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建築業に関する法律とは?概要や最新の改正内容について解説

建築業に関する法律とは?概要や最新の改正内容について解説
この記事を読んでわかること
    • 建築業に関する法律の内容
    • 2022年〜2024年にかけての建設業法の改正内容
    • 建設業法に違反した場合の罰則

建築業に関わるすべての人が、安全に業務を行えるようさまざまなことを定めた法律が建設業法です。建築業を営むためには許認可が必要で、違反した場合は厳しいペナルティが課されることもあるため、法令遵守が重要となります。

本記事では、建築業の法律の概要や法改正によって変わること、建設業法に違反した場合に課されるペナルティなどについて詳しく解説します。


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建築業の法律とは

業者の資質の向上や、適正な建築、発注者や労働者の保護など、建築業全体が健全に発達することを目的として建築業法は定められています。建築業を営む際には、国土交通大臣や都道府県知事の許可が必要となり、建設業法を遵守して業務を行わなければいけません。

建設業法の目的

建設業法の目的は、大きく分けて2つあります。

・適正な建築契約

発注者と受注者の間で建設工事に関する契約を行う際に、不合理な契約が結ばれないよう、契約条件で定めておくべき事項や規制などを建設業法で定め、適正な施工や発注者の保護などを確保します。

・建設業者の資質の向上

事業活動を行ううえで認可が必要な建設業者の行為規制を定めることで、建設業者の資質の向上をはかり、ガバナンスの強化を促進します。さらに、建設業界全体の発展を促します。

建設業法が適用される職業

建設業法が適用される職業は、以下になります。

築工事業、土木工事業、屋根工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、電気工事業、タイル・れんが・ブロツク工事業、石工事業、舗装工事業、鉄筋工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、機械器具設置工事業、内装仕上工事業、防水工事業、ガラス工事業、板金工事業、造園工事業、さく井工事業、電気通信工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、解体工事業、水道施設工事業、消防施設工事業、清掃施設工事業、しゆんせつ工事業

宅やビルを建てる業者や道路、トンネルをつくる業者以外にも建設業に含まれる業者は多岐にわたり、すべての事業は建設業法にのっとって行わなければいけません。

建設業法の内​​容

ここからは、さらに建設業法の内容について詳しく解説します。建設業法には主に以下の3つの柱があります。

  • 設業の許可に関する規定
  • 建設工事の請負契約に関する規定
  • 主任技術者・監理技術者設置に関する規定

建設業の許可に関する規定

建設業法3条により、建設業を運営するためには国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要です。1つの都道府県で営業する場合は都道府県知事の許可、2つ以上の都道府県で事業を行う場合は国土交通大臣の許可を得なければいけません。

だし、建設業法施行令1条の2第1項に定められた通り、以下のどちらかの条件を満たす工事を受注する場合は、例外として国土交通大臣または都道府県知事の許可は不要となります。

  • 1件の請負代金が500万円未満、または1500万円未満の建築一式工事の場合
  • 延べ面積150㎡未満の建築一式工事で木造住宅を建設する場合

れらの規定を定めることで悪徳業者による受注を防ぎ、建築業界全体の健全性を保てます。

建設工事の請負契約に関する規定

建設工事の請負契約に関する規定は、以下のようなものです。

  1. 事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
  5. 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  6. 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  8. 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  11. 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  13. 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  14. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法
  16. その他国土交通省令で定める事項

出典:e-Gov 建設業法

負契約に関して細かく規定することで、発注者と受注する業者など当事者同士が対等な関係性を保ちながら請負契約ができます。

主任技術者・監理技術者設置に関する規定

建設業法26条により、建築現場に主任技術者または監理技術者の設置が義務付けられています。

任技術者は、工事現場において施工計画の作成や工程の管理、および指導など施工技術に関して管理する担当者をいいます。主任技術者になるためには、次のいずれかが必要です。

  • 定の教育課程を修了する
  • 10年以上該当する建設工事の実務経験がある
  • 国土交通大臣の認定を受ける

理技術者は、主任技術者と同じく工事現場での施工技術を管理する担当する以外に、下請負人の調整や全体的な指導も担います。監理技術者になるためには、次のいずれかが必要です。

  • 定の検定試験への合格または免許の取得
  • 該当する建設工事において2年以上の指導監督の経験がある
  • 国土交通大臣の認定を受ける

接、発注者から下請代金が4500万円以上、または建築一式工事7000万円以上の工事を受注した場合は、監理技術者を置く必要があります。

建設業法における改正

2020年に、建設業における働き方改革の促進や現場の生産性向上、持続可能な事業環境の実現などを目的として建設業法が改正されました。

正された建設業法のポイントは以下になります。

  1. 文者に対し、著しく短い工期の請負契約締結の禁止
  2. 注文者に対し、工期に影響を及ぼす事項は事前に情報提供しなければいけない
  3. 建設業者に対し、工程はなるべく細かく記載し見積もりを行う努力義務
  4. 元請に対し、下請代金の労務費相当分は現金で支払う義務
  5. 請負契約の書面には工事を施工しない日および時間帯を記載する
  6. 工事現場の監理技術者や主任技術者のルールを合理化する
  7. 認可行政庁が、建設資材製造業者に対して改善勧告・命令ができるようになる
  8. 経営業務管理責任者に関するルールにおいて5年以上の経験者の条件は外し合理化する
  9. 合併または事業譲渡は事前に認可の手続きを新設してスムーズに進められる新たな仕組みを作る
  10. 下請による元請の違法行為の密告があった場合、元請が下請を不利益に取り扱う行為の禁止
  11. 工事現場での下請の建設業許可証掲示義務の緩和

た、近年の他の法改正が、建設業法に影響を及ぼしているケースもあります。

電子帳簿保存法

2022年に施行された電子帳簿保存法では、税金に関する書類を電子データで保存する義務が課されました。書面でやり取りしていた契約に関してもすべて電子データによる請求書や領収書などの保管が求められます。

の電子帳簿保存法によって、小規模な建築業者であっても、すべてのデータを電子保存しなければなりません。

​​インボイス制度

2023年10月に施行された電子帳簿保存法は、適格請求書を発行する事業者以外から仕入を行った場合は、仕入れ税の控除が受けられなくなる制度です。

間売上が1,000万円以下の事業者の場合は、消費税の納税義務はありませんが、適格請求書が発行できないと取引先からインボイス登録を求められたり、取引を中止されたりする可能性があります。

働き方改革関連法

働き方改革関連法も建築業に大きな影響を及ぼします。2019年に施行された働き方改革関連法では、月60時間以上の時間外労働を行った場合の割り増し手当の金額が引き上げられました。

た、2024年4月からは時間外労働の上限が規制されます。施行後は、月100時間未満、年間で720時間以内の時間外労働しか行えなくなります。

建設業法におけるペナルティ

建設業法に違反した場合、以下のようなペナルティが課される場合があります。

指示処分

法令に違反したり建築業者の適切ではない状態を是正するために、指示処分が下されます。建築業者に営業を許可した国土交通大臣や都道府県の知事から、建築業法に違反した建設業者に対する措置が命じられます。

営業停止

違反した建設業者が指示処分に従わなかった場合は、国土交通大臣や都道府県の知事より営業停止処分が命じられる場合があります。

業停止期間は、国土交通大臣​​や都道府県の知事の判断により異なりますが1年以内です。営業停止の処分が下ると、業者名、所在地が国土交通省のホームページと官報で公開されるため、事業活動に大きな影響が出ます。

建設業認可取り消し

営業停止処分中に営業を継続していたり、建設業の営業許可を不正に取得していたりすることが発覚すると建設業認可の取り消しになる場合があります。認可取り消しは、指示処分や営業停止よりも重い処分です。

刑事罰

建設業法違反行為の中には刑事罰の対象になるものもあるため、注意が必要です。処罰の対象となる行為や刑事罰は、以下になります。

建設業法における罰則の事例

建設業法の罰則の事例をいくつか見ていきましょう。

無許可での営業

無許可で建設業を営んだ場合や営業停止処分中に営業した場合などは、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課されることがあります。また、次のようなケースも無許可営業になるので注意が必要です。

  • 業許可を取得すべき建設工事を取得せずに行った場合
  • 建設業許可の更新をしていない場合
  • 異なる業種の建設業許可しかなかった場合

技術者設置の違反

工事現場に設置しなければいけない主任技術者や監理技術者の設置を怠った場合は、建設業法違反として100万円以下の罰金が課されます。主任技術者または監理技術者設置の義務は、工事現場の規模によって異なります。

きな工事現場では、主任技術者ではなく監理技術者の設置が必要です。

虚偽の申告

建設業許可の取得の際に、国土交通大臣や都道府県知事に提出する書類に虚偽の内容を記載した場合、書類の提出者に6か月以下の懲役または100万円以下の罰則が課されます。一度虚偽の申告をしてしまうと、建設業許可の再取得にも大きな影響があるため、正確な事実を記載しなければいけません。

まとめ

建築業には建設業者の資質の向上や、適正な建築などを目的とした建設業法という法律があります。数多くの建築業を営む企業や業界全体が健全に発達するためのもので、違反した場合、罰則が課されることもあるため、法令遵守が求められます。

築業を営む場合は、事前に国土交通大臣や都道府県知事から営業許可をもらいましょう。法改正により規制や緩和された事項もあるため、違反のないよう適宜、建設業法を照らし合わせて事業を進めることが大切です。


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