Nobishiro LegalOn Cloud

タイムスタンプとは?電子帳簿保存法・契約における仕組みと役割を完全解説

タイムスタンプとは?電子帳簿保存法・契約における仕組みと役割を完全解説
この記事を読んでわかること
    • タイムスタンプとは何か
    • タイムスタンプの法的役割
    • タイムスタンプの利用方法

「【文書別】脱ハンコ・ハンコレスを実現する方法」

無料でダウンロードする

タイムスタンプは、電子契約や電子帳簿保存法において重要な役割を果たす仕組みです。
電子契約では、
契約書が作成・締結された日時を証明し、改ざん防止の信頼性を高めます。

一方、電子帳簿保存法では、請求書や領収書など国税関係書類の電子保存に必要不可欠な要素として、データの信頼性を担保します。
タイムスタンプの活用により、書類の信頼性向上や業務効率化が可能になる一方で、導入には仕組みや適用方法の理解が欠かせません。

本記事では、タイムスタンプの基本や電子契約との関係などを詳しく解説します。


LegalOn Cloudが電子契約「サイン」をリリース

LegalOn Cloudでは、電子契約の提供開始を記念し、「LegalOn Cloud」および「サイン(電子契約)」を新規にご契約いただくと、「サイン」の月額料金が6ヶ月分無料となるキャンペーンを実施いたします。これまで電子契約を利用いただいたことがない方も電子契約をお試しいただけるチャンスです。ぜひチェックしてください。

<関連記事> AI法務プラットフォームがいま、電子契約に手を広げる理由

タイムスタンプとは?

タイムスタンプとは電子文書が特定の日時に存在したことを証明し、その後に改ざんされていないことを保証する技術です。主な役割は以下の2つです。

  • 存在証明:電子文書がある特定の時点で確かに存在したことを証明します。
  • 非改ざん証明:その時点以降、電子文書が改ざんされていないことを証明します。

参照:総務省 - タイムスタンプ技術総務省 - 電子データの長期保存におけるタイムスタンプの必要性総務省 - タイムビジネスに係る指針

電子文書における存在証明と非改ざん証明

存在証明と非改ざん証明は、電子文書の信頼性を確保する上で重要です。

  • 存在証明:特定の日時に電子文書が存在したことを第三者機関が証明することで、文書の作成時期に関する争いを防ぎます。
  • 非改ざん証明:タイムスタンプ付与後に文書が変更されていないことを保証し、文書の完全性を維持します。

タイムスタンプの技術的な仕組み

タイムスタンプの発行プロセスは以下の通りです。

  1. 電子文書の作成時、時刻認証局(TSA)に「ハッシュ値」を送り、タイムスタンプを要求する。
  2. 時刻認証局は、「ハッシュ値」に時刻情報を加え、タイムスタンプを発行する。
  3. 電子文書を検証する際は、「ハッシュ値」を再計算し、タイムスタンプに付与されたハッシュ値と一致するかどうかを照合する。

ハッシュ値と時刻認証局の役割

ハッシュ値は、電子ファイルから得られる固有の文字列で、文書の内容が1文字でも変更されると異なる値になります。

時刻認証局(TSA)は、一般社団法人日本データ通信協会によって認定された第三者機関です。TSAは信頼できる時刻源を用いてタイムスタンプを発行し、その正確性と信頼性を保証します。

タイムスタンプ技術により、「いつ」「何を」作成したかを証明でき、電子署名と組み合わせることで「誰が」「いつ」「何を」作成したかを証明することができます。

これにより、電子文書の原本性が高められ、ビジネスにおける重要文書の管理や法的証拠の確保などに活用されています。

電子契約におけるタイムスタンプの重要性

電子署名との違いと相互補完性

上記で説明したように、電子署名とタイムスタンプは以下のように異なる役割を果たし、相互に補完し合います。

  • タイムスタンプ:「いつ」「何を」を証明(文書の存在時刻と文書の完全性)
  • 電子署名:「誰が」「何を」を証明(署名者の本人性と文書の完全性)

両者を併用することで、「誰が」「いつ」「何を」という電子契約に必要な3要素を全て証明できます。

長期保存における役割

タイムスタンプは電子文書の長期保存において重要な役割を果たします。

・長期署名:長期の保存が必要な場合、有効期限前に新しい暗号技術を用いた長期署名を追加することで、さらに保存期間を延長できます。

タイムスタンプに関する法的側面

タイムスタンプは以下の法律でその役割が規定されています。

e-文書法

e-文書法(電子文書法)では、電子書類の保存ルールについて、「見読性」「完全性」「気密性」「検索性」が必要です。このうち、タイムスタンプは「その時期に存在していたこと」「改ざんされていないこと」を証明することができます。

電子帳簿保存法

書類が改ざんされていないことを証明するため、帳簿書類をスキャンした電子データにタイムスタンプを付与することで信頼性を高めることができます。

2022年の法改正により、タイムスタンプ付与のタイミングが緩和され、最長約2か月と概ね7営業日以内に付与することとされました。

電子署名法

電子署名法は、電子署名の法的有効性を規定していますが、タイムスタンプそのものについては直接言及していません。しかし、タイムスタンプは電子署名と組み合わせて使用されることが多く、いつ・誰が・何に署名したのかを証明することができます。

文書の完全性と存在時刻の証明に貢献します。

<関連記事>電子サインとは?電子署名との違いや利用シーン・使い方を解説

以上のように、タイムスタンプは電子契約の信頼性確保、長期保存、法的要件への対応において重要な役割を果たしています。電子署名と組み合わせることで、より強固な電子契約の基盤を構築することができます。

<関連記事>電子契約とは?導入するメリットや注意点、関係する法律を詳しく解説

タイムスタンプの導入方法

電子ファイルにタイムスタンプを付与する主な方法には以下の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 時刻認証業務事業者に依頼する
  • 電子契約システムを利用する

時刻認証業務事業者に依頼する

一つ目は「時刻認証業務事業者」(TSA)に依頼してタイムスタンプを付与してもらう方法です。

時刻認証業務事業者とは、認定タイムスタンプを付与できる業者のことで、「時刻認証局」とも呼ばれます。時刻認証業務事業者は「一般社団法人日本データ通信協会」の承認を経て登録されます。2024年4月時点で登録されている時刻認証業務事業者は以下の4社です。

  • セイコーソリューションズ株式会社
  • 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
  • アマノ株式会社
  • GMOグローバルサイン株式会社

参照:認定事業者一覧 | 認定事業者 | タイムビジネス認定センター

時刻認証業務認定事業者によるタイムスタンプを利用するには、各社が提供する専用のサービスを利用します。導入の初期費用やランニングコストがかかる場合があります。

ランニングコストの計算方法には、タイムスタンプを付与するたびに費用がかかる「従量制」や、毎月一定の費用がかかる「定額制」などがあります。

電子契約システムを利用する

2つ目は、タイムスタンプ機能のある「電子契約システム」を使う方法です。

電子契約システムとは、電子契約書の締結をインターネット経由で行えるシステムのことです。電子契約システムの中には、タイムスタンプや電子署名を付与する機能があるものがあります。

前述の時刻認証業務認定事業者ではない企業が提供する電子契約システムでも、タイムスタンプ自体は時刻認証業務認定事業者による「認定タイムスタンプ」を利用できるのが一般的です。

ただし電子契約システムの仕様はシステムごとに異なります。

そこで電子契約システムを選ぶ際には、認定タイムスタンプが利用できるかチェックすることが重要です。電子契約システムについて詳しくは下記ページをご参照ください。

<関連記事>電子契約のやり方を解説!電子契約システム導入から契約締結までの流れを解説

タイムスタンプの活用事例

タイムスタンプは、電子契約書の保存のほかにも用途があります。いくつか例を紹介します。

電子帳簿保存法における真実性確保

電子帳簿保存法に基づき、電子帳簿や電子取引データにタイムスタンプを付与することで、以下を実現します:

  • 編集・改ざんの事実確認
  • スキャナ保存の「入力日」の証明
  • 電子取引の取引情報の「授受日」の証明

電子帳簿保存法改正 徹底解説ハンドブック

電子書面への適用

電子書面にタイムスタンプを付与することで、書面作成の日時を明確にできます。これにより、知的財産の分野で「権利の所在」を確認する際に重要な役割を果たします。

知的財産権の保護

タイムスタンプは知的財産権の保護にも活用されています。書面などにタイムスタンプを付与することで、以下のような活用方法があります。

  • 発明や創作物の存在証明:特定の日時にアイデアや設計図が存在したことを証明できます。特許取得や著作権登録において、タイムスタンプを付与することで、後に権利を主張する際に有利な証拠となる可能性があります。
  • 先使用権の確保:特許出願前に自社で開発・使用していたことを証明する際に有用です。特許権の侵害を主張された場合、タイムスタンプによって取得した証拠を用いることで、自社においてもその発明を使用していたことを証明し、先使用権を主張できる場合があります。
    参照:特許庁「
    先使用権制度について
  • 著作権の保護:著作物においても、文章や写真をデータ化してデジタルスタンプを付与することで、コンテンツの作成時期を証明し、著作権侵害の主張に対する防御にも使用できるとされています。タイムスタンプを付与することで、少なくともその日時においてコンテンツがあったことを主張することができます。

電子契約とタイムスタンプにまつわる注意点

電子契約とタイムスタンプの利用に関しては電子帳簿保存法や、証拠の確実な保全などの観点から注意点があります。改めて、主な3つの注意点を紹介します。

保管方法の要件も満たす必要がある

電子帳簿保存方法では、電子契約書の作成時の要件だけでなく「保管方法」の要件もあることに注意しましょう。

電子帳簿保存法では「真実性」「見読性」「検索性」の要件があります。

真実性の確保については、訂正削除できないシステムの利用または事務処理規程が社内にあることが必要です。規定の内容は、電子データのファイルの編集・修正・削除など、保存時からの改ざん禁止を明示すること、チェックできることを盛り込みます。

「見読性」「検索性」については、表示方法や保管方法によって要件を満たす必要があります。

「見読性」については、保存した電子書類の内容が、ディスプレイやプリンターで見える状態におくことが必要です。「検索性」については、主要な項目を範囲指定および組み合わせで検索可能な状態にすることが求められます。エクセルの管理台帳を作成する方法や、電子文書を管理できるクラウドシステムを導入する方法があります。
検索性を確保して電子契約書を保存する方法について詳しくは、以下の資料をご参照ください。
契約書管理担当者のための契約書管理の手引き

原本を破棄できるとは限らない

PDF化した契約書にタイムスタンプを付与しても、紙の原本を破棄できるとは限りません。電子契約はすべての契約には対応しておらず、書面での契約を法的に義務付けているものもあるのが現状です。書面での契約が義務付けられている契約には、以下のようなものがあります。

  • 定期借地・定期建物賃貸借契約(借地借家法第22条、第38条第1項)
  • 宅地建物売買等媒介契約(宅地建物取引業法第34条第21項)
  • 不動産売買における重要事項説明書(宅地建物取引業法第35条)
  • 投資信託契約の約款(投資信託及び投資法人に関する法律第5条)
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面(特定商取引法第4条)

また、破棄できる場合でも、すぐに破棄しないようにして、取引の証拠を確保することが賢明です。スキャン方法に不備があった場合などに備えて、一定期間は保存しておいた方がよいでしょう。

契約書のPDF化について詳しくは下記ページでも解説しています。

<関連記事>契約書をPDFスキャンして保存する方法とは?スキャナ保存の要件を解説

LegalOn Cloudが電子契約「サイン」をリリース

LegalOn Cloudでは、電子契約の提供開始を記念し、「LegalOn Cloud」および「サイン(電子契約)」を新規にご契約いただくと、「サイン」の月額料金が6ヶ月分無料となるキャンペーンを実施いたします。これまで電子契約を利用いただいたことがない方も電子契約をお試しいただけるチャンスです。ぜひチェックしてください。

<関連記事> AI法務プラットフォームがいま、電子契約に手を広げる理由

NobishiroHômu編集部

この記事を書いた人

NobishiroHômu編集部

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの、「NobishiroHômu-法務の可能性を広げるメディア-」を編集しています。

AI契約書レビューや契約書管理など
様々なサービスを選択してご利用できるハイスペック製品

製品についてはこちら