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売買契約書に記載するべき事項・締結時の注意点|ひな形も紹介

売買契約書に記載するべき事項・締結時の注意点|ひな形も紹介

売買契約書は、不動産や商品などさまざまな目的物を売却・購入する際に締結される契約書です。

企業間取引においても、売買契約書を締結すべき場面はしばしば発生します。AIツールを効果的に活用して、売買契約書のレビューを適切に行いましょう。

今回は売買契約書について、記載すべき事項や締結時の注意点などを解説します。

※この記事は、2023年2月20日時点の法令等に基づいて作成されています。


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売買契約書とは

売買契約書」とは、売主が買主に対して物を売り渡し、買主がこれを買い受ける旨を定めた契約書です。
売主は買主に対して目的物を引き渡して所有権を移転し、買主はその対価として売主に代金を支払います。

売買契約書を締結する目的

売買契約書を締結することの主な目的は、売買に伴うトラブルのリスクにあらかじめ備えておくことです。

売買契約書では、売買の目的物やトラブル発生時の処理方法などが定められます。これらの事項を明確化しておくことで、万が一トラブルが発生した場合の深刻化を防ぐことが可能となります。

売買契約書の主な種類

売買契約書の目的物としては、さまざまな種類の不動産・動産が想定されます。以下に挙げるものはその一例で、目的物の種類に応じた適切な取引ルールを定めることが大切です。

  • (例)
    ①不動産の売買に関する契約書
    ・土地建物売買契約書
    ・土地売買契約書
    ・建物売買契約書
    ・区分所有建物売買契約書
    など

    ②商品等の売買に関する契約書
    ・商品売買契約書
    ・物品売買契約書
    など

    ③継続的な売買取引に関する契約書
    ・継続的商品取引基本契約書
    など

売買契約書に定めるべき主な事項

売買契約書において定めるべき主な事項は、以下のとおりです。

  • 売買の当事者・目的物
  • 売買代金の額・支払方法
  • 目的物の引渡し・対抗要件具備に関する事項
  • 検品に関する事項
  • 表明保証
  • 契約不適合責任
  • 危険負担
  • 契約の解除
  • 損害賠償

売買の当事者・目的物

売買契約書において定めるべきもっとも基本的な事項は、売買の当事者と目的物です。つまり、誰が売主で誰が買主なのか、何を売るのかを明記します。
目的物は、他の物と区別できる程度に特定して記載する必要があります。下記の記載例では、別紙で商品の仕様を具体的に特定する形としています。

  • (例)
    前文
    ○○株式会社(以下「甲」という。)と△△株式会社(以下「乙」という。)は、以下のとおり売買契約書を締結する。

    第○条(売買の内容)
    甲は乙に対し、別紙記載の仕様に基づく商品□個(以下「本件商品」という。)を売り渡し、乙はこれを買い受ける。

売買代金の額・支払方法

売買代金については、その金額と支払方法を明記します。
支払方法は銀行振込とするのが一般的です。手数料の負担者は買主とするケースが大半ですが、念のため負担者を明記しておきましょう。

  • (例)
    第○条(売買代金)
    1. 本件商品の売買代金は○円とする。
    2. 乙は甲に対し、○年○月○日(以下「実行日」という。)において、本件商品の引渡しと引き換えに、前項に定める売買代金(以下「売買代金」という。)を、別途甲が指定する銀行口座に振り込む方法によって支払う。振込手数料は乙の負担とする。

目的物の引渡し・対抗要件具備に関する事項

目的物の引渡しに関しては、引渡日(売買実行日)と引渡し方法を明確化する必要があります。引渡日は、売買代金の決済日と同日とするのが通常です。

また、売買契約に基づく所有権の移転を第三者に対抗するためには、民法所定の対抗要件を具備しなければなりません。
目的物が動産の場合は、その引渡しが対抗要件となります(民法178条)。これに対して、目的物が不動産の場合には所有権移転登記が対抗要件となるため(民法177条)、登記手続きに関する売主の協力義務などを明記しておきましょう。

  • (例)
    第○条(引渡し)
    甲は乙に対し、実行日において、売買代金の支払いと引き換えに、本件商品を乙の事業所に持参または配送する方法により引き渡す。

    ※対抗要件具備に関する事項の記載例(不動産売買の場合)
    「甲は、前項に基づく本件不動産の引渡しの完了後、実行日付で本件不動産に係る所有権移転登記手続きを申請するものとする。なお、当該所有権移転登記手続きに係る費用は、その全額を乙の負担とする。

検品に関する事項

商品売買契約の場合、買主による検品の期限や、修正要求のルールなどを定めます。

  • (例)
    第○条(検品)
    1. 乙は、甲から本件商品の引渡しを受けた後、○営業日以内(以下「検品期間」という。)に本件商品の検品を行い、その結果を甲に通知する。検品期間内に乙から甲に対して通知がなされなかった場合、当該本件商品は検品に合格したものとみなす。
    2. 乙は、本件商品の種類、品質または数量が本契約に適合していないと合理的に判断した場合、甲に対して本件商品に係る納品のやり直しを命じることができる。ただし、当該不適合が乙の指示または責任に起因するものである場合は、この限りでない。

表明保証

「表明保証」とは、取引の前提となる一定の事項について、相手方に対し表明・保証する旨を定めた条項です。表明保証違反があった場合、損害賠償や契約解除の対象となります。
売買契約書では、主に売主が買主に対して、目的物の状態などに関する事項に係る表明保証を行うことがあります。

  • (例)
    第○条(表明保証)
    甲は乙に対し、本契約締結日および実行日において(ただし、以下の各号において表明保証の時点が特定される場合には、当該時点において)、以下の各号に定める事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。
    (1)甲は、会社法(平成17年法律第86号)に基づき適法に設立され、有効に存続する株式会社であること。
    (2)甲は、本契約を締結し、本契約の規定に基づき義務を履行する完全な権利能力を有し、本契約上の甲の義務は、法的に有効かつ拘束力ある義務であり、甲に対して強制執行可能であること。
    ……

契約不適合責任

「契約不適合責任」とは、売買契約の目的物の種類・品質・数量が契約に適合していない場合に、売主が買主に対して負担する責任です。

売買契約書では、契約不適合責任の内容や、買主による契約不適合責任の追及期間などを明記しておきましょう。なお、商品売買契約の場合は、検品後の契約不適合責任の追及は認めないとすることも考えられます。

  • (例)
    第○条(契約不適合責任)
    1. 乙は、本件商品の種類、品質または数量が本契約に適合していない場合には、甲に対して当該本件商品の修補もしくは代替物の引渡しを求め、または本契約のうち、当該本件商品に係る部分を解除することができる。
    2. 前項の不適合が重大である場合、乙は本契約の全部を解除することができる。
    3. 前二項に定める不適合につき、乙は甲に対し、前二項に定める請求および契約の解除に加えて、損害賠償を請求することができる。
    4. 前各項にかかわらず、第○条に定める検品を終えた本件商品については、乙は甲に対して修補もしくは代替物の引渡しを求め、または本契約を解除することができない。

危険負担

自然災害など、当事者双方の責によらない事由によって売買実行が不可能となった場合の処理を定めます。特に、契約締結日と実行日が別日となる場合には、危険負担のルールを忘れずに明記しましょう。

  • (例)
    第○条(危険負担)
    本件商品が天災地変その他甲乙いずれの責めにも帰すべからざる事由により滅失または毀損したときは、本契約は終了する。この場合、甲は乙に対する本件商品の引渡義務を負わず、乙は甲に対する売買代金の支払義務を負わない。

契約の解除

契約の前提を覆すようなトラブルが発生した場合に備えて、売買契約を解除できる場合を明記しておきましょう。債務不履行の場合に加えて、表明保証違反なども解除事由に挙げておくべきです。

  • (例)
    第○条(契約の解除)
    本契約の当事者は、相手方が本契約に係る重大な違反をした場合(第○条に定める表明保証に重大な虚偽または誤解を生ぜしめるものがあった場合を含む。)には、催告なしに直ちに本契約を解除することができる。

損害賠償

債務不履行や表明保証違反などにより、当事者に損害が発生した場合の賠償責任の範囲などを定めます。

  • 第○条(損害賠償)
    本契約の当事者は、本契約に違反したことによって相手方に損害が生じた場合、相当因果関係の範囲内で当該損害を賠償する責任を負う。

売買契約書のひな形を紹介

売買契約書のひな形を紹介します。内容はオーダーメイドに決めるべきものですので、本記事で紹介した条文の記載例を参考に、必要な事項を盛り込んでください。

  • 売買契約書
    ○○株式会社(以下「甲」という。)と△△株式会社(以下「乙」という。)は、以下のとおり売買契約書を締結する。
     
    第1条(売買の内容)
    甲は乙に対し、別紙記載の仕様に基づく商品□個(以下「本件商品」という。)を売り渡し、乙はこれを買い受ける。
    ……
     
    以上
     
    本契約締結を証するため、正本2通を作成し、甲乙それぞれ記名押印のうえ各1通を所持する。
     
    ○年○月○日
     
    甲       [住所]
              [氏名or名称]
              [(法人の場合)代表者]   印
     
    乙       [住所]
              [氏名or名称]
              [(法人の場合)代表者]   印

売買契約書を締結する際の注意点

売買契約書を締結する際には、特に以下の各点に注意して内容をチェックしましょう。

  • 自社に不利益な条項を見落とさない
  • 契約不適合責任や表明保証には特に要注意

自社に不利益な条項を見落とさない

売買契約書のドラフトを相手方が作成した場合は、自社に不利益な条項が含まれていないかを慎重にチェックする必要があります。
相手方の義務を極端に軽減する条項や、自社の義務が標準よりも加重される条項などが含まれている場合には、見逃さずに修正を求めましょう。

契約不適合責任や表明保証には特に要注意

売買契約書における契約不適合責任や表明保証の条項は、後にトラブルが発生した際に重要となります。
自社にとって負担が重い内容になっていないか、相手方の責任を適切に追及できる内容となっているかを重点的にチェックしましょう。

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