法務とコンプライアンスの概要
そもそも「法務」と「コンプライアンス」は、どちらも法律に関連するため、ビジネス用語として混合されることが多いです。
実際にこれらは非常に似た意味合いを持つ言葉です。
法務は、主に法的な問題を未然に防ぐ、または解決する役割があります。
たとえば契約書をはじめとする文書を作成し、万が一法的トラブルが起こった際には対処を行います。
そのため、あくまでも「法律」の要素のみがベースとなっているのが特徴です。
対してコンプライアンスは、社内にコンプライアンス違反とされる問題が発生しないよう、ルールを設置します。
また、従業員の対応を監視したり、万が一ルール違反が見られた場合は都度対応したりなどの、コンプライアンスとしての役割と言えるでしょう。
また、パワハラ・セクハラなどを防止するための指導も、コンプライアンスに該当します。
法務と比べると、法律に基づいて行動するだけではなく、社会的なルールやモラルなども関連しているのが特徴です。
基本的に法務とコンプライアンスは、「法律のみ」を基軸としているのか、「法律以外(ルールやモラルなど)」の要素が含まれているのかなどに着目すると、分かりやすいのではないでしょうか。
法務部門にとってコンプライアンス強化は必要なのか
企業の法務部門でコンプライアンスを強化しなくても、業務に影響はないのでしょうか。
以下ではコンプライアンス強化の必要性を解説していきます。
法令違反予防ができる
コンプライアンス強化によって、法令違反の予防対策が行えます。
当然ながら、法令違反だと知りながら罪を犯すことは、どの社員においても許されない行為です。
しかし、中には知識不足が原因により、意図せず法令違反をしてしまうケースもあります。
意図の有無に関係なく、法令違反をした場合は罰則を受ける必要があるため、何としても予防しなくてはなりません。
また、法令違反は社員のモチベーションや満足度の低下はもちろん、クライアントを失う結果になる恐れもあります。
どの企業においても、クライアント無しでは利益を得ることができません。
法令違反を犯す企業を信頼し続けてくれるクライアントは数少ないため、結果として今後得られる利益も少なくなってしまうのです。
このような事態を避けるためにも、コンプライアンス強化が必要です。
法令がどのような仕組みになっているか、改正されているかなどを把握し、違反を犯さずに業務を行えます。
これらを法務部で細かく確認すれば、未然にトラブルを防止できるでしょう。
不祥事を招かずに済む
テレビやSNSなどでニュースを見ていると、企業のコンプライアンス違反に関する事例が取り上げられていることがあります。
当然ながらコンプライアンス違反をした企業に対して、プラスのイメージが付くことはありません。
むしろ不信感や疑心を抱く結果となり、商品サービスを利用したくないとすら思う方がほとんどでしょう。
事業活動をしている場合、このような問題は当事者意識を持って、予防対策に励むべきです。
コンプライアンスが強化されていれば、違反を犯すリスクを回避できるのはもちろん、顧客が安心して商品サービスの購入・利用ができます。
中でも上場企業は、コンプライアンスが強化されているか否かによって、投資の有無を判断されがちです。
しっかりと整備されているコンプライアンスのほうが、不祥事の防止はもちろん、他者からの信頼獲得につながるのです。
職場満足度の向上
コンプライアンスが整っていると、社員にとって居心地の良い職場となります。
社内でのトラブルとしてよく見聞きするのが、パワハラやセクハラなどの問題です。
これらの問題は、コンプライアンスを強化することで、未然に防ぐことができるでしょう。
コンプライアンスが強化されている職場では、モラルやルールに反する行為をしづらくなり、結果として多くの社員が守られます。
「不正行為は絶対に許さない」「コンプライアンス違反はあってはならない」という社風づくりもできるため、環境改善効果が非常に高いです。
また、職場満足度が向上すると、離職率も大幅に低下します。
社員にとって居心地の良い職場なら、定着率が向上するため、優秀な人材を常に抱えられるようになります。
さらに、「コンプライアンスが強化されている職場」としてのイメージが定着すれば、就職希望者も増えやすくなるのです。
人材不足に悩まされる事がほとんどなくなり、常に優れた社員を確保できるでしょう。
コンプライアンスを強化する方法
コンプライアンス強化は法務にとっても重要なものであると解説していきましたが、どのように強化する方法があるのでしょうか。
以下で詳しく見てみましょう。
専門知識を身に付ける
コンプライアンス強化のためには、専門知識を身に付ける事が欠かせません。
そもそもコンプライアンスに関する法務においては、法律の知識がないと法令違反の対策ができないのです。
法令違反を防止するためには、法律の仕組みやルールを知っておかなければなりません。
また、企業内のルールや組織体制の整備は、法的知識がないと適切に考えられないという側面もあります。
たとえば会社法、労働基準法、著作権法など、どれも知識がないと遵守できないものです。
とはいえ、法律は非常に範囲が広く、すべてを網羅することは難しいでしょう。
そのため企業の商品サービス、または事業などに関連する知識だけは、最低限身に付けておく必要があります。
情報を調べる
コンプライアンス強化の場合、ときには必要な情報を調べるスキルも必要です。
法律は不変のものではなく、改正によって仕組みが変わることもあります。
そのため、以前覚えた法律とは内容が異なっている場合があるため、その都度正しい情報を調べなくてはなりません。
日本社会において、情報は常に最新のものにアップデートされ続けます。
都度情報を調べることは非常に手間がかかりますし、何が正しい情報なのか見極めるスキルも大切ですが、法令違反を防ぐためには必要不可欠な工程です。
専用ツールを活用する
ここまでで解説したように、コンプライアンス強化のためには知識をインプットしたり、ときには正しい情報を探したりする必要があります。
しかし、これには非常に手間がかかるため、従業員への負担になるリスクも高いです。
また、近年では法的リスクがさまざまな分野において高くなっていると言われているため、法務の作業量が増加傾向にあります。
そんな中でコンプライアンス強化に取り組むのは、決して容易なことではありません。
そこで、法務やコンプライアンス強化に役立つ専用ツールの導入がおすすめです。
たとえばAIが契約書のチェックを自動的に行う機能が搭載されていれば、法令違反の防止に役立ちます。
リソースを他に回せるようになるため、業務効率化に最適な方法です。
コンプライアンス遵守のためにツールの導入を
コンプライアンスを遵守することは、企業にとって大きな課題です。
法令違反を犯すと利益を損ない、社員やクライアント・ユーザーからの信頼まで失います。
法務においてもコンプライアンス強化の意識を持つことが重要です。
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