Nobishiro LegalOn Cloud

運送業の法律とは?知っておくべきものや2024年問題も解説

運送業の法律とは?知っておくべきものや2024年問題も解説
この記事を読んでわかること
    • 運送業に関する法律について
    • 2024年問題の内容
    • 2024年問題への対処法

さまざまな業界で、業務を安全かつスムーズに進めるために法律が定められています。宅配便やネット通販など、日常生活で頻繁に利用する運送業にも多くの法律があり、運送業に関わる企業は遵守しなければいけません。

本記事では運送業の法律や違反した場合のペナルティについて、また、2024年問題として懸念されている事案についても詳しく解説します。


初めてのリーガルテックなら「LegalOn Cloud」

LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

<関連記事> 法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策

運送業に関わる法律とは?

運送業に関わる法律には以下のようなものがあります。

  • 物自動車運送事業法
  • 道路運送車両法
  • 労働基準法施行規則
  • 道路交通法

れぞれ詳しく解説します。

貨物自動車運送事業法

貨物自動車運送事業法とは、貨物自動車の運送事業が正しく運営されることを目的としたもので、貨物自動車を使って運送事業を行う際に従わなければいけない法律です。また、運送業の許可を取得するための要件や、自動車で運送業を行う際に遵守すべきことも定められています。

物自動車運送事業法は2022年に改正された法律で、一般の貨物自動車運送事業を対象とし営業エリアの規制、運賃の事前届出制の廃止などについて定めたもので、物流業界の競争促進や輸送の安全確保を目的として物流三法に制定されているものです。

流三法とは、貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法、鉄道事業法の3つをいいます。

道路運送車両法

道路運送車両法は、道路を運行する自動車、軽自動車、原動機付自転車などに関する法律です。さまざまな車両の安全性の確保や整備、公害の防止を目的としています。また、自動車整備事業の適正な発達、公共福祉の増進にも関係があります。

路運送車両法によって自動車を使用する人や目的などの実態が把握でき、車両保安の確保、自動車盗難予防などにも役立ちます。


路運送車両法は1995年の改正で、車検制度の簡素化や車両リサイクルの促進、リコール制度の強化、不正車両改造の禁止などが新たに定められました。また、2019年の改正では、新車に対して衝突被害を軽減する自動ブレーキシステム搭載の義務化も追加されています。

労働基準法

労働基準法とは、労働者を雇用する者が守らなくてはいけない最低限のルールを定めたものです。 労働時間や時間外労働に関する規定などが定められており、業務を行ううえで締結する事業者と労働者間の雇用契約よりも優先されるものです。

用者が労働基準法に違反した場合には、罰則も設けられています。運送業に関わらず、すべての雇用関係を結ぶ雇用者と労働者に関係のある法律ですが、同居の親族のみで行う事業や家事の使用人には適用外です。 また、労働基準法は事業主にも適用されません。

道路交通法

道路交通法は、道路での交通安全や危険防止、円滑な移動を目的とした法律で、道路の交通によって起こりうる障害を防止するために定められた法律です。道路を使用して営む運送業はもちろん自家用車、路線バス、バイクや自転車、さらに歩行者などにも適用されるルールです。

路交通法に違反すると、罰金や懲役が課される場合があります。

運送業の種類は?

運送業を営む際は、さまざまな法律にのっとって事業を行わなければいけませんが、運送業とされる種類には次のようなものがあります。

  • 般貨物自動車運送事業
  • 貨物軽自動車運送事業
  • 特定貨物自動車運送事業

般貨物自動車運送事業は、軽自動車や二輪自動車以外の自動車で貨物を輸送する事業を指し、貨物軽自動車運送事業は軽自動車や二輪自動車を使用した運送業をいいます。また、特定貨物自動車運送事業は、特定の需要に対して自動車で貨物を有償で運送する事業のことです。

物自動車運送事業法で、貨物自動車運送事業はこの3種と定義されています。

運送業の法律を違反した場合

運送業にはさまざまな法律が適用されていますが、違反した場合は担当者の懲役や罰金だけではなく、運送業自体の営業停止処分が課される場合もあります。営業停止処分が下されると、運送業者は営業所単位で事業が行えなくなるため、運送業に関する法律を熟知して安全かつ円滑に事業を進められるよう、常に法改正などにも気を配る必要があるでしょう。

運送業の法律で注目される2024年問題とは

運送業の法律で現在注目されている課題が、2024年問題です。2024年問題とは、働き方改革によってドライバーの労働時間の上限が設けられ、今までよりもドライバー1人当たりの走行距離が短くなることで長距離輸送や物流に関して支障が出ることが懸念されている問題です。

ライバーの労働時間の上限規制に違反した場合、雇用者は6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課せられることがあります。また、ドライバーの労働時間の上限を遵守した場合でも、さまざまな課題が残されており、迅速な対策を取る必要に迫られています。

人件費の増大

持続可能な運送や物流を維持するためには、今までと同様の輸送能力を維持する必要があります。しかし、2024年問題で1人当たりのドライバーの労働時間を短縮しなければならないため、輸送能力を落とさないためには雇用するドライバーの数を増やさなければいけません。

ライバーが増えれば、雇用する企業は今までよりも多くの人件費を支払わなければいけなくなります。そのため、人材を確保したい運送業でもコストがかかりすぎて、輸送能力を落とさざるを得なくなるケースが出てくる可能性があるでしょう。

ドライバーの収入減少

働き方改革により、ドライバーは今まで通りの労働時間で働くことができなくなります。そのため、収入が減少するドライバーが増えるでしょう。今までドライバーとして生計を立てていた人も、法改正によって収入が減ってしまうと生活が立ち行かなくなることもあるかもしれません。

送業のドライバーの仕事では収入が不十分だとして、他の職種や業界へ転職するドライバーが増えるのではと懸念されています。

ドライバー不足

2024年問題によって、ドライバー不足も深刻化するでしょう。先に述べた通り、労働時間の上限規制によってドライバーの収入が減るため、生活を維持できる収入を確保するために他業種へ転職するドライバーが増えた場合、運送業全体で人材の確保が難しくなります。

くの運送業者で人材を増やしたくても、運送業全体のドライバーの数自体が減ってしまえば十分な輸送能力を維持できません。必要な人材を確保するためには、他社よりも有利な条件や待遇を提示する必要がありますが、十分な人件費が捻出できない場合は、運送会社自体の売上も減少するでしょう。

集荷や配達の遅れ

運送業のドライバーが減ると、荷主や一般の利用者に対しても影響が出ます。今まで通りにドライバーが集荷に来られなくなり依頼を断られたり、注文した商品が必要なときまでに届かなかったり、いつも購入していた生鮮食品が手に入らなくなったりする可能性があります。

様な働き方が選択できるよう施行される働き方改革ですが、労働時間の上限を定めることで、運送業のドライバーだけではなく、一般の消費者にも大きな影響が出ることが懸念されているのです。

2024年問題を回避するためには

2024年問題は、すでに待ったなしの状況です。いますぐに対策を取らなければ、運送業だけではなく、荷主や一般の消費者にも大きな支障が出る可能性があります。2024年問題を回避するためには、以下のようなことを早急に改善する必要があります。

  • ライバーの勤怠管理の徹底
  • 運行計画の見直し
  • 労働環境の改善
  • 作業の効率化
  • 適正な運賃設定
  • 輸送回数の削減

れぞれ詳しく解説します。

ドライバーの勤怠管理の徹底

働き方改革関連法により、一般的な時間外労働は原則としてひと月45時間まで、年間にすると360時間までの上限が設定されました。すでに大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行されています。

送業界においては、労働基準法が改正の中でも特別の扱いで年間960時間までの上限が適用され、2024年4月から適用されています。ただし、今回の法改正では、年間960時間までの上限がありますが1か月の上限は定められていません。

まり、ある月に110時間の時間外労働をしても、他の月を減らして年間の960時間を超えなければ問題ないのです。

のため、2024年問題を回避するためには、それぞれのドライバーの勤怠管理の徹底が求められます。上限を超えないよう月ごとの労働時間を企業が把握し、年間960時間以内に納めるために勤務時間を調整する必要があります。

運行計画の見直し

ドライバーが働ける時間を今よりもさらに効率化するべく、運行計画の見直しをしましょう。出荷や受け入れ態勢を見直して待ち時間を減らせば、その分輸送能力が上がります。また、今まで利用していた輸送ルートを再検討することで、より短い時間で輸送できるようになるかもしれません。

距離輸送をする際には、中1日の時間を設けて満載でトラックを走らせるなど、効率的な輸送方法についても見直すとよいでしょう。

労働環境の改善

輸送力を維持する十分な人数のドライバーを確保するために、労働環境の改善をはかりましょう。適正な休日付与と法改正後も安定して生活できる収入を確保することで、ドライバーの離職率を下げられます。

ライバーが安心して働ける環境を整えることが、2024年問題解決には不可欠です。

作業の効率化

デジタルツールを導入して作業の効率化をはかることも大切です。たとえば、予約システムを使えば、ドライバーの待ち時間を減らせるでしょう。手荷役の作業を削減する場合は、パレット化も役立ちます。

送業やドライバー、現場スタッフと情報を共有することも作業の効率化につながります。

適正な運賃設定

輸送力を維持するために、荷主や一般消費者が適正な料金を支払うことも必要でしょう。働き方改革が導入された後も、ドライバーが以前と同様に働けるためには欠かせません。また、運賃以外にも燃料サーチャージや高速道路を利用した際の料金、運送に関する作業の適正な料金なども含めた持続可能な料金設定を行いましょう。

輸送回数の削減

ドライバーが限られた労働時間で、もっとも効率よく働けるよう荷主側でも輸送回数の削減に協力しなければいけません。

ンターネットでの買い物はなるべくまとめ買いにする、配達は確実に受け取れる日時を指定する、または宅配ボックスや置き配を利用するなど工夫して再配達を減らす努力をしましょう。

まとめ

運送業には、貨物自動車運送事業法・道路運送車両法・労働基準法施行規則・道路交通法などの法律があります。それぞれ、安全に円滑に運送事業を行うために不可欠なもので、違反した場合は、罰金や懲役だけではなく営業停止処分になる場合もあるため、事業を行う際には必ず遵守しましょう。

た、2024年問題としてすでに直面している運送業の法律の改正によるさまざまな課題は早急な対策が必要です。事業者だけではなく、日頃から宅配便やネット通販などで輸送業のサービスを利用する荷主も現状を把握し、輸送能力が維持できるよう対応することが大切です。


初めてのリーガルテックなら「LegalOn Cloud」

LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲かつ総合的に支援する次世代のリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

<関連記事> 法務が抱える三つの課題と、AI法務プラットフォームが示す解決策

NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの、「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

AI契約書レビューや契約書管理など
様々なサービスを選択してご利用できるハイスペック製品

製品についてはこちら