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ブリッジローンとは?概要やメリット・デメリット、活用するポイントを解説

ブリッジローンとは?概要やメリット・デメリット、活用するポイントを解説

スタートアップの「資金調達」がよくわかるガイドブック~基礎から実践まで~

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企業の経営には多額の資金とその調達が必要です。

資金調達の手段は、投資家からの投資や金融機関からの融資など、さまざまな方法があります。しかし、それらはいつでも自由に用意できるわけではなく、急に資金が必要になった場合に対応できません。

そんな緊急時の資金調達方法として、ブリッジローンがあります。

「ブリッジローンとは、どんなローン?」

「ブリッジローンを使ってどんなメリットがある?」

こういった疑問をお持ちの経営者の方のために、本記事ではブリッジローンの概要や利用の流れ、メリット・デメリット、活用方法、活用のポイントを解説していきます。

ブリッジローンとは

ブリッジローンとは、個人や企業が一時的な資金を確保する際に用いられる短期融資型のローンです。個人や経営者が本格的な融資を受けるまでの審査の間、必要な資金を補うために用いられます。融資までの橋渡しとなることから「橋=ブリッジ」と用いられている他、「つなぎ融資」とも呼ばれています。

金利や手数料が通常のローンよりも高い代わりに、保証人を必要とせず短期間に融資が受けられるのが特徴です。

ブリッジローンを利用する場面

個人では住宅ローンを組む場合、企業では急な事業資金不足の解消に用いる場合などに利用されます。また、企業のM&A(合併・買収)の際に、買収に必要な多額の現金を確保する手段として用いる場合もあります。

ブリッジローン利用の流れ

ブリッジローンについて、概要だけでは利用のイメージが湧きづらい場合があります。通常の融資との違いが、主に融資までのスピードや金利に限られるためです。

そこで企業がブリッジローンを利用する2つの具体例を用いて、それぞれの流れを解説していきます。

不動産物件を購入する場合

企業の持ち物として、良い物件が見つかったとします。しかし良い物件ほど、すぐに買い手がついてしまうため、ゆっくり銀行の融資を待つ余裕はありません。そこでブリッジローンを利用します。利用の流れは以下のとおりです。

  1. 銀行から融資を受けるために審査を受ける
  2. ブリッジローンで物件を購入する資金を調達する
  3. 物件を購入する
  4. 銀行の審査が通ったら融資を受け、ブリッジローンを返済する

M&Aで他企業を買収する場合

M&Aによって他企業を買収する場合、多額の資金が必要です。あらかじめ用意して買収に臨むのが普通ですが、対象企業の現預金や株価が想定を上回り、資金が不足する場合もあります。そこでブリッジローンを活用して、不足分を補います。利用する流れは以下のとおりです。

  1. ブリッジローンで不足している資金を調達する
  2. 対象企業の買収を行う
  3. 買収した企業の現預金や新株の発行で、ブリッジローンを返済する

後述する「ブリッジローンの活用方法」と合わせて、自社に必要になるパターンを想定してみましょう。

ブリッジローンのメリット

ブリッジローンは企業の有用な資金調達手段の1つです。通常の融資を受ける場合と異なるメリットがあり、スタートアップ企業から大企業までそれぞれの使い方ができます。ブリッジローンならではのメリットとして挙げられるのが、以下の3つです。

短期間で資金調達ができる

ブリッジローンを利用する目的でもあり、最大のメリットともいえるのが短期間で資金調達ができる点です。

一般的な金融機関からの融資には、必ず審査と手続きに一定の時間を要します。実際に資金を受け取るまでに時間がかかるため、急いで資金を用意したくても難しい場合がほとんどです。資金が用意できないことで、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。

ブリッジローンは審査に要する時間が短く、すぐに必要な資金を用意できるため、急いで資金調達したい状況の時に最適です。

保証人が不要な場合もある

ブリッジローンは保証人が不要な場合がある点もメリットです。

ほとんどの融資では保証人・連帯保証人が必要で、その選定や審査に時間がかかることがあります。

しかしブリッジローンは、本来の資金が調達できるまでの橋渡しであるため、保証人を付けないことが多くあります。準備や審査の時間を短縮したい企業側にとっては、非常に助かる条件です。

企業の資産や事業を担保にしなくてよい

ブリッジローンはその名の通り、本来の資金を確保するまでの橋渡しとしての役割です。本来の資金が確保できれば、そこから返済をする仕組みのため、担保が必要ありません。企業が持つ資産や事業を担保しないことで、事業展開や経営権には影響を出さずに資金調達できます。

ブリッジローンのデメリット

ブリッジローンは企業にとってメリットの多い資金繰りの手段ですが、デメリットも存在します。特に他の融資には見られないデメリットもあるので、利用する際は念頭に置いておきましょう。主なデメリットは以下の3つです。

金利と手数料が高い

ブリッジローンは他の融資と違い、迅速に融資を受けられますが、その分金利や手数料が高く設定されています。これは融資する側が短期間の貸付に対して、十分な利益を得る必要があるためです。

比較の対象として、住宅ローンの平均金利を見てみましょう。

  • 変動金利型住宅ローンの平均金利:約0.518%
  • 固定金利期間(10年)選択型住宅ローンの平均金利:約0.762%
  • 全期間固定金利型(35年)住宅ローンの平均金利:約1.368%

※いずれも2021年2月時点、最優遇金利が適用された場合

これに対してブリッジローンの金利は2〜4%に設定されており、明らかに高い金利となっていることがわかります。

事務手数料が追加でかかる場合もあり、トータルしてどの程度の金利年率となるのか事前に確認が必要です。

参考:三菱UFJ銀行ホームページ「住宅ローンを徹底比較!知っておきたい金利の相場と利息の計算方法

融資期間が短く一括返済が必要

ブリッジローンは本来の融資が受けられるまでの「つなぎ」が目的です。そのため、融資の期間は3ヶ月程度の短期間に設定されています。期間を満了すれば返済の必要があり、それまでに「融資額+金利」の金額を用意しなくてはなりません。

また返済は一括で行う必要がある点にも注意が必要です。予定通り返済できれば問題ありませんが、予期せぬ事態で資金を用意できなければ、遅延損害金が発生してしまいます。

投資家からの評価が下がる可能性がある

ブリッジローン自体は企業でも個人でも、一般的に使われる資金調達手段です。しかしスタートアップ企業が利用する場合に限って、投資家からの評価が下がってしまう可能性があります。

ここまで例に示してきた活用法では、ブリッジローンによる資金を後から回収する手段が確立されていました。審査段階だった本来の融資や、買収企業の新株式がこれに当たります。

スタートアップ企業では、しばしば目先のプロジェクトの資金にブリッジローンが使われます。しかしそのプロジェクトで利益が回収できなければ、返済ができないリスクが高いのが実状です。また、資金調達や売上確定の前に資金が尽きるのを防ぐ目的もあり、比較的後ろ向きなローンとなりがちです。

こういった理由から、ブリッジローンを行っているスタートアップ企業は「経営状態が芳しくない」と投資家に判断される場合があります。出資を渋る原因になれば、資金調達の幅を狭めることにもなりかねないため、注意しなくてはなりません。

ブリッジローンの活用方法

ブリッジローンを活用する場面として、適している3つの例を紹介します。この他にも事業の内容や企業の性質次第で、うまく活用できる場面は存在しますが一例として参考にしてみてください。

M&Aを進める資金にする

「ブリッジローン利用の流れ」でも解説した通り、M&Aで利用する例です。買収対象の企業に合わせて用意した資金が足りない場合に、ブリッジローンを利用します。

またこの資金は買収費用だけでなく、M&Aを行うにあたってかかる諸費用に充当することもできます。返済は買収した企業の預現金や新株式で行えるため、返済の根拠も明確です。

設備投資に使う

成長中の企業では、設備投資に多くの費用がかかります。通常であれば金融機関の融資を受けますが、急な注文の増加などがあった場合は対応できません。

そこでブリッジローンを利用し、設備を新設します。

その後は生産能力が向上することに加え、短期的に見れば急増した注文から得られる利益もあるため、返済額の調達が見込めます。設備を導入している間に本来の融資を受ければ、「つなぎ」として使うことも可能です。

ソフトウェア開発の資金にする

ITベンダーなどがソフトウェア開発でブリッジローンを利用する場合があります。これはソフトウェアの売上発生が販売後となるためです。

開発やテストを行っている段階では収益獲得は不確実ながら、コストが発生しています。バグや手戻りの発生で想定以上の工数になれば、人件費や開発期間は増えてしまうでしょう。

こういった状況に対処するため、短期的なコストをカバーする目的で、しばしばブリッジローンが利用されます。

ブリッジローンを活用するポイント

ブリッジローンは有用な資金調達手段ですが、一時的なもので利用には十分な注意が必要です。以下に示す4つのポイントを押さえて、効果的に利用しましょう。

利用目的と返済根拠を明確にする

ブリッジローンを利用するには、明確に説明できる利用目的や返済根拠が必要です。

本来の融資を受けられる見通しや、将来的な利益の確保が見込めていれば問題ありません。しかし、それらを明確に示せない場合、ブリッジローンを利用できない可能性があります。

そもそもブリッジローンを借りなくてはならないのか、という点を含めて利用目的と返済根拠について考えておきましょう。

返済できなかった場合のリスクを理解する

ブリッジローンは短期的に多額の資金が調達できる点が大きなメリットです。しかしその分、返済が滞った場合は多額の遅延損害金が発生します。また金利も高く、返済が遅れた分だけ返済額が膨らんでいきます。

返済が確実と言えない場合に、これらの高リスクを負うことができるのか、慎重に判断しましょう。

専門家のアドバイスを受ける

ブリッジローンは融資元によっても違いがあり、自社だけで調べようとするのは難しい部分があります。そのため専門家からアドバイスを受けつつ、自社に適した方法を選択するのがおすすめです。

特にスタートアップ企業などの場合、第三者に新株を引き受けてもらう形で増資をおこなう「第三者割当増資」といった手段もあります。

どの資金調達手段が自社に適しているか、専門家に相談してみましょう。

他の融資方法も検討する

ブリッジローンの他に、以下のような融資制度が存在します。

  • 日本政策金融公庫の融資制度
  • 金融機関の企業向けローンやビジネスローン
  • 所有不動産がある場合の不動産担保ローン

これらの融資では、ブリッジローンに比べて低金利で返済期間の長い融資を受けることができます。

自社の現状や、資金が必要となっている理由に合わせて、融資方法も比較検討が必要です。

ブリッジローンについて解説しました

ブリッジローンは、短期的に多額の資金が必要な企業にとって有用な資金調達手段です。メリット・デメリットを正確に理解して、返済の目途を立てて利用できれば事業拡大のチャンスに繋がります。

この記事ではブリッジローンの概要や利用の流れ、メリット・デメリット、活用方法、活用するポイントについて解説してきました。ビジネスチャンスを逃さないための資金調達手段として、覚えておきましょう。

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Startup JAM編集部
執筆

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