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契約書のリーガルチェックとは? 手順やチェックポイント、費用などを解説

契約書のリーガルチェックとは? 手順やチェックポイント、費用などを解説
この記事を読んでわかること
    • リーガルチェックとは
    • リーガルチェックのメリット・注意点
    • 弁護士に依頼した場合の費用
    • リーガルチェックの進め方
    • AIでのリーガルチェック


「3つのステップで学ぶ 契約審査の基本」

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リーガルチェックとは、法的な観点からリスクや問題などがないかを検証する作業のことで、その対象は契約書や規約、規程をはじめ、広告、ウェブサイト、IR情報など多岐にわたります。ここでは、特に重要なチェック対象である契約書に焦点を当て、リーガルチェックの手順や注意点などを紹介していきます。

近年では、契約書のリーガルチェックを支援する、さまざまなツールが登場しています。LegalOn Cloudは、AIテクノロジーを駆使し、法務業務を広範囲、総合的に支援するこれまでにないリーガルテックプラットフォームです。あらゆる法務業務をAIがカバーできるほか、サービスを選んで導入できるため、初めてリーガルテックの導入を検討する方にもおすすめです。

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目次

リーガルチェックとは?

リーガルチェックとは「契約書を法的な視点で検証・チェックすること」です。ビジネスの観点だけでなく、法的に問題ないかも併せて確認します。ビジネス上の取引で契約書に法的な問題があると、代金の不払いやクレームなどのトラブルに発展するケースも珍しくありません。

チェック対象となる契約書は大きく分けて以下の2通りです。

  • 自社で作成した契約書
  • 他社から受領した契約書

自社で作成した契約書のチェック内容

自社で契約書を作成する場合、以下のようなケースが考えられます。

  • 事業部がドラフトを作成したのを法務担当者がチェックするケース
  • 法務担当者がドラフトしたものを法務マネージャーがチェックするケース
  • 事業部や総務担当者、もしくは法務担当者がドラフトしたものを顧問弁護士がチェックするケース

なお、契約書を一から作成することは基本的にありません。自社作成、もしくは専門家監修のひな形や、過去の類似案件の契約書などから作成する場合がほとんどです。売買取引契約、業務委託契約、秘密保持契約など、一般的な類型のひな形であれば、Webでダウンロードできる場合もあります。そうした既存の契約書をベースに、新たな契約書をビジネスの実態に合わせて作成します。

自社で作成された契約書のドラフトは、以下の観点でリーガルチェックを行います。

  • 修正内容がビジネスの実態に沿っているか
  • 法律上の強行規定に違反していないか
  • 自社のリスクは許容範囲内に抑えられているか

そして不備があれば、修正や加筆の提案を事業部に対して行います。

他社から受領した契約書のチェック内容

他社で作成・受領した契約書は、主に下記の点をリーガルチェックします。

  • 予定している取引の実態がきちんと反映されているか
  • 自社にとって許容できないような不利な条項がないか
  • 法令違反や無効となる原因など、法律上問題のある条項がないか

不明点があれば、相手方に説明を求めます。加えて、自社に不利益をもたらす条項があった場合には対案を提示し、相手方に修正を促すことがリーガルチェックの内容になります。

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主な契約書のリーガルチェックのポイント

代表的な以下の契約に関して、リーガルチェックを行う際のポイントを解説します。なお、リーガルチェックでは自社の立場がどのようなものかが、リスク判断の前提となります。基本的には義務を負う側の場合はその義務を可能な限り軽く、反対に権利を行使する側の場合は、可能な限り相手方の義務を重くすることが自社の利益につながります。

  • 秘密保持契約書
  • 売買契約書
  • 業務委託契約書
  • ライセンス契約書

秘密保持契約書

一定の情報を第三者に対して開示しないこと、情報の利用目的を定め目的外使用を禁止することや、情報の取り扱いのルールを定める内容を持つ契約書です。自社が開示する側の場合、秘密情報に含める範囲をできるだけ広く定義することが望ましいです。一方、情報を受領する側の場合、秘密である旨を明示・指定した情報のみを秘密情報としたほうが有利です。第三者の定義についても、そもそも明記すべきかどうか、その範囲は?など、立場に応じて検討することが重要です。

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買契約書

不動産・動産に関する売買取引の条件を定める契約です。売買の対象物・価格や支払い条件・危険負担や保険・引き渡し方法など、売買にまつわる詳細の条件を定めます。約の内容が不十分であると取引が実行できなくなる可能性もあるので、これらの条件に抜けや漏れがないか、しっかりチェックをする必要があります。

業務委託契約書

業務委託契約書は、委託者が受託者に対し特定の業務の遂行を委託し、受託者がその業務を遂行することを約する契約です。ソフトウェアの開発委託・コンサルティングの委託・販売委託・人材紹介の委託・研修委託などはいずれも業務委託契約にあたります。

委託する業務内容は多様なため、「サービスの性質に応じた条項であるか」、「業務委託で生じる著作権の帰属」など、重要な内容が明確であるかがポイントになります。

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ライセンス契約書

ライセンス契約とは、著作権や特許権、商標権、知的財産権などの権利を持つライセンサーが、ライセンシーにその権利を一定の条件の下に利用することを認める契約です。許容される利用内容・利用形態の理解、第三者から権利侵害の主張があった場合の取り決め事項などが、レビューのポイントになります。

例えばソフトウェアライセンス契約の場合、主に書面によるものと、シュリンクラップという形式でソフトウェアの利用の際にPC等の画面上で同意するものの2種類があります(エンドユーザーライセンス=EULAと呼ばれます)。この場合、書面によるライセンス契約と、エンドユーザーライセンスの関係も重要なポイントとなります。

リーガルチェックの流れ|社内で実施する場合

まずは、社内で契約書のリーガルチェックを実施する場合の手順を紹介します。以下は大まかな流れです。

  1. 事業部などからリーガルチェックの依頼を受け付ける
  2. 契約書ドラフトの内容を把握する
  3. 契約書ドラフト内の修正点を洗い出す
  4. 担当部署へチェック結果を返す
  5. 契約を締結する

なお、発生頻度の高い契約の場合は多くの場合、自社の法務部門でチェックを完結させますが、そうではない場合は、社外の顧問弁護士へのリーガルチェックの依頼を検討します。特に新しいタイプの契約や、新しい取引先で相手方がドラフトを作成した契約などについては、外部の弁護士にもチェックを依頼するのが安心です。

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1. リーガルチェックの依頼を受け付ける

まずは、営業部門などの担当部署から契約書のリーガルチェックを受け付けます。

受け付けた案件は、業務状況や過去の取り扱い案件などを考慮して、適任と思われる法務担当者に割り当てましょう。割り当て作業を効率化するため、リーガルチェックの受付窓口は一本化するのがおすすめです。

リーガルチェックを受け付ける際には、担当部署から案件の概要をヒアリングする必要があります。具体的には、取引の目的(なぜこの取引を行うのか)と背景(取引に至った経緯)をヒアリングしておきましょう。実際に契約書のリーガルチェックを行うにあたり、取引の目的・背景によって付すべき修正コメントの内容が変わってくるためです。効率的かつ漏れなくヒアリングを行うためには、契約審査依頼用の書式やデータベースを作成し、必要な情報を記入してもらうなどの対策を講じましょう。

リーガルチェックの適切な手法は、会社の状況によって異なるため、自社にとって最適なフローを模索することが必要です。

2. 契約内容を把握する

法務担当者がリーガルチェックを行うに際には、はじめに契約内容を把握する必要があります。

漫然と読み進めるのではなく、要点を捉えて順序よく確認し、契約の全体像を理解することが大切です。具体的には、以下のような手順を経るのがよいでしょう。

  1. 契約に基づき予定される取引の内容を確認する(例)プログラムの制作業務を委託する内容の業務委託契約である。 
  2. 取引の要素が記載されている条項を確認する(例)委託業務の内容を確認する。さらに具体的な発注・受注について、その方法や納期、報酬の決定方法・支払方法・支払期限などを確認する。 
  3. 当事者の権利義務が記載されている条項を確認する(例)受託者の義務に関する条項を確認する。 
  4. 一般条項を確認する(例)契約期間、損害賠償、秘密保持義務、反社会的勢力の排除、合意管轄などに関する条項を確認する。

なお、過去に同じ取引先と締結した契約が存在する場合には、今回の契約との関係性を確認するため、関連契約にも早めに目を通しておきましょう。

3. 契約書ドラフト内の修正点を洗い出す

契約書の全体像が把握できた段階で、修正コメントを付すべきポイントを洗い出します。修正すべき主なポイントは、以下のとおりです。

  1. 自社にとって明らかに不利益な条項法律上の任意規定や実務のスタンダードに照らして、自社にとって明らかに不利益と思われる条項については、修正を求める必要があります。 
  2. 自社のひな形と異なる内容・水準の条項オペレーションの統一を図るため、同種取引に関する自社のひな形と比較して、異なる内容・水準の条項は修正することが望ましいです。 
  3. 法令違反の条項法律上の強行規定に違反する条項は無効となるため、修正が必要になります。また、業法によって規定が義務付けられている事項が漏れている場合や、不正確なときに、追記・修正を行わなければなりません。適用される法律は会社の状況や業務によって異なるので、チェックの精度を高めるためにも、必要な情報は事前にチェックポイントとしてまとめておきましょう。 
  4. 誤記・表記ゆれなどの形式的不備誤字・脱字、表記ゆれ、条ズレ、段落の乱れなどの形式的不備は、当事者のうち気づいた側が随時修正します。

相手方の反発が予想される修正については、その理由をコメント機能などを用いて丁寧に記載することが大切です。修正理由が合理的なものであれば、相手方も受け入れる可能性が高まります。

4. 担当部署へチェック結果を返す

ドラフトへの修正コメントが完了したら、担当部署へリーガルチェックの結果を返答します。

営業担当者などは、必ずしも法的な知識を有していないケースがあります。相手方との交渉を円滑に進めるためにも、なぜ修正が必要なのかについて、法的素養のない人でも正しく理解できる言葉で補足説明を行いましょう。

相手方との契約交渉は、法務部門ではなく担当部署が行うのが通常です。そのため、どのような言葉で相手方に修正を依頼するべきかについても、法務担当者からできる限り提案するのが親切でしょう。

実際のリーガルチェックでは、担当部署とコミュニケーションを取りながら、相手方に返送するファイルを完成させていくのが一般的です。

相手方向けの修正コメントと担当部署向けの確認コメントを使い分けると、やり取りがスムーズに進みます。トラブルを避けるためにも、相手方へ契約書ファイルを返送する前には、法務部門と担当部署の間で認識の相違を解消しておきましょう。

5. 契約を締結する

相手方との間で何度かコメントをやり取りした後、契約書全体について合意に至った段階で、最終版の契約書ファイルを作成します。

最終版の段階では、誤記・表記ゆれなど形式的不備の修正を含めて、完全な状態の契約書ファイルを作成する必要があります。法務部門・担当部署のそれぞれで慎重にチェックを行い、不備が残っていないかどうかを慎重に確認しましょう。

また、交渉段階のファイルと混同しないように、ファイル名などを工夫して適切にバージョン管理を行うことも大切です。

契約の締結では、書面を作成して署名捺印(または記名押印)を行う方法のほか、電子契約として電子署名を付す方法がよく用いられます。

どのような方法で契約を締結するかについては、営業担当者を通じて、相手方との間で事前に調整しておきましょう。

締結後の契約書は、適切な方法によって保管・保存する必要があります。とくに法律で保存期間が定められた契約書は、必ず定められた期間、適切な手法で保存しなければなりません。

書面・電子契約のいずれであっても、アクセスできる役員・従業員の範囲を最小限に絞り、情報セキュリティの確保を図りましょう。

しかし、これらの対応を社内で完璧に行うことは難しく、多くの担当者は「リスク発見の抜け漏れ」に悩んでいます。現在はさまざまなリーガルテックが登場しており、こうしたツールを活用することが有効です。次世代リーガルテック「LegalOn Cloud」は契約書に潜むリスクを洗い出し、チェック項目を表示。修正案も提示します。

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リーガルチェックの流れ|弁護士に依頼する場合

つづいてリーガルチェックを自社のみでなく、弁護士にも依頼するときの手順です。弁護士に業務を依頼するときは、以下のような流れで進めます。

  1. チェックしてもらいたい契約書を準備する
  2. 自社の会社情報や取引に関する情報をまとめて提出
  3. 弁護士からのフィードバックを受ける
  4. 契約書の修正と取引先との交渉をおこなう
  5. 双方の合意のもと契約締結

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1. チェックしてもらいたい契約書を準備する

まずは自社で作成した契約書、または取引先から受け付けた契約書を準備します。このとき、自社でも一度しっかりと確認することが大切です。弁護士に依頼するからといって、確認しないまま丸投げしてしまうと、のちにトラブルに発展する場合があります。契約書の内容については、自社でもきちんと把握しておきましょう。

2. 自社の会社情報や取引に関する情報をまとめて提出

会社や取引の状況によっては、適用される内容が異なる法律もあるため、弁護士には自社の情報や取引に関する情報を共有する必要があります。正確な情報を提出しないと適切に判断できないため、必要な部分は正確に伝えましょう。

また、顧問弁護士を常用しており、自社の内情に理解があったとしても、変更点や初めて取引するクライアントなどのときは、情報を提供することが大切です。

なお、取引に関して要望や希望がある場合は、あらかじめ相談しておきましょう。要望や希望を考慮しつつ、法的な観点からチェックをおこなってくれます。契約書と情報を提出したら、リーガルチェックの事前準備は完了し、弁護士が確認を進めます。

3. 弁護士からのフィードバックを受ける

チェックが済んだら、弁護士によるフィードバックです。契約書をチェックし、クライアントの要望を考慮しつつ、問題点や改善点を指摘してくれます。ただし、弁護士は自社の業界に必ずしも精通しているとは限りません。

4. 契約書の修正と取引先との交渉をおこなう

修正内容がまとまったら修正をおこないます。自社が契約書を作成したときは、修正内容を反映させたうえ、営業担当者を通じて取引先と交渉をおこないましょう。契約書を取引先が作成した場合は、営業担当者に修正内容を共有し、取引先に内容の変更をお願いします。

5. 双方の合意のもと契約締結

双方の合意が得らえたら契約を締結しますが、締結する前に弁護士へ最終調整の確認を依頼するのがおすすめです。弁護士による最終確認の際に問題がなければ、契約書を締結しましょう。

リーガルチェックで意識したいポイントと注意点6選

法務担当者は、リーガルチェックをする際、次のような要点をおさえておくことが必要です。

  1. 不明点を確認する
  2. 関係する法令や判例を調査する
  3. 不利な条項や抜け漏れがないかをチェックする
  4. 関連する契約書との整合性をチェックする
  5. トラブルを想定した内容にする
  6. 自社の目的にあった内容かチェックする

「どのように進めるのか」、「なぜこれらがポイントになるのか」について、以下で詳しく見ていきましょう。

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1. 不明点を確認する

法務担当者がリーガルチェックを行う場合は、曖昧な専門用語・業界用語はそのままにせず、分かりやすい言葉への変換が必要です。

契約書には業界用語や専門用語をはじめ、日常では使用しない用語が使われている場合があります。

しかし、契約書の言葉が正確に伝わらないと、当事者間の合意の内容がずれてしまいかねません。契約の対象サービスや製品のような重要な要素にも認識の違いが生じてしまうことがあるでしょう。こうしたずれをそのままにすると、代金の支払拒否、製品の引き渡し拒否、ひいては訴訟などのトラブルに発展する確率が高くなります。

難しい業界用語などは「なんとなくわかったような気がする」でつい進めてしまいがちですが、リスク管理のためには曖昧な対応は禁物です。

2. 関係する法令や判例を調査する

関係する法令や判例の調査もリーガルチェックに欠かせません。

契約条項に記載されていない事項については、法令や判例に従った処理が行われます。そのため、取引に適用され得る法令・判例のルールを理解しておくことは非常に重要です。また、強行法規違反の契約条項がある場合には修正が必要ですので、その点でも法令・判例のリサーチは大きな意味を持ちます。

自社で契約書を作成する場合は、ひな形を作るときに調査を実施することが多いですが、相手方から受領した契約書に関しては、法律違反がないかチェックが必要です。

なお、法律は定期的に改正されることがあります。法律が改正されると、契約書の内容も変更が必要な場合が出てくるため、自社に関連する法律や法令は定期的にチェックしておきましょう。

3. 不利な条項や抜け漏れがないかをチェックする

基本的に相手方であるベンダーや、専門業者などから提示される契約書は、相手方に有利な条項が多く含まれています。不合理な条項がある場合は、必要に応じて修正・削除し、フェアなとなるよう交渉しなければなりません。

また、条項に不足・抜け漏れがないかチェックし、取引条件の中で明確に記載すべきであるのに記載していない条項がないかの確認も必要です。法令や判例に照らして記載すべき条件などがあるときは、必要に応じて加筆します。

4. 関連する契約書との整合性をチェックする

関連する契約書と矛盾した内容の契約書を締結したり、過去の契約変更などを見落としたまま契約書を締結したりすると、業務に支障が生じます。業種によっては法令違反のリスクが生じるでしょう。

新規に契約書を締結する際には、過去に締結した関連契約との整合性をチェックしなければなりません。関連契約すべてに目を通しながら、矛盾や法律違反が生じていないかリーガルチェックを行うことが大切です。 

5. トラブルを想定した内容にする

リーガルチェックは想定されるトラブルを未然に防止できるかという観点から行う必要があります。

損害賠償に関する条項・解除ないし途中解約に関する条項のほか、機密保持義務の範囲なども、トラブル防止の観点から熟慮すべき事柄です。

また、実際にトラブルがあった場合の処理手順を、明確な形で契約書に書き込んでおくことも重要になります。

機密保持契約・売買契約・ライセンス契約など、契約内容に応じて、トラブルの予防・対処の観点から十分な内容かどうかをチェックしましょう。

6. 自社の目的にあった内容かチェックする

契約書に取引の目的・実態が適切に反映されているかを確認するため、関係各所への十分なヒアリングを行う必要があります。取引の目的・実態が契約書内容が乖離していると、取引のフローに不明確な部分が生じるためです。

トラブルが発生した際には、適切に対処できないといった問題が生じる可能性もあります。

契約内容と取引の目的・実態との整合性について、少しでも疑問に思う点があれば、所管部に十分なヒアリングを行って解決しましょう。

リーガルチェックに関するよくある質問

Q. リーガルチェックはどこに依頼するのがベストですか?

リーガルチェックの最適な依頼先は、企業の目的と状況によって異なります。

  1. 精度重視:弁護士専門的な知識で多角的なチェックが可能
  2. コスト重視:自社法務部門内部リソースを活用し、費用を抑制

択は企業の優先事項(精度 vs コスト)に基づいて行うべきです。また、発生頻度の高い契約はリスクが低いと考えられるので社内で対応するなど、依頼先の選定に一定のルールを設けることも効果的です。

Q. 弁護士にリーガルチェックを依頼する際の費用はどのくらいですか?

費用の相場:5~15万円

変動要因:

  1.   依頼内容の複雑さ
  2.   法律事務所の規模
  3.   継続的アドバイスの有無(顧問契約か否か)

顧問契約は、法務サポートを効率的に受けられる選択肢の一つです。この契約形態では、一定期間内で幅広い法律相談を利用できるのが特徴です。

主な利点として、以下の3点が挙げられます。

  1. 経済性頻繁に契約書の法的チェックが必要な企業にとっては、コスト面で有利になることが多いです。定額制のため、利用頻度が高いほど費用対効果が向上します。
  2. 包括的なサポート契約書のリーガルチェックだけでなく、労働問題や法律相談など、さまざまな法的課題に対応可能です。これにより、企業の法務関連の相談窓口を一本化できる利点があります。
  3. 迅速な対応継続的な関係構築により、弁護士は企業の事情に精通するようになります。その結果、緊急時や問題発生時に、状況を理解した上での迅速かつ的確なアドバイスが期待できます。

このように、顧問契約は法務面での安定性と効率性を求める企業にとって、有効な選択肢となり得ます。ただし、具体的な条件や利用可能な範囲は契約プランによって異なるため、自社のニーズに合わせて慎重に選択することが重要です。

Q. リーガルチェックの業務効率化を図る方法はありますか?

以下のような選択肢が考えられます。

  1. AI契約書レビューサービスの導入自動チェックでリスクの洗い出しにかかる時間を削減できる
  2. 法務管理システムの活用契約書の一元管理や案件の進捗管理や追跡が効果的に行える
  3. 標準契約書テンプレート(ひな形)の整備チェック項目の統一化と時間短縮が可能に

これらの方法を組み合わせることで、リーガルチェックの品質維持と効率化を同時に達成できます。

契約書レビューサービスとは

契約書レビューサービスとは、AIが自動的にリーガルチェックを実施するサービスです。

契約書をシステムにアップロードすると、AIが契約書内のリスクを洗い出し、改善案などを提案してくれます。各サービスには、様々な機能が搭載されており、種類も豊富です。

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契約書レビューサービスの主な機能

たとえば、自動レビュー機能は、契約書のアップロード後にAIが自動でレビューしてくれる機能です。サービスによっては、リスク度合いの色別表示や、実際に起きた事例を紹介するものなどもあります。

また、修正に機能では例文を提示してくれるものもあり、修正の参考にできて便利です。加えて管理機能で契約書のデータベース化も図れるため、過去の契約書をすぐに確認できます。

サービスによって搭載される機能は異なるため、自社に合った機能のサービスを選びましょう。

契約書レビューサービスを利用するメリット

契約書レビューサービスを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

以下で詳しく解説していきます。

コスト削減

先述したように、リーガルチェックにはコストがかかるデメリットがあります。

弁護士に依頼する場合、簡易的なチェックでも数万円程度、提案・アドバイスが必要な場合は10万円以上かかるケースも珍しくありません。

契約書レビューサービスを導入すれば、これらのコストを最小限にできるため、金銭的負担を抑えられるでしょう。

だし、多くの契約書レビューサービスの多くは有料のため、導入の際にコストがかかる点は認識しておきましょう。

多少のランニングコストがかかるものの、処理する契約書が多ければ多いほどコストパフォーマンスが高くなるため、結果としてはむしろコスト削減につながります。

にコスト削減は、金銭的な余裕があまりない中小企業にとって非常に大きな課題となります。

できる限り早く導入しておけば、早くレビューサービスが社内に浸透し、スムーズに扱える法務担当者が多くなります。

削減できるコストも増えていくため、早めの導入がおすすめです。

時間削減

一つひとつの条項を目視で確認するのには、かなりの時間を要します。

たとえ知識豊富で優秀な法務担当者がいたとしても、契約書のリーガルチェックに欠ける時間を削減するのには限界があるでしょう。

重要事項が記載されている契約書だからこそ、自社にとって不利な内容が記載されていないか細部まで確認しなくてはならないため、処理に時間がかかるのは当然のことです。

約書レビューサービスは、これまでリーガルチェックにかけていた時間を大幅に削減できます。

チェッカー機能を利用すれば、自動的に契約書をレビューできるため、リスクの洗い出しを瞬時に行えます。

さらに、修正案の表示機能があれば、どの部分を加筆修正すればよいのかが一目で把握できるため、目視確認の手間が省けるでしょう。

然ながら、時間削減は従業員の負担軽減効果もあります。

他の作業に専念できるようになる、ミスや見落としなどによるストレスを解消するなど、法務担当者にとって処理しやすい環境を構築できるのが魅力です。

識の蓄積ができる

契約書レビューサービスは、契約書をデータベース化して保存できるため、組織内に知識を蓄積できるメリットがあります。

他の法務担当者が過去の契約書を閲覧すれば、それを基に案件対応ができるようになるため、知見のある人材を増やすのに役立ちます。

務案件を抱える多くの企業にとっての課題が、属人化防止です。

たとえば優秀な人材がいても、周囲に知識を共有できなければ、限られた人しか案件を処理できなくなってしまいます。

その結果、優秀な人材が何らかの事情で欠けてしまった場合、案件を処理できる人が社内にいなくなってしまう可能性があります。

近年では退職だけではなく、感染症によって自宅待機になるケースも増えているため、属人化防止は集中的に取り組むべき課題と言えるでしょう。

約書レビューサービスなら、知識がそのまま蓄積されていくのはもちろん、必要とする情報を瞬時にピックアップできます。

万が一優秀な人材が退職することになっても、蓄積されたデータが残るため、知見が喪失してしまう心配はありません。

属人化防止のために研修やOJTなどを行う必要もないため、効率よく優秀な人材を育てられます。

契約書レビューサービスを選ぶときのポイント

契約書レビューサービスを選ぶときは、何を基準に選ぶと良いのでしょうか。以下で詳しく見てみましょう。

操作性に注目する

契約書レビューサービスを選ぶ際は、操作性が優れたものを選びましょう。

たとえ機能的な契約書レビューサービスでも、操作性が悪ければ使いこなせません。

法務担当者が使いこなせなければ、せっかく社内に導入しても浸透せず、むしろ業務効率が下がってしまう可能性もあります。

に契約書を紙で扱っていた場合は注意点が必要です。

これまで電子データとして契約書を扱った経験がない場合、複雑な操作方法に対応できず、むしろミスを多発してしまう可能性があるからです。

本来であればミスをなくし、適切な条項に修正して契約書を作成するはずが、意図しない形でクライアントと契約を結んでしまうリスクがあります。

のようなリスクを考えた場合、誰でも簡単に操作できる契約書レビューサービスを選ぶことが大切です。

直感的に操作できるシステムなら安心ですが、実際に導入してみないと使い勝手は明確に確認できません。

導入前のイメージを明確にしたい場合は、各契約書レビューサービスのサイトをチェックしてみましょう。

サービスによっては操作方法が資料や動画などで紹介されている場合があるため、判断材料になります。

社の契約書に合ったサービスを選ぶ

契約書のリーガルチェックができるサービスといっても、対応できる契約書の種類・形式などはさまざまです。そのため、自社で取り扱う契約書に合ったレビューサービスを選ばなければ意味がありません。

レビューサービスを選別する際は、対応可能な形式・ひな形などを一つひとつ確認し、自社で問題なく使用できるかを判断してください。

とえば秘密保持契約をはじめ、契約書には幅広い形式があります。

どの企業においても、よく使う契約書の種類があるものです。

これらの契約書をレビューサービスでリーガルチェックできるかを確認しましょう。

定の企業案件に特化したレビューサービスもあれば、幅広い企業体型に対応できる形式のレビューサービスもあります。

対応できる形式については、レビューサービスの各サイトで紹介されていることがほとんどなので、必ず導入前に確認してください。

正案の表示機能をチェックする

レビューサービスの中でも便利な機能なのが、契約書の修正案表示機能です。

近年のサービスではAIを搭載することで、どの部分をどのように修正するのが適切なのかを表示しており、非常に利便性が高いと話題になっています。

しかし、この修正案の表示方法も、レビューサービスの選別において欠かせません。

とえば修正案の表示形式として、条項にどのようなリスクがあるのかを提示する機能があれば、具体的な修正方法をAIにとって提案しているサービスもあります。

さらに、キーワード検索を使って必要な条文をピックアップできる機能が搭載されている場合もあるため、表示機能によって使い勝手が全く異なります。

、レビューサービスで表示された修正案・修正例を保存できる機能、契約書をクライアントや契約内容に応じて分類する機能などがあるかもチェックしましょう。

これらも契約書のリーガルチェックを効率よく行う上で欠かせない要素なので、選別のポイントとして挙げられます。

ポートが充実しているか確認する

レビューサービスを利用するうえで見落としてしまいがちなポイントが、サポート体制です。

サポート体制が充実していれば、万が一操作中に不明点があったとき、問題を早急に解決できます。

業務に支障をきたしてしまう心配もなくなるため、サポート体制は重視して選ぶべきでしょう。

に法務知識を持つ担当者が少なく、属人化リスクが高い現場において、サポート体制は最も重視すべき要素です。

もしリーガルチェックを行っている際、疑問や不安を解消したくなったときに知見のある担当者がいないと、すぐに適切な処理ができなくなってしまうからです。

ポート体制がしっかりしていれば、周囲に知識のある専門家がいなくても、不明点を解消できます。

また、トラブル発生時にも適切に対処できるようになります。

たとえばチャットや電話などのサポートが利用できるか、稼働時間はどのくらいなのかなどを確認し、困ったときに相談できる場所があるのかを判断してください。

トライアルができるレビューサービスを選ぶ

先述したように、レビューサービスの導入にはコストがかかります。

たとえ使い勝手がよさそうで機能が充実しているものがあっても、コストをかけてまで導入するのは躊躇してしまうものです。

実際に、いざ導入してみると審査基準が不安、直感的に操作できないなどの問題に直面してしまう可能性はあります。

のようなリスクを回避する目的として、トライアルができるレビューサービスを選ぶことが大切です。一度トライアルができれば、自社で問題なく使い続けられそうか判断できます。

実際に基本的な機能を使いこなせれば、導入後「自社に合わなかった」と後悔してしまう心配はありません。

が一トライアルの結果、自社に合わないと感じた場合は、有料版を継続利用しなければ問題ありません。

ただし、その場合多くのレビューサービスは、トライアル中に利用したデータが消失する仕組みになっている点に注意しましょう。

また、複数のレビューサービスでトライアルを何度も試していると、本格的に運用するまでにかなりの時間を使ってしまう点にも注意してください。

契約書のリーガルチェックの最適化のすすめ

契約書のリーガルチェックは、企業のリスク管理において重要な役割を果たします。法的視点から契約内容を精査することで、取引の実態に即した契約書の作成、トラブルの回避、不利な条項の修正、法律違反の防止など、多くのメリットがあります。

リーガルチェックの流れは、依頼の受付から契約内容の把握、修正点の洗い出し、結果の返却、そして契約締結へと進みます。社内での実施が難しい場合は、外部の弁護士に依頼することも検討すべきです。

適切なリーガルチェックを行うことで、企業の信用度を維持し、予期せぬリスクや損失を防ぐことができます。契約書のリーガルチェックフローを最適化することは、安全で効果的なビジネス展開に寄与します。

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NobishiroHômu編集部
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