startup-jam LegalOn Cloud

上場条件とは?プライム・スタンダード・グロースの市場区分ごとに紹介

上場条件とは?プライム・スタンダード・グロースの市場区分ごとに紹介

【IPO準備ガイドブック】フェーズごとに徹底解説!IPOを成功させるためのタスクとスケジュール

無料でダウンロードする

上場条件とは、企業が証券取引所に株式を上場するために満たすべき基準であり、正式には「上場審査基準」と呼ばれます。本記事では「上場条件の基本」を解説した上で、上場の具体的な条件を示した「形式要件」と「実質要件」を3つの市場区分ごとに解説します。

※本記事の内容は、国内最大の証券取引所である「東京証券取引所」で求められる条件に基づく。

上場条件とは?上場を目指す企業が理解すべき基本

上場条件とは、企業が証券取引所に株式を上場するために満たすべき基準です。投資家の保護および証券市場の信頼性確保を目的に設けられています。

企業が上場条件を満たして審査を通過すると、株式取引を行う資格を得られ、企業価値の向上や資金調達の幅を拡大できます。

ここでは、上場を目指す企業であれば知っておきたい「上場条件の基本」について、以下の4つを把握しておきましょう。

  • 正式には「上場審査基準」と呼ばれる
  • 国内4つの証券取引所ごとで条件が異なる
  • 「形式要件」と「実質要件」の2つを満たす必要がある
  • 3つの市場区分で条件の厳しさが異なる

正式には「上場審査基準」と呼ばれる

上場条件は通称であり、東京証券取引所などを運営する日本取引所グループ(JPX)は「上場審査基準」と表記しています。「上場基準」と略称で呼ばれる場合もあります。

いずれの呼び方であっても「株式を上場するために満たすべき基準や条件」を指すことに違いはありません。

参考:上場をご検討中の皆様 | 日本取引所グループ

国内4つの証券取引所ごとで条件が異なる

国内には、東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所の4つがあり、証券取引所ごとに上場条件が異なります。

違いの詳細は多岐に渡るためここでの言及は避けますが、「国内には4つの証券取引所があり、それぞれで上場条件は異なる」という点は理解しておきましょう。

なお冒頭で述べた通り、本記事では最大規模である「東京証券取引所」の上場条件について解説します。

「形式要件」と「実質要件」の2つを満たす必要がある

上場条件は、大きく「形式要件」と「実質要件」の2つに分かれています。

「形式要件」は、企業規模や財務指標といった客観的な数値で判断される要件です。具体的には株主数や時価総額、流通株式数といった「定量的な基準」が含まれます。

一方の「実質要件」は、企業の成長性や経営体制といった数値のみでは計り知れない要件です。具体的には、収益性の安定、ガバナンスの確立、情報開示の信頼性など「質的な基準」を評価します。

上場のためには、これら両方の要件を満たす必要があり、どちらか一方が欠けていても上場審査を通過できません。

3つの市場区分で条件の厳しさが異なる

東京証券取引所には「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの市場区分があり、条件の厳しさが異なります。

各市場区分における条件の違いを簡潔に示すと、下記の通りです。

  • プライム市場:大企業向けの厳しい条件
  • スタンダード市場:中規模企業向けの中難度の条件
  • グロース市場:新興企業向けの柔軟な条件

下記は日本取引所グループが示す「各市場区分のコンセプト」です。各市場がどのような企業を想定しているのかを把握しておきましょう。

プライム市場:多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
スタンダード市場:公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
グロース市場:高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場

引用:市場構造の見直し | 日本取引所グループ

市場区分ごとの具体的な条件(形式要件・実質要件)は、以降の項目で詳しく紹介します。

上場条件における「形式要件」

上場条件における「形式要件」を、プライム・スタンダード・グロースの3市場区分ごとに紹介します。形式要件は、客観的な数値で評価可能な項目で構成されます。

プライム市場の形式要件

プライム市場は、東京証券取引所の中でも最も高いガバナンス水準や成長性を求められる市場です。そのため形式要件は、市場区分3つのなかで最も多く、14項目が設定されています。例えば株主数は最低でも800人以上、時価総額は100億円以上、流通株式比率は35%以上のように、他2つの市場と比べて高い水準が求められるのです。さらに事業規模を証明するために、より高水準な純資産額や利益額が設けられています。

こうした厳格な形式要件から、プライム市場は大企業や上場維持に対する意識が高い企業に適しているといえます。

下記は日本取引所グループが示すプライム市場への新規上場に必要な形式要件です。細かな但し書きは省略しているため、対象となる項目と概要を把握するのにお役立てください。

  1. 株主数(上場時見込み):800人以上
  2. 流通株式(上場時見込み):a.流通株式数 2万単位以上 b.流通株式時価総額 100億円以上 c.流通株式比率 35%以上
  3. 時価総額:250 億円以上
  4. 純資産額(上場時見込み):連結純資産の額が 50 億円以上(かつ、単体純資産の額が負でない)
  5. 利益額又は売上高:次のa又はbに適合すること a.最近2年間の利益の総額が 25 億円以上である b.最近2年間における売上高が 100 億円以上である場合で、かつ時価総額が 1,000 億円以上となる見込みがある
  6. 事業継続年数:3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしている
  7. 虚偽記載又は不適正意見等: a.最近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし b.最近2年間(最近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」 c.最近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」 b.新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合は別条件あり
  8. 登録上場会社等監査人による監査:最近2年間の財務諸表等について、登録上場会社等監査人(日本公認会計士協会の品質管理レビューを受けた者に限る。)の監査等を受けている
  9. 株式事務代行機関の設置:東京証券取引所の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ている
  10. 単元株式数:単元株式数が、100株となる見込みがある
  11. 株券の種類:新規上場申請に係る株券等が、次のaからcのいずれかであること a.議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式 b.複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付株式 c.無議決権株式
  12. 株式の譲渡制限:新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みがある
  13. 指定振替機関における取扱い:指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みがある
  14. 合併等の実施の見込み:次のa及びbに該当しないこと a.新規上場申請日以後、基準事業年度の末日から2年以内に、合併、会社分割、子会社化若しくは非子会社化若しくは事業の譲受け若しくは譲渡を行う予定があり、かつ申請会社が当該行為により実質的な存続会社でなくなる場合 b.申請会社が解散会社となる合併、他の会社の完全子会社となる株式交換又は株式移転を基準事業年度の末日から2年以内に行う予定のある場合(上場日以前に行う予定のある場合を除く。)

参考:上場審査基準 (プライム市場)| 日本取引所グループ

スタンダード市場の形式要件

スタンダード市場の形式要件では、プライム市場とグロース市場の中間にあたる水準を求められます。形式要件の数は13項目であり、プライム市場にはあった「事業継続年数」を問われません。より具体的には、株主数は400人以上、時価総額は10億円以上、流通株式比率は25%以上のように、プライム市場と比較すると相応に条件が緩和されています。

以上からスタンダード市場は、大企業よりも規模は劣るものの堅調に実績を伸ばしている企業向きの市場といえるでしょう。

下記は、日本取引所グループが示すスタンダード市場への新規上場に必要な形式要件です。先と同様に細かな但し書きは省略しているため、対象となる項目と概要を把握するのにお役立てください。

  1. 株主数(上場時見込み):400人以上
  2. 流通株式(上場時見込み):a.流通株式数 2,000単位以上 b.流通株式時価総額 10億円以上 c.流通株式比率 25%以上
  3. 時価総額:250 億円以上
  4. 純資産額(上場時見込み):連結純資産の額が正である
  5. 利益額:最近1年間における利益額が1億円以上である
  6. 虚偽記載又は不適正意見等:※プライム市場と同じ記載内容
  7. 登録上場会社等監査人による監査:※プライム市場と同じ記載内容
  8. 株式事務代行機関の設置:※プライム市場と同じ記載内容
  9. 単元株式数:※プライム市場と同じ記載内容
  10. 株券の種類:※プライム市場と同じ記載内容
  11. 株式の譲渡制限:※プライム市場と同じ記載内容
  12. 指定振替機関における取扱い:※プライム市場と同じ記載内容
  13. 合併等の実施の見込み:※プライム市場と同じ記載内容

参考:上場審査基準(スタンダード市場) | 日本取引所グループ

グロース市場の形式要件

グロース市場の形式要件は、東京証券取引所の中では最も柔軟に設定されており、形式要件の数も11項目と最少です。とはいえ、株主数150人以上、時価総額5億円以上、流通株式比率25%以上を満たす必要があります。他2つの市場と比べてより柔軟な要件であるため、事業は発展途上であるものの成長に自信をもつ企業にとってグロース市場は最適といえるでしょう。

下記は、日本取引所グループが示すグロース市場への新規上場に必要な形式要件です。先と同様に細かな但し書きは省略しているため、対象となる項目と概要を把握するのにお役立てください

  1. 株主数(上場時見込み):150人以上
  2. 流通株式(上場時見込み):a.流通株式数 1,000単位以上 b.流通株式時価総額 5億円以上 c.流通株式比率 25%以上
  3. 公募の実施500単位以上の新規上場申請に係る株券等の公募を行うこと
  4. 事業継続年数1か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしている
  5. 虚偽記載又は不適正意見等:※プライム市場と同じ記載内容
  6. 登録上場会社等監査人による監査:※プライム市場と同じ記載内容
  7. 株式事務代行機関の設置:※プライム市場と同じ記載内容
  8. 単元株式数:※プライム市場と同じ記載内容
  9. 株券の種類:※プライム市場と同じ記載内容
  10. 株式の譲渡制限:※プライム市場と同じ記載内容
  11. 指定振替機関における取扱い:※プライム市場と同じ記載内容

参考:上場審査基準 (グロース市場)| 日本取引所グループ

上場条件における「実質要件」

上場条件における「形式要件」を、プライム・スタンダード・グロースの3市場区分ごとに紹介します。実質要件は多角的な評価が必要であり、数値のみでは計れない項目で構成されます。

プライム市場の実質要件

プライム市場の実質要件について、下記に具体的な項目と主な要件をまとめました。

1. 企業の継続性及び収益性

  • 事業計画が、ビジネスモデルや事業環境、リスク要因などを踏まえて適切に策定されていること
  • 安定的に相応の利益を計上できる合理的な見込みがあること

2. 企業経営の健全性

  • 取引行為やその他の経営活動を通じて不当に利益を供与または享受していないこと
  • 役員の親族関係や兼職状況などにより、業務執行や監査実施が損われる状況でないこと

3. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性

  • 役員の適正な職務の執行を確保するための体制が、適切に運用されていること
  • 内部管理体制が適切に運用されていること
  • 経営活動の安定的な遂行および適切な内部管理体制の維持のために必要な人員が確保されていること

4. 企業内容等の開示の適正性

  • 経営に重大な影響を与える会社情報を管理できており、適時かつ適切に開示できること
  • 内部者取引等の未然防止体制が適切に運用されていること
  • 企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、投資判断に影響を及ぼす事項や、事業活動の前提となる事項について適切に記載されていること

5. その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

  • 株主の権利内容および行使状況が、公益または投資者保護の観点で適当と認められること
  • 経営活動や業績に重大な影響を与える係争や紛争を抱えていないこと
  • 反社会的勢力への関与を防止するための社内体制を整備し、努めていること

参考:新規上場ガイドブック(プライム市場) | 日本取引所グループ

なお「1.企業の継続性及び収益性」についての補足です。プライム市場で求められる「相応の利益」とは、時価総額250 億円以上(形式要件)と照らして相応と認められる利益を指します。

スタンダード市場の実質要件

スタンダード市場における実質要件は、項目と要件ともプライム市場と同じです。

ただし、例えば「1.企業の継続性及び収益性」については、形式要件の「最近1年間における利益額が1億円以上」とあわせて考慮されるため、プライム市場よりも条件は緩和されます。

スタンダード市場における実質要件は、項目と要件ともプライム市場と同じです。項目:①企業の継続性及び収益性②企業経営の健全性③企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性④企業内容等の開示の適正性⑤その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

参考:新規上場ガイドブック (スタンダード市場)| 日本取引所グループ

グロース市場の実質要件

スタンダード市場における実質要件は、一部の項目や要件がプライム市場およびスタンダード市場とは異なります。具体的には以下の通りです。

1. 企業内容、リスク情報等の開示の適切性

  • 経営に重大な影響を与える会社情報を管理できており、適時かつ適切に開示できること
  • 企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、投資判断に重要な影響を及ぼす事項、リスク要因となる事項、事業計画及び成長可能性に関して投資者に有用な事項、主要な事業活動の前提となる事項が記載されていること

2. 企業経営の健全性:※プライム市場と同じ記載内容

3. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性:※プライム市場と同じ記載内容

4. 事業計画の合理性

  • 事業計画が、ビジネスモデルや事業環境、リスク要因などを踏まえて適切に策定されていること
  • 事業計画を遂行するために必要な事業基盤が整備されていること又は整備される合理的な見込みがあること

5. その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項:※プライム市場と同じ記載内容

参考:新規上場ガイドブック(グロース市場) | 日本取引所グループ

他2つの市場における実質要件をベースとしているため、記載されている内容は類似しています。ただし「1.企業内容等の開示の適正性」の要件にある「リスク要因となる事項」「事業計画及び成長可能性に関して投資者に有用な事項」は、グロース市場の実質要件のみの記載です。

また「4.事業計画の合理性」はグロース市場のみの項目であり、他2つの市場における「1.企業の継続性及び収益性」にあたります。

その他証券取引所の上場審査基準

東京証券取引所以外の上場審査基準についても、要点を簡潔に紹介します。

名古屋証券取引所

名古屋証券取引所は、「プレミア市場」「メイン市場」「ネクスト市場」の3市場に区分されています。それぞれの主要な審査条件は以下の通りです。

プレミア市場

  • 株主数:800人以上
  • 流通株式:流通株式数2万単位以上かつ流通株式比率35%以上
  • 時価総額:250億円以上
  • 純資産額:連結純資産額50億円以上 かつ単体純資産額が正
  • 利益額:経常利益25億円以上(直近2年間)、または最近1年間の連結売上高が100億円以上かつ時価総額が1,000億円以上

メイン市場

  • 株主数:300人以上
  • 流通株式:流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上、もしくは上場前日までに公募又は売出しを1,000単位又は上場株式数の10%
  • 時価総額:10億円以上
  • 純資産額:連結純資産額が正
  • 利益額:経常利益1億円以上(直近1年間)

ネクスト市場

  • 株主数:150人以上
  • 流通株式:(上場時に500単位以上の公募・売出しを行うこと)
  • 時価総額:3億円以上
  • 純資産額:ー
  • 利益額:ー

参考:名証 | 上場審査基準(プレミア市場・メイン市場)

参考:名証 | 上場審査基準(ネクスト市場)

札幌証券取引所

札幌証券取引所は、メインとなる「本則市場」とベンチャー企業向けの「アンビシャス市場」の2つです。それぞれの主要な審査条件は以下の通りです。

本則市場

  • 対象企業:ー
  • 株主数:300人以上
  • 流通株式:流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上、もしくは上場前日までに公募又は売出しを1,000単位又は上場株式数の10%
  • 時価総額:10億円以上
  • 純資産額:3億円以上
  • 利益額:経常利益5,000万円以上(基準事業年度)

アンビシャス市場

  • 対象企業:北海道に関連のある企業
  • 株主数:a.500単位以上の公募又は売出し b.株主数100人以上
  • 流通株式:ー
  • 時価総額:ー
  • 純資産額:1億円以上
  • 利益額:営業利益の額が正(基準事業年度)

参考:上場基準概要 | 札幌証券取引所

福岡証券取引所

福岡証券取引所市場は、「本則市場」「Q‐Board」「Fukuoka PRO Market」の3市場に区分されています。とりわけ「Fukuoka PRO Market」は、他2つの一般市場への上場を目指す企業向けに新たに設けられた市場です。それぞれの主要な審査条件は以下の通りです。

本則市場

  • 対象企業:ー
  • 株主数:300人以上
  • 流通株式:流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上、もしくは上場前日までに公募又は売出しを1,000単位又は上場株式数の10%
  • 時価総額:10億円以上
  • 純資産額:連結純資産額3億円以上 かつ単体純資産額が正
  • 利益額:5,000万円以上(直近1年間)

Q-Board

  • 対象企業:九州周辺に本店を有する企業または九州周辺における事業実績・計画を有する企業
  • 株主数:200人以上
  • 流通株式:(500単位以上の公募)
  • 時価総額:3億円以上
  • 純資産額:ー
  • 利益額:ー

Fukuoka PRO Market

※形式要件なし

参考:上場審査基準の概要 | 上場/売買制度 | 福岡証券取引所

参考:上場制度 | Fukuoka PRO Market | 福岡証券取引所

TOKYO PRO Market(TMP)

TOKYO PRO Market(TMP)は、東京証券取引所が運営する株式市場です。プライム市場やスタンダード市場など他市場と異なり、J-Adviser制度を導入しています。

J-Adviserとは、東京証券取引所から「上場のプロフェッショナル」として認められた企業です。TOKYO PRO Market(TMP)においては、東京証券取引所や証券会社の代わりにJ-Adviserが上場準備支援から審査、必要手続き、上場後のモニタリングまでを一貫して担います。J-Adviserが調査・確認する主な条件は以下の通りです。

1. 東京証券取引所の市場の評価を害さず、当取引所に相応しい会社であること

  • 法律体系・会計体系・税制等の理解
  • 予算統制の整備
  • 上場予定日から12ヶ月間の運転資金の充足

2. 事業を公正かつ忠実に遂行していること

  • 関連当事者取引や経営者が取引状況を把握し、牽制する仕組みの有無
  • 代表取締役社長及び役員の資質面

3. コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること

  • 社内規程の整備と適切な運用
  • 事業運営及び内部管理に必要な人員の確保
  • 法令遵守に向けた社内体制の整備と運用

4. 企業内容、リスク情報等の開示を適切に行い、この特例に基づく開示義務を履行できる態勢を整備していること

  • 上場後の開示体制の整備(開示規則・開示義務の理解)
  • 内部者取引及び情報伝達・取引推奨行為防止の整備

5. 反社会的勢力との関係を有しないこと、その他事項

  • 反社会的勢力との関係性無し
  • 反社会的勢力排除に向けた社内体制の整備
  • 設立以降における株主の異動状況の把握

参考:上場制度 (TOKYO PRO Market) | 日本取引所グループ

上場審査に落ちる理由と対策

上場審査に落ちる主な理由5つと対策を簡潔に紹介します。

経営層による不適切な取引

不正確な取引や利益相反行為、利益供与、関連当事者間での取引などは、企業の信頼性に悪影響を与え、上場審査での不合格要因となります。

対策:経営陣の行動規範を厳格に定めた上で、監督機能の導入により透明性を確保しましょう。

社内システムの脆弱性とリスク管理の不備

ITに限らず人的要素も含めて、社内にセキュリティやリスク管理上の不備があると、情報漏洩のような重大な問題を引き起こしかねません。そのため、上場基準を満たさないと判断されるケースがあります。

対策:業務フローやITセキュリティの見直しを行い、必要に応じてリスク管理システムの導入や新たなセキュリティ体制の構築を行いましょう。

不適切な会計や透明性の不足

利益の過大計上や費用の未計上など不正な会計処理や情報開示の不足は、投資家や監査法人の信頼を損ねます。その結果、上場審査に落ちる要因となります。

対策:会計基準に従い正確な記録を保持し、必要な情報を適宜開示する他ありません。外部監査の活用も有効です。

ガバナンスと内部統制体制の未整備

内部統制やガバナンス体制が不十分な場合、企業の管理能力やリスク対応力が疑われ、上場審査で不利になります。例えば、コンプライアンスの遵守、顧客管理、労務環境、財務会計の管理体制などが挙げられます。

対策:組織全体でのリスク管理体制の構築や、ガバナンスの透明性を高める施策が必要です。例えば、監査役や取締役会の役割強化も手段のひとつです。

収益目標や事業計画の未達

目標や事業計画を達成できていない場合、持続的な成長性が疑問視され、上場審査で不利になります。

対策:未達が続く場合には、「市況や社内状況を反映した現実的な目標か」「無理なスケジュール設計でないか」など、目標・計画の設定段階から見直しましょう。

上場条件について解説しました

上場条件について基本を解説し、具体的に求められる要件を市場区分ごとで紹介しました。

上場条件は正式には「上場審査基準」と呼ばれており、国内4つの証券取引所ごとで条件が異なります。なお本記事で取り上げたのは、国内最大規模である東京証券取引所の条件です。

また上場条件(上場審査基準)は、数値で定量的に評価する「形式要件」と、体制や状況から質的に評価する「実質要件」の2つで構成されます。

本文内では東京証券取引所が定義するプライム・スタンダード・グロースの市場区分ごとに具体的な要件内容を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

本記事を通じて必要な条件を把握し、上場達成に向けて着実な準備を進めていきましょう。

スタートアップのための戦略的なバックオフィス体制構築とは

Startup JAM編集部
執筆

Startup JAM編集部

Startup JAM編集

AI法務プラットフォーム「LegalOn Cloud」を提供する株式会社LegalOn Technologiesの、「Startup JAM-スタートアップ向けにビジネスの最前線をお届けするメディア-」を編集しています。

AI契約書レビューや契約書管理など
様々なサービスを選択してご利用できるハイスペック製品

製品についてはこちら