領収書の保管期間を知っていますか?
領収書の保管が重要な理由
領収書は支出の証拠となるため重要な書類です。経費の計上や税務申告、会計処理など、ビジネスにおいては正確な記録が求められます。また、税務調査や紛争解決などの際にも証拠として役立ちます。
法律で定められた保管期間とは?
領収書は、事業活動において重要な経理書類の一部です。法律により、領収書の保管期間が定められています。保管期間を守ることは、事業者の法的義務となっています。
- 法人の場合
法人税法により、領収書は原則として7年間保管しなければなりません(法人税法第126条、法人税法施行規則第59条・26条の3)。欠損金の繰越控除を適用する場合は、10年間の保管が必要です。 - 個人事業主の場合(青色申告の場合)
所得税法により、原則として7年間の保管義務があります(所得税法第148条等)。ただし、前々年分の所得金額が300万円以下の方は、保存期間が5年間となります(参照:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁 (nta.go.jp))。
なお、適格請求書たる領収書については、消費税法により7年間の保管が義務付けられています。
保管期間の起算日は、その事業年度の確定申告書を提出する期限の翌日からカウントされます。 つまり、領収書の発行日からではなく、確定申告時期が重要になります。
適切な保管期間を守らないと、税務調査で是正の指摘を受ける可能性があります。領収書の適切な保管管理は、事業者にとって重要な法的義務なのです。
赤字がある場合は?
赤字が出ている会社では、赤字の繰越期間があるため、領収書は、10年間保管しておくと安心です。
税務申告や税務調査に備え、領収書の適切な管理が極めて重要であることを認識しておく必要があります。
領収書の保管期間はビジネス活動において重要な役割を果たしています。法律で定められた期間を守り、適切に管理することがビジネスの健全な運営に不可欠です。
領収書の保管期間を規定する法律
会社の場合
法人税法により、法人は領収書を含む全ての会計帳簿を以下の期間保存する義務があります。
- 原則7年間の保存が義務付けられています。
- 欠損金の繰越控除を適用する場合は10年間の保存が必要です。
保存期間は、原則として、その事業年度の確定申告書を提出する期限の翌日から起算されます。
個人事業主の場合
所得税法により、個人事業主は以下の期間、領収書を含む収支を記載した書類の保存が義務付けられています。
【青色申告の場合】
- 原則7年間の保存が義務付けられています。
- ただし、前々年の所得金額が300万円以下であれば、5年間の保存で足ります。
【白色申告の場合】
- 5年間の保存が義務付けられています。
なお、適格請求書たる領収書である場合は、申告の種類に関わらず消費税法により7年間の保存が義務付けられています。
保存期間の起算日は、いずれの場合も確定申告書を提出する期限の翌日からとなります。
適切な保管期間を守らないと、税務調査で是正の指摘を受ける可能性があります。領収書の適切な保管管理は、事業者にとって重要な法的義務なのです。
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領収書の正しい管理方法は?
紙の領収書の管理方法
ファイリング方法
紙の領収書を管理する際には、適切なファイリングシステムを導入することが必須です。
日付や支払先などの情報を含む領収書を分類し、整理するためにファイルフォルダーや仕分けボックスなどを利用すると良いでしょう。
書類のファイリングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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整理のコツ
領収書の整理のコツはマメに整理することです。
毎月または毎四半期ごとに領収書を仕分けし、不要なものを削除し、重要なものを保存します。また、領収書には支払日や支払方法などの補足情報を記入しておくと後の確認や管理がしやすくなります。
電子領収書の管理方法
電子帳簿保存法のポイント
電子領収書を管理する場合、電子帳簿保存法に基づいた適切な管理が求められます。これには、電子データの保管、改ざん防止のためのセキュリティ対策、データの保存期間などが含まれます。法的な規定を遵守するために、専用の電子帳簿保存システムを導入することが望ましいです。
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デジタル化のメリットと注意点
電子領収書の管理は、紙の領収書と比較すると、驚くほど効率的で便利で、データを簡単に検索したり、バックアップをしたりできます。ただし、データのセキュリティやプライバシー保護、データの改ざん防止など、注意するべき点もあります。適切なセキュリティ対策がなされているツールを使用し、業務の効率化を図りましょう。
領収書の管理方法は、ビジネスの効率性や法的な遵守を確保する上で非常に重要です。紙の領収書と電子領収書のそれぞれの特徴を活かしてして管理することで、ビジネスの運営をスムーズに行うことができます。
領収書の保管に関するよくある質問
領収書を紛失した場合の対処法は?
領収書を紛失した場合、慌てず以下の対処法を行いましょう。
領収書を再発行する
取引先や、店舗、サービス提供業者に再発行を依頼してみましょう。再発行が可能な場合でも手数料が発生することがあります。
代替書類を取得する
領収書を紛失した場合、クレジットカードの明細書や銀行取引明細書などを取得代替できる場合があります。ただし、代替証拠の扱われ方は場合によって異なりますので、確認しましょう。
保管期間が過ぎた領収書の処分方法は?
保管期間が過ぎた不要の領収書は、以下のように適切に処分しましょう。
シュレッダーで処分する
領収書は企業情報を保護するため、シュレッダーで破棄することが一般的です。シュレッダーは、なるべく目の細かいものを使用することで内容がわかりにくくなります。
書類廃棄サービスを利用する
書類を引き取って溶解してくれるサービスがあります。費用がかかりますが、ホチキスやクリップ止めのまま回収してもらえるため、処分の手間が軽減されるでしょう。
税務調査に備えるための保管のポイント
領収書は、税務調査に備えるために適切に保管しましょう。
整理されたファイリングシステムを構築する
領収書を日付順やカテゴリー別に整理し、領収書を迅速に見つけることができるようにします。
デジタル化してバックアップをとっておく
電子領収書やスキャンした紙の領収書をデジタル化し、いくつかの場所にバックアップをとることにより、災害や紛失した際のリスクを減らすことができます。
※以上の対処法や保管のポイントを把握し、領収書の管理に関する問題や税務調査に備えましょう。
正しい領収書の保管で安心経営を!
正しい領収書の保管は、ビジネスの安定した経営にとって極めて重要なポイントです。以下にまとめました。
①適切な保管でトラブルを防ぐ
法人税法や所得税法などの規定に基づき、領収書の保管期間を守ることで、税務上のトラブルを未然に防ぐことができます。
②定期的な見直しと整理の重要性
◆定期的に整理を行う
定期的に日付やカテゴリーごとに整理し、領収書を迅速に見つけることができるように領収書を整理し、不要なものを削除し、重要なものを保管します。
◆デジタル化する電子領収書を活用、デジタル化された領収書は、紙の領収書と比較してより安全に保管することができます。
正しい領収書の保管をすることで、ビジネスの安定した運営に繋がります。適切な保管方法を実践し、定期的に見直すことで、税務上のトラブルを防ぎ、スムーズな経営を維持することができます。ぜひ、この記事で紹介したポイントを参考に、領収書の管理体制を整えてください。
もし、領収書の保管や管理に関してさらに質問がある場合や、具体的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。税理士や経理のプロフェッショナルからのアドバイスは、貴社のビジネス運営にとって大きな助けとなるでしょう。
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