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株主総会招集通知の手続きを書き方や注意点と共に解説

株主総会招集通知の手続きを書き方や注意点と共に解説
この記事を読んでわかること
    • 株主総会招集通知の手続き方法
    • 通知内容の書き方
    • 手続きを進める上での注意点


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株主総会の招集には、株主総会招集を通知する手続きが必要です。株主総会招集通知には法律上の要件があり、これを遵守しない場合、総会の決議が取り消されるリスクがあります。この記事では、株主総会招集通知に関する手続きの進め方や、注意事項について解説します。

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【手続きを始める前に知っておきたい】株主総会とは

株主総会は、会社に関する意思決定を株主が行う、株式会社における最高意思決定機関です。具体的には、組織再編行為の承認や取締役等の選任・解任などの議案を検討・決議します。会社法により強力な権限が認められている会議であり、招集や成立するための条件など、多くの要素が法律によって定められています。

そのため、株主総会招集通知の手続きを始めるためには、株主総会の基本的な情報を把握しなければなりません。ここでは、手続きを始める前に知っておきたい、株主総会の基本的な情報について解説します。

株主総会の種類とは

株主総会は招集されるタイミングによって、2種類に分類できます。

定時株主総会

定時株主総会は、株式会社が1年に1回、事業年度の終了後に定期的に開催する株主総会です。取締役等の選任・解任や合併、会社分割、営業譲渡など、会社の事業報告や今後の方針についての審議・決議を行う場であり、会社法296条1項によって、開催が義務付けられています。

定時株主総会の開催時期に関して、特に詳細な日程が定められているわけではありません。ただし、会社法第124条1項により、会社が株主の権利を確定するために定める日付である「基準日」を設定している企業は、同2項により、基準日から3か月以内に株主総会を開催しなければなりません。

なお企業の多くは3月末を基準日に定めているため、6月に株主総会を開催しています。

臨時株主総会

臨時株主総会は、会社にとって緊急性のある重要な議題を決定するために、必要に応じて開催される株主総会です。通常の定時株主総会とは違い、特定の議題について審議・決議するために招集されます。

臨時株主総会においても、招集通知が必要なため、臨時株主総会の日程が決まり次第、すぐに手続きする必要があります。

株主総会には株主総会招集通知の手続きが必要

株主総会招集通知は、株主総会を開催する際に株主に対して会議の開催を正式に通知する文書で、株主総会が開かれる2週間前までに通知することが定められています(会社法299条1項)。さらに、会社法では招集通知に記載すべき事項(日時、場所、目的など)も定められています(会社法299条4項)。

株主総会招集通知手続きの進め方とは

ここでは、株主総会招集通知の手続きの進め方について解説します。株式会社の経営体制によって手続き方法が異なるので、必ず自社の経営体制を確認してから、手続きを進めてください。

通知する対象を決める

対象者は、会社法299条1項により株主であることが定められています。ただし、株主総会の議決権を持っていない株主は、会社法298条2項により対象者として外されます。

通知する時期を決める

発送する時期は、会社法299条1項によって経営体制により以下のように定められています。

公開会社(株式の譲渡制限を設けていない株式会社)

  • 書面投票・電子投票を実施しない:株主総会の2週間前
  • 書面投票・電子投票を実施する:株主総会の2週間前

非公開会社(取締役会を設置している会社)

  • 書面投票・電子投票を実施しない:株主総会の1週間前
  • 書面投票・電子投票を実施する:株主総会の2週間前

非取締役会設置会社(非公開会社かつ取締役会を設置していない会社)

  • 書面投票・電子投票を実施しない:株主総会の1週間前かつ定款で短縮可
  • 書面投票・電子投票を実施する:株主総会の2週間前

通知の発送日が株主総会開催日の2週間以上前であれば、どの条件においても問題ありません。定時株主総会など、おおよその開催日が予想できる場合は、開催日から逆算して、発送日のデッドラインを定めておくことをおすすめします。

通知方法を決める

通知する方法は以下の3種類が認められています。

書面

会社法299条2項1号により、書面投票・電子投票の実施を認める企業、および同2号により取締役会を設置している企業は、株主総会招集を書面で通知しなければなりません。株主総会関連書類をWeb等で共有できる電子提供制度を使用せず、株主総会資料を書面で発送する場合は、書面の印刷や郵送のコストが大きくなる傾向があります。

電磁的方法

取締役会を設置していない会社の場合、電子メールによる通知やホームページに招集通知を掲載するなど、電磁的方法による通知が可能です。なお、取締役会を設置している会社においても、株主の承諾があれば、電磁的方法による通知が可能です。電磁的方法による通知を実施する場合は、書面による通知と同等の内容を記載する必要があります。

その他通知方法

取締役会を設置していない会社の場合、口頭や電話による招集が認められています(会社法299条2項反対解釈)。

記載内容を決める

会社法299条4項により、株主総会招集通知には株主総会を招集するために定めなければならない、以下の決定事項を明記する必要があります。

  • 株主総会の日時及び場所
  • 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
  • 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  • 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  • 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

株主総会を開催するために決定が必要な項目は、会社法298条1項によって定められているため、事前に定められた事項を確認してから文章を作成する必要があります。

 添付書類を準備する

株主総会を欠席する株主に対して電磁的方法での投票を認める場合には、株主総会参考書類を添付しなければなりません。株主総会参考書類は、株主が適切に議決権を行使できるようにサポートする、補足資料のことを指し、議案の詳細な説明や会社の状況を記述している場合が多いです。

なお、欠席する株主に対して書面での投票を認める場合には、株主総会参考書類に加え、議決権行使書面を交付する必要があります。

通知を開始する

株主総会の議決権を有する株主に対して、必要書類等の準備が整い次第、招集通知を発送します。通知する際には、誰に通知書を送ったか記録を付けておくと、ミスやトラブルの防止策として役立ちます。

株主総会招集通知手続きを省略できる場合も

株主総会を開催する上で、原則的に株主総会招集通知の手続きは必要不可欠です。しかし、以下の項目に当てはまる場合は、株主総会招集通知手続きの省略が可能です。

株主全員の同意による招集手続きの省略

会社法300条により、株主全員の同意がある場合は、株主総会招集通知手続きの省略が認められています。ただし、株主総会に出られない株主に対して書面投票や電子投票を実施する場合は、招集通知手続きの省略は認められません。

全員出席総会

全員出席の場合、事前に招集手続きの手順を踏んでいなくても総会が適法に成立します。

株主総会招集通知の書き方を解説

ここでは、株主総会招集通知の具体的な書き方の例を、5つに分けて解説します。

1. 冒頭部分

冒頭部分には、最上段に通知を開始した年月日を記載します。続いて「株主各位」と宛先を明確に記載し、会社の住所・会社名・代表者名を記載します。

さらに続いて文書のタイトルを記載します。タイトルは「定時株主総会招集ご通知」など、株主総会の種類に準じた内容に調整する必要があります。

2. 文書本文

株主総会招集通知は公的な書類のため、一般的なビジネスマナーに則った定型文を使用して、株主総会が開催することを記載します。

具体例は以下のとおりです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 さて、下記のとおり当会社の定時株主総会を開催いたしますので、万障お繰り合わせの上ご出席賜りたくご案内申し上げます。

敬具

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3. 開催日時・場所

通知本文の次は、株主総会の開催日時と場所を記載します。会社法299条1項により、株主総会招集通知を書くうえで必須条件になっているので、忘れずに記載することが大切です。

4. 議題・議案

株主総会で報告される事項や議案について記載します。開催日時・場所と同様、会社法299条4項により、株主総会招集通知を書くうえで必須条件になっているので、忘れずに記載することが大切です。

5. その他

株主総会に参加できない株主に対して、書面投票や電子投票を認める場合、その旨を記載します。また、株主総会の開催場所が、過去に開催したいずれの場所とも大きく離れている場合は、その場所に決定した経緯を記載する必要があります。

株主総会招集通知の手続きを進める上での注意点

ここでは、株主総会招集通知の手続きを進める上での注意点を2つ解説します。

手続きに不備がある場合、決議の取り消しが請求される可能性がある

会社法831条1項により、株主は株主総会招集通知の手続きが適法に実施されていなかった場合は、株主総会の決議の取り消しを請求できます。また、決議内容によっては、株主から決議取り消しの訴えがなくても、決議を無かったこととみなされる処置がとられる恐れがあります。

株主総会招集通知を口頭で済ますリスク

株主総会招集通知を口頭で済ますと、通知した証拠が残りにくいため、株主に株主総会の決議の取り消しを請求されるリスクが高まります。不要なリスクを発生させないためにも、口頭での通知が可能であっても、書類や電子メールなどで記録が残るように通知することをおすすめします。

【まとめ】株主総会招集通知の手続きは法律によって内容が定められている

この記事では、株主総会招集通知に関する手続きの進め方や、注意事項について解説しました。

株主総会を合法的に開催するには、株主総会招集通知の手続きを必ず適切な方法で進める必要があります。もし、株主総会招集通知の手続きに不安を感じている方がいましたら、法律事務所など外部の専門家に相談してみることをおすすめします。

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NobishiroHômu編集部
執筆

NobishiroHômu編集部

 

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