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人事評価の項目設計|効果的な人事評価にするための4要素や項目サンプル・テンプレートも紹介

人事評価の項目設計|効果的な人事評価にするための4要素や項目サンプル・テンプレートも紹介

スタートアップのための戦略的なバックオフィス体制構築とは

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果的な人事評価制度を設計する際には、現場の職種や役職に合う適切な項目を盛り込むことが大切です。またビジネス環境が複雑化するいまの時代は、成果だけでなくゴールにたどり着くまでの過程や目標達成度などにも目を向ける仕組み作りが必要でしょう。

今回は、人事評価や一般的な評価で使われる4つの評価項目を確認したうえで、項目設計のポイントやサンプル収集できる厚生労働省の職業能力評価基準を紹介します。

人事評価の項目を考えるなかで効果的な方法を模索している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

目次

人事評価とは

人事評価とは企業が従業員の能力や業績を評価し、その内容をもとに職位や給与などを決めるために実施する仕組みの総称です。以下の3つは、一般的な人事評価(制度)のなかで連動し合う重要な要素です。

各特徴を見ていきましょう。

  • 等級制度
  • 評価制度
  • 報酬制度

等級制度

等級制度とは、従業員を役割やランクで分けるための制度です。たとえば、部長・課長・係長などの序列をつけることで各従業員の役割が明確になり、より高い等級を目指しやすくなります。

また後述する評価や報酬制度と連携させることで、たとえば「3等級の課長でこれだけの成果を出したから、報酬は◯◯◯万円…」といった公平性の高い決定も実現しやすくなるでしょう。

評価制度

評価制度は企業が掲げる方針に対して、各従業員がどれだけの成果を出し貢献しているかを評価する制度です。たとえば「営業職が売上目標◯万円を達成したから、今期は高く評価される」のようなイメージになります。

評価の度合いは、各従業員の報酬や等級を大きく左右するものです。

報酬制度

報酬制度は先述の等級・評価にもとづき、各従業員の給与や賞与を決めるための制度です。等級と評価から見た適正な報酬が支払われることで、従業員のモチベーションの維持や向上が図られやすくなります。

人事評価の目的と必要性が高い3つの理由

人事評価制度は近年のビジネス環境に不可欠なものとされています。各理由と目的を詳しく見ていきましょう。

  • 社内人事や評価の公平性を高めるため
  • 従業員のモチベーション向上と成長を促すため
  • 企業風土や文化を醸成するため

社内人事や評価の公平性を高めるため

たとえば人事評価制度がないなかで上司が部下を評価する場合、「Aさんには期待している」や「Bさんは最近頑張っていそうな感じがする」などの主観が入りやすいでしょう。

こうしたなかで適切な項目・基準にもとづく人事評価の仕組みを構築すれば、以下のように客観性の高い内容から、従業員が納得できる人事評価が可能となります

  • Cさんは◯◯と◯◯の評価が高いから、次の等級を目指しても良いだろう。
  • Dさんは課長のなかでも特に◯◯の評価が高い。次は◯◯チームの担当にしても良いかもしれない。 など

従業員のモチベーション向上と成長を促すため

公平かつ納得できる評価は、上司と部下の信頼関係を構築するうえでも不可欠なものです。部下にとって納得感のある評価内容であれば、信頼する上司からの「次の等級を目指すために、◯◯を強化したほうが良いかもしれない。」といったフィードバックも受け入れやすくなるでしょう。

また適切な人事評価とコーチングやキャリア支援などを組み合わせることで、従業員のモチベーションを維持・向上させることも可能となります。

企業風土や文化を醸成するため

たとえば人事評価の内容と自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を連動させることで、同じ価値観やベクトルで動く組織を構築しやすくなります。さらに人事評価制度などの仕組みを通じて企業風土を醸成できれば、その風土や文化に合う人材の採用や育成もしやすくなるでしょう。

人事評価における4つの評価項目

人事評価の項目に、法律で定められた絶対的なルールはありません。ただ多くの企業では、公平性の高い人事評価を行う目的から以下の4項目をベースに独自のものを設計しています。

  • 業績項目(業績評価項目)
  • 成果項目(成果評価項目)
  • 能力項目(能力評価項目)
  • 情意項目(情意評価項目)

各従業員を多角的かつ公平に評価するうえでは、それぞれの評価項目と基準を考えていく必要があるでしょう。ここからは各評価項目の概要と一般的な評価で盛り込まれる項目例を紹介していきます。

業績項目(業績評価項目)の概要と項目例

業績項目とは、「経営利益にどれだけ貢献したか?」を数値であらわす評価項目です。

業績評価の項目例と設計ポイント

たとえば営業職や販売職などでは、上司と部下が評価面談で一緒に立てた目標「売上50万円アップ」に対する達成度を見ていくことが多いです。仮に実績が「売上45万円アップ」にとどまった場合、目標は未達成になってしまうでしょう。

未達成による従業員のモチベーション低下を防ぐためには、「先週の達成率は何%だったか?」や「毎日3件以上のテレアポを実施できたか?」などの過程を評価することが必要です。

また売上や販売件数などの目標達成をするうえでは、自分の抱えた課題を改善する姿勢や行動も求められます。この改善行動も評価するためには、以下2つの軸で業績評価の項目を考える必要があるでしょう。

  • 【目標達成度】目標をどのくらい達成できたか?
  • 【課題達成度】目標達成につながる課題の解決は、どのくらい達成できたか?

成果項目(成果評価項目)の概要と項目例

成果項目とは、先述の業績評価のように定量化はできないものの、業績をあげるために不可欠な役割・仕事の項目です。

成果項目(成果評価項目)の項目例と設計ポイント

項目としては以下のようなものが該当します。これらは定量化が難しいですし、売上や販売件数といった成果を直接的に生み出すことはあまりありません。しかし組織と個人の両方にとって、非常に大事な仕事になります。

  • 営業職の「顧客への企画提案」
  • 人事部門の「労務管理」「採用戦略の策定」
  • 商品開発職「現サービスの調査・分析」 など

成果項目の設計では、以下2つの視点を盛り込むのが理想です。

  1. 自社の成長に不可欠であるにも関わらず、なかなか手を付けられない課題
  2. 売上や業績アップに直結する仕事

たとえば「業務フローの改善」や「コスト削減」は、売上や業績に直結する仕事ではありません。特に忙しい時期は、こうした仕事を後回しにしがちです。しかし自社が中長期的に成長するうえでは、このように緊急性が低い仕事にも誰かが着手すべきでしょう。

上記の1と2の両方を盛り込むことで、短期と中長期という2つの視点から従業員を適正に評価しやすくなります。

能力項目(能力評価項目)の概要と項目例

能力項目は、成果や実績を残すために必要なスキル・知識・資格などを評価する項目です。

能力項目(能力評価項目)の項目例と設計ポイント

ここでいうスキルや能力は、業務実行に不可欠となる専門的なものに限りません。たとえば大半の仕事に関係する以下のような能力も評価対象になるでしょう。

  • ビジネスコミュニケーション力
  • スケジュール管理力
  • セルフリーダーシップ力
  • 人材育成力 など

上記のスキルは部長や課長などの上位等級では「持っていて当たり前」であることが多いです。

一方でいわゆる若手の場合、社内教育を受け経験を積むなかで少しずつスキルなどを身につけていきます。こうした特徴から、能力項目のボリュームは新人や若手のほうが大きくなりやすいです。

情意項目(情意評価項目)の概要と項目例

情意項目は、仕事に対する姿勢を評価するものです。会社が求める資質や人間力の評価を行うことが多いでしょう。

情意項目(情意評価項目)の項目例と設計ポイント

情意項目に並ぶことが多い内容には、以下のようなものがあります。

  • 【規律性】会社のルールを守る行動をとっているか
  • 【積極性】上司などの指示がなくても、自ら積極的かつ能動的に行動できているか
  • 【責任性】職務を全うしようと努める姿勢があるか
  • 【協調性】ほかのメンバーと力を合わせて協働・共創しているかどうか

経営理念につながる要素となるため、どの部門や職種でも配分点は同じにするのが理想です。

情意項目は、従業員本人が情意を行動に落とし込んだときに評価できます。たとえば積極性で高評価できるのは、本人が「新しい分野の仕事に自ら挑戦したとき」といったケースが該当するでしょう。

人事評価の項目設計における2つのステップ

人事評価の効果性を高めるためには、適切な流れで項目設計を行う必要があります。ここでは、適切な項目づくりにおける2つのステップを解説しましょう。

  1. 自社の経営理念や行動指針と連動させる
  2. 階級や職種などに応じた評価項目にする

1.自社の経営理念や行動指針と連動させる

人事評価制度は、従業員に自社が求める人材へと成長してもらうために構築するものです。自社が求める人材像をあらわすものとしてわかりやすいのは、企業が独自に設定する以下のような指針になります。

  • 経営理念、企業理念
  • 行動指針
  • MVVのバリュー

たとえば営業職や販売職の評価項目を決める場合、業績評価項目は「売上◯万円以上を達成する」や「新規のお客様を◯人獲得する」といった定量的なものになるはずです。

ただし注意点が一つあります。自社の理念や行動指針、価値観などを大切にする企業では、売上や数字などの定量目標を達成するための手段はなんでも良いわけではない点です。

たとえば、UNIQLOで知られるファーストリテイリングでは、以下のような行動規範を設定しています。

  • お客様のために、あらゆる活動を行います
  • 卓越性を追求し、最高水準を目指します
  • 多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
  • 何事もスピーディに実行します
  • 現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
  • 高い倫理観を持った地球市民として行動します

参考:FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)(株式会社ファーストリテイリング)

この理念を軸に営業活動や販売活動を行うのであれば、評価項目にも「お客様のための活動」「スピーディーな実行」「高い倫理観」などの要素を含める必要があるでしょう。

自社の経営理念や行動指針と人事評価を連動させることで、従業員は自社の価値観ややり方に即した行動となり、求められる成果を出しやすくなります。

2.階級や職種などに応じた評価項目にする

人事評価を受ける従業員に違和感や不公平感などを生じさせないためには、階級・部署・職種ごとに評価項目とウエイトを決める必要があります。ここでの基本的な考え方は以下の2つです。

  1. 階級や職種ごとに異なる項目を設定する
  2. 各項目のウエイトを変える

まず各階級・各職種・各部門では、重視すべき項目が大きく異なります。たとえば以下のようになるでしょう。

  • 営業職は「交渉力」、事務職は「作業の正確性」
  • 営業部門の管理職は「人間力とコンセプチュアルスキル」、営業部門の一般職は「商談スキルとプレゼンテーション力」など

たとえば営業職と事務職で考える場合、事務職には営業職ほどの交渉力は必要ありません。一方で事務職は、契約書や請求書などの発行や管理を限られた期間内で正しく行う必要があることから「作業の正確性」が特に重視されます。

こうした理由から、事務職の評価項目・基準では「作業の正確性」を2倍のウエイトにすることも一つの方法です。

また先述のコンセプチュアルスキルは、管理職の上位層や経営層に求められるものになります。仮に営業部門全体の評価項目・基準を作成する場合、コンセプチュアルスキルは役職者中心に記載される能力となるでしょう。

人事評価項目の設定では、各部門や働く人の役割を理解したうえで、現状に合う評価項目やウエイトを考えていく必要があります。

人事評価の項目作成における6つの成功ポイント

人事評価制度は、項目や基準をつくり導入さえすれば必ずうまくいくものではありません。人事評価を効果性の高いものにするためには、項目の作成・設計でもいくつかのポイントに注意をする必要があります。

評価制度の成功につながるポイントを詳しく解説しましょう。

  • 人事評価の目的を明確にする
  • 現場の管理職などを巻き込んで作成する
  • わかりやすい文言にする
  • 評価者・被評価者向けの研修を実施する
  • 経営理念や行動指針に触れる機会を増やす
  • 内容を定期的に見直す

人事評価の目的を明確にする

人事評価制度の形骸化を防ぐためには、最初に「自社にはなぜ人事評価が必要なのか?」という目的を明確にすることが大切です。人事評価における多くの目標は、以下の要素と関連するものが多いでしょう。

  • 会社の経営理念、中長期的な戦略
  • 現場が抱える課題
  • 人事部門が注視する課題

たとえば中長期的な経営戦略と連動させる場合、「VUCA時代の逆境を乗り越えるために、主体的でチャレンジングな組織・人材を育てたい」などの目的が考えられるかもしれません。また自社の課題が複数ある場合、経営陣との話し合いのなかで目的に優先順位をつけることも必要でしょう。

現場の管理職などを巻き込んで作成する

効果的な評価項目や基準を設計するうえでは、管理職の協力が欠かせません。人事評価制度の仕組みを考えるなかで現場の管理職を巻き込むと、以下のような効果が得られやすくなるでしょう。

  • 現場にとって納得感のある評価項目になる
  • 制度の運用時にも協力してもらいやすくなる
  • 設計作業をスピーディーに進められる

管理職の協力を仰ぐ場合、経営陣からメッセージを出してもらうことも大切です。人事評価制度の構築が「経営陣主導のプロジェクトであること」がわかれば、人事部門からの協力依頼なども出しやすくなるでしょう。

わかりやすい文言にする

評価者と被評価者の認識を合わせるためには、項目内容を新人や若手でも理解できる言葉で記載することが大切です。そうすることで、新人・若手などでも適切な自己評価を行いやすくなります。

また社内で経営理念やMVVなどの浸透が進み、従業員がその内容を理解・実践できている状態であれば、そこに出てくる言葉を活用するのも一つです。たとえば行動指針に「お客様の立場に立脚」や「個の尊重」などの文言があり従業員の理解が進んでいれば、以下のような評価項目にすることで簡潔な内容になるでしょう。

  • お客様の立場に立脚した提案を行う
  • 個の尊重を常に意識したコミュニケーションを図る など

人事評価の項目は、評価後のフィードバックや新たな目標設定でも使うものです。そのため被評価者である部下が、評価シートの内容を読んだり上司からのフィードバックを聞いたりするなかで、自分がすべきことを理解できるように設計する必要があるでしょう。

評価者・被評価者向けの研修を実施する

人事評価制度を設計したら、評価者である管理職と被評価者となる一般社員向けに、説明会を兼ねた研修を実施します。評価者研修の主な目的は、以下の2つです。

  • 新制度の目的や効果を理解してもらう
  • 公平で正しい人事評価スキルを身につける

一方で被評価者向けの研修では評価者と同じ新制度の理解とあわせて、適切な自己評価やフィードバックを目標設定につなげるスキルの習得などが中心になるでしょう。

人事評価制度を適切に運用するためには、評価者・被評価者の協力が欠かせません。これらの研修を通じて新制度導入による現場での効果・メリットを多く伝え、ポジティブなイメージから自分事にしてもらうことも大切になります。

経営理念や行動指針に触れる機会を増やす

新しい人事評価制度の導入で、人を育てる面での効果を高めるためには、人事評価と並行して自社の経営理念や行動指針を全従業員に浸透させる取り組みも必要です。具体的には、以下のような施策が有効でしょう。

  • 経営陣からメッセージを発信してもらう
  • 経営陣にも指針を守ってもらう
  • 理念や指針をカードや小冊子にして配布する
  • 朝礼や全社会議などで取り上げる
  • 新人教育で説明する など

経営理念や行動指針の浸透方法は、以下の記事でも解説しています。ぜひチェックしてください。

<関連記事>ミッションステートメントとは?企業と個人が作成すべき理由や浸透ポイントも解説

<関連記事>行動指針とは?ビジネスにおける重要性や作成・浸透のポイントを詳しく解説

内容を定期的に見直す 

人事評価制度の項目は企業のビジネス戦略や外的環境の変化によって変わるものです。また従業員にアンケートなどを行うと、評価項目のミスマッチや不公平感などの厳しい意見が出てくることもあるでしょう。

こうしたなかで自社の現場に合った人事評価制度にしていくためには、定期的な見直しが必要です。マネジメント品質を高めるフレームワーク(PDCA)を繰り返し回すことで、制度のブラッシュアップが進んでいくでしょう。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(測定・評価)
  • Action(対策・改善)

人事評価でよく使われる5つの手法と種類

この記事で紹介してきた4つの軸(業績・成果・能力・情意)以外の視点でも、人事評価は可能です。また近年では評価手法も多様化しており、自社の現状にあわせて複数の手法を組み合わせる企業も多くなっています。

ここでは、近年の日本で注目されている5つの手法を紹介しましょう。

  • コンピテンシー評価
  • 360度評価
  • バリュー評価
  • MBO
  • OKR

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は、自社で高い業績をあげている従業員(ハイパフォーマー)の行動特性を評価項目・基準にする方法です。ハイパフォーマーが自社の行動指針を守っている場合、理念や指針に合う人材の育成でも高い評価を発揮します。

<関連記事>コンピテンシー評価シートの書き方とは?項目例や評価軸の例文なども詳しく紹介

360度評価

360度評価は、一般的な人事評価を行う上司に加えて、同じチームの同僚(先輩・後輩)や他部署のメンバーなどから多面的な評価を受けるものです。客観性や公平性が高い一方で、評価者の組み合わせで評価内容が変わりやすい傾向があります。ほかの手法とセットで運用するケースが多いです。

<関連記事>360度評価の失敗例5選|失敗原因や適切な導入方法・成功ポイントも解説

バリュー評価

バリュー評価は、企業が大事にする価値観や行動指針の実践度を重視する手法です。バリュー評価の場合、仮に高い業績などをあげても、自社の行動指針に沿った行動で成果をだしていなければ、人事評価としては低い結果になってしまいます。行動指針を守る必要がある点で、先述の業績評価よりも厳しい側面があるでしょう。

MBO

MBOとは、目標管理制度のことです。具体的には、自社の目標や利益を個人の目標に落とし込み、その達成度を見ていく評価制度です。

たとえばある営業部門で「今期は製品A中心の販売で総売上◯万円を達成させる」という組織の目標があると仮定します。この場合、従業員個人の目標も製品Aを重視した内容になるイメージです。自分で設定した目標の達成を目指すことから、モチベーションが高まりやすい特徴があります。

OKR

OKRは「目標(Objectives)」と「主要な結果(Key Results)」の設定によって目標達成を目指すフレームワークでアメリカのインテル社が開発したものです。

「目標(Objectives)」は、企業や部門で設定します。

たとえば「新製品Aの販売を通じて、3年以内に業界トップのシェアを獲得する。国内認知度もナンバーワンになる」という目標を組織が掲げたと仮定します。そこで部下は、この目標を達成するための「主要な結果(Key Results)」を以下のように考え、それを自分と目標と連動させていくイメージです。

  • 新製品Aを1年以内に◯億個販売する
  • 新規顧客のリピート率を◯%にする
  • ◯◯のランキングで1位を獲得する など

OKRの仕組みを取り入れた場合、組織が掲げた大きな目標に対して、販売職や営業職のほかに、カスタマーサポート部門などでも同じベクトルの個人目標が設定できるでしょう。


【職種・業種別】人事評価の項目サンプルとテンプレート

人事担当者が初めて人事評価制度を設計する場合、複数の等級・部門・職種について評価項目と基準を考える作業は、とても骨が折れるものになるはずです。

また各部門の管理職にサポートしてもらう場合も、現場の業務を知らない人事担当者が項目などのサンプルを作ることは、あまり現実的ではないでしょう。

こうしたときに活用してほしいのが、厚生労働省が公開する職業能力評価基準です。職業能力評価基準は、専門スキルを用いて複雑な仕事をする部門や職種の項目設計をするうえでも、非常に役立つものとなります。

ここでは人事評価の項目や評価シートのサンプルを探す皆さんに、職業能力評価基準の概要と活用メリットを紹介しましょう。

  • 職業能力評価基準とは
  • 職業能力評価基準の職種・業種
  • 職業能力評価基準で収集できるサンプル
  • 職業能力評価基準を活用するメリット

職業能力評価基準とは

職業能力評価基準とは、厚生労働省が以下の情報を業種別、職種・職務別に整理したものです。

  • 仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」
  • 成果につながる職務行動例(職務遂行能力)

職務能力評価基準が整備されたのは平成14年のことです。そこからさまざまな業種・職種を拡充し、現在では職業能力における標準的な評価基準として機能するようになりました。

職務能力評価基準では仕事の内容や成果につながる行動例を、以下のように細かく整理・体系化しています。

引用:職務能力評価基準の構成(厚生労働省)

職業能力評価基準の職種・業種

職務能力評価基準で取り扱う職種・業種は、非常に多彩です。2025年1月時点では、以下の業種・職種の評価項目や評価基準が公開されています。

  • 業種横断的な事務系職種:
    経営戦略、人事・人材開発・労務管理、企業法務・総務・広報、経理・資金財務・経営管理分析、情報システム、営業・マーケティング・広告、生産管理、ロジスティクス、国際事業(9職種)
  • 建設業関係:
    型枠工事業、鉄筋工事業、防水工事業、左官工事業、造園工事業、総合工事業、電気通信工事業(7業種)
  • 製造業関係:
    電気機械器具製造業、プラスチック製品製造業、フルードパワー分野、ファインセラミックス製品製造業、自動車製造業、光学機器製造業、パン製造業、軽金属製品製造業、鍛造業、金属プレス加工業、石油精製業、ねじ製造業、鋳造業(13業種)
  • 運輸業関係:
    ロジスティクス分野、マテリアル・ハンドリング業(2業種)
  • 卸売・小売業関係:
    スーパーマーケット業、卸売業、DIY業、コンビニエンスストア業、専門店業、百貨店業(6業種)
  • 金融・保険業関係:
    クレジットカード業、信用金庫業(2業種)
  • サービス業関係:
    ホテル業、市場調査業、外食産業、広告業、フィットネス産業、クリーニング業、在宅介護業、ボウリング場業、写真館業、産業廃棄物処理業、ビルメンテナンス業、旅館業、施設介護業、添乗サービス業、葬祭業、エステティック業(16業種)
  • その他:
    印刷業、アパレル業、エンジニアリング業、自動販売機製造・管理運営業、イベント産業、プラントメンテナンス業、ウェブ・コンテンツ制作業(モバイル)、屋外広告業、ディスプレイ業、警備業(10業種)

参考:職務能力評価基準の策定業種一覧(厚生労働省)

職業能力評価基準から収集できる項目サンプル

職務能力評価基準を使うと、非常に多彩な項目サンプルが収集可能です。

たとえば下の参考リンクを開くと、広告業の主要な6職種について「職業能力評価基準」「共通能力ユニット」「選択能力ユニット」のカテゴリから、ExcelやWordで作られたさまざまなサンプル資料をダウンロードできます。

さらに「選択能力ユニット(広告制作(クリエイティブ職種)」から「製作プランニング」のWord文書を開くと、そこにはこの職務に関する以下の情報を確認可能です。

  • 概要
  • 仕事の内容
  • 求められる経験・能力
  • 関連する資格・検定等
  • 平成11年度改訂・労働省職業分類(小分類)との対応

仮に現場の管理職に項目設計の依頼をする場合、事前に項目を確認しておくことで、サンプル作成や打ち合わせなども進めやすくなるでしょう。

他にも「選択能力ユニット(広告制作(クリエイティブ職種)」から「広告コンセプトの策定・立案」のExcelシートをダウンロードすると、レベル別の「能力細目」「職務遂行のための基準」「必要な知識」も確認可能です。

【レベル1の能力細目】

  • ①クライアントの意図の理解
  • ②媒体特性を踏まえた企画・立案
  • ③広告コンセプトの確認

【レベル1の「①クライアントの意図の理解」における職務遂行のための基準】

  • 広告会社に示されるオリエンテーション・シートから、クライアントの広告意図を汲み取り、不明な点は必ずクライアントに確認している。  
  • クライアントの広告目的は、商品、商品イメージ、企業ブランドなどの何を訴えたいのか、また、どのように消費者に受けとめられたいのかを、正確に理解している。    
  • 広告目的、広告ターゲット、広告目標などで疑問が生じた場合には、上司の指示を仰いでいる。            

【必要な知識】

  • 広告関連法規
  • マーケティング知識
  • クライアントの問題意識
  • クライアントに関する知識
  • 消費者行動の知識
  • グッドプラクティス

参考:職業能力評価基準について|16_広告業(厚生労働省)

職業能力評価基準を活用するメリット

職業能力評価基準は、人事部門および項目設計に携われる管理職が以下の状態のときに、とても役立つツールです。

【人事部門】

  • 評価項目・基準のサンプルを作りたいが、現場で当たり前に使われている用語や仕事の中身がよくわからない。

【現場の管理職】

  • いきなり評価項目の設計と言われても、具体的にどういう言葉を書けばいいのかよくわからない。
  • 人事部門からもらったサンプルは自部門に合うものではなく、どう応用すべきかわからない。

そこで職業能力評価基準のページからダウンロードしたExcelやWordの文書をたたき台にすると、現場で使われている一般的な用語を使った資料を見ることで、お互い感じている「わからない」問題が緩和しやすくなります。

また、何もないところから項目設計を始めるよりも、職業能力評価基準の資料を自社の行動指針や現場の業務に合わせてカスタマイズしたほうが、作業の漏れもなく効率的に設計を進められるはずです。

自社独自の人事評価シートを作成する場合も、職業能力評価基準の資料をベースにすると良いでしょう。

人事評価の項目設計でサンプルやテンプレートを探している方は、以下のページから自社の業種に合う資料をぜひチェックしてください。

参考:職務能力評価基準の策定業種一覧(厚生労働省)

人事評価の4つの評価項目や項目作成のポイントやテンプレートを紹介しました

人事評価制度の効果性を高めるためには、自社の現状に合う項目を設計することが大切です。

また近年のビジネス環境では、外的環境の変化などの影響からスムーズに成果が出ないことも多くなっています。こうしたなかで従業員のモチベーションを維持し、諦めずにゴールに向かってもらうためには、わかりやすい成果だけでなく過程や姿勢なども重視する項目設計が求められるでしょう。

今回はじめての制度設計でどういう項目を選択すればいいのかわからない場合は、厚生労働省が公開する職業能力評価基準も参考にしてください。

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Startup JAM編集部
執筆

Startup JAM編集部

Startup JAM編集

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