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会社書類の保存期間一覧|保存・処理方法や電子化するメリットも解説

会社書類の保存期間一覧|保存・処理方法や電子化するメリットも解説

「契約書の保管期間と保管方法」

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会社書類の保存は、後で記録を見返す目的だけでなく、法律によって保存が義務付けられているためにも必要です。 法律で定められた保存期間を守らないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

しかし、書類の種類によって保存期間が違うので、どの書類をいつまで保存すれば良いのか正確に把握するのは簡単ではありません。

そこで本記事では、総務・法務担当の方向けに、会社書類の保存期間を種類別に解説します。法的根拠に基づいた保存期間一覧をはじめ、会社書類の効率的な管理方法や処分方法、電子化する際の注意点についても解説します。

会社書類の保存が必要な理由

企業が作成する文書の中には、企業のガバナンス強化、行政による企業への課税、雇用関係の確認などのために法律によって保存期間が定められているものがあります。これらは「法定保存文書」と呼ばれ、適切に管理することが求められます。会社法や法人税法、労務や社会保険関連など、多岐にわたる法令に基づき、保存すべき書類は多様です。

法定保存期間を守ることは、コンプライアンスの観点からも非常に重要です。以下では、法定保存文書を中心に、会社書類の適切な保存期間を紹介します。

【期間別】一定期間の保存が必要とされる主な書類一覧

企業活動において、書類の保存期間を把握し、適切に管理することはコンプライアンスやリスク管理の観点から不可欠です。法律で保存期間が定められている書類(法定保存文書)はもちろん、それ以外の文書にも保存の必要性があるケースは少なくありません。ここでは、保存期間ごとに代表的な書類を整理し、関連する根拠法令とともに紹介します。

永年保存(推奨)

法定保存文書ではないものの、内容の性質上、永年での保存が推奨されます。以下のような、会社の基本ルールを定めたものや、株主権の行使や証明に必要な書類などの重要書類が該当します。

  • 定款、定款変更履歴
  • 登記事項証明書、法人印鑑証明書
  • 株主名簿、新株予約権原簿、社債原簿、株券喪失登録簿
  • 不動産登記簿、重要契約書の一部
  • 訴訟に関する文書
  • 知的財産の所有権に関する文書(特許証、商標登録証、登録料受領証等)
  • 官公署への提出書類や、許認可・通達に関する重要書類
  • 社内規定、社則、社内通達文書、就業規則などの制度関連文書
  • 効力の永続する契約書(例:長期取引契約、無期限契約など)
  • 重要な権利・財産の得喪に関する文書
  • 会社の沿革や事業内容を示す社内報・社報・記念刊行物
  • 1製品の開発・設計に関する文書(開発仕様書、設計図、技術資料など)
  • 重要な人事に関する書類(役員人事、懲戒・表彰記録等)
  • 労働組合との協定書、団体交渉記録

これらの書類は、将来的なトラブル対応や監査・証明対応の際に必要となる可能性があるため、電子化や専用倉庫による保管なども含めた、長期保存に適した管理体制の整備が求められます

保存期間30年

30年間の保存が義務づけられている書類は、主に労働安全や健康管理に関するものです。長期にわたる健康影響の有無を確認するための重要な資料であり、万が一の際には法的な立証手段としても活用されます。

具体的には、以下のような書類が対象です。<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 特別管理物質を取り扱う作業場に従事した労働者の作業概要記録:当該事業場で当該作業に常時従事することとなった日:特定化学物質障害予防規則 第38条の4
  • クロム酸など有害物質の濃度測定結果:作成日:特定化学物質障害予防規則 第36条
  • 特定化学物質健康診断の個人票:作成日:特定化学物質障害予防規則 第40条
  • 放射線業務従事者の線量測定記録:作成日:電離放射線障害防止規則 第9条
  • 電離放射線健康診断の記録:作成日:電離放射線障害防止規則 第57条

これらの書類については、安全衛生体制の一環として、定期的な確認と保管環境の整備も重要です。

保存期間10年

会社法に基づく、会社の意思決定の過程や財務状況を記録した重要書類です。

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 株主総会議事録(本店分。支店は謄本を5年保存):株主総会の開催日:会社法318条2項
  • 取締役会議事録:取締役会の開催日:会社法371条
  • 監査役会議事録:監査役会の開催日:会社法394条
  • 指名委員会議事録:委員会の開催日:会社法413条
  • 会計帳簿や関連する重要書類:帳簿閉鎖の時:会社法432条2項
  • 計算書類(貸借対照表や損益計算書)、附属明細書:作成した日: 会社法435条

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保存期間7年

法人税法施行規則に基づく、法人の課税所得を記録するための書類です。

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 取引に関する帳簿:作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 貸借対照表及び損益計算書(決算に関して作成した資料):作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 注文書や契約書、領収書などの書類:作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:法人税法施行規則第59条第1、2項
  • 取引に関する電子データ(契約書や注文書など):作成・受領日の事業年度が終了した日の翌日から2か月を経過した日:電子帳簿保存法4条

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保存期間5年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 事業報告/監査報告/監査報告(本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存):定時株主総会の1週間前の日(取締役会設置会社は2週間前):会社法442条
  • 有価証券届出書・有価証券報告書およびその添付書類、訂正届出(報告)書の写し:内閣総理大臣に提出した日:金融取引法25

  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し:管理票の写しを受領した日:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則8の26
  • 産業廃棄物処理の委託契約書:契約終了日:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則8の4の3

  • 従業員の身元保証書:作成日:身元保証二関スル法律1、2
  • 企画業務型裁量労働制についての労使委員会の決議事項の記録:有効期間の満了後:労働基準法施行規則24の2の3
  • 労使委員会議事録:開催日:労働基準法施行規則24の2の4

  • 一般健康診断個人票:作成日:労働安全衛生規則51
  • 有機溶剤等健康診断個人票:作成日:有機溶剤中毒予防規則30
  • 鉛健康診断個人票:作成日:鉛中毒予防規則54
  • 四アルキル鉛健康診断個人票:作成日:四アルキル鉛中毒予防規則23
  • 特定化学物質健康診断個人票 (クロム酸等は30年):作成日:特定化学物質障害予防規則40
  • 高気圧業務健康診断個人票:作成日:高気圧作業安全衛生規則39
  • 高圧室内業務の減圧状況の記録:作成日:高気圧作業安全衛生規則20の2
  • 線量当量率または線量当量の測定の記録:作成日:電離放射線障害防止規則54
  • 放射性物質の濃度測定の記録:作成日:電離放射線障害防止規則5559
  • 放射線事故に関する測定の記録:作成日:電離放射線障害防止規則45

特に事業報告や監査報告、有価証券報告書などは法定開示義務がある重要書類であり、株主や投資家への情報開示、ガバナンスの透明性確保の観点からも厳格な保存管理が求められます。また、保存期間満了後も、電子化による保存やバックアップの保持を行うことで、突発的な監査対応や株主請求に備える企業も増えています。

保存期間3年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 四半期報告書及びその訂正報告書:写しを内閣総理大臣に提出した日:金融商品取引法25条
  • 労働者名簿:労働者の退職、解雇、死亡の日:労働基準法109条、労働基準法附則143条1項
  • 雇入れ・解雇・退職に関する書類:労働者の退職、解雇、死亡の日:労働基準法109条
  • 賃金台帳:最後に記入した日:労働基準法109条、労働基準法附則143条

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保存期間2年

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 雇用保険関連書類:完結の日:雇用保険法施行規則143条※ただし被保険者に関する書類については、4年間
  • 健康保険・厚生年金保険関連書類:完結の日:健康保険法施行規則34条、厚生年金保険法施行規則28条

保存期間1年

以下の書類は、法令または実務上の判断により、保存期間を1年とするのが適切とされています。

<該当する書類:起算日:根拠条文>

  • 臨時報告書および訂正報告書の写し:内閣総理大臣に提出した日:金融商品取引法 第25条
  • 自己株券買付状況報告書および訂正報告書の写し:内閣総理大臣に提出した日:金融商品取引法 第25条
  • 当直日誌、軽易な往復文書、受信・発信文書:記入日または作成日:実務上の運用により1年が妥当

これらは、日常的な業務に伴って作成される記録文書であり、長期間にわたって保存する必要性は高くありません。保存期間中は、機密情報の漏えいを防ぐため、保管場所の管理や閲覧権限の設定に留意する必要があります。保存期間が終了した書類は、速やかかつ復元不可能な方法で適切に廃棄しましょう。

なお、総務省が策定した「文書管理に関するガイドライン」では、法定保存文書について「法令により保存期間が定められている文書であり、保存期間内は適切な管理措置を講じる必要がある」と明記されています。そのため、企業は単なる記録保存にとどまらず、文書が必要となった際に速やかに提出できる体制の構築が求められます。特に総務・法務部門においては、保存期間と根拠法令を体系的に把握し、組織内で共有することが重要です。

参考:国税庁「国税庁標準文書保存期間基準(保存期間表)」

会社書類を一定期間保存することの重要性

企業活動において、適切な文書管理は非常に重要です。特に、法律で定められた保存期間を遵守することは、企業のコンプライアンスと健全な経営の基盤となります。ここでは、会社書類を一定期間保存することがなぜ重要なのか、そしてどのように管理すべきかを解説します。

法的義務と経営リスク管理

会社書類の保存は、単なる事務作業ではありません。保存は法的義務であり、同時に経営リスクを管理する重要な手段でもあります。具体的には以下の効果があります。

法令遵守
会社法、税法、労働関連法など、様々な法律で文書の保存期間が定められています。これらに違反すると、罰則の対象となる場合があります。

監査対応
税務調査や労働基準監督署の調査などに対応するため、必要な書類をすぐに提出できるよう体制を整えます。

紛争解決
取引先や従業員とのトラブルが発生した際、適切に保存された文書が証拠として役立つ場合があります。

業務の属人化回避
担当者の急な退職があった際にも、過去の議事録・手順書・報告書を一式保存していれば、後任がスムーズに業務を引き継ぐことができます。

株主等への説明責任を果たす
株主からの質問に対し、決算書や会議記録を根拠として説明を行うことができ、透明性の高い企業運営につなげることができます。

法定保存文書を適切に保存する方法

法定保存文書を適切に保存するためには、法律の要件を満たすと同時に、効率的かつ安全に管理する体制が必要です。まず、保存対象となる文書を把握し、法定保存期間を確認したうえで、適切な方法を選びましょう。

大きく分けて、以下のやり方があります。それぞれについて解説します。

  1. 紙媒体で保存
  2. マイクロフィルムで保存
  3. 電子化してクラウドなどに保存

法定保存文書の適切な管理は、企業の信頼性と効率性を高める重要な要素です。自社に最適な保存方法を選択し、法令遵守とデジタル化のバランスを取りながら、戦略的な文書管理体制を構築しましょう。

紙の状態で自社保存

紙の文書をそのまま保管します。システムなどを導入する必要がなく、保管方法として複雑な点がなく、 幅広い従業員が保管業務を担当できるのです。

契約を頻繁に締結しない企業であれば、 広い保管スペースを確保する必要がないため、 他の保管方法よりも低コストで済む可能性があります。

一方で、契約書の通数や分量が多い場合には、オフィススペースが圧迫されるデメリットがあります。また、契約書の検索・探索に時間がかかるほか、原本の紛失にも注意が必要です。

紙の状態で外部に保存

紙の文書の保管を外部に依託します。大量の文書がある場合、自社での保管にはスペースが必要ですが、外部に依託すれば整理整頓の負担が軽減できるのです。さらに専用の施設には、耐震耐火、温度管理といった文書保護のための設備があります。

一方で、書類の取り寄せに時間がかかることがあるほか、保管費用が発生する点には注意が必要です。

電子化して保存

近年では、文書管理システムを導入し、書類をデジタル化する企業が増えています。これにより、検索性の向上、保管スペースの削減、セキュリティの強化などが可能になります。また、リモートワーク時でも必要な文書にアクセスできるようになり、業務の効率化にもつながるのです。

一方で、システムの利用料がかかるデメリットには注意が必要です。

保存期間が法律で定められていない書類とは?

企業で取り扱う書類の中には、保存期間が法律で定められていない「非・法定保存文書」もあります。これらは法的な義務がないため、保存の可否は各企業の判断に委ねられるのです。

ただし、業務の継続性やトラブル発生時の証拠、また会社の歴史資料としての価値を考慮し、一定期間の保管が推奨されるケースも多く見られます。

具体的には、以下のような書類が該当します。

  • 稟議書や重要な決裁文書
  • 顧客名簿や取引先リスト
  • 業務報告書・日報
  • 企画書・提案書
  • 社内会議の議事録
  • 作業マニュアルや手順書
  • 広報資料・社内報

保存期間が定められていない書類の扱い方

会社で取り扱う書類の中には、法令で保存期間が定められていない「非・法定保存文書」も数多く存在します。こうした書類は、保存の必要性や期間を企業ごとに判断する必要があり、管理ルールの整備が欠かせません。ここでは、非・法定保存文書の扱い方や、自社で保存期間を決める際のポイントについて詳しく解説します。

会社独自の保存ルールを定める

法律で保存期間が定められていない「非・法定保存文書」については、業務上の重要性や証拠資料としての価値、将来的な活用可能性などを踏まえ、会社独自の保存ルールを設けて管理することが重要です。

例えば、稟議書、企画書、会議の議事録などは、業務の経過や意思決定の根拠を記録するうえで有用なため、社内規定として3年から10年の保存期間を設定する企業も見られます。また、トラブル発生時の対応に備えて、保存期間を過ぎたあとも保管を続けるかどうかは、訴訟リスクや企業資料としての価値を考慮して判断するとよいでしょう。

また、保存ルールは全社で統一するのが望ましく、部門間で運用に差が出ないようにすることも大切です。

必ず一定期間は保存しておく

法律で保存期間が定められていない文書であっても、一定期間は保管しておくのが一般的です。例えば、稟議書、社内会議の議事録、顧客リスト、日報などは、業務の経過や意思決定の根拠を示す資料として重要な役割を担います。

これらの書類は、後任者への引き継ぎや社内外からの照会対応に活用されるほか、万が一のトラブル時には証拠資料としても機能します。こうした背景から、多くの企業では「最低3年」「最大10年」といった独自の保存期間を設け、適切に管理しているのが実情です。

保存期間については短期・長期で分類し、満了後に破棄するかどうかを再評価する体制を整えることで、業務効率とリスク管理のバランスを取ることができます。

「短期保存」「長期保存」に分類する

非・法定保存文書は、保存期間を「短期保存」と「長期保存」に分けて管理することで、文書の整理や業務効率化が図れます。

例えば、日報や業務報告書などは、一定期間を過ぎると再利用の機会が少ないため「短期保存」に分類し、1〜3年を目安に保管するのが一般的です。一方で、稟議書や議事録、重要な決裁文書などは、判断の根拠や業務の経過を示す資料として活用される場面が多く、トラブル対応や引き継ぎにも役立つので、「長期保存」として5〜10年の保管を検討するとよいでしょう。

保存期間の分類は、リスク管理や経営判断の観点からも重要です。保存満了時には内容の再評価を行い、必要に応じて廃棄や保管継続を判断する体制を整えることが求められます。

保存期間が過ぎた書類の正しい処分方法

保存期間を過ぎた書類をそのまま保管し続けていませんか?企業における文書管理では、保存義務の終了後には、適切な方法で処分することが重要です。特に、機密情報や個人情報を含む書類を誤った方法で廃棄すると、情報漏洩や法令違反のリスクにつながるおそれもあります。ここでは、書類の性質に応じた正しい処分方法や注意点について解説します。

機密情報はシュレッダーや溶解処理で廃棄する

機密性の高い書類を処分する際は、情報漏洩を防ぐため、通常のごみとして廃棄するのではなく、シュレッダーや溶解処理など、安全性の高い方法で処理することが推奨されます。保存期間を過ぎた書類であっても、顧客情報や契約書、会議資料など機密性の高い内容を含む場合は適切な処理が必要です。

特に、こうした書類は業務上の重要性に加え、万が一情報が漏れた場合のリスクも大きいため、専門業者への依託も検討するとよいでしょう。社内で対応する場合は、専用の機密書類回収ボックスを設置するなど、明確な廃棄フローを整備し、従業員への周知を徹底する体制が求められます。

マイナンバー記載書類の廃棄は法令に準拠する

マイナンバーが記載された書類を廃棄する際は、必ず関連法令に準拠した方法で対応する必要があります。マイナンバー法では、利用目的を終えた特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)について、速やかに廃棄または削除することが求められており、復元不可能な手段を講じることが前提です。

例えば、紙の書類はシュレッダー処理のほか、焼却や溶解による処理が適切です。電子データの場合は、専用ソフトを用いた完全削除や、記録媒体そのものの物理的破壊が必要とされます。

また、自社内で廃棄を行う場合は、「廃棄年月日・担当者・実施方法を記録として残すこと」が義務づけられています。外部業者に処理を依託する際は、必ず廃棄証明書を取得しましょう。

このような廃棄義務は、マイナンバー法 第14条〜第18条 において、「特定個人情報の収集・保管・ファイル作成・第三者提供の禁止」や、「特定個人情報の保護評価の実施義務」が明記されており、情報漏洩リスクの低減を図るための明確な管理措置が定められています。

保存期間が終了したあとであっても、適切な廃棄手続きを怠れば法令違反とみなされる可能性があります。こうしたリスクを避けるためにも、廃棄フローの整備と社内でのルール共有が欠かせません。

参考:総務省「マイナンバー法及びマイナンバー関連法案の概要」

電子化して保存する場合は電子帳簿保存法に注意

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認め、電子データで保存する際の要件を定めた法律です。電子帳簿保存を行う際は、次のようなデータ形式と保存方法に注意が必要です。

  1. データ形式:電子帳簿のデータ形式は、国税庁が定める標準フォーマットに準拠する必要があります。
  2. 保存方法:電子帳簿は、その記録事項の入力・訂正・削除の都度、整然とした形式で保存する必要があります。
  3. 保存場所:電子帳簿は、税務当局による検査に備えて、国内に保存する必要があります。

特筆すべきは、2024年1月1日以降の電子取引から、電子取引データ保存が完全義務化したことです(ただし要件を緩和する「猶予措置」あり)。一方、事業者が自らパソコンで作成した国税関係の帳簿書類や紙で作成された取引関係書類を電子データで保存することは任意となります。

以下の記事では電子帳簿保存法について詳しく解説しています。ぜひ併せて確認してみてください。

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電子帳簿保存法とは?対象書類や2024年の改正内容をわかりやすく解説

文書を電子化するメリット

書類の電子化は、保管コストの削減や業務効率の向上など、以下のように多くのメリットをもたらします。

  • コスト削減
  • 書類検索性の向上
  • 紛失リスクの軽減
  • セキュリティ性向上

まず、紙書類に必要な用紙代やインク代、キャビネットなどの保管設備が不要になるため、コストの削減が可能です。

また、電子データにすることで検索性が向上し、必要な書類をすばやく見つけられるようになり、業務時間の短縮にもつながります。さらに、紙と比べて劣化や紛失のリスクが低く、災害時の備えや情報セキュリティの観点でも優れているといえるでしょう。

クラウド保存を活用すれば、リモートワーク中でも社内文書にアクセスでき、柔軟な働き方の実現にも貢献します。

書類は保存期間を守って適切な管理をしよう

文書管理は企業にとって重要な責務です。法定保存期間が定められた書類は厳格に管理し、それ以外の文書も自社基準を設けて適切に保存することが肝要です。保管期限を過ぎた資料は、情報漏洩を防ぐため、確実な方法で迅速に処分しましょう。

近年の法改正により、多くの書類で電子化が認められるようになりました。この変化は業務効率の向上やコスト削減など、様々な利点をもたらします。企業の現状や将来の展望を踏まえ、電子化への移行を検討する好機といえるでしょう。適切な文書管理は、法令遵守だけでなく、企業の競争力強化にもつながる重要な戦略の一つとなりえます。

社内文書を適切に管理することは、当該部門の職責にとどまらず、コーポレートガバナンスという経営視点においても非常に重要です。

また、単に保管すればよいのではなく、必要に応じてすぐに利活用できるようにしておくことも求められます。文書管理を含めた法務実務を効果的にDXするためには、プラットフォーム型のリーガルテックを導入することがおすすめです。

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契約書管理担当者のための契約書管理の手引き

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

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