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企業法務が学んでおきたい11の法律|身につけておきたいスキルも紹介!

企業法務が学んでおきたい11の法律|身につけておきたいスキルも紹介!
この記事を読んでわかること
    • 企業法務の定義と役割
    • 企業法務が担当する主な業務内容とそれぞれの目的
    • 法務担当者に求められる法律知識やスキルの具体例
    • 業務レベルに応じた法律知識の習得目安と考え方
    • 企業法務が知っておくべき主要11種類の法律と重要性
    • 法律知識を効率よく習得するための実践的な学び方

企業法務は、企業が事業を進める上で欠かせない法的な業務を担当する重要なポジションです。法令違反が起これば、社会的信用を失い、事業の継続にも大きな支障をきたします。一度失った信頼は簡単には取り戻せないため、企業法務が常に法的リスクをチェックし、トラブルを未然に防ぐ役割を果たしています。

また、企業法務は守りの業務だけでなく、新規事業やM&Aなど攻めの場面でも法的な視点から経営をサポートします。この記事では、企業法務の主な業務内容や必要な知識・スキル、知っておきたい法律や学び方まで幅広く解説します。法務部門に関心のある方や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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企業法務とは

企業法務は、事業を行う上で関わる法律業務を担当しています。企業によっては「法務部」といった場所を設けており「法務部」が法律業務を担当します。

契約締結や新規事業立ち上げ、事業売却時などに立ち会い法的目線からサポートする業務を「攻めの業務」や他者との紛争の解決、社内での問題解決などの業務を「守りの業務」と表現することがあり、どちらもビジネスに欠かせない仕事です。

企業法務の主な業務

企業法務の業務は多岐にわたり、契約や社内外の法律問題に広く関与します。主な業務は以下のとおりです。

  • 契約書の作成・審査によるリスク回避
  • 社内規程の整備や従業員教育によるコンプライアンス推進
  • 紛争・訴訟への対応と弁護士との連携
  • 株主総会・取締役会の運営支援
  • 知的財産の管理・保護
  • 労働問題の予防と解決

まず重要視される業務は、契約内容を確認し、自社に不利益が生じないよう法的リスクを回避することです。

また、社内規程の整備や従業員への教育を通じてコンプライアンス意識を高めます。さらに、紛争や訴訟が発生した際には弁護士と連携し、迅速に対応する姿勢も欠かせません。

企業法務は予防と解決の双方を意識し、組織全体の健全な運営を支える役割があるのです。

企業法務の役割

企業法務は、法的目線から事業をサポートしています。

契約書を細部までチェックして自社が不利になる条件はないか確認する「契約法務」や、新規事業立ち上げや売却など会社の利益が関わる事項を決める際に違法にあたらないかチェックする「機関法務」があります。

そのほかにも、社内や社外での紛争解決で弁護士に依頼する際、正しく状況を伝える「訴訟対応」や、株主総会など会社の組織編成や就業規定など、会社の組織整備を行う「コンプライアンス推進」が主な役割です。

関連記事:企業法務は魅力的な仕事?業務内容・魅力・向いている人の特徴を紹介

企業法務が身につけるべきスキル

企業法務をする上で身につけておきたいスキルを3点紹介します。

関連記事:企業法務に求められるスキルマップとは?対象となる従業員と役職ごとに必要なスキルについて解説

法律関連の知識

企業法務では幅広い法律関連の知識が必要です。企業の事業内容を見て「どの法律と関連し、何が違法になるのか」を見極め、違法にならないよう指導したり対策や作戦の提案を行います。

適切な労働環境を維持するために、労働基準法の知識も必要です。このように法務は法律に関する高い専門性が必要であるため、幅広い法律知識を持っている企業法務は、会社から重宝され手放したくない人材です。

文書の作成能力

企業法務は、文書を作成する機会も多い職業です。基本となるビジネス文書の常識は最低限の知識で持っておかなければなりません。最も重要な作成書類は、契約書です。事業において契約書を交わす場面は多数ありますが、その契約書作成を行なうのも企業法務の仕事です。

問題が発生した際、契約書を見て今後の対応を考えます。その時にミスがあったり紛らわしい表現があると相互に解釈の違いが生まれ、トラブルや紛争に発展してしまいます。

プレゼンテーション能力

法的な目線から意見や提案をする際や、調査結果を経営陣や社員に報告する際にプレゼンテーション能力が求められます。

説明が理解させられないと判断を仰ぐこともできません。相手がわかるよう噛み砕いた言い方でプレゼンテーションする必要があります。相手に理解してほしいことを中心に説明を進めていき、経営陣に対しては噛み砕きながらも端的に伝える意識も必要です。

企業法務が会得すべき法律のレベル

企業法務は、担当する業務に応じて一定の法律知識が求められます。すべてを網羅的に把握する必要はありませんが、基礎知識を備えておくことが重要です。

具体的には、以下のレベル感を意識するとよいでしょう。

  • 民法や商法などの基礎法は、条文の趣旨や代表的な規定を理解する
  • 労働法や会社法は、日常業務で想定される場面に対応できる知識を持つ
  • 知的財産や独禁法など専門性の高い分野は、調べながら判断できるレベルを目指す

基礎はしっかりと押さえつつも、専門的な部分は必要に応じて学ぶ姿勢が求められます。業務を通じて知識を深め、適切な判断ができるスキルを磨いていきましょう。

企業法務が知っておきたい11の法律

企業法務は、幅広い法律の知識を知っておかなければなりません。ここでは、特に知っておきたい法律を11種紹介します。どれも企業法務を行う上では欠かせない知識です。幅広い分野で対応できるように、しっかり学んでおきましょう。

民法

民法とは、個人間の取引における権利・契約に関する基本的なルールを定めたものです。

民法は、企業法務担当者のみならず、その他のビジネスマンにおいても欠かせない基礎となる法律です。経営を行っていくうえで必ず触れる法律であるため、企業法務は必ず学んでおくべき内容です。

企業法務の業務内容として、取引先との売買契約・秘密保持契約・業務委託契約などに付随する契約書の確認や修正を行います。このような業務を行う際に、契約・権利について定めている民法が必要になります。

商法

商法は、商売に関する基本的なルールを定めた法律です。民法は企業以外の一般人にも適用される法律であるのに対して、商法は商人などの商売に関わる場合に適用されます。

会社の信用を確保するために必要な「商業登記」「商号」について定められていたり、会計・帳簿に関わる「商業帳簿」について定められていたりするなど、事業活動を続けていくうえで必要不可欠な法律です。

会社法

会社法は、名前の通り会社について定めた法律です。企業の立ち上げ・運営・株主総会・組織編成など幅広くルールを規定しているため、会社には欠かせません。

元は商法の一部でしたが、2005年の成立、2006年の施行により独立しました。その後何度か改正されているので、最新の情報を頭に入れておく必要があり、改訂により自社の規則が違反にならないかも見直す必要があります。そのため、最新の会社法についての知識があると重宝されます。

専門的な法律であるため全てを抑えるのは大変ですが、少なくとも自分の企業に関する部分は押さえておくべきです。

労働法

労働法とは、「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」など労働に関わる法律をまとめた総称です。雇用されている側は企業よりも弱い立場にあるため、従業員の労働条件を守るために定められています。聞き馴染みのある「労働基準法」は、労働者の労働環境を改善する法律です。

給料をもらう側の従業員は、企業においては立場が弱い存在にあるため、労働法は従業員を守るためにある法律です。労働に関する業務は主に人事部が行いますが、トラブル発生時や従業員からの相談内容によっては企業法務も関わってくるので、知っておくべき法律です。

知的財産法

知的財産法もまた、いくつかの法律をまとめた総称です。その中には「特許法」「著作権法」「商標法」が含まれています。たとえば「著作権法」は、著作権を保護するために設けられた法律です。その他の知的財産法同様に、自社独自の財産を保護するための法律の集まりです。

他社に真似されないよう財産を守るため、逆に他社の権利を侵害しないためにも知っておくべき法律です。違反すると、ケースによっては損害賠償を請求される場合もあるので、非常に重要な法律です。

独占禁止法

独占禁止法は市場で、特定の分野の商品を自社の商品のみ流通させて、他社の商品を出回らせないよう操作する商売を禁止した法律です。

一つの企業の商品のみだと価格競争が無くなり物価が上がったり、商品競争もなくなったりするため、よりよい商品が生まれなくなります。企業間の競争を促進し、業界全体として大きく成長できるように定められた法律です。

独占禁止法とあわせて、下請事業者を守るための法律である「下請法」についても学んでおくのがおすすめです。

消費者契約法

通常、契約は民法を基準に行いますが、対等な立場であれば民法で成り立ちます。しかし、企業と消費者では持っている情報量に大きな差があり、民法を基準に契約すると圧倒的に消費者が不利です。その場合に、消費者を守るための法律が「消費者契約法」です。

消費者に不利な条件のまま無理矢理契約をさせられた場合、契約を取り消すなどして消費者を保護します。消費者向けにサービスを行っている企業の法務担当者の場合は、消費者契約法を頭に入れておく必要があります。

特定商取引法

訪問販売・通信販売において、詐欺被害の被害に合わないために消費者を守る法律を「特定商取引法」といいます。クーリングオフ制度も「特定商取引法」の制度の一つです。たとえば、エステティックサロンで「入会するまで帰れない」などの強い勧誘があり、無理矢理契約をさせられた場合に契約解除をして消費者を守ります。

このような事例を自社が行なっていないか、また行わないよう指導するのが企業法務の仕事です。契約書への記載内容に関する規制もあるため、取引の際に契約書を用いる企業は確認する必要があります。

独占禁止法

独占禁止法は、企業が市場において公正な競争を阻害する行為を防止するために制定されている法律です。

私的独占やカルテル、入札談合などが発生すると、競争が制限され消費者や市場全体に不利益を与えるおそれがあるでしょう。企業法務担当者は、取引の過程で優越的な地位の濫用や不当な拘束条件が発生していないかを常に確認し、違反を未然に防ぐよう意識しなければなりません。

独占禁止法の遵守は、企業にとって重大なリスク管理の一環であり、法務部門が中心となって社内への啓発や管理体制の整備を進める必要があります。

個人情報保護法

個人情報保護法は、企業が事業活動の中で取得する個人情報を適切に取り扱うための基準を定めた法律です。個人情報が流出したり、無断で利用されたりすると、企業の信頼が著しく損なわれる危険があります。

企業法務担当者には、個人情報の収集時に利用目的を明示し、管理体制や安全対策を講じることで、法律に沿った運用を実現することが求められます。社内の教育や規程整備を通じて、従業員一人ひとりが個人情報の重要性を理解し行動できる環境を整えることが、法務部門の重要な役割です。

倒産法

倒産法とは、企業が債務超過や資金難に直面した際に、法的に適正な手続きを経て清算や再建を図るために定められた法律を指します。経営が困難な状況に陥った場合、適切な手続きを選択することで、債権者や利害関係者の権利を保護しながら企業の再生や整理を進めることが可能になります。

企業法務担当者は、破産法・民事再生法・会社更生法の制度内容を理解し、経営陣に適切な提案や支援ができるよう備えることが重要です。事業継続が困難となった場合でも法に基づき冷静に対応することで、企業価値の維持や関係者の被害軽減につなげられるでしょう。

【企業法務向け】法律の知識を身につける方法

企業法務担当者には、日々の業務の中で最新の法律知識を習得し続ける姿勢が求められます。法改正や社会の変化に適切に対応するためにも、継続的な学習を計画的に進めることが重要です。ここでは、法律知識を効率的に習得するための代表的な方法を紹介します。

書籍や専門誌で基礎を固める

法律の基本を体系的に理解するためには、書籍や専門誌を活用する方法が適しています。企業法務に関連する重要な法律や最新の判例解説がまとめられた書籍は、業務の土台となる知識の習得に役立ちます。

定期購読できる専門誌を取り入れることで、日常的に情報をアップデートする習慣も身につけやすいでしょう。

セミナーを受講して最新情報を学ぶ

法改正や特定のテーマに関する知識を短期間で習得したい場合は、各種セミナーへの参加が有効です。専門家による実務的な視点での講義は、実際の業務に直結する知見が多く得られます。

特に最新の法改正や実務のトレンドについては、書籍よりも早く学べる場合があるため、積極的に活用しましょう。

実務を通じて経験を積み重ねる

実務の中で法律知識を応用することで、座学だけでは得られない実践的なスキルが身につきます。上司や先輩の指導を受けながら契約書の作成や審査、トラブル対応を経験することで、自信と応用力を高められるでしょう。

経験の積み重ねで知識が定着し、判断力も養われていきます。

オンラインメディアやSNSで動向を把握する

法律や業界の動向を素早く把握したいときは、オンラインメディアやSNSが有効です。特に企業法務の専門家や弁護士が発信する情報には、最新のトピックスや実務に役立つヒントが含まれています。

情報の正確性には注意が必要ですが、信頼できる発信元を選べば効率的な学習手段となります。

まとめ

企業法務が知っておくべき法律は幅広く、基礎から専門分野まで多岐にわたります。加えて、専門的な知識をわかりやすく伝える力や、経営判断を支えるための提案力も求められます。法律の知識やスキルは一朝一夕では身につきませんが、日々の業務や自己研鑽を怠らなければ着実に成長できるでしょう。

企業活動にはさまざまな法的リスクが伴うため、専門の法務人材や外部の専門家と連携しながら、法令遵守と企業価値の向上を両立する姿勢が大切です。今後の企業の発展と信頼維持のために、企業法務としての能力を強化し自社におけるリスク回避に努めましょう。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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