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ユニコーン企業の条件とは?定義や特徴、日本企業の現状を解説

ユニコーン企業の条件とは?定義や特徴、日本企業の現状を解説

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ユニコーン企業は、評価額10億ドル以上、設立10年以内、未上場のテクノロジー企業を指し、スタートアップの中でも特に成長が著しい企業群です。2013年にアイリーン・リー氏によって命名され、世界各地で革新的なユニコーン企業が誕生し、経済や市場に大きな影響を与えています。本記事では、ユニコーン企業の定義や特徴、国別の動向、日本における課題、そして投資機会としての可能性などを詳しく解説します。

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業は、以下の4つの明確な条件を満たすスタートアップ企業として定義されています。

  • 創業10年以内
  • 評価額10億ドル以上
  • 未上場
  • テクノロジー企業

ユニコーン企業は、短期間で顕著な成長を遂げる革新的なスタートアップ企業です。その評価額は、企業の成長見込みや将来のキャッシュフローを基に、出資するベンチャーキャピタルや投資家によって算出されます。このような高い評価額を獲得できる企業は、革新的なビジネスモデルや技術の進歩、特定の市場ニーズの充足によって急速な成長を実現し、業界に大きな影響を与え、新しい市場を創造する可能性を秘めています。

ユニコーン企業の由来

「ユニコーン企業」という言葉は、2013年にアメリカの著名なベンチャーキャピタリスト、アイリーン・リー氏によって生み出されました。ユニコーンとは一角獣とも呼ばれる伝説の生き物で、実在しない希少な存在を意味します。当時、評価額が10億ドルを超える創設10年以内の企業を見つけることは極めて困難であり、そのような企業の稀少性が、伝説の生き物であるユニコーンの特徴と重なることから、この呼び名が付けられました。

ユニコーン企業の分類と特徴

ユニコーン企業は評価額の規模によって3つの階層に分類されています。

  • ユニコーン企業:評価額10億ドル以上
  • デカコーン企業:評価額100億ドル以上(ユニコーンの10倍)
  • ヘクトコーン企業:評価額1,000億ドル以上(ユニコーンの100倍)

2024年時点で、世界のユニコーン企業は1,200社以上存在する一方、デカコーン企業は約50社、ヘクトコーン企業はわずか2社のみとなっています。

代表的なユニコーン企業

日本のユニコーン企業

以下、2024年5月時点での評価額順に日本のユニコーン企業の特徴をご紹介します。

Preferred Networks

  • 評価額:20億ドル
  • 事業内容:AI開発
  • 主力サービス:ディープラーニング・ロボティクス
  • 展開エリア:日本

トヨタやNTTなどの大企業と業務提携を行い、ディープラーニングやロボティクスなどの最先端技術の実用化を進めています。交通システム、製造業、バイオ・ヘルスケアを重点事業領域としています。

SmartNews

  • 評価額:20億ドル
  • 事業内容:ニュースアプリ運営
  • 主力サービス:SmartNewsアプリ
  • 展開エリア:日本・米国

2012年にサービスを開始し、2019年には日本郵政キャピタルを中心に総額31億円の資金調達に成功しました。現在のユーザー数は日米合算で2,000万人以上となり、ダウンロード数は全世界累計で5,000万回を超えています。

SmartHR

  • 評価額:16億ドル
  • 事業内容:クラウド人事労務ソフト
  • 主力サービス:人事労務管理システム
  • 展開エリア:日本

労務管理のペーパーレス化や人事労務分野の効率化を実現。働き方の多様化に伴い、従業員データの分析や人事評価など、効果的な人材マネジメントツールとして需要が拡大しています。

海外のユニコーン企業

世界のユニコーン企業の中で、評価額1,000億ドル以上の「ヘクトコーン企業」に分類されるのはわずか2社のみです。以下に紹介する企業は、その稀少な存在であり、世界でもトップクラスの非上場企業です

ByteDance(中国)

  • 評価額:約2250億ドル
  • 事業内容:動画共有サービス
  • 主力サービス:TikTok
  • 展開エリア:グローバル

10~20代の若年層をメインターゲットとし、簡単な動画撮影・編集・投稿機能を特徴とするサービスを展開。アリババ系列の「アント・グループ」を上回り、世界最大のユニコーン企業となっています。

SpaceX(米国)

  • 評価額:約1,500億ドル
  • 事業内容:宇宙開発・宇宙輸送
  • 主力サービス:ロケット打ち上げ事業
  • 展開エリア:グローバル

ユニコーン企業の成長背景

インターネットの普及により、スタートアップ企業は設立当初から世界市場を視野に入れた事業展開が可能となり、急速な成長を実現する基盤が整いました。その結果、2013年にユニコーン企業の概念が提唱された当時わずか39社だった該当企業は、CB Insightsのデータによれば、2017年に269社、2020年に563社、2022年に1,080社と急増し、2024年5月時点では1,200社以上に達しています。このような急成長を支える背景には、技術革新や資金調達環境の変化など、複数の要因が存在します。それぞれの要因について、詳しく見ていきましょう。

IT技術の進歩

  • クラウドコンピューティングの普及
  • ビッグデータ活用の発展
  • AI(人工知能)技術の進化
  • ブロックチェーン技術の台頭

これらの技術革新により、企業の運営コストが大幅に削減され、グローバルな規模での事業拡大が容易になりました。特にAI、Eコマース、Fintech(金融と技術を組み合わせたサービス)の分野で顕著な成長が見られています。

資金調達環境の整備

  • ベンチャーキャピタル(VC)の普及
  • エンジェル投資家の増加
  • クラウドファンディングプラットフォームの発展

特にアメリカのVC投資総額は2021年に過去最高の3,153億ドルを記録し、企業が上場せずとも大規模な資金調達が可能になりました。また大手企業によるスタートアップ買収の活発化も、評価額の上昇に寄与しています。

起業・事業立ち上げコストの低下

  • インターネットインフラの充実
  • クラウドサービスの普及
  • 個人起業の容易化

IT技術の進化により、事業立ち上げの初期投資コストが大幅に低下し、特にIT関連分野での起業のハードルが下がっています。

グローバル化の促進

  • インターネットの普及によるグローバル市場へのアクセス
  • 地理的制約を超えた事業展開の実現
  • 国際展開の迅速化

インターネットの普及により、スタートアップ企業は設立当初から世界市場を視野に入れた事業展開が可能になり、急速な成長を実現する基盤が整っています。

海外におけるユニコーン企業

ユニコーン企業は、特定の地域にとどまらず、世界各地でその存在感を広げています。特にアメリカと中国が全体の約70%を占める一方で、インドやイギリス、ドイツなどの国々も台頭してきました。また韓国やシンガポール、ブラジルといった地域も注目される拠点となっており、ユニコーン企業の数は引き続き世界規模で増加傾向にあります。以下のランキング表を通じて、各国・地域がどの程度のユニコーン企業を有しているのか、その現状と特徴を詳しく確認してみましょう。

世界のユニコーン企業数の国別ランキング(2024) 

国別に見ると、アメリカと中国の2カ国で全体の約87%を占めており、特にアメリカは703社と圧倒的な存在感を示しています。その他の国の企業数や特徴を見ていきましょう。

1位

  • 国:アメリカ
  • ユニコーン企業数:703社
  • 特徴:全体の48%、シリコンバレーを中心に発展

2位

  • 国:中国
  • ユニコーン企業数:340社
  • 特徴:北京・上海・深センが中心、政府支援が強み

3位

  • 国:インド
  • ユニコーン企業数:67社
  • 特徴:フィンテック・eコマースが強み、若年層人口豊富

4位

  • 国:イギリス
  • ユニコーン企業数:53社
  • 特徴:ヨーロッパ最大、フィンテック分野が特に発展

5位

  • 国:ドイツ
  • ユニコーン企業数:36社
  • 特徴:製造業×テクノロジー融合、インダストリー4.0推進

6位

  • 国:フランス
  • ユニコーン企業数:28社
  • 特徴:AI・デジタル技術開発に注力

7位

  • 国:イスラエル
  • ユニコーン企業数:27社
  • 特徴:サイバーセキュリティ・AI技術が強み

8位

  • 国:シンガポール
  • ユニコーン企業数:21社
  • 特徴:アジアのフィンテックハブとして成長

9位

  • 国:カナダ
  • ユニコーン企業数:19社
  • 特徴:AI・ライフサイエンス分野が発展

10位

  • 国:スウェーデン
  • ユニコーン企業数:14社
  • 特徴:フィンテック・音楽配信サービスが特徴

11位

  • 国:韓国
  • ユニコーン企業数:13社
  • 特徴:モバイル・ゲーム分野が強み

12位

  • 国:日本
  • ユニコーン企業数:11社
  • 特徴:AI・フィンテック分野を中心に成長

ユニコーン企業が海外で増加している背景

上記の表に示されている通り、ユニコーン企業の数はアメリカ、中国、インドを中心に急増しています。これらの国々では、スタートアップを取り巻くエコシステムの成熟が、ユニコーン企業の誕生を後押ししています。それぞれの国が持つ独自のエコシステムと成功要因について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。

充実した支援体制

政府主導の支援策

  • 中国:「大衆創業、万衆創新」政策
  • インド:「Digital India」イニシアチブ
  • ドイツ:「Hightech Strategy 2025」
  • イギリス:IoT・自律走行車開発支援

規制緩和や投資環境の整備

  • 韓国:大規模な政府投資による支援
  • フランス:AI・デジタル技術開発支援
  • シンガポール:フィンテックハブ構想

強力な教育・研究基盤

優れた教育機関との連携

  • アメリカ:スタンフォード大学、MITとの産学連携
  • イギリス:ロンドン大学を中心とした研究開発
  • イスラエル:サイバーセキュリティ研究の中心地

技術革新の推進

  • ドイツ:インダストリー4.0の推進
  • 中国:AI・デジタル技術の研究開発
  • カナダ:AI・ライフサイエンス研究の重点化

発達した資金調達環境

多様な資金調達手段

  • アメリカ:シリコンバレーのVC集積
  • イギリス:ロンドンの金融センター機能
  • シンガポール:アジアの金融ハブ

大企業との連携

  • 中国:大手テック企業による投資
  • アメリカ:GAFA等による積極的買収
  • ドイツ:製造業大手との技術提携

日本のユニコーン企業の現状と課題

日本では、世界のユニコーン企業1,200社以上の中で、ユニコーン企業と認定される企業は10社前後にとどまります。代表的な企業には、AI分野で注目されるPreferred Networksや、ニュースアプリを提供するSmartNewsなどがあります。また「ユニコーン企業」の条件には当てはまらないものの、評価額10億ドルを達成した「隠れユニコーン」企業も存在し、マネーフォワードやSansanがその例です。現状の代表的な日本のユニコーン企業を紹介します。

日本におけるユニコーン企業創出の課題

日本において、ユニコーン企業の創出は、経済成長やイノベーションの活性化において重要な課題となっています。しかし米国や中国に比べると、その数は依然として少ないのが現状です。なぜ日本はユニコーン企業を輩出できないのでしょうか。

主に課題となっている要因は以下の点が挙げられます。

資金調達環境の不備

  • 日本のベンチャーキャピタル投資額は年間約8,000億円と、アメリカや中国と比較して大幅に少ない。
  • 未上場企業への投資文化が未成熟で、早期上場を選択する企業が多い。

起業環境の不利

  • 起業を志す人が少なく、総合起業活動指数(TEA)が6.5と低い水準。
  • 失敗への社会的許容度が低く、再チャレンジが困難な環境。

労働力不足と人材競争

  • 少子高齢化に伴う労働力不足。
  • 優秀なIT人材が大企業に集中し、スタートアップでの確保が難しい。

国内市場の縮小

  • 人口減少により国内需要が低下し、グローバル展開が必須となっている。

日本でユニコーン企業が少ない理由とは

前項で解説したように日本ではユニコーン企業の創出に向けた多くの課題が存在しますが、それらの課題に加えて、日本特有の起業環境や文化的背景もユニコーン企業が少ない理由として挙げられます。ここでは「課題」という視点とは異なる切り口で、日本の起業文化、投資環境、そしてスタートアップ企業が直面する現実について掘り下げ、日本におけるユニコーン企業の少なさの根本原因を解説していきます。

起業家精神の欠如

  • 日本では長期間の安定雇用を求める傾向が強く、新規事業立ち上げへのインセンティブが低い。
  • 起業家を取り巻く文化や制度が未整備。

資金調達の制約

  • スタートアップへの投資額が米国の約100分の1、中国の約45分の1という状況。
  • VCの規模が小さく、未上場株式への投資が限定的。

早期上場の慣習

  • 東京証券取引所グロース市場など、スタートアップが早期に株式公開を目指しやすい土壌。
  • 未上場のまま事業を拡大するユニコーン企業の条件と合致しない。

人口動態の影響

  • 少子高齢化による市場の縮小。
  • ITや先端技術分野での人材不足。

日本でユニコーン企業を創出するには

日本でユニコーン企業を創出するには、スタートアップの成長を支える包括的なエコシステムの構築が不可欠です。現在、日本のユニコーン企業数はアメリカや中国と比べて大幅に少ない状況にあり、資金調達環境の整備や規制緩和、人材育成など多方面での取り組みが求められています。

オープンイノベーションの促進

大企業とスタートアップが連携するオープンイノベーションの活用は、スタートアップが事業を拡大するための効果的な手法です。大企業の資本力とスタートアップの革新性を組み合わせることで、新しい市場の創出が期待されます。大企業とスタートアップの連携を促進するためには、両者を効果的に結びつけるマッチングプラットフォームの強化が重要です。日本には既にいくつかのプラットフォームが存在し、例えば「Creww」はスタートアップと企業、自治体、個人をつなぐサービスを提供しています。また「AUBA」は全国各地のスタートアップや大手企業、自治体などが資金調達や業務提携、共同研究などのニーズに合わせて提携パートナーを探すことができるプラットフォームです。さらに「スタートアップマッチングスクエア」は全国のスタートアップと大手企業、海外企業、投資家をつなぐマッチングサイトとして機能しています。これらのプラットフォームを活用し、さらなる機能強化や利用促進を図ることで、スタートアップと大企業の協業を加速させ、新たなユニコーン企業の創出につなげることが期待されます。

人材育成

日本でユニコーン企業を生み出すには、優秀な人材の確保が鍵を握ります。特にITエンジニアやデータサイエンティストなどの高度なスキルを持つ人材が不足しているため、国内外からの人材育成と誘致が必要です。国内では、大学や専門学校と連携した起業家教育プログラムを充実させることや企業内でのリスキリング(再教育)を推進し、既存の労働力のスキルアップを図ることも効果的だと言えるでしょう。

日本ならではの成功モデルの構築

日本のユニコーン企業創出には、国内の課題を解決する製品やサービスの提供が求められます。高齢化社会やエネルギー問題など、特有の社会課題を解決することで、世界的にも競争力のあるユニコーン企業が誕生する可能性があります。

ユニコーン企業創出に向けた日本政府の取り組み

日本のスタートアップエコシステムは、米国や中国と比べてまだ発展途上にありますが、政府や経済界は積極的な支援策を展開しています。

J-Startupプログラム 

経済産業省は2018年6月に「J-Startup」プログラムを立ち上げ、革新的なスタートアップの支援を開始しました。JETROやNEDOとの共同運営により、海外展開支援、研究開発支援、規制改革対応などを実施。2021年3月末時点で評価額1,000億円以上の企業を28社創出し、2025年度までに50社への拡大を目指しています。

スタートアップ躍進ビジョン

 経団連は2022年に「スタートアップ躍進ビジョン」を発表し、2027年までにスタートアップ企業数を10万社、ユニコーン企業を100社に増やす目標を掲げています。法人設立手続きの簡素化、大企業によるM&Aの推進、海外人材の誘致強化などを進めています。

スタートアップ企業がユニコーン企業に成長するためには

  • 事業拡大への準備
  • 価値の高い製品提供
  • 人材育成に注力する
  • 投資家とのコミュニケーション

事業拡大への準備

事業の急成長に対応するためには、組織の管理体制を強化し、効率的な業務プロセスを確立することが不可欠です。具体的には、明確な組織構造の策定、業務フローの標準化、情報共有の促進などが挙げられます。またグロースフェーズでは市場拡大戦略の策定や新規市場への参入計画も重要です。これらの取り組みは、事業の持続的な成長を支える基盤となります。

価値の高い製品提供

市場のニーズを正確的に捉え、競合他社との差別化を図る独自的な製品やサービスを提供することが重要です。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品の改善や新機能の追加を行うことで、顧客満足度を高め、リピーターの増加を促進します。また、社会課題に適応した製品の提供は、スタートアップ企業が大きなビジネスチャンスを掴むための鍵となります

人材育成に注力する

企業の成長には、優秀な人材の確保と育成が欠かせません。特にITエンジニアやデータサイエンティストなどの高度なスキルを持つ人材の育成は、スタートアップ企業の競争力を高める上で重要です。社内研修や外部セミナーの活用、大学や専門学校と連携した起業家教育プログラムの充実や、社内での研修制度の整備を通じて、革新的なアイデアを持つ人材を育成し、組織全体の能力向上を図ります。また魅力的な職場環境の整備やキャリアパスの明確化により、優秀な人材の定着率を高めることも重要です。

投資家とのコミュニケーション

投資家との良好な関係構築は、資金調達や事業拡大において重要な要素です。定期的な情報共有や透明性の高い報告を行い、信頼関係を築くことで、追加の資金調達や戦略的なサポートを得やすくなります。また、投資家からのフィードバックを活用し、経営戦略や事業計画の改善を図ることも、企業の成長に寄与するでしょう。このような双方向のコミュニケーションは、持続的な成長の基盤となります。

ユニコーン企業の将来性と展望

急成長が期待される分野として、AI・業務用SaaS、新素材、食品・ヘルスケア、宇宙分野が注目されています。急成長が期待される主要分野の動向と代表的な企業の取り組みを見ていきましょう。

AI・業務用SaaS分野

AI・業務用SaaS分野 教育のデジタル化やDX推進に伴う業務効率化のニーズが高まっています。教育分野ではatama plusが個別最適化された学習プログラムを提供し、法務分野ではLegalForceがAI契約審査で業務効率化を実現、また企業の業務マニュアルのデジタル化ではスタディストが成長を続けています。これらの企業は、各分野でのDX推進を牽引する存在として注目されていると言えるでしょう。

新素材分野

新素材分野 環境問題への関心の高まりを背景に、新素材開発が活発化しています。特にプラスチック代替材や環境配慮型素材の開発が進んでおり、TBMが開発したLIMEXは、石灰石を主原料とする環境負荷の低い新素材として注目を集めています。バイオ素材開発も含め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みがさらに加速していくでしょう。

宇宙関連分野

宇宙ビジネスは新たなフロンティアとして注目されています。ispaceは民間企業による月面開発に取り組み、無人月面着陸を目指して技術開発を進めていて、衛星開発や宇宙輸送など、宇宙関連ビジネスの多様化が進んでいるため、新たな市場の創出が期待されています。

食品・ヘルスケア分野

健康意識の高まりと医療のデジタル化を背景に、革新的なサービスが生まれています。代替タンパク質の開発や遠隔医療サービスの提供など、社会課題の解決と新たな市場創造の両面で期待が高まっており、特にデジタルヘルス領域では、テクノロジーを活用した健康管理サービスが急成長しています。

新時代を切り拓くユニコーン企業

ユニコーン企業は、「評価額10億ドル以上」「創業10年以内」「未上場」「テクノロジー企業」という条件を満たすスタートアップ企業として、2013年に概念が提唱されて以来、世界経済の新たな原動力となっています。当初わずか39社だった企業数は、2024年5月時点で1,200社以上に急増し、特にAI、フィンテック、インターネットソフトウェア・サービス分野での成長が顕著です。

日本では現在8社にとどまるユニコーン企業数ですが、政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、2027年までに100社の創出を目標に掲げています。特に期待される分野として、AI・業務用SaaS、新素材開発、宇宙ビジネス、食品・ヘルスケアが挙げられ、これらの分野では社会課題の解決と新たな価値創造の両面でイノベーションが進んでいます。

ユニコーン企業の成長には、効率的な管理体制、高付加価値な製品提供、優秀な人材の確保、そして投資家との良好な関係構築が不可欠です。日本企業が持つ技術力と、グローバル視点でのビジネス展開を組み合わせることで、世界に通用する新たなユニコーン企業の誕生が期待されます。

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Startup JAM編集部
執筆

Startup JAM編集部

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