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総務・法務必見!会社書類の保存期間完全ガイド

総務・法務必見!会社書類の保存期間完全ガイド
この記事を読んでわかること
    • 法律で定められた会社書類の保存期間
    • そのほかの会社書類の保存期間のガイドライン
    • 適切な書類の保管方法
    • 会社書類の電子化のメリット

「契約書の保管期間と保管方法」

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会社書類の保存は、後で記録を見返すためだけでなく、法律によって保存が義務付けられているためにも必要です。

法律で定められた保存期間を守らないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

本記事では、総務・法務担当の方向けに、会社書類の保存期間を解説します。法的根拠に基づいた保存期間一覧をはじめ、会社書類の効率的な管理方法や処分方法、電子化する際の注意点についても解説します。

会社書類の保存が必要な理由

企業が作成する文書の中には、企業のガバナンス強化、行政による企業への課税、雇用関係の確認、などのため法律によって保存期間が定められているものがあります。これらは「法定保存文書」と呼ばれ、適切に管理することが求められます。会社法や法人税法、労務や社会保険関連と、保存するべき書類は多岐にわたります。

法定保存期間を守ることは、コンプライアンスの観点からも非常に重要です。法定保存文書を中心に、会社書類の適切な保存期間を紹介します。

永年保存(推奨)

法定保存文書ではないものの、内容の性質上、永年での保存が推奨されます。会社の基本ルールを定めたものや、株主権の行使や証明に必要な書類など、重要書類があたります。

  • 定款、定款変更履歴
  • 登記事項証明書、法人印鑑証明書
  • 株主名簿
  • 不動産登記簿、重要契約書の一部
  • 訴訟に関する文書
  • 知的財産の所有権に関する文書
  • 社内規定に関する通達文書
  • 重要な権利に関する文書

保存期間10年

会社法に基づく、会社の意思決定の過程や財務状況を記録した重要書類です。

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 株主総会議事録(本店分。支店は謄本を5年保存):株主総会の開催日:会社法318条2項
  • 取締役会議事録:取締役会の開催日:会社法371条
  • 監査役会議事録:監査役会の開催日:会社法394条
  • 指名委員会議事録:委員会の開催日:会社法413条
  • 会計帳簿や関連する重要書類:帳簿閉鎖の時:会社法432条2項
  • 計算書類(貸借対照表や損益計算書)、附属明細書:作成した日: 会社法435条

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保存期間7年

法人税法施行規則に基づく、法人の課税所得を記録するための書類です。

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 取引に関する帳簿:作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 貸借対照表及び損益計算書(決算に関して作成した資料):作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 注文書や契約書、領収書などの書類:作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 取引に関する電子データ(契約書や注文書など):作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:電子帳簿保存法4条

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保存期間5年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 事業年度の事業報告や明細書:定時株主総会の日の1週間前の日:会社法442条
  • 有価証券報告書:(財務局などを通じて)内閣総理大臣に提出した日:金融商品取引法25条

保存期間3年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 半期報告書及びその訂正報告書:写しを内閣総理大臣に提出した日:金融商品取引法25条
  • 労働者名簿:労働者の退職、解雇、死亡の日:労働基準法109条、労働基準法附則143条1項
  • 雇入れ・解雇・退職に関する書類:労働者の退職、解雇、死亡の日:労働基準法109条
  • 賃金台帳:最後に記入した日:労働基準法109条、労働基準法附則143条

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保存期間2年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 雇用保険関連書類:完結の日:雇用保険法施行規則143条※ただし被保険者に関する書類については、4年間
  • 健康保険・厚生年金保険関連書類:完結の日:健康保険法施行規則34条、厚生年金保険法施行規則28条

会社書類を一定期間保存することの重要性

企業活動において、適切な文書管理は非常に重要です。特に、法律で定められた保存期間を遵守することは、企業のコンプライアンスと健全な経営の基盤となります。ここでは、会社書類を一定期間保存することがなぜ重要なのか、そしてどのように管理すべきかを解説します。

法的義務と経営リスク管理

会社書類の保存は、単なる事務作業ではありません。保存は法的義務であり、同時に経営リスクを管理する重要な手段でもあります。具体的には以下の効果があります。

  • 法令遵守
    会社法、税法、労働関連法など、様々な法律で文書の保存期間が定められています。これらに違反すると、罰則の対象となる場合があります。
  • 監査対応
    税務調査や労働基準監督署の調査などに対応するため、必要な書類をすぐに提出できるよう体制を整えます。
  • 紛争解決
    取引先や従業員とのトラブルが発生した際、適切に保存された文書が証拠として役立つ場合があります。
  • 業務の属人化回避
    担当者の急な退職があった際にも、過去の議事録・手順書・報告書を一式保存していれば、後任がスムーズに業務を引き継ぐことができます。
  • 株主等への説明責任を果たす
    株主からの質問に対し、決算書や会議記録を根拠として説明を行うことができ、透明性の高い企業運営につなげることができます。

法定保存文書を適切に保存する方法

法定保存文書を適切に保存するためには、法律の要件を満たすと同時に、効率的かつ安全に管理する体制が必要です。まず、保存対象となる文書を把握し、法定保存期間を確認したうえで、適切な方法を選びましょう。

大きく分けて、以下のやり方があります。それぞれについて解説します。

  1. 紙媒体で保存
  2. マイクロフィルムで保存
  3. 電子化してクラウドなどに保存

定保存文書の適切な管理は、企業の信頼性と効率性を高める重要な要素です。自社に最適な保存方法を選択し、法令順守とデジタル化のバランスを取りながら、戦略的な文書管理体制を構築しましょう。

契約書の保管期間と保管方法

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紙の状態で自社保存

紙の文書をそのまま保管します。システムなどを導入する必要がなく、保管方法として複雑な点がないため、 幅広い従業員が保管業務を担当できます。

契約を頻繁に締結しない企業であれば、 広い保管スペースを確保する必要がないため、 他の保管方法よりも低コストで済む可能性があります。

一方で、契約書の通数や分量が多い場合には、オフィススペースが圧迫されるデメリットがあります。また、契約書の検索・探索に時間がかかるほか、原本の紛失にも注意が必要です。

紙の状態で外部に保存

紙の文書の保管を外部に依託します。大量の文書がある場合、自社での保管にはスペースが必要ですが、外部に依託すれば整理整頓の負担が軽減できます。

さらに専用の施設には、耐震耐火、温度管理といった文書保護のための設備を持っています。

一方で、書類の取り寄せに時間がかかることがあるほか、保管のためのが発生します。

電子化して保存

近年では、文書管理システムを導入し、書類をデジタル化する企業が増えています。これにより、検索性の向上、保管スペースの削減、セキュリティの強化などが可能になります。また、リモートワーク時でも必要な文書にアクセスできるようになり、業務の効率化にもつながります。

一方で、システムの利用料がかかるデメリットがあります。

電子化して保存する場合は電子帳簿保存法に注意

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認め、電子データで保存する際の要件を定めた法律です。電子帳簿保存を行う際は、次のようなデータ形式と保存方法に注意が必要です。

  1. データ形式:電子帳簿のデータ形式は、国税庁が定める標準フォーマットに準拠する必要があります。
  2. 保存方法:電子帳簿は、その記録事項の入力・訂正・削除の都度、整然とした形式で保存する必要があります。
  3. 保存場所:電子帳簿は、税務当局による検査に備えて、国内に保存する必要があります。

筆すべきは、2024年1月1日以降の電子取引から、電子取引データ保存が完全義務化したことです(ただし要件を緩和する「猶予措置」あり)。一方、事業者が自らパソコンで作成した国税関係の帳簿書類や紙で作成された取引関係書類を電子データで保存することは任意です。

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文書を電子化するメリット

子化への移行は、多くの企業にとって避けられない流れとなっています。メリットを最大限に活かしつつ、デメリットに対する対策を講じることが重要です。例えば、クラウドサービスの活用やセキュリティ専門家との連携、定期的なバックアップなどが有効な対策となるでしょう。

また、電子化に伴い、従業員のデジタルリテラシー向上も課題となります。社内研修の実施や、段階的な導入プロセスの設計など、組織全体での取り組みが求められます。

電子帳簿保存法への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務プロセスの見直しや経営効率化のきっかけともなります。長期的な視点で戦略を立て、自社に最適な電子化の方法を選択することが、今後の企業競争力の維持・向上につながるでしょう。

類は保存期間を守って適切な管理をしよう

文書管理は企業にとって重要な責務です。法定保存期間が定められた書類は厳格に管理し、それ以外の文書も自社基準を設けて適切に保存することが肝要です。保管期限を過ぎた資料は、情報漏洩を防ぐため、確実な方法で迅速に処分しましょう。

近年の法改正により、多くの書類で電子化が認められるようになりました。この変化は業務効率の向上やコスト削減など、様々な利点をもたらします。企業の現状や将来の展望を踏まえ、電子化への移行を検討する好機といえるでしょう。適切な文書管理は、法令遵守だけでなく、企業の競争力強化にもつながる重要な戦略の一つとなりえます。

社内文書を適切に管理することは、当該部門の職責にとどまらず、コーポレートガバナンスという経営視点においても非常に重要です。

また、単に保管すればよいのではなく、必要に応じてすぐに利活用できるようにしておくことも求められます。文書管理を含めた法務実務を効果的にDXするためには、プラットフォーム型のリーガルテックを導入することがおすすめです。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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