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【弁護士監修】給与明細の保管期間とは? 3つのメリットやリスクを詳しく解説

【弁護士監修】給与明細の保管期間とは? 3つのメリットやリスクを詳しく解説
この記事を読んでわかること
    • 給与明細の法的な保管義務はないが、望ましい保管期間はある
    • 給与関連書類の保管期間
    • 給与明細、給与関連書類の適切な保存方法


「契約書の保管期間と保管方法」

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寺林 智栄氏(てらばやし・ともえ)
監修

寺林 智栄氏(てらばやし・ともえ)

弁護士

2007年弁護士登録。現在札幌弁護士会所属。NTS総合弁護士法人札幌事務所所長弁護士。一般民事、企業法務、離婚、債務整理、労働問題、債権回収などの経験が豊富。

給与明細は、毎月の給与の詳細が記載された重要な書類です。従業員にとって、給与は生活の基盤であり、その明細は収入の証明となるだけでなく、税務申告や社会保険の手続きにも必要不可欠です。

実は企業に給与明細の法的な保管義務はありません。したがって遵守すべき保管期間もありませんが、給与関係書類には保管義務が定められているものがあるので注意が必要です。なお、法的義務はないとはいえ、適切な期間、給与明細を保管することは、従業員の権利を守り、トラブルを未然に防ぐために重要です。

この記事では、給与関係書類の法定保管期間や、給与明細を含む給与関係書類を保管することのメリットおよび適切な保管方法について詳しく解説します。

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給与関係書類の保管期間は?

給与明細に法律で定められた保管期間はありませんが、給与関係書類の保管期間は、法律によって定められています。ここでは、労働基準法と国税通則法の規定に基づく給与関係書類の保管期間について説明します。

労働基準法に基づく給与関係書類の保管期間

労働基準法では給与明細自体の保存期間を定めていませんが、関係書類である以下の書類に関しては、5年間の保管を義務付けています。(労働基準法109条)

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳(従業員の給与の支払い状況を記載した書類)
  • 解雇に関する書類
  • 災害補償に関する書類
  • 賃金その他労働関係の書類

国税通則法に基づく給与関係書類の保管期間

国税通則法では、国税の徴収権の消滅時効が定められています。その消滅時効までは、国税に係る給与関連書類も保管が必要であると解釈でき、その期間は最長で7年間です。国税に係る給与関連書類には、以下のようなものがあります。

  • 扶養控除等申告書
  • 保険料控除申告書
  • 源泉徴収簿 など

これらの書類は、税務署から要求に応じて過去の税務申告を確認できるようにするため、消滅時効までの期間保管しておく必要があります。(国税通則法70条-73条)

給与明細の実務上の保管期間の目安

それでは法的な保管義務のない給与明細は、どの程度保管しておくべきでしょうか。実務上考慮すべき保管期間の目安をご紹介します。

税務申告の観点

前述の通り、税務申告に関連する書類として、過去の申告内容の確認や修正が必要になった場合に備え、7年間の保管が推奨されます。

社会保険の観点

年金事務所から年金加入記録の確認を求められる場合や、健康保険の傷病手当金、出産手当金などの申請時に給与明細が必要になることがあります。そのため、2~3年は保管しておくことが望ましいでしょう。

労働者とのトラブル防止

労働条件に関するトラブルを防ぐために、退職後も含めて給与明細を一定期間保管することが推奨されます。企業によっては、5年間保管するケースもあります。

 

以上のように、給与明細の保管期間については実務上さまざまな観点がありますが、最低でも2〜3年間、可能であれば7年間保管するというのが目安です。次からは、給与明細をはじめとする給与関係書類を安全で効率的に保管する方法について、解説していきます。

給与関係書類を保管しなかった場合のリスク

与関係書類を適切に保管しないことで、様々なリスクが生じる可能性があります。ここでは、法律違反による罰則、税務調査でのトラブルなどのリスクについて説明します。

律違反による罰則

前述の通り、労働基準法により、使用者は賃金台帳(給与明細)を5年間保存しなければなりません。この義務を怠った場合、使用者は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

務調査でのトラブル

税務署による税務調査で、給与関係書類の提示を求められた際、適切に保管されていない場合はトラブルに巻き込まれる可能性があります。具体的には、収益の過少申告を疑われ、追徴課税を受けるリスクなどです。

労使間のトラブル 

従業員との間で給与に関する労使間トラブルが発生した場合、給与明細が証跡として必要になる可能性があります。例えば、従業員から給与明細の内容の誤りを指摘された場合、会社側が給与明細の控えを保管していないと原因の究明に支障をきたす恐れが出てきます。

与明細の正しい保管方法

給与明細を適切に保管するためには、紙での保管方法と電子化のメリットを理解し、安全に保管するためのポイントを押さえることが重要です。ここでは、それぞれの方法について詳しく説明します。

での保管方法

紙の給与明細を保管する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 直射日光や湿気を避け、涼しく乾燥した場所に保管する
  • ファイルボックスやバインダーを使い、年月ごとに整理する
  • 保管場所は施錠できるところが望ましい
  • 定期的に保管状態を確認し、劣化や破損がないか点検する

れらのポイントを押さえることで、紙の給与明細を長期間、安全に保管することができます。

子化のメリット

給与明細を電子化することで、以下のようなメリットがあります。

  • 保管スペースを大幅に節約できる
  • 検索性が向上し、必要な明細をすぐに見つけられる
  • データのバックアップが容易で、紛失や破損のリスクが低い
  • ペーパーレス化が進む

与明細の電子化は、保管の効率化だけでなく、業務の生産性向上にも寄与します。

全に保管するためのポイント

給与明細には個人情報が含まれるため、安全な保管が非常に重要です。以下のポイントに留意しましょう。

  • アクセス制限を設け、関係者以外が給与明細を閲覧できないようにする
  • 電子化する場合は、パスワード保護やデータ暗号化を行う
  • 定期的にウイルスチェックやセキュリティアップデートを実施する
  • 紙の給与明細を廃棄する際は、シュレッダーで細断する

うした安全対策を講じることで、給与明細の漏洩や不正アクセスを防ぐことができます。

与明細は、紙での保管と電子化のそれぞれのメリットを理解し、適切な方法を選択することが大切です。また、安全性に細心の注意を払い、個人情報を保護することが求められます。正しい保管方法を実践し、給与明細を大切に管理しましょう。

与明細などの給与関係書類を適切に保管する

この記事では、給与明細には法定の保管義務はない一方で、給与関係書類の中には保管義務があるものもあることを説明しました。また、実務上の適切な保管期間の目安についてもふれました。

保管方法については、紙と電子化二つの方法を挙げ、それぞれのメリットを解説しました。状況に応じて適切な方法を選択し、安全性に十分配慮したうえで個人情報の保護に努めることが求められます。

適切な給与明細の保管は、労働者の権利を守り、トラブルを未然に防ぐために不可欠です。法定保管期間を遵守し、メリットを理解した上で、安全な保管方法を実践しましょう。

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