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シード期を成功させるには?資金調達方法も合わせて解説します!

シード期を成功させるには?資金調達方法も合わせて解説します!

スタートアップの「資金調達」がよくわかるガイドブック~基礎から実践まで~

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企業には成長段階があり、自社がどの成長段階に位置しているのか知ることは、事業規模や経営方針を把握するうえで貴重な判断材料になります。シード期はスタートアップ・ベンチャー企業の多くが位置している成長段階であり、今後の企業を大きく成長させるために必要な経営の土台を築く大切な期間です。

本記事ではシード期の概要や資金調達を成功させる方法も合わせて解説します。シード期を成功させた企業の具体例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

シード期は企業の初期段階を指す

シード期はスタートアップや新規事業における最初の成長段階で、主に事業アイデアの検証や基盤作りするフェーズを指します。

シード(種)という言葉が示す通り、多くの企業はシード期で事業の種となるようなサービスを、本当に実現できるかどうか検証します。また同時並行で、将来の成長に向けて資金調達やチーム運営の準備なども進める必要があるので、企業が大きく成長するためには欠かせない段階だといえるでしょう。

シード期に必要な資金の目安

シード期は事業運営のための費用が発生するので、資金調達をする必要があります。資金調達の目安となる額は、事業が属している業界やサービスによって大きく異なり、数百万円から数千万円になるでしょう。

ただし、サービスや商品を試験的に市場に導入する段階であるため、数億単位の資金が必要になることはほとんどありません。

シード期の資金調達方法6選

シード期は企業として成熟しきっていない時期であり、大きな金額を融資してもらうのが難しいです。また、資金調達方法が他の成長段階にある企業より限られているので、適切な方法を把握していないと資金調達が難航することも珍しくありません。

ここではシード期でも実施できる資金調達方法を6つ紹介します。自社の経営状況や事業の完成度によって適切な方法が異なるため、自社の状況を考慮しながら適切な方法を選択してみてはいかがでしょうか。

1.自分の貯金を活用する

資金調達に必要な金額が数百万円程度の場合なら、自分の貯金を活用する方法を視野に入れることが可能です。自分の貯金であれば、実績と社会的信用がない状況でも問題なく運用できるので、他の資金調達方法で生まれてしまうしがらみを気にする必要がないでしょう。

しかし、事業がうまくいかなかった場合、自分の貯金が消えてしまうリスクが発生します。自分の貯金を活用する際には、うまくいかなかった時の保険として、運用できる資金を残しておくことをおすすめします。

2.補助金・助成金を活用する

シード期の資金調達方法として、国や自治体が実施している補助金や助成金を活用することも可能です。補助金や助成金は基本的に返済する必要がないため、ローリスクで資金調達できます。

ただし、申請には審査が必要であったり事業を実施してから資金が支給されるケースが多いので、即効性に欠ける点がデメリットとして挙げられます。

3.日本政策金融公庫を活用する

日本政策金融公庫は日本政府が運営する金融機関で、中小企業や個人事業主、農林水産業者など民間金融機関では十分な資金調達が難しい人々を支援する目的で設立されました。日本政策金融公庫では創業時の支援融資制度として以下の3つを取り扱っているので、実績が少ないシード期でも融資を受けられます。

  •  新規開業資金
  •  生活衛生新企業育成資金
  •  資本性ローン

創業計画書作成のサポートサービスも実施しているので、銀行や他の機関から融資を計画している際には活用してみると良いでしょう。

4.エンジェル投資家を活用する

エンジェル投資家はスタートアップや新規事業に対して自己資金を投資する投資家を指します。他の融資方法とは違い、エンジェル投資家は個人で活動しているため、出資する基準は投資家によって大きく異なる傾向が強いです。

エンジェル投資家は元経営者である場合も多く、融資を受けられるだけでなく、経営のアドバイスや有力なクライアントを紹介してくれるなど、他のメリットを享受できるでしょう。しかし株式を渡すことになるので、経営の自由度が下がってしまうリスクには注意が必要です。

5.スタートアップを支援する企業を活用する

スタートアップを支援する企業として、VC(ベンチャーキャピタル)が挙げられます。VCは急成長が期待されるスタートアップや新興企業に対して、投資ファンドを通じて資金を提供する投資会社です。

シード期にある若いベンチャー企業は、主に起業や事業のスタートをサポートする「インキュベーター」や、未上場企業が成長するためのプログラムを提供してくれる「アクセラレータ」から資金調達を行うことが多いです。企業の経営レベルに合わせて使い分けることをおすすめします。

6.銀行融資を活用する

事業計画が明確であり、実績が豊富なら銀行から融資を受けることも有効な資金調達方法として挙げられます。ただし、シード期に位置する多くの企業は、銀行から融資を受けられる社会的信用度がないことがほとんどであるため、銀行から融資を受けるのは難しいでしょう。

シード期以降の成長段階

シード期を成功させるためには、シード期以降の成長段階の概要を把握しておく必要があります。シード期に後の成長段階の内容を意識して準備をすすめることで、シード期以降の成長段階をスムーズに進めるでしょう。ここではシード期以降の成長段階を3つ紹介します。

アーリー期

アーリー期はスタートアップや新興企業の成長段階の中で、主に事業の立ち上げが完了し、成長のための準備や拡大に取り組むフェーズを指します。シード期とは違い、製品やサービスがある程度完成して市場に出ているものの、事業の安定や拡大にはさらなる資金や支援が必要となっている場合も珍しくありません。

そのため、企業によってはVCやエンジェル投資家からの資金調達が活発化していく傾向があります。

ミドル期

ミドル期はスタートアップや新興企業の成長段階の中で、製品やサービスが市場で一定の成功を収め、さらに事業を拡大・安定化させるフェーズを指します。売上や顧客基盤が拡大しているので、初期段階と比べてキャッシュフローが充実しているという特徴があります。

また新市場や新地域への事業を展開するため、海外進出を視野に入れる企業も少なくありません。

レイター期

レイター期はスタートアップや新興企業の成長段階の中で事業が成熟し、安定した収益を確保しながら規模拡大の最終段階に入るフェーズを指します。IPOやM&Aを実行するために、事業体制や財務基盤を整える企業が多く、投資家へのリターンを実現するための準備が本格化段階であるといえるでしょう。

レイター期にある企業はビジネスモデルが確立し、事業が継続的に収益を生み出している状態が一般的なので、海外進出や新しい事業ラインの展開など、大規模な成長戦略を検討することが多いです。

シード期を成功させる6つのポイント

資金調達を順調に実施する以外にも、シード期を成功させるポイントは複数あります。経営の土台を万全のものにするには、多角的な視点で事業をチェックしなければなりません。ここではシード期を成功させるポイントを6つ紹介します。以下のポイントは事業を安定させるためには欠かせないものになるので、ぜひ意識してみてはいかがでしょうか。

1.事業計画を立てる

企業を成功させるためには、シード期から明確な目標や戦略を組み込んだ事業計画を確立させることが大切です。事業をスタートするステップを明確にしておくことで、資金調達でいくら必要なのか、どのクライアントや企業に協力を仰げばいいのかを把握できます。

有効な事業計画を考えるためにも、期限や目標などを明確に数値化しておくと良いでしょう。

2.経営者のメンターを見つける

どんなに優れた事業のアイデアがあっても、具体的にどのように組織に落とし込み、会社を経営すればよいかわからない場合も珍しくありません。そのため、経営の経験者やアドバイザーにメンターを依頼することは、組織の成長を早めるのに効果的です。

ただしメンターの中には、スタートアップビジネスに理解がない人もいるので、しっかりと自分の企業規模にあったアドバイスをくれる人はどうか注意が必要です。

3.経費削減を意識する

シード期の企業資金は潤沢でないことが多く、経費削減を意識して行動すると良いでしょう。特に人件費や家賃代などの固定費は、企業のランニングコストを増加させてしまうので注意が必要です。そのため、正規社員ではなく業務委託でメンバーと契約するなど、固定費はなるべく下げるように立ち回ると良いでしょう。

4.資本政策を活用する

資本政策は企業が中長期的に成長し目標を達成するために、株式や資金などの資本構成や調達計画を戦略的に設計・管理することを指します。シード期に株式を利用した資本政策を実施するのは難しいですが、資金調達方法を設計・管理することは可能です。

資本政策を計画する際には、大きな規模で小さな持分を持つ企業にするか、小さな規模で大きな持分を持つ企業にするか企業の在り方を意識しながら取り組むと良いでしょう。

5.課題を常に明確にしておく

実施した行動を定期的に振り返りつつも、先に進むためにはどうすればいいのか課題を明確にしておくことも大切です。課題を明確にしておくと、効果的なPDCAサイクルを回しやすくなるので、企業が成長できるような取り組みを効率よく実施できるでしょう。また課題に一緒に取り組める従業員の確保も重要です。

6.積極的に投資家へアプローチ

シード期の企業は資金繰りに苦労しているケースが多いため、理念や経営方針に共感してくれる投資家へ積極的なアプローチを欠かさないようにしましょう。特に経営を後押ししてくれるような、有力なエンジェル投資家に協力を仰げれば、融資以外にも有益なつながりやアドバイスを受けられます。

またファイナンス知識をもった社外の人材とコネクションを結べると、より幅広い選択肢から融資を図れるため、社外の人材とのコネクションを積極的に結ぶようにすると良いでしょう。

スタートアップの資金調達についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ以下のお役立ち資料も併せて確認してみてください。

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シード期を成功させた具体例5選

シード期を成功させるうえで、他の企業がシード期をどのように成功させたのか、具体例を把握することも有効です。ここではシード期を成功させた企業の行動例を5つ紹介します。同じ業界の具体例は参考にできるポイントが多く隠されているので、ぜひ自社と同じ業界の成功例がないかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。

1.Preferred Networks

Preferred NetworksはAI開発のベンチャー企業です。社員の8割が技術者であるという、圧倒的な開発力で注目を集めています。

トヨタ自動車株式会社と自動車業界におけるAI技術の共同研究・開発をする目的で、105億円の資金調達に成功しました。また、JXTGホールディングス株式会社とも共同研究する方針を示しており、10億円の資金調達にも成功させています。

2. Amazon

Amazonは世界的な販売プラットフォームを展開している、アメリカの代表的企業です。背t極的なキャッシュフロー経営を強みとしており、大企業になったあとでも営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを組み合わせた「フリー・キャッシュフロー」の最適化に注力しています。

シード期には投資家たちと何度もミーティングし、事業の計画を伝えることで22人から約100万ドルの資金を融資してもらったといわれています。

3.ソニア・セラピューティクス株式会社

ソニア・セラピューティクス株式会社は次世代型超音波ガイド下強力集束超音波治療装置を開発している医療分野のスタートアップ企業です。卓越した技術力を持つことから、2022年12月の国内スタートアップ資金調達ランキングで2位を獲得しました。

医療サービスの事業化を目的として、新規投資家6社と既存投資家5社から23.5億円の資金調達に成功しています。

4.SmartHR

SmartHRはクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供している企業です。人事や労務のペーパーレス化や効率化を図れるツールを提供しており、人事労務業務のコストパフォーマンスを抑えたい多くの企業に利用されています。

人事や労務のデータ活用を進めることを目的に、Light Street Capitalを始めとした複数の投資家と既存株主から156億円の資金調達に成功しました。

5.スリーダムアライアンス

スリーダムアライアンスは次世代交通インフラに携わる業務を複数展開している企業です。大学発のベンチャー企業であり、リチウム電池の劣化を防ぐ「ポリイミド製セパレータ」の開発に成功しています。

セパレートを大量生産する体制を構築する目的で、ベンチャー投資家から約81億円の資金調達を成功させました。

【まとめ】シード期の成功は資金調達がポイントになる

本記事ではシード期の概要や資金調達を成功させる方法も合わせて解説しました。シード期は事業や組織の土台を生成する期間であり、大きく企業を成長させるうえで重要な部分となるフェーズです。

シード期の企業は事業が成熟していないため、資金調達の幅が狭くなってしまうことはもちろん、経営のランニングコストを削減しなければならない、企業に効果的なアドバイスをしてくれるメンターを探す必要があるなど、注意すべきポイントが多くあります。そのため事業のアイデアだけでなく、経営者としてのスキルも向上させる必要があるでしょう。もしシード期を成功させ、経営者としてのスキルを磨きたいと考えている方がいましたら、外部の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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Startup JAM編集部
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Startup JAM編集部

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