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納品書の保管期間は何年? 紙・電子の保存方法と違反リスクまで解説【弁護士監修】

納品書の保管期間は何年? 紙・電子の保存方法と違反リスクまで解説【弁護士監修】

「電子帳簿保存法 (電帳法)対応まるわかりガイド」

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「納品書って何年保管すればいいの?」
「電子保存って本当に大丈夫?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、納品書の保管期間について、税法・会社法などの法律に基づいたルールや、違反した場合のリスクをわかりやすく解説します。また、紙と電子それぞれの保管方法や、電子帳簿保存法への対応、電子化のメリット・注意点もご紹介しますので、保管方法の見直しを検討中の方はぜひ最後までお読みください。

目次

そもそも納品書とは?

納品書は、主に商品を発送する際に同梱されるもので、受け取り側が「発注内容通りに納品されているか」を確認するための確認書類です。

以下のような項目が記載されているのが一般的です。

  • 発行年月日
  • 納品書番号
  • 注文者(受け取る側)の社名・担当者名
  • 発行元の社名・連絡先
  • 商品名・数量・単価・金額・消費税
  • 合計金額

たとえばオフィス用品を一括で仕入れる場合、納品書があると「どの物品が届き、どの物が未着か」が明確になります。納品書は、検収作業の効率化やトラブル時の証明にも役立ちます。

納品書の保管期間は何年?

納品書の保管期間は一律ではなく、会社法や税法、申告形態(法人・個人)によって年数や起算点が異なります

本章では、法人・個人それぞれの保管期間の違いや、起算日の考え方、実際の年数のカウント方法まで、実務で迷わないために必要なポイントをわかりやすく解説します。正しく保管してトラブルを防ぐために、まずは保管期間の基礎をしっかり押さえておきましょう。

会社法では10年間の保存が原則

会社法においては、納品書を10年間保管することが原則とされています。会社の会計に関する書類として、納品書が重要な附属明細書の一部とみなされているためです。

会社法第435条第4項では、株式会社が作成した計算書類(貸借対照表や損益計算書など)およびその附属明細書を、作成時から10年間保存しなければならないと定められています。

納品書は、発注・仕入・納品などの取引の証拠となる書類であり、会計帳簿と密接に関係する経理書類(証憑書類)として扱われることから、附属明細書に含まれると解釈されています。

保管期間のカウント方法は、以下のように整理できます。

  • 計算書類の対象期間:2023年4月1日〜2024年3月31日(=事業年度)
  • 計算書類の作成日:2024年6月末(株主総会で承認)
  • 起算日:2024年7月1日
  • 納品書の保管期限:2034年6月30日まで(10年間)

納品書の発行日から10年ではなく、計算書類を作成した時点から10年間保存する必要がある点に注意が必要です。

税法では原則7年の保存が必要

法人が受領・発行した納品書は、税法により原則7年間の保存が義務づけられています

これは、税務調査や会計監査に備えるうえで、納品書が重要な証憑書類として機能するためです。

納品書は、商品やサービスの受け渡しを証明する取引証憑であり、見積書・注文書・領収書・契約書などと並んで「帳簿書類」に分類されます。

法人税法施行規則第67条の2では、法人はこれら帳票を事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存することが定められています。

以下は、実際の保管期間のカウント方法例です。

  • 納品書の受領日:2020年12月
  • 決算日:2021年3月31日
  • 確定申告書の提出期限:2021年5月31日
  • 保存期間の起算日:2021年6月1日
  • 保存義務の終了日:2028年5月31日

保存期間は、納品書の発行日ではなく、確定申告書の提出期限の翌日からカウントするため、注意しましょう。

個人事業主・副業の場合は原則5年、条件により7年

個人事業主や副業で納品書を取り扱う場合、原則として5年間の保管が必要ですが、申告内容によっては最大7年間の保存義務が生じるケースもあります

納品書は「現金預金取引等関係書類以外の書類」として分類され、多くの場合で5年間の保存対象となります。

  • 区分1:青色申告(通常)
  • 保管期間:5年間
  • 適用法令:所得税法第63条
  • 注意点:納品書などの証憑書類は5年間の保存が必要

  • 区分2:青色申告(帳簿不備など)
  • 保管期間:最大7年間
  • 適用法令:所得税法第63条 
  • 注意点:税務署から指摘を受けると保存期間が延長される場合あり

  • 区分3:白色申告
  • 保管期間:5年間
  • 適用法令:所得税法施行規則第102条第4項
  • 注意点:青色・白色問わず証憑類の保管義務がある


保管期間の起算日は、確定申告期限の翌日からスタートします税務リスクを避けるためにも、最低5年間の保存ルールを守るのが実務上の基本です。

納品書の保管期間が「会社法10年」「税法7年」と異なる理由とは?

納品書の保管期間が異なるのは、会社法と税法がそれぞれ異なる目的を持って定められているためです。

会社法は、企業の取引や会計情報を適切に保管し、万が一のトラブルや監査時に備えることを目的とした法律です。たとえば、取引先や顧客との契約内容に関する紛争が発生した場合、納品書が「いつ・何を・いくらで納品したか」を証明する重要な資料になります。民法上の消滅時効(5年または10年)を踏まえても、企業としては納品書を10年間保管しておくことが望ましいとされています。

一方で、税法に基づく保管は、税務調査に備えた「課税根拠の証明」が目的です。法人税や所得税などの追徴課税には時効があり、通常は申告期限の翌日から7年間とされています。そのため、税務署による調査に対応するためには、納品書を最低7年間保管する必要があります。

納品書の保管期間は一律ではなく、目的に応じて必要な年数が変わります。経理や総務の担当者は、会社法・税法それぞれの観点を踏まえたうえで、適切な保管ルールを設けることが重要です。

インボイス制度・電子取引における納品書の保存ルール

2023年10月に始まったインボイス制度、そして2024年の電子帳簿保存法の改正によって、納品書の保存ルールはこれまで以上に厳格になりました。記載要件を満たせば、納品書も適格請求書等(インボイス)に該当するため、発行側・受領側ともに7年間の保存義務が発生します。

本章では、インボイス制度の保存ルールと電子帳簿保存法の要件を、法人・個人問わず押さえておくべきポイントとしてわかりやすく解説します。

インボイス制度|納品書も記載要件と保存義務に注意が必要

インボイス制度では、納品書が「適格請求書等」に該当する場合、記載要件の遵守と7年間の保存が義務付けられます。発行側・受領側の両方に対応が必要です。

2023年10月に導入されたインボイス制度では、適格請求書発行事業者が交付する納品書・請求書などの帳票には、一定の記載項目(登録番号、取引内容、消費税率ごとの税込金額など)が必要です。

これらの要件を満たした納品書は「適格請求書等」に含まれ、消費税の仕入税額控除の対象書類として取り扱われます。

以下は、インボイス制度における納品書保存の主な要件です。

  • 対象者:適格請求書発行事業者(法人・個人事業主・副業を含む課税事業者)

  • 対象書類:適格請求書等(記載要件を満たす納品書も該当)

  • 記載要件の例:
    ・発行者の氏名または名称、登録番号
    ・取引年月日、取引内容(商品・サービス名)
    ・税率ごとの税込金額、消費税額の明記など


  • 保存義務者:
    ・納品書の発行者(発行控えを7年間保存)
    ・納品書の受領者(仕入税額控除のため7年間保存)


  • 保存期間:7年間(該当課税期間の末日の翌日から2か月経過後に起算)

  • 注意点:
    ・請求書ではなく納品書でも要件を満たせばインボイスとして扱われる
    ・控えの保存も義務対象

納品書であっても、記載項目を満たしていればインボイスとして取り扱われ、「仕入税額控除の根拠資料」としての保存義務が発生します。発行側も受領側も、制度に沿った保存体制を整え、7年間の保存要件を確実に満たすようにしておきましょう。

参考:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き

電子取引の場合|電子帳簿保存法の要件を満たして保存する

2024年1月の法改正以降、電子取引で受け取った納品書をプリントアウトして紙で保存するのは、電子帳簿保存法違反となります。

請求書や領収書などの他の帳票と同様に、納品書も「電子取引の証憑(証拠書類)」と位置づけられているためです。保存には、以下のような「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たす必要があります。

  • 真実性の確保
  • タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴がシステム上に残る、または訂正・削除ができないシステムを利用する
  • 事務処理規程の整備など

  • 可視性の確保
  • モニターでの明瞭な表示
  • 速やかな検索機能
  • 必要な出力機能
  • 索引付け、日付管理

特に実務上では、「スキャン保存」「電子データ保存」のどちらであっても、保存体制の整備が不可欠です。納品書を含む電子取引データは、要件を満たす形で7年間保存するのが原則です。法令違反や証憑紛失によるリスクを回避するためにも、対応システムの導入を検討しましょう。

保管期間を過ぎるとどうなる?守らなかった場合に起きる3つのリスク

納品書の保管期間を守らないことで発生するリスクは、法的罰則から税務指摘、取引先とのトラブルや訴訟にまで及ぶ可能性があります。本章では、保管期間を過ぎた場合に起こりうる3つの主なリスクについて、わかりやすく解説します。

法令違反による罰則やペナルティが発生する

納品書の保管期間を守らないと、法令違反とみなされ、さまざまな罰則や行政指導の対象となる可能性があります。法人や個人事業主を問わず、税務調査や監査の際に納品書が提出できないと、申告内容に不備があるとみなされ、加算税や重加算税の対象となる場合もあります。

納品書の保管義務違反による代表的なペナルティは、以下のとおりです。

  • 会社法違反
  • 経理書類(納品書など)の保管義務違反により、企業または代表者に100万円以下の過料が科される場合あり(会社法第976条

  • 税法違反
  • 青色申告の取消
  • 消費税の仕入税額控除が認められない
  • 欠損金の繰越控除ができない
  • 推計課税による不利な課税
  • 悪質な場合は100万円以下の罰金の可能性も

  • 行政対応
  • 保管体制の不備に対して行政指導・是正勧告
  • 是正に応じない場合は行政処分や過料の対象になることも

納品書を適切に管理・保存するのは、企業の信頼性や税務上の安全性を守るために欠かせない業務です。

税務調査で証拠書類がないと、追加課税されるおそれがある

納品書を適切に保管していないと、取引先との認識違いや税務対応時の不備が原因で、トラブルや訴訟に発展する可能性があります。納品書は発注・納品・支払いの流れを証明する重要な証憑であることから、税務調査や経理監査だけでなく、万が一の契約トラブル時にも「証拠書類」として機能します

考えられるリスクは、以下のとおりです。

  • 税務調査対応の困難化
  • 起こりうる問題:経費や売上の証明ができない
  • 想定される影響:修正申告の指導、控除否認

  • 追加徴税
  • 起こりうる問題:推計課税による課税額の増加
  • 想定される影響:予定外の税負担が発生

  • 取引先との認識齟齬
  • 起こりうる問題:納品内容の証明が困難
  • 想定される影響:請求トラブル、信用失墜

  • 訴訟・法的トラブル
  • 起こりうる問題:契約不履行の疑いを晴らせない
  • 想定される影響:損害賠償請求、訴訟費用の発生

納品書は紙であれ電子であれ、法定保管期間に沿って、確実かつ検索可能な形で保存しておくことが重要です。単なる経理作業ではなく、取引の安全性を守るための経営リスク対策でもあるといえるでしょう。

取引先とのトラブルや訴訟に発展する可能性がある

納品書を正しく保管していないと、取引先との信頼関係が損なわれ、最悪の場合は訴訟にまで発展するおそれがあります。納品書は契約内容や納品実績を証明する取引証憑書類のひとつであることから、取引の履歴や事実を明確に裏付ける役割を担っているためです。

保管期間中に書類が見つからなければ、正当性の主張ができず、誤解や紛争が生じやすくなります。たとえば、以下のようなリスクが考えられます。

  • 契約内容の誤認
  • 起こりうる問題:発注内容と納品内容が食い違っていたが、納品書が残っていない
  • 想定される影響:顧客からの返品・クレーム、支払い拒否

  • 納品実績の証明不足
  • 起こりうる問題:「納品した」「していない」の水掛け論に発展
  • 想定される影響:訴訟リスク、損害賠償請求の可能性

  • 信頼低下
  • 起こりうる問題:書類管理のずさんさが表面化
  • 想定される影響:顧客・株主・従業員からの信用失墜、ブランド価値の低下

信頼される企業であるためには、帳票類の管理体制=ガバナンスの質ともいえます納品書の保管を「ただの事務作業」と軽く見ず、リスクマネジメントの一環としてとらえましょう。

【紙・電子】納品書の正しい保管方法

納品書の保管方法には「紙での保存」と「電子保存」の2通りがあり、それぞれにメリットと注意点があります。本章では、紙と電子、それぞれの保管方法の特徴や注意点を解説します。

紙で保管する場合|劣化・検索性・管理スペースに注意が必要

納品書を紙で保管する場合、手元で管理できる安心感はありますが、物理的に管理する必要があるため、いくつかの注意点があります。定期的なチェックや整理整頓が欠かせず、保管スペースも年々圧迫されます。また、保存期間が5年〜10年と長期間に及ぶことから、湿気や火災などのリスク対策も重要です。

以下に、紙保管におけるポイントをまとめました。

  • 保管場所:経理・法務など帳票を扱う部門に近い場所に設置
  • 分類方法:取引先別・年度別・日付順でファイリング
  • 管理手段:書類ボックスやキャビネットを活用し、ラベルを明記
  • 劣化対策:中性紙の使用、防湿・防火対策された場所で保存
  • 定期確認:書類が破損・散逸していないか定期的にチェック

紙での保存は、ルールを設けて運用すれば有効ですが、業務が煩雑化しやすいため、ファイリングや保管体制の整備が不可欠です取引証憑としての納品書を確実に保管するには、手間がかかる点も踏まえて、電子化との併用や切り替えも検討すべき選択肢といえるでしょう。

電子で保管する場合|法令対応とセキュリティ対策が重要

納品書を電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法に対応した管理体制を整える必要があります。2024年以降、電子取引で受け取った納品書を紙に出力して保存することは法律違反となるためです。電子データのまま保管する際には、改ざんや消失のリスクを防ぎつつ、スムーズに閲覧・検索できる状態を維持しなければなりません

電子帳簿保存法が求める主な要件は、以下のとおりです。

  • 真実性の確保
  • タイムスタンプの付与
  • 入力者の記録
  • バージョン管理などによる改ざん防止

  • 可視性の確保
  • 高解像度・フルカラーでスキャン
  • 専用システムやソフトで閲覧・検索可能な状態を維持

  • 検索機能の確保
  • 取引日・金額・取引先名などで検索できるシステム設計が必要

  • マニュアルの備え付け
  • 利用中の電子保管システムの操作マニュアルを保管
  • 運用ルールを明文化

電子化による納品書の保存は、コスト削減や業務効率化につながる一方で、法令を満たす正しい管理が欠かせません。システムを導入するだけではなく、運用マニュアルの整備や社員への教育も含めて、セキュリティ対策とコンプライアンス対応を両立させるのが重要です。

紙の納品書を電子化するなら「スキャナ保存」の要件に注意

紙で受け取った納品書をスキャンして電子化する場合、「スキャナ保存」として電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。特に納品書は、契約書や請求書と並ぶ「重要書類」に該当するため、保存要件が厳格に定められている点に注意が必要です。

本章では、スキャナ保存を行う際に押さえておくべき2つの要件「真実性の確保」と「可視性の確保」について、要件の内容や対応ポイントをわかりやすく整理します。

改ざんを防ぐための「真実性の確保」が必須

納品書をスキャナ保存するには、「真実性の確保」の要件を満たす必要があります。スキャンした電子データがあとから改ざんされたり、誤って削除されたりするのを防ぐための仕組みです。

たとえば、納品書のような重要書類では、以下のような対策が必要です。

  • 入力期間の制限
  • 受領後7営業日以内に入力(早期入力方式)
  • 処理完了後7営業日以内に入力(業務処理サイクル方式)

  • 解像度と読み取り条件
  • 200dpi以上
  • RGB各256階調(約1,678万色)以上のカラーでスキャン

  • タイムスタンプの付与
  • 総務大臣認定業務のタイムスタンプを使用、または訂正・削除の履歴がシステム上に残る、または訂正・削除ができないシステムを利用する
  • 入力期間内のスキャン記録で代替可能

  • 訂正・削除の防止
  • バージョン管理で変更履歴を残す
  • 訂正・削除ができないシステムで保管

上記の要件をクリアすることで、スキャンされた納品書が「真正な書類」として認められ、電子帳簿保存法の要件を満たす保存が可能です。

税務調査に備えるための「可視性の確保」も重要

納品書のスキャナ保存では、「可視性の確保」も同様に重要です。税務調査などで求められたときに、保存されたデータをスムーズに検索・表示できる状態にしておくことを意味します

具体的には、以下のような対応が求められます。

  • 帳簿との関連付け
  • スキャン文書がどの帳簿に対応するか一目で分かるようにする

  • 見読可能装置の備付け
  • 14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンタを常備
  • 操作マニュアルなども備える

  • 出力条件
  • 整った形式で明瞭に出力可能であること
  • 拡大・縮小対応が可能であること
  • 4ポイントの文字も読める状態を維持すること

  • システム書類の備付け
  • システム仕様書、操作マニュアル、運用ルールなどを備えておく

  • 検索機能の確保
  • 取引日・金額・取引先で検索可能であること
  • 範囲指定や複数条件での検索にも対応(※一部条件下で免除あり)

上記の対応をおこなえば、万が一の税務調査の際にも安心して提出でき、企業としてのガバナンス強化にもつながります。

納品書を電子化する3つのメリット

納品書の電子化は、コスト削減・業務効率化・セキュリティ強化などの多くのメリットをもたらします。本章では、納品書を電子化する具体的なメリットをわかりやすく解説します。

コストとスペースの削減につながる

納品書を電子化するメリットのひとつは、物理的(工数)・金銭的なコストを大幅に削減できる点です。実際に削減できるコストの具体例は、以下のとおりです。

  • 保管スペース
  • 紙の場合の費用・手間:納品書をファイリングしてキャビネットや書庫で保管(オフィスの場所を占有)
  • 電子化による削減内容:クラウド・PC内で保管でき、物理スペースが不要に

  • 印刷費用
  • 紙の場合の費用・手間:用紙代・インク代・プリンタのメンテナンス費用
  • 電子化による削減内容:印刷不要により、定期的な印刷関連コストが0円に

  • 郵送コスト
  • 紙の場合の費用・手間:封筒・切手代・郵送作業の人件費
  • 電子化による削減内容:電子納品書をメールや専用システムで送付可能に

  • 管理の手間
  • 紙の場合の費用・手間:紙の分類・検索・廃棄に時間がかかる
  • 電子化による削減内容:ファイル名やタグで瞬時に検索・整理が可能

  • 紛失・劣化リスク
  • 紙の場合の費用・手間:紙は時間経過で変色・破損・紛失リスクあり
  • 電子化による削減内容:バックアップやアクセス制限により長期保管が安定


電子納品書への移行は、コスト削減だけでなく、オフィスのスペース確保や管理業務の効率化にも大きく貢献します。ビジネスの無駄を見直す第一歩として、納品書の電子化は非常に効果的な手段といえるでしょう。

探す手間を省いて業務のムダをカットできる

納品書を電子化することで、業務の効率が格段に向上します。紙の書類では時間のかかっていた検索作業も、電子化によってキーワード検索が可能になり、必要な情報を即座に見つけられます

たとえば、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すれば、取引先名や発行日、金額などの条件で簡単に納品書を検索できるため、「探す手間」が大きく削減可能です。

また、納品書データを一元管理すれば、複数の部署や支店から同じデータにアクセス可能となり、情報共有もスムーズです。インターネット環境があればリモートワーク中でもすぐに書類にアクセスでき、出張先や在宅勤務時にも業務を止めずに進められます。

納品書の電子化は、業務の無駄を省き、検索性と作業効率を大幅に改善するための有効な手段です。

セキュリティ強化で安心・安全に管理できる

納品書を電子化すれば、セキュリティ対策や改ざん防止がしやすくなり、安全性の高い書類管理が実現可能です。電子化された納品書は、アクセス制限やログ管理、タイムスタンプの付与などの高度な管理機能によって、不正閲覧や誤操作、情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます

主なセキュリティ対策は、以下のとおりです。

  • アクセス権限の設定
  • ユーザーごとに操作権限を分けることで、重要な納品書データの漏洩を防止できる

  • タイムスタンプの付与
  • 作成日時を自動記録することで、改ざんや不正編集の有無を正確に確認できる

  • デジタル署名
  • 書類の真正性を証明し、なりすましや不正発行を防ぐ

  • ログ記録の管理
  • 「誰が・いつ・何をしたか」を可視化し、ミスや不正操作があっても追跡可能

  • パスワード・暗号化対応
  • 外部への不正流出に備えた保護機能により、企業の情報資産を安全に保てる

  • 自動バックアップ機能
  • システム障害やヒューマンエラーに備え、納品書データを定期的に復元できる体制を構築

セキュリティ面での不安を抱えている企業や個人事業主にとって、電子化は「安心・安全・効率化」の3拍子が揃った強力な管理手段です。納品書の電子保存には、単なる効率化以上の価値があるといえるでしょう。

納品書の電子化における注意点

納品書を電子化するなら、導入前の準備が重要です。本章では、電子化の導入時に特に注意すべき2つのポイントについて、わかりやすく解説します。

データのバックアップ体制は万全にしておく

納品書を電子化するなら、バックアップの徹底は欠かせません。電子データは、万が一データが消えてしまえば、取引記録が確認できず、税務対応や顧客対応に支障をきたすおそれもあります。

バックアップ体制を強化するための具体策は、以下の通りです。

  • クラウドストレージを活用する
  • 社外からでもアクセス可能で、災害やハード障害にも強い

  • 外付けHDDやNASを使ったローカル保存
  • クラウドとの二重管理により、データ消失リスクを低減できる

  • 自動バックアップ機能を設定する
  • 手動作業を減らし、定期的かつ確実に保存できる

  • 保存先を分散する(社内サーバや外部ホストストレージなど)
  • 物理的・システム的な障害時にもリカバリーしやすくなる

  • バックアップの履歴管理を徹底する
  • 万が一破損した場合でも、過去データにさかのぼれる

バックアップ体制を整えておけば、電子化の利便性と安全性を最大限に活かせます。情報資産を守るためにも、納品書を電子化する際は「保存先の分散」と「自動化」をセットで導入しましょう。

社内の運用ルールや教育体制を整えてから導入する

電子化された納品書を安全に運用するには、従業員のセキュリティ意識を高めるのも重要です。どれだけシステム面で強固な対策を講じていても、日常的な運用ミスや不注意によって情報が漏えいするリスクは常に存在します

そのため、社内の教育やトレーニングを通じて、納品書の電子化にともなうリスクと適切な管理方法を周知することが重要です。

たとえば、以下のような取り組みが効果的です。

  • 社内研修を通じて、納品書の取り扱いルールや保存義務を周知する
  • 情報セキュリティポリシーを策定し、閲覧権限や操作範囲を明確にする
  • 実際のトラブル事例やヒヤリハットをもとに、実務対応をシミュレーションする
  • 不正アクセス対策や多要素認証の重要性について実演を交えながら指導する

納品書は重要な証憑書類であり、適切に保管・管理することで企業の信頼性も高まります。社内体制としてセキュリティ対策を「仕組み」と「人」の両面から強化し、安全な文書管理を実現しましょう。

納品書の保管期間に関するよくある質問

この章では、納品書の保存に関する具体的な疑問について回答します。

スキャン後に原本(紙)を破棄しても大丈夫ですか?

一定の条件を満たせば、スキャン直後に原本を破棄することも可能です。

電子帳簿保存法に沿ったスキャナ保存の要件を満たしていれば、スキャンした紙の納品書を原則すぐに廃棄しても問題ありません。2022年1月の法改正により、それまで義務づけられていた「原本の保管期間」が緩和されました。

現在は、スキャナ保存した納品書が「改ざん・削除されていないことを確認できる」形式であり、かつ帳簿と整合が取れていれば、紙のまま保管する必要はなくなっています。紙の納品書を即座に破棄するには、保存方法が電子帳簿保存法の条件を満たしているかを慎重にチェックしましょう。

紙と電子データの両方の納品書を送付してきた場合はどちらを保管すればいいですか?

両方がまったく同一内容であれば、どちらか一方を保存すれば問題ありません。電子帳簿保存法では、保存すべき書類の正本を「紙」または「電子データ」のどちらかに一本化することが可能です。

印刷状態や添付データの差異がある場合、それぞれを別の証憑とみなして保存しなければなりません。

  • 内容・形式が完全一致(例:紙とPDFが同内容・同レイアウト)のパターン
  • 保存の判断:どちらか一方の保存でOK
  • 補足事項:発行者と「正本」の取り決めがなければ任意

  • 紙はカラー印刷、PDFは白黒(形式が異なる)のパターン
  • 保存の判断:両方を保存
  • 補足事項:書き方や見え方の違いで「別文書」扱いに

  • 先に電子データで受領、後日紙が届いたのパターン
  • 保存の判断:一方のみ保存でOK
  • 補足事項:内容が同じであればいずれか選択可

  • 発行者と「正本は紙」と合意済みのパターン
  • 保存の判断:合意内容に従い保存
  • 補足事項:電子データは補足資料扱い

紙と電子データの納品書が届いたときは、「内容が完全に一致しているか」「正本の取り決めがあるか」を確認しましょう。

納品書の保管・保存方法を正しく理解して、法令対応と業務効率を両立しよう

納品書は、日常業務の中で軽視されがちですが、実は税務調査・契約トラブル・監査対応など、あらゆる場面で信頼性の証拠となる重要書類です。会社法や税法、インボイス制度、電子帳簿保存法などの法律に従い、適切な期間・方法で保管することが、企業としてのリスクマネジメントに直結します。

とくに近年は、電子化による納品書管理のニーズが高まっています。コストやスペースの削減に加え、検索性・セキュリティ・バックアップ体制の強化など、電子化の導入は業務効率と安全性の両立につながります。

一方で、スキャナ保存や電子取引の要件を正しく理解し、法令対応を満たすことも不可欠です。クラウドストレージや電子帳簿保存法対応システムを活用すれば、安心・安全な管理体制の構築が可能になります。

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