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ホームページ制作・Web制作の契約書に必要な項目は? 委託・請負・保守契約を網羅して解説

ホームページ制作・Web制作の契約書に必要な項目は? 委託・請負・保守契約を網羅して解説
この記事を読んでわかること
    • ホームページ制作における契約書の種類
    • 業務委託契約・請負契約で記載すべき項目
    • 保守契約で記載すべき項目
    • ホームページ制作の契約に特有の項目
    • フリーランスにホームページ制作を依頼する場合の注意点
    • 締結済みの契約書の修正方法

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企業が特定の業務を外注するにあたって、契約書を作成するには、その業務の性質や内容を踏まえる必要があります。ホームページ制作・Web制作の外注も、その一つです。

この記事では、ホームページ制作の契約書を作成するにあたって、想定される契約書の種類やそれぞれで記載すべき項目、ホームページ制作に特有の項目、フリーランスに制作を依頼する場合の注意点、契約書修正の対応方法について解説していきます。

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なぜ「正しい契約書」が必要?

ホームページ制作やWeb制作は、企業や個人にとって重要なデジタル戦略の一環です。魅力的なデザインや使いやすい機能、安定した運用は、顧客獲得や情報発信において不可欠といえるでしょう。しかし、その制作過程において発注者と受注者の間で認識のずれが生じやすく、後々のトラブルにつながる可能性も潜んでいます。

例えば、「イメージと違うデザインに仕上がってしまった」「追加機能の費用が当初の想定よりも高額になった」「納品後の不具合に対応してもらえない」といった問題は、契約内容が曖昧な場合に起こりやすいものです。このようなトラブルを未然に防ぎ、両者が安心してプロジェクトを進めるために、契約書の締結は非常に重要な意味を持ちます。

ここで言う「正しい契約書」とは、プロジェクトに関わる重要な事項を明確に定義し、法的な根拠となる書面を意味します。正しい契約書を取り交わすことで、双方の権利と義務が明確になり、予期せぬ事態が発生した場合の対応もスムーズに行うことができます。また、契約書を締結する過程で、お互いの認識をすり合わせることで、より円滑なコミュニケーションが期待できるでしょう。

ホームページ制作に関する契約書の種類

ホームページ制作やWeb制作に関する契約は、その性質や業務範囲によっていくつかの種類に分けられます。主に用いられるのは「業務委託契約」「請負契約」「保守業務委託契約」の3つです。それぞれの特徴を理解し、プロジェクトの内容に適した契約を結ぶことが重要です。

業務委託契約

業務委託契約は、特定の業務の遂行を他者に委託する契約です。ホームページ制作においてはデザイン制作やコーディング、コンテンツ作成、SEO対策など、個別の業務を外部の専門業者やフリーランスに依頼する際に用いられます。

ここでの業務委託契約の目的は、ホームページ制作業務の遂行そのものの委託です。そのため、契約内容にもよりますが、準委任契約の性質を持つ契約の場合には、報酬は成果物の完成ではなく、業務遂行自体に対して発生することを主な内容とします。

民法上には「業務委託契約」という用語は存在せず、後述する請負契約や委任契約(準委任契約)を総称した言葉として用いる場合がほとんどです。

ひと目でわかる要チェック条文 業務委託契約書編

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請負契約

請負契約は、受託者が特定の成果物の完成を約束し、委託者がその成果物に対して報酬を支払う契約です。ホームページ制作においては「Webサイト一式の制作」「特定のWebアプリケーションの開発」など、明確な完成形が求められる場合に適しています。

請負契約の目的は、受託者がホームページの完成品を納品することです。そのため、報酬は完成品が納品され、その品質に問題がないことを確認したうえで発生します。

請負契約は、成果物の品質が重視される場合に有効ですが、仕様変更などが発生した場合、追加費用や納期遅延が生じやすいという側面もあります。そのため、契約締結前に仕様を詳細に詰め、変更時の取り決めについても明確にしておくことが重要です。

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保守業務委託契約

保守業務委託契約は、制作が完了したホームページやWebサイトの運用・管理を外部に委託する契約です。具体的には、サーバーの監視、セキュリティ対策、コンテンツの更新、不具合の修正などが含まれます。

ホームページは、公開後も常に最新の状態に保ち、安定した稼働を維持する必要があります。しかし、これらの業務を自社で行うには専門知識や作業コストが必要となるため、外部に委託するケースがあります。その際に締結するのが、保守業務委託契約となります。

保守業務委託契約では、保守の範囲、対応時間、費用などを明確に定めることが重要です。また、緊急時の連絡体制や対応方法についても、事前に取り決めておくことで、安心してWebサイトを運用することができます。

業務委託契約・請負契約に記載すべき6つの項目

ホームページ制作における業務委託契約または請負契約には、後々のトラブルを避けるために、以下の6つの項目を明確に記載することが重要です。

委託と請負の範囲

契約の対象となる業務範囲、または制作する成果物の範囲を具体的に定義します。例として、以下のような項目が含まれます。

  • Webサイトのデザイン制作
  • トップページと下層5ページのコーディング
  • レスポンシブ対応
  • CMSの導入

何をどこまで依頼するのかを明確に記載することで、双方の認識のずれを防ぎます。成果物の仕様書やデザイン案などを契約書に添付し、契約の一部とすることも有効です。

再委託の禁止

制作業務の一部または全部を、受託者が第三者に再委託することを禁止するかどうかを定める項目です。再委託を許可する場合は「事前に委託者の書面による承諾を得る」などの条件を明記します。ホームページ制作は複数の専門スキルを要する場合がありますが、再委託は品質低下や情報漏洩のリスクを伴うため、慎重な検討が必要です。

検収

制作された成果物が契約内容を満たしているかを確認する手続きである、検収について定める項目です。検収期間、検収方法、検収基準、不合格の場合の対応などを具体的に記載します。検収期間を明確にすることで、納品後の手続きをスムーズに進めることができます。

契約不適合責任

請負契約において、納品された成果物が契約内容に適合しない場合(契約不適合)の責任について定める項目です。契約不適合の内容、責任期間(通知期間など)、追完請求(修補、代替物の引渡し等)、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などについて、民法の規定を踏まえつつ、具体的な取り決めを行います。ホームページ制作においては、デザインの崩れ、リンク切れ、機能の不具合などが契約不適合に該当する可能性があります。また、業務委託契約の場合でも、同様の責任について定めることがあります。

著作権・知的財産権

制作されたWebサイトのデザイン、ソースコード、コンテンツなどの著作権や知的財産権の帰属について明確に定める項目です。著作権は原則として創作者(この場合は受注者)に帰属しますが、契約によって発注者に譲渡するのか、または利用許諾とするのか、許諾の場合の利用範囲(許諾範囲)はどうなるのかなどを具体的に記載します。ホームページは、公開後も継続的に利用・改修していくことが多いため、著作権の帰属は将来的な利用や改修の自由度を大きく左右する重要な事項です。

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損害賠償

契約当事者のいずれかの責めに帰すべき事由によって相手方に損害が発生した場合の、損害賠償の範囲や金額について定める項目です。例えば、納期遅延によって発注者のビジネス機会が損失した場合や、制作されたWebサイトの欠陥によって第三者に損害を与えた場合などが考えられます。損害賠償の範囲や金額を事前に定めておくことで、紛争が生じた際の解決をスムーズに進めることができます。

保守契約に記載すべき3つの項目

ホームページ制作後の安定した運用と継続的な価値維持のためには、保守契約の締結が重要です。保守契約では、とくに以下の3つの項目を明確に定めることで、発注者と受注者双方にとって安心してWebサイトを運用できる環境を構築できます。

保守範囲

具体的にどのような保守業務を委託するのかを明確に定義します。例として、以下のような項目が含まれます。

  • サーバーの監視と障害対応(監視と対応可能時間など)
  • セキュリティアップデートの適用有無
  • コンテンツの軽微な修正(月〇回まで)
  • お問い合わせフォームの動作確認

保守の内容と範囲をリストアップし、対応範囲を明確にすることで、発注者は必要な保守を確実に受けられ、受注者は契約外の作業を求められるのを防ぎます。

有効期間

保守契約の期間を定めます。「契約締結日から〇年間」「〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇年〇〇月〇〇日まで」といった具体的な期間を明記し、自動更新の有無や更新条件についても定めておくことで、契約終了時の手続きを円滑に進めることができます。有効期間を明確にすることで、意図しない契約更新による費用発生や、解約時のトラブルなどを防ぎます。

再委託の禁止

受注者が保守業務の一部または全部を第三者に再委託することを原則として禁止するかどうかを定めます。業務委託契約・請負契約の場合と同様に、再委託を許可する場合は「事前に委託者の書面による承諾を得る」などの条件を明記します。Webサイトの安定運用やセキュリティに関わる保守業務は、信頼できる事業者に担当してもらうことが重要であるため、再委託の可否は慎重に検討する必要があります。

ホームページ制作の契約書なら注意したい特有の項目

一般的な契約項目に加えて、ホームページ制作ならではの注意しておきたい特有の項目があります。ホームページ制作においては、これらを契約書に盛り込むことで、より具体的な取り決めが可能になりトラブルを未然に防ぐことができます。

仕様の詳細

デザイン、機能、コンテンツなど、制作するホームページの仕様を可能な限り詳細に記述します。とくに機能の面では「○○の機能があると思っていたが実装されていない」といった齟齬や、それに伴う追加費用の請求などがトラブルになるケースが多くあります。こういった事態を避けるため、具体的な内容を記載することで、完成後のイメージのずれを防ぎます。ワイヤーフレーム、デザインカンプ、機能一覧などの別途資料を契約書に添付し、契約の一部として明確にすることも有効です。

対応ブラウザ

制作するホームページが対応するブラウザの種類とバージョンを明記します。これはブラウザによって表示が異なったり、崩れたりする場合があるためです。対応ブラウザの取り決めがない状態で、納品後に特定のブラウザの表示不具合が発覚した場合、トラブルが発生する可能性があります。

  • Google Chrome最新版
  • Safari最新版
  • Mozilla Firefox最新版
  • Microsoft Edge最新版

など、ターゲットユーザーが利用する可能性の高いブラウザを特定し、動作保証の範囲を定めます。

対応デバイス

制作するホームページが対応するデバイスの種類や画面サイズを明記します。ホームページの性質や画面幅の都合などで表示が変わる場合もあるため、認識の違いを防ぐための項目として設定します。現在、ホームページはPCだけでなくスマートフォンやタブレットなど、さまざまな種類と画面サイズのデバイスで閲覧される可能性があります。それらの画面上で正しくホームページが表示されることを確実にするためには、この対応デバイスに関する項目が必要となります。

フリーランスにホームページ制作を依頼する場合の注意点

ホームページ制作はフリーランスに依頼するケースもあります。専門的なスキルを持つフリーランスに直接依頼することで、コストを抑え柔軟な対応を期待できるメリットがある一方、注意すべき点も存在します。現在最も企業に身近なのが、2024年に施行されたフリーランス新法です。

フリーランス新法とは?

2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス新法)は、フリーランスを含む特定受託事業者の保護を目的とした法律です。この法律により、事業者はフリーランスに対して、契約内容の書面交付義務、報酬の遅延防止、一方的な契約解除の制限などが課せられます。

ホームページ制作をフリーランスに依頼する事業者も、この法律の対象となる場合があります。そのため、フリーランスに業務を委託する際には、法律の内容を十分に理解し、適切な対応を行う必要があります。

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フリーランス新法を踏まえて発注者が注意すべきポイント

ホームページ制作をフリーランスに依頼する際には、以下の点に留意し、適切な取引を行うように心がけましょう。

1. 契約内容の明確化と書面交付の徹底

業務を委託する際には、契約内容を速やかに書面または電磁的な方法で明確に提示することが義務付けられています。制作範囲、納期、報酬、支払い条件、著作権の扱いなど、重要な事項を曖昧にせず、双方合意の上で記録に残すことが重要です。これにより、後々の認識のずれやトラブルを未然に防ぐことができます。

2. 報酬の適切な支払いサイクルの遵守

フリーランスへの報酬は、原則として業務提供日から60日以内に支払う必要があります。とくに自社がさらに別の業者(再委託者)に業務を委託し、その業者がフリーランスに再委託する場合、自社の支払い日から30日以内にフリーランスへ報酬を支払う義務が生じます。支払い遅延はフリーランスの経済基盤を揺るがす行為であり、法令遵守はもとより、信頼関係を構築する上でも極めて重要です。

3. 一方的な報酬減額や不当な低価格買い叩きの禁止

継続的に業務を委託しているフリーランスに対して、正当な理由なく一方的に報酬を減額したり、市場価格とかけ離れた不当な低価格で買い叩いたりする行為は禁止されています。適正な対価を支払うことは、フリーランスのモチベーション維持と、質の高い成果物を得るために不可欠です。

4. 契約解除・不更新時の事前予告の徹底

継続的な業務委託契約を中途解除、または契約の不更新を決定した場合、原則として30日前まで(不更新の場合は契約満了日から起算)にフリーランスにその旨を予告する義務があります(フリーランス新法16条1項)。これはフリーランスが次の仕事を探すための準備期間を確保するための措置です。突然の契約終了は、フリーランスの生活に大きな影響を与える可能性があるため、このような定めがなされています。

5. ハラスメント対策への真摯な取り組み

フリーランスが安心して業務に取り組めるよう、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントといった各種ハラスメントを防止するための措置を講じる義務があります。相談窓口の設置や適切な対応体制の整備など、フリーランスからの相談に真摯に対応できる環境を整えることが求められます。

6. 妊娠・出産・育児・介護への配慮

フリーランスから、妊娠、出産、育児、介護と両立しながら業務を続けたいという申し出があった場合、業務内容や進め方について可能な範囲で配慮するよう努める必要があります。柔軟な働き方を支援することは、多様な人材の活躍を促進し、より良い協働関係を築くことにつながります。

7. 募集情報の正確な提示

ホームページ制作の案件などでフリーランスを募集する際、広告や募集要項に虚偽の情報を掲載したり、誤解を招くような表現を用いたりすることは禁止されています。また、掲載情報は常に最新の状態に保つ必要があります。正確な情報提供は、ミスマッチを防ぎつつ、フリーランスの円滑な業務遂行を実現するために重要です。

契約書を修正する場合の対応方法は?

契約締結後に、当初の契約内容を変更する必要が生じる場合があります。そのような場合は口頭での合意だけでなく、必ず書面で変更内容を記録することが重要です。

一般的には「覚書」や「変更契約書」といった書類を作成し、双方の署名または記名押印を行います。これらの書類には変更する条項のほか、変更後の内容や変更の効力発生日などを明確に記載します。

メールやチャットツールでの合意も証拠としては残りますが、法的な拘束力を高めるためには、正式な書面を作成することをおすすめします。とくに制作範囲、納期、費用など、重要な契約内容を変更する場合は、慎重な手続きが必要です。

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まとめ:ホームページ制作を依頼するなら適した契約書を作成する

ホームページ制作は、企業の顔となるWebサイトを作り上げる重要なプロジェクトです。その成功のためには、制作会社やフリーランスとの間で、しっかりと内容を詰めた契約書を作成することが不可欠です。契約書は、単なる形式的な書類ではなく、発注者と受注者の間の認識を一致させ、トラブルを未然に防ぐための重要なツールとなります。業務委託契約、請負契約、保守業務委託契約といった契約の種類を理解し、それぞれの契約に必要な項目を網羅的に盛り込むことが大切です。

この記事では、ホームページ制作の契約書を作成するにあたって、想定される契約書の種類やそれぞれで記載すべき項目、ホームページ制作に特有の項目、フリーランスに制作を依頼する場合の注意点、契約書修正の対応方法について解説してきました。ホームページ制作を成功させるために、契約において本記事の内容が参考となれば幸いです。


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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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