謄本(公式な写し)を取得するための費用です。

  • 1ページあたり250円程度(公証役場によって異なる場合があります)
  • 総額2,000円程度が目安(8枚程度必要になります)

収入印紙代

紙の定款を作成する場合に必要です。

  • 紙の定款:4万円
  • 電子定款:0円
  • 社団法人や信用金庫の定款:0円


上記に加え、専門家(弁護士や司法書士など)に定款の作成を依頼する場合は、別途費用が発生します。さらに、株式会社設立時には、登録免許税として15万円または資本金の0.7%のいずれか高い方を納める必要があります。

定款の変更

定款の変更は、基本的には株主総会での特別決議によって行われます。その際、費用はかかりません。ただし、会社の商号(名前)や事業目的の変更など、変更内容によっては法務局への登記が必要となり、その場合は登録免許税として3万円が必要です。

定款の保管場所と保管期間

定款の原本は、以下の2ヶ所に保管されています。

  • 会社自身
    会社が自分たちのルールとして保管しています。
  • 公証役場
    会社設立時に公証役場で認証を受けた定款が保管されています。こちらは認証から20年間保管されます。

会社が存続する限り、会社は定款を大切に保管し続ける必要があります。

定款の提出を求められたらどうする?

定款は、助成金の申請や銀行口座の開設などで提出を求められることがあります

定款は大切に保管する書類なので、むやみに持ち出すのは避けるべきです。定款の提出は、定款のコピーに「原本証明」を付けて行われるのが一般的です。原本証明とは、コピーが原本と相違ないことを証明する手続きです。特に、新しく会社を作った場合は「法人設立届出書」の提出が必要になりますが、この時にも定款のコピーと原本証明が必要になります。

株式会社の場合は定款の認証が必要

法人設立には、公証役場での定款認証が必要な場合があります。一部を例に挙げると、以下の法人などの設立で必要です。

  • 株式会社
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人

なお、合同会社、合資会社、合名会社といった「持分会社」の設立の場合は認証はは不要です。これらの法人は経営者と出資者がほぼ同じなので、株主とのトラブルなどが起きにくいためです。

認証手続きを行う場所

会社の本店(本社)がある都道府県内にある公証役場で行う必要があります。他の都道府県では手続きができませんのでご注意ください。

定款の認証に必要な書類

  • 定款 3通:原本1通と副本2通を用意します。
  • 発起人全員の印鑑証明書 各1通:発行から3ヶ月以内のものが必要です。
  • 発起人全員の実印:印鑑証明書と同一の印鑑が必要です。
  • 実質的支配者となるべき者の申告書:会社の経営や運営に大きな影響力を持つ人を特定するための書類です。

実質的支配者とは?

実質的支配者とは、簡単に言うと、会社の重要な決定を左右できる人のことです。具体的には、以下のいずれかに当てはまる個人です。

  • 株式会社の場合
    株式の50%を超える株式を保有する個人
    25%を超える株式を保有する個人
    事業活動に支配的な影響力を有する個人(上記2つの条件に当てはまる人がいない場合)
    代表取締役(上記3つの条件に当てはまる人がいない場合)
  • 一般社団法人・一般財団法人の場合
    事業活動に支配的な影響力を有する個人
    代表理事(上記に当てはまる人がいない場合)

代理人が手続きする場合

発起人に代わって代理人が定款認証の手続きを行う場合は、以下の書類が追加で必要になります。

  • 委任状:発起人からの委任状が必要です。
  • 代理人の身分証明書または印鑑登録証明書
  • 代理人自身の実印または認印

株式会社の場合は公告方法についても定款に記載が必要

公告とは?

「公告」とは、会社の重要な情報を公に知らせることです。例えば、毎年の決算情報や、合併などの大きな出来事があった場合に、関係者や一般の人々に知らせる必要があります。株式会社では、特に毎年の決算情報を公告することが法律で義務付けられています。(会社法440条1項)

公告方法の選び方

定款には、この公告をどのような方法で行うのかを記載しておく必要があります。大きく分けて3つの方法があります。

官報への掲載

  • 国が発行する機関紙「官報」に情報を掲載する方法です。
  • 手続きは公証役場で行います。
  • 費用は1行あたり税込3,589 円かかります。
  • 定款に公告方法についての記載がない場合、法定公告は官報で行うことになります。(会社法939条4項)

電子公告

  • 自社のウェブサイトに情報を掲載する方法です。
  • 手続きは簡単ですが、事前に定款に電子公告を行う旨を記載しておく必要があります。(会社法939条1号)
  • 電子公告自体に費用はかかりませんが、決算公告以外の公告について、事前に電子公告調査機関に調査を依頼する必要があります。

日刊新聞紙

  • 全国紙など日刊の新聞紙に情報を掲載する方法です。
  • 地方紙、夕刊紙でも公告が可能です。
  • あらかじめ日刊新聞紙で公告を行う旨を、定款で定めておく必要があります。
  • 掲載先によって費用は異なります(目安10万円程度から)。

どの方法を選ぶべき?

一般的には、費用を抑えたい場合は電子公告、信頼性を重視する場合は官報への掲載を選ぶことが多いです。設立時の定款で決めた公告方法は、後から変更することもできますが、手続きが必要になります。

定款の作成を速やかに、管理を正確に!

定款は会社の基本的なルールを定める重要な文書であり、会社設立時に作成すべきものです。定款には、必ず記載することが義務付けられている絶対的記載事項と、効力を発生させるためには記載しなければならない相対的記載事項があります。定款のフォーマットは、日本公証人連合会のWebサイトで入手することができます。定款の作成には費用がかかり、変更の場合にも費用がかかる場合があります。株式会社など一部の法人では、公証役場での定款の認証が必要になります。

定款の管理と保管においては、電子保存が効率的であり、情報漏洩リスクの軽減やアクセス制御の強化が可能です。電子保存を利用することで、紙の保存に伴うコストやスペースの削減も期待できます。

これらのポイントを押さえることで、企業は定款を効果的に作成・管理し、事業の成功に向けた基盤を築くことができます。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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