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OJTとは?目的やOFF-JTとの違い、メリット・デメリットとやり方を徹底解説!

OJTとは?目的やOFF-JTとの違い、メリット・デメリットとやり方を徹底解説!

スタートアップのための戦略的なバックオフィス体制構築とは

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企業における人材育成の手法として、広く活用されているOJT(On the Job Training)。実践的なスキル習得が可能で、即戦力の育成に効果的な手法として知られています。OJT効果を最大限に引き出すためには、適切な計画と実施が不可欠です。

この記事ではOJTの基礎知識から実践的なノウハウまで、詳しく解説していきます。

OJTとは?

人材育成にはさまざまな手法が用いられますが、現場に則した研修方法として広く採用されているのがOJTです。新入社員の早期戦力化や、組織全体のスキルアップを目指す上で、効果的な手法とされています。

ここでは、OJTの基本的な意味から、その目的や重要性について詳しく見ていきましょう。

OJTの意味

OJTは実際の職場で、日常の業務を通じながら必要な知識や技術、仕事に対する姿勢を習得していく教育方法です。例えば営業部門であれば、実際の商談に同行して営業スキルを学んだり、製造現場であれば実際の機械操作を通じて技術を習得したりします。

実践的な環境で学ぶことで、机上の学習だけでは得られない現場特有のノウハウや経験を積めるのが特徴です。

OJTの目的

OJTの主な目的は、従業員の職務遂行能力の向上です。具体的には以下の効果が期待されています。

  • 業務に必要な専門知識や技術の習得
  • 問題解決能力の向上
  • 職場での円滑なコミュニケーション能力の育成
  • 定着率の向上 など

指導する側と教わる側の相互理解を深め、組織全体の生産性向上や、企業文化・価値観の共有を図ることも重要な目的です。教える側も教えることで自身の知識を整理し、さらなるスキルアップにつながることも少なくありません。

さらにOJTを通じて新人や研修担当者のロイヤリティが向上し、職場の環境が良くなると、企業全体の定着率の向上にもつながります。

OJTは研修を受ける側とする側、そして企業全体にとって有意義な取組なのです。

OJTの重要性

OJTでは実際の業務現場で学びます。理論と実践を結びつけた深い理解が可能となり、即戦力となる人材の育成を実現できるのがメリットです。

また上司や先輩との直接的なコミュニケーションを通じて、業務上の細かなニュアンスや暗黙知を習得できることも利点のひとつです。さらに実務を通じた学習は、研修を受ける従業員にとってはモチベーションの維持・向上にもつながります。

OJTとOFF-JTとの違い

OJTに対して、OFF-JT(Off the Job Training)は職場を離れて行う研修を指します。それぞれの主な違いは、以下のとおりです。

OJT:職場内での研修

  • 特徴:実践的なスキルの習得が可能

OFF-JT:外部での研修

  • 特徴:体系的・客観的な知識を学ぶ

OJTは実務に直結した実践的なスキル習得に優れ、日々の業務の中で継続的な学習が可能です。一方OFF-JTは、体系的な知識の習得や、業務から離れた客観的な視点での学習に適しています。例えば新入社員研修やビジネスマナー研修、資格取得のための講習などがOFF-JTです。

理想的なのは、OJTとOFF-JTを組み合わせることです。OFF-JTで学んだ知識や理論を、OJTを通じて実践的なスキルとして定着させていくという相乗効果が期待できます。

OJT導入のメリット

人材育成の手法としてOJTを導入することには、大きなメリットがあります。ここではOJTの導入による、主なメリットについてまとめました。

実践的なスキルを効率よく習得できる

OJTの最大の特徴は、実際の業務を通じて学習できることです。座学や研修だけでは得られない、現場特有の知識やノウハウを直接習得することができます。接客業であれば実際の顧客対応を通じて接客スキルを磨き、製造業であれば実機での作業を通じて技術を習得できるのです。

また実務に即した形で学習するため、習得したスキルをすぐに活用することができます。研修後は学んだことをそのまま業務に活かすことができるので、即戦力となる人材の育成が可能です。

さらに実践を通じた学習は記憶への定着率も高く、長期的なスキル向上も期待できます。

人材育成コストを最適化できる

OJTは通常の業務時間内で実施できるので、外部研修と比較してコストを抑えることができます。特別な施設や設備も必要なく、日常業務の中で実施できるので、効率的な人材育成が可能です。

また複数の従業員が同時に学習できる環境を整えることで、組織全体のスキルアップも促進されます。特に中小企業など研修予算が限られている企業にとっては、OJTは効果的な人材育成手法となります。

組織力の向上につながる

OJTを通じて、指導する側と教わる側の間で密接なコミュニケーションが生まれます。新人も学びながら信頼関係を深めることができ、組織全体の連携も深まります。また業務ノウハウや暗黙知の共有が促進され、組織の知的資産が蓄積されることもメリットです。

さらに指導する立場の社員にとっても、教えることで自身の知識を整理し、より深い理解につながるというメリットがあります。OJTは個人のスキルアップだけでなく、組織全体の成長にも貢献する効果的な手法なのです。

OJT導入のデメリット

OJTには数々のメリットがある一方で、導入や運用において課題となる点も存在します。課題を事前に理解し、適切な対策を講じれば、より効果的なOJTの実施が可能となるでしょう。

指導者による教育の質にばらつきが生じる

OJTの効果は、指導者の指導力や経験に大きく左右されます。同じ内容を教える場合でも、指導者によって説明の方法や重点の置き方が異なるからです。結果として習得される知識やスキルに、差が生じる可能性があります。

またベテラン社員であっても教えることが得意ではない場合や、指導方法が体系化されていない場合には、効果的な指導が行えません。指導者自身が誤った知識や悪い習慣を持っている場合、それらが教育を通じて伝播してしまうリスクもあります。

担当者を選ぶ際は業務の成績だけでなく、仕事の仕方やほかの従業員との関係性を考慮して、新人の手本となるべき人材を厳選しましょう。

一時的には業務効率が低下する

OJTを実施する際は、指導者が通常業務に加えて教育も担当することになります。そのため指導者の業務効率が、一時的に低下することは避けられません。特に繁忙期には、十分な指導時間を確保することは困難です。

また教わる側も業務を覚える過程で時間がかかり、部署全体の生産性が一時的に低下することがあります。こうした期間をどのように管理し、通常業務とのバランスを取るかが重要な課題のひとつです。

体系的な教育が難しい

実務を通じた教育では、体系的な知識やスキルの習得が難しくなることがあります。業務の流れに沿って教育が進められるため、基礎から応用まで計画的に学ぶことが困難になるのです。

また日々の業務状況によって学習機会が左右されるため、必要な知識やスキルを漏れなく習得できているか確認することも容易ではありません。特にまれにしか発生しない業務や特殊なケースへの対応などは、OJTだけでは十分な教育が難しい場合があります。

年に数回の特別な業務などは、別途学習の機会を設けましょう。

OJT教育研修のやり方

効果的なOJTを実施するためには、体系的なアプローチと計画的な実施が不可欠です。ここでは、成功につながるOJTの具体的な進め方について、準備から実施、評価までのステップを詳しく見ていきましょう。

①目標・課題の設定

OJTを行うには、明確な目標設定が欠かせません。目標は具体的で測定可能なものを設定しましょう。

まずは組織全体の目標を踏まえた上で、部門や個人レベルでの具体的な習得スキルや到達レベルを設定します。目標設定では習得すべきスキルの優先順位付け、達成までの期間設定、目標の現実性を確認しましょう。

目標を現実的で達成可能な範囲に設定することで研修生のモチベーション維持につながり、着実な成長を促すことができます。

②担当者の選定

適切な育成担当者の選出は、OJTの成否を左右する重要な要素です。担当者には十分な業務知識やスキルに加え、指導力とコミュニケーション能力が求められます。理想的な育成担当者は豊富な業務経験を持ち、教育に対する高い意欲を持っている人材です。

重要なのは、担当者自身が学び続ける姿勢を持っていることです。また育成担当者には適切な時間的余裕を確保しなくてはいけません。研修中は担当者の業務を誰かがフォローできる体制を整えましょう。

職場全体で配慮し、調整を行うことで、質の高い指導と自身の業務との両立が可能となります。

➂計画書の作成

実施計画の策定では、目標達成に向けた具体的なロードマップを作成します。計画には、以下の項目を取り入れましょう。

  • 目標達成のためのスキル
  • 必要なスキルを習得するための指導方法
  • 実施期間
  • 指導のスケジュール
  • 中間目標 など

重要なのは計画に柔軟性を持たせることです。研修生の習得状況や業務の繁閑に応じて適宜調整できるようにしておくことで、より効果的な指導が可能となります。また定期的な進捗確認の機会を設けることも大切です。必要に応じて計画を修正しましょう。

④実施

効果的なOJTを実現するためには、体系的な指導方法が重要です。ここでは広く活用されている4段階職業指導法「STDC(Show-Tell-Do-Check)」のサイクルに従って、具体的な実施方法を見ていきましょう。

Show(やって見せる)

まず指導者が実際の業務を見本として実演します。単に作業を見せるだけでなく、「なぜそのように行うのか」という理由や意図を明確に説明することが重要です。

顧客対応の指導であれば、指導者が実際の応対を行いながら、声の大きさや表情、姿勢などの細かなポイントも意識的に示します。

また作業の流れや重要なポイント、よくあるミスなども併せて説明することで、より効果的な学習が可能となります。

Tell(教える)

次に作業の手順や注意点を言葉で詳しく説明します。研修生からの質問を積極的に受け付け、疑問点を丁寧に解消していきましょう。

説明は具体的な例を交えながら、研修生の理解度に合わせて進めます。ここでも重要なのは、「何を」するかだけでなく、「なぜそうするのか」という理由も含めて説明することです。単なる手順の暗記ではなく、本質的な理解につながります。

Do(やらせてみる)

研修生が実際に業務を体験する段階です。最初は簡単な作業から始め、成功体験を積み重ねながら、徐々に難易度を上げていきます。指導者は必要に応じてアドバイスや補助を行いますが、できるだけ研修生の自主性を尊重しましょう。

失敗を恐れずにチャレンジできる環境を整えることで、より効果的な学習が可能となります。また成功した際には適切な評価を行い、モチベーションの維持・向上を図ります。

Check(振り返り評価する)

実施した業務について、研修生と指導者が一緒に振り返りを行います。この段階では、良かった点と改善が必要な点を具体的に指摘し、建設的なフィードバックを行うことが重要です。

振り返りでは、主に以下の点に留意しましょう。

  • 目標とした業務が適切に遂行できたか
  • 作業の手順や重要なポイントが理解できているか
  • 予期せぬ事態への対応は適切だったか
  • 次回に向けての課題は何か

評価結果は必ず記録に残し、次回の指導に活かします。また定期的に上司を交えた評価面談を実施することで、より客観的な進捗確認と今後の育成方針の調整が可能です。

STDCサイクルは、一度で完結するものではありません。各段階で得られた気づきや課題を次のサイクルに活かし、継続的な改善を図ることで、より効果的なOJTの実施が可能となります。

OJTを成功させるためのポイント

OJTを効果的に実施し、確実な成果を上げるためには、いくつかのコツがあります。ここでは実践的なOJTを成功させるためのポイントについてまとめました。

段階的な業務の割り当てで着実な成長を促す

OJTでは研修生の習熟度に合わせ、適切な難易度の業務を割り当てることが重要です。最初は基本的で比較的簡単な業務から始め、成功体験を積み重ねることで、自信とモチベーションを高めていきます。

着実にスキルを積み上げることで、より複雑な業務にも自信を持って取り組めるようになるのです。

個人の習得ペースに合わせた指導を行う

研修生はそれぞれ学習のスピードや得意・不得意が異なります。画一的な指導ではなく、個々の特性を理解し、それに応じた指導方法を選択することが効果的です。理解度や習熟度をこまめに確認しながら指導を進めましょう。

躓きが見られた場合は、より丁寧な説明や追加の演習を行うなど、柔軟な対応が必要です。

標準化された指導マニュアルを活用する

効果的なOJTを実現するには、指導内容や方法の標準化が重要です。基本的な業務手順や指導のポイントをマニュアル化することで、指導者による質のばらつきを防ぎ、一定水準の教育を提供することができます。

ただしマニュアルは基本的な指針として活用し、実際の指導では状況に応じた柔軟な対応も必要です。マニュアルは定期的に見直し、更新してください。

OFF-JTとの効果的な組み合わせを行う

座学や集合研修などのOFF-JTと適切に組み合わせることで、より効果的な人材育成が可能となります。実践で得た経験を理論的に整理したり、新しい知識や技術を体系的に学んだりする機会を設けることで、より深い理解につながるからです。

また他部署の社員との交流や外部講師による研修なども、新しい視点や気づきを得る貴重な機会となります。

OJTについて解説しました

OJTは実践的な職場内訓練として、多くの企業で活用されている人材育成手法です。実務を通じた学習により、即戦力となる人材の育成が可能である一方で、指導者による教育の質のばらつきや、業務効率の一時的な低下といった課題もあります。

効果的なOJTの実施にはSTDCサイクルを活用した体系的な指導や個々の習熟度に応じた段階的な指導が不可欠です。また必要に応じてOFF-JTと組み合わせることで、より効果的な研修が可能となります。

人材育成は、企業の持続的な成長に欠かせない重要な要素です。OJTを通じて、個々の従業員のスキルアップを図り、組織全体の競争力向上を目指していきましょう。

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Startup JAM編集部
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