法務博士とは
法務博士とは、法科大学院を修了した者に与えられる学位です。実務家の養成を目的としたもので、取得した者は司法試験を受ける受験資格が得られます。
そもそも法科大学院は、専門職大学院の一つとして設立されました。専門職大学院には「法科大学院」と「教職大学院」の2種類があり、ともに高度な専門性を伴う職業に必要な、深い学識と能力を培うことを目的としています。
法科大学院には2年コース(既修者)と3年コース(未修者)があり、法務博士の学位を取得するためにはいずれかのコースを修了しなければなりません。基本的には3年コースとなりますが、入試試験において法学既修者の水準に達していると認められた場合は、2年コースとなる場合があります。
法科大学院では法的な知識に加え、模擬法廷の授業などのカリキュラムも含まれており、法曹における実践的なスキルを学べます。
修士や学士とは異なる学位
法学関係には様々な学位が存在しますが、それぞれに概要が異なります。法学関係の代表的な学位としては、以下にある3種類です。
博士は学士や修士より取得難易度が高いと認識されており、社会的な評価も得やすい傾向です。 たとえば厚生労働省が公表する賃金構造基本統計調査によると、大学卒である学士と大学院卒である修士や博士では、賃金に違いがあることが分かっています(※1)。
ただし法務博士は、一般の大学院とは異なる法科大学院を修了した者に与えられるものであるため、一般的な収支や博士とは位置づけが異なります。
参考資料:厚生労働省|令和4年賃金構造基本統計調査
法務博士の主なキャリアパス
法務博士のキャリアパスでは、弁護士や検察官などの法曹を目指す人が多くいます。
一方で、一般企業への就職する人も少なくありません。
ビジネスの複雑化で法務の難易度が上がり、コンプライアンスが重要視される昨今では、深い知識を持った法務担当者が求められています。
法学博士との違い
法務博士は法学博士と似ていますが、内容は異なります。
法科大学院を修了した者に与えられるのが法務博士、法科大学院以外の大学院で博士号を取得した者に与えられるのが法学博士です。
なお、法科大学院と法学系の大学院では、目的にも違いがあります。法科大学院は実務家の養成を目的とするのに対し、法学系の大学院では研究を目的としています。そのため法学博士の取得者は、大学や研究機関などへの就職が考えられるキャリアパスです。
法務博士を有する人を採用するメリット
法務博士は専門的な知識を有していることから、企業法務での活躍が見込めます。
たとえば法律の知識を活かして、適切なコンプライアンス体制を構築したり、より高度に契約内容のチェックをしたり、ビジネス体制の構築に関わったりと、法的な観点が必要な業務での活躍が期待できます。
法務博士は基礎的な法律の知識があることから、法務関係の仕事で即戦力としての活躍に期待できる点が企業側のメリットです。
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